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馬面彼女~チェンジ可能!~  作者: 蛇真谷 駿一


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4 T君

 性癖の話をしよう。


 言い換えるなら好きなエロジャンルの話だ。

 数多あるエロ系のジャンルに置いて、人それぞれ趣味趣向、好きなジャンルは違う。


 だがそれらはそのまま自分の性癖につながるかは別である。

 もちろん好きなジャンルが好みの女性のタイプと直結する場合も多い。

 年齢やコスチューム、職業などといったものだ。


 が、好きなジャンルが特殊な部類であればあるほど、リアルの女性のタイプとは関係なくなっていく。

 それは獣としちゃう系であったり人外系であったり、近親系のジャンルもその部類だろう。


 おおよそ普通に生きていれば、そういった部類のジャンルとリアルが交わることはない。

 創作物でしかありえないから楽しめる物。


 俺が好きなジャンルも基本的にそうである。


 俺が好きなのはおもに、壁からお尻が生えていたり、マスクをかぶせられた状態の女性が出てきたりするもの。

 もちろん、俺自身、顔はどうでもよくて体だけ見ているとかそう言う事ではない。


 リアルの女性の好みは普通の人と同じ感性と言っていいだろう。


 初恋も皆と似たり寄ったり、好きな芸能人も顔が好みかどうかで決まったりする。

 その上でそういったシチュエーションのエッチなものが好み――言い換えると性癖、と言うだけだ。


 電車型の本体に女性型の妖精が補助すると言う設定のご当地キャラなんかも性癖にぶっ刺さった。

曲も買ったよ。


 おっと、色々ときわどいジャンルの話をしてるけど、年齢のことをとやかく言わないでほしい

男ならそう言うものである。

 特に今の時代は、ネットのお蔭で簡単にそういったサイトにぶつかるので、手が伸びやすい。



 さて、これはいったい誰に説明しているかというと、実は説明ではない。



 現状現実逃避真っ最中故の脳内一人語りだ。


 ではなぜ、こんな現実逃避をしているかというと、実は目の前にその性癖にぶっ刺さるような存在がもじもじと立っているからだ。


 そろそろ現実逃避を止める為にも昨日の放課後から今に至る流れを思い返そう。



 まずいつもと違う出来事が起こったのは放課後。

 下駄箱に可愛らしい便箋が入っていたことだ。


 一瞬動揺したものの、その場で読み始めるには抵抗があった俺は、とりあえずそっと鞄にしまい、休み時間に少し目を通して、今日の指定ではないことを確認したのち、いつものように即帰した。


 家に帰り、洗濯や晩御飯の下ごしらえ、猫のご飯やトイレを片づけて、もう一度便箋を開いた。

「……」


 そこには一言『明日の朝、学校が始まる前に大事なお話があります。体育館裏で待ってます』とだけ書かれていた。


 名前は無し。

 一見するとラブレター。


 呼び出し場所はカツアゲ場。

 こみ上げる嬉しさと困惑と言い知れぬ恐怖が俺の中を駆け巡る。


 俺の中でいくつか可能性があがる。


 一つ、単純にイタズラ。

 俺の友達あたりが容疑者である。

 放課後ではなく朝を指定してくるあたり、俺の事を知ってる人っぽいから。


 とはいえ正直俺の友達そんな暇なことしてくるタイプじゃないのも事実なのでちょっと微妙。


 二つ、美人局的なカツアゲ。

 これに関しては無いとは思ってるけど、いかんせん場所が悪い。

 まあ、この学校あからさまな不良とかいないし、やるにしても俺が狙われる理由もない。


 三つ、俺が虐められてる。

 これは無いと信じたい。

 いや、そんな兆候はないし、クラスの連中もそんなことする奴らではない……はずだが、これだと考えると恐ろしくて仕方ない。


 指定された場所に行ったら「ほんとに来た。クスクス」とかマジ無理。


 四つ、罰ゲームの相手役。

 これも嫌。虐めなみに嫌。

 だって俺に告白することが罰って、きっつい。


 五つ、全く関係ない相談事。

 これもだいぶありそう。

 とはいえ、相談事を受けるような人間でもない気がする。


 最後に、ちゃんとした告白。

 これは多分嬉しい。


 多分なのは、告白なんてされたことないから。


 とはいえ、これは今まででた可能性の中でも一番低い。

 虐められる以上にそんな兆候ないし。


「あーわからん」


 そう言って床に転がる俺。

 群がる猫二匹。


「なぁ、エビ天、イカ天、お前らはどう思う?」


 茶トラのエビ天と白猫のイカ天は『そんなことはどうでもいいからかまえ』と言わんばかりに前足を俺の体に軽く乗せてくる。


 その後メチャクチャかまい倒すことにして、とりあえず一旦忘れることにした。




 翌日、とりあえず指定された場所に行かないという選択肢は俺の中にはなかったので、いつもより三十分は早く家を出た。


 激しい緊張感を胸に体育館裏近くまで来た俺。

 深呼吸を一つし、意を決して指定された場所に足を踏み入れ――。






 ――馬と目が合う。




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