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馬面彼女~チェンジ可能!~  作者: 蛇真谷 駿一


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54/62

54 Hちゃん


 ――び、びっくりした……心の準備なしに鹿島君に抱きしめられてしまった……。

 すぐに離してくれたけど、まだドキドキいってる……。


「あはは……急にごめん。ついテンション上がっちゃって」

「え! あ! ちがっ、抱きしめてもらえるのは嬉しい!! でも心の準備が足りてなかっただけだから!!」


「……ほう。では今一度心の準備お願いします」


「ふぇっ!? あ……すぅ……ふぅ…………はい! お、お願いしふぁふっ!!」


「派手に噛んだ……まあそれじゃあその……失礼して……」


 鹿島君がゆっくり私の体を抱きしめる。

 今度は優しく、それでいて力強く。


「……………………………………」


「…………………………こう、改まってやると……すごく照れる……」


「……だ、抱きしめられてる私はもっとだと思われます……!」


 でも、なんだろう。すごく幸せって感じがする。

 出来るなら、この状態のまま、もう少しだけ。



 ~~~~~~



 長いようで短い、時間にすると多分ほんの十数秒くらいの抱擁が終わる。


 その間、時間の感覚がおかしくなってしまってたみたいだった。


 抱きしめてもらっている間は長く感じ、それが終わりを迎えるころには短く感じてしまう。

 そんな何とも言えない感じ。


「………………」

「………………」


 終わった後は、私も鹿島君も妙に照れくさくて、少しお互い黙ってしまった。


 けれど、話したいことなんていっぱいある。

 会えなかった時の事、正体を知られていなかった時の勘違い、他にも色々。

 なので自然にいつものように会話が始まっていた。


 それと結局今日、朝練はお休みすることにした。

 どうせならもっと鹿島君とお話ししていたいと思ったから。


 ――……ふふっ、朝早くから鹿島君と二人で、部活をサボっておしゃべり……これもあの時と同じみたい。


 せっかくなので気になっていたことも聞くことにした。


「えっと……一つ、いい?」

「ん?」

「ここで待ってたってことは、私の事をちゃんとわかってたってこと、だよね……? どうやって気づいたの? 美琴に聞いた?」

「いや……遅くはなってしまったんだけど、ちゃんと自分で気付いた……」

「……どのあたり?」


「…………恥ずかしながら、初デートの時。家で一緒に話してる時に……なんか会話が懐かしいなって思ってさ……覚えてない? あの時ちゃんと一緒に昔話出来てたんだよ」

「あ…………」


 そうだった、あの時私が鹿島君、家族の話もちゃんと覚えていてくれてた。

 全然気づいてなかった。


「そっか……えへへ……思い出してくれてありがとう」

「いや……逆にあそこまで思い出せず申し訳ない……」

「いいよいいよ! ……というか、あのデートは、完全に私の失態の方が大きかったので……」

「じゃあ……トントンってことで……次のデートはお面無しを期待してます!」

「任せて!」

 改めてデート約束をして、二人で笑い合う。


「えっと……後、俺からも一ついい? 実はずっとモヤモヤしてたことがありまして……」


「えっ……な、なに!?」


 最後に鹿島君が申し訳なさそうに言ってきたので、私は少しだけ焦る。

 私何かしたかな!?



「……その……前みたいに、名前で……呼んで欲しいなぁ……って」


「あ……!」


 そ、そうだった。

 私のケジメの一つとして、ずっと――心の中でさえ、鹿島君と呼んでいた。



「あ、う、うん! かし……た、大我くん!!」


「お、久々に出たな? かした大我くんめ……」


「あっ……もうっ!」


何度もしつこいとお思いかもしれませんが、心の支えになるのは確かなので、ブクマ感想評価、よろしくお願いします!


後どうしたらもっと読んでもらえるんでしょうね……誰か詳しい方……!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ニヨニヨが……止まらないよ……っ!
[良い点] あっあっ...尊い...心臓止まりそう.... [一言] こいつぁてぇてぇですよ!!!!
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