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馬面彼女~チェンジ可能!~  作者: 蛇真谷 駿一


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33/62

33 T君

ストックが完全に尽きた……。

あんまり読んでもらえてないのがわかってるのでなかなかモチベが上がらな……いや、言い訳ですね。


ペース落とさないよう頑張ります!


 よし、話を逸らそう。


 ちがう、戻そう。


「あーっと、ひ、姫? じゃあその大伴猫、使ってみたら?」

「ふぇっ、あ、あ、うん! よ、よーし!」


 そう言って姫は再び口をもとの半開き状態に戻し、身を屈めてから、うちのお猫様を呼び込む。


『おーい、エビ天ちゃーん? イカ天ちゃーん? おいでー……』


 姫からイージーリスニングのようなゴロゴロ音が聞こえる。

 これがさっき言ってたやつか。


 お面のどの機能が功を奏したのかわからないが、エビ天が興味を示し、ゆっくり近づいてきた。


 ――っ!? イカ天も!?


 何とエビ天に続いて人見知りなイカ天までゆっくりと近づいてきた。

 このお面凄いな。


 そしてそのままゆっくりと撫で始め、気が付けば二匹とも姫にすり寄っていた。


「マジか」


 ちょろいエビ天はともかく、あの警戒心の強いイカ天がまさか黙って撫でられるだけではなく、自らすり寄っていくなんて。

 姫はそのまま抱っこしようと手を伸ばす。


 ――と、流石にイカ天はそこまでは気を許してなかったのか、姫から離れた。


 イカ天に逃げられた姫は少しだけしょんぼりしながら、エビ天に手を伸ばす。

「あ、エビ天くっそ重いんだけど……」

『大丈夫だいじょっ……! ほんとに重たいねエビ天ちゃん……! よいしょ!』


 抱きかかえられたエビ天はふてぶてしい態度で、ちょうど高さ的に届く場所にある鬣の匂いを嗅いでいる。

 そしてそのまま眠りにつく。


「ほんとお前図太いよな……」

『いやいや、大伴猫のお蔭だよ!』

「なるほど」


 エビ天だからというのももちろんあるだろうが、確かに実際、鬣部分を気持ちよさそうに掴もうとしている。

 さっき触った時もさわり心地が良かったし、リラックス効果でもあるんだろうか。


 なんにせよ普通のお面と思わない方がよさそう。

 今も話しやすいように口を開くモードに変えてるし。

 あの馬の面――快頭爛馬、だったっけ、あれと同じように。


 というか、その原理でいくなら、さっきのクアッカワラビー面もなんかあるのだろうか。


「なあ姫」

「何?」


「さっきのクアッカワラビー面はどんな機能が付いてたんだ?」

「っ!! 興味ある感じ!?」


「うえぇ? あ、うん」

 ものすごい食いつかれた。


 面を被っててもはっきりわかるくらいテンションが上がってる。

 そして変わらず腕の中で眠るエビ。



「やっぱり! 大我くんお面気に入ってもらえると思ってたんだ!! えっとねえっとね! あのお面、クアッカワラビー型全頭面――笑美望(わらびもち)って言うんだけど、お面内に美顔機能が備わっていて、起動すればローラーが動き出す仕組みになってるの! ほら、その……私、今日お化粧できなかったじゃない? だから万が一を考えてこの笑美望で少しはマシにならないかなって……それに、このお面には自然な笑顔を作れるように矯正する機能も付いてて」



「ごめんごめんちょっと情報量が多い……!」


 さっきのライオン面もそうだけど、説明がとにかくすごい。

 いや、好きなものを説明するときそうなる気持ちはよくわかるから何も言えないけども。


「あ……ごめんなさい」

「いやいや、俺から聞いたわけだし。しかし……俺が見たどのお面も性能が凄いのばかりだな」


 何だ美顔機能と笑顔矯正機能付きのお面って。

 正直オーバースペックが過ぎないか。


「そうだね……私が持ってるお面の中で一番多いメーカーが○○(まるまる)堂なんだけど、ここはお面メーカーの最大手で、古くからある歴史あるお面メーカーなの」

「ふむ」


 なるほど、と言った感じにうなずいて見せたけど、頭は混乱中です。


 ――古くからあるの? というかメーカーってそんな多くあるの?

 俺が全然知らないだけで、常識なんだろうか。


 違う気がする。


「○○堂が最大手である理由としては、もちろん歴史もあるだろうけど、他のメーカーが追い付けないほどの技術力にあるみたい。私たちの間では「○○堂の技術は五十年先を行く」って言われてるほどに」


「それはまた……いや、確かに一つのお面に搭載できるレベル以上の機能が付いてる時もあるけども」

「ライバルメーカーが探ろうとしてもどうやっても○○堂の技術は再現できないと言われてるって噂も聞いたことある」


「なんか……すごくオカルト地味てきてない……?」

「うん、実際謎に包まれてることの多いメーカーだからね」


「なるほど……深くツッコまない方がよさそうな……」

「そうだね……まあ、私達マニアたちにとっては、良質なお面を販売してくれるんだから、それだけで満足なんだよ!」


「……そっか…………」

 なんか完全に話が変な方向に進んだけど、姫の緊張が完全に溶けてるみたいなので良しとしようか。




 というかそろそろ腹減ったな。

「よし、姫そろそろご飯食べないか? 俺腹減ってきた」


「へ? あ! そうだね! えへへ、私頑張って作ったから楽しみにしててね!」

「誘った日からずっと楽しみにしてたよ」



 俺と姫はそのままリビングに向か――――姫、エビ天置いて。


感想おまちしておりゃす!!

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