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馬面彼女~チェンジ可能!~  作者: 蛇真谷 駿一


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44/62

44 Hちゃん

日付間違えてしまいました……!!

ごめんなさいごめんなさい!!!


「えっと…………」

 今私は、家の、自分の部屋にいた。


 どうやって帰ってきたのかが割と曖昧で。

 ただ、走って帰ってきたのは覚えてる。


 ――何も考えないように全力で走って帰ってきたのは。



 私は、記憶をたどるように、時間にするとほんの数十分の出来事を思い返す。




 放課後、学校で窓から見えた馬のお面。


 その馬のお面を被って大我くんと帰ってるのが誰か気になって、走って追いかけた。

 すぐに追いつくことは出来た。

 ちょうど立ち止まって話してるところだったのも大きいと思う。


 なんとなく悪い気はしたけれど、少しだけ隠れて話を聞いてみる。


 どうやらお面を被っていたのは美琴だったみたい。


「……なんだ、お面に興味があるなら言ってくれればいいのに」


 最初は、そんな暢気なことを考えながら、出るタイミングを覗ってたんだけど、二人の会話でそんな考えは吹き飛んでしまった。



『誰かもわからない相手を彼女にするくらいなら、顔が見えなくても誰だかわかる方が彼女の方がいいとか思ったりしないの?』



 ――……え、どういう事?

 美琴の言葉の意味が分からずにいると、大我くんが困ったように返す。



「…………!? え、ま、え……俺が、姫のお面の下が誰だか知らなかったこと、気付いてたの……!?」



 ――…………誰だか、知らなかった……?


 その言葉の意味が分からず、どうしてだかそのまま聞いているのが怖くなり、私は逃げるようにその場から離れた。





 そして気が付けば家にいて今に至る。


「はぁ……何がどうしてどういう事なの……?」


 大我くんと美琴が話していた言葉の意味が分からず、頭を抱えそうになる。

 ――というかどうせならちゃんと最後まで話を聞いて行けばよかったのに、私は何で走って逃げたのさ!



 とりあえず混乱する頭でぐるぐると考えて、考えて、考えて………………そして、ようやく、とあるおバカな事実にたどり着く。



「私……告白の時から大我くんの前で一度も顔見せてない……?」



 そう、告白の時から今までずっとお面を被っていて、大我くんに顔を見せたことは一度もない。


「……そうだ……名前だって、ラブレターには書き忘れたし……会話するときいっつもあだ名で呼んでもらってたし……で、でも、姫ってあだ名は、名前から取ってるからわかってもらってたはずじゃ…………!」



『へ? まさか! ちょっと予想外だっただけで……』

『予想外?』

『何でもない何でもない。……こほん、では改めて、これからよろしくお願いいたします。我が姫様?』



「あ…………」

 ――あの時は何のことはない、ただのからかい交じりの呼ばれ方かと思っていたけど、大我くんからしたら、自分を(、、、)お姫様(、、、)呼び(、、)してほしいって言ってきた女の子だった……?


「あぁあぁ……ちょっと待ってちょっと待って……だとするなら、私凄く痛々しい女の子に見られてたってことじゃない……? うぅわたしのばあかぁ……」


 考えれば考えるほど、この考えで正しい気がしてきた。


 思い返すと、大我くんは私のお面の下を気にすることが多かった気もする。

 それは、私が誰かコッソリ確かめようとしていたってことかもしれない。


 ――直接私にそのことを伝えたら、私を傷つけると思って……?


「……ということは、大我くんは私に気をつかってずっと顔も名前もわからないまま、誰かもわからない謎の女の子とお付き合いしてくれてたってことに……」


 そう思うと、胸が痛んだ。


 あの楽しかった思い出も、大我くんはそう感じてなかったかもしれない。

 というか、誰かもわからない相手と楽しくいられるわけがない。


 全て、大我くんの気遣いと優しさだけ。


「…………………………そんなの、ダメ……だよね」


 私はDOORを立ちあげ――。





『ごめんなさい、別れましょう』


 ――そう、送信した。



「……………………………………」


 大我くんにメッセージを送った後、ベッドに倒れこんで、携帯を少し遠くに投げる。

 彼からの返信を見ないように。



 送ってしまった。


「これで……こんなバカみたいな話で、私の恋は……終わりかぁ……………………うぅ……ぅぅっ」


ぬわぁぁ……!

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― 新着の感想 ―
[一言] つらい…。。。 さすがにお家デートの時に大我君が思い出して、前に話した時の話題を出してたことには気づけませんよね… あとは大我君次第…ガンバ!
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