26 Kちゃん
「わぁ……これって、もしかして姫ちゃんの提案かなぁ……?」
帰宅部の活動中、エースさんがまた直帰しないでグラウンドに向かうのが見えたので、気になってついていくと、陸上部の部員さんが皆、姫ちゃんみたいになっていた。
「あれは、爆弾型の…………お面? だと思うんだけど……あれが気になったからエースさんグラウンドに来たのかな?」
そういえば帰宅部の中で最近一度エースさんが直帰しなかったって話が上がってたときも、何故か馬のお面が帰宅してるって目撃情報も出てたから、もしかしたらエースさんはお面好きなのだろうか。
「それにしても、あれじゃあどれが姫ちゃんかわからないなぁ……」
爆弾のお面をかぶった陸上部員さんを見てると、流石に見分けがつかない。
「…………ん……いや、よく見ると三択くらいまで絞れるかも」
お面が隠しているのは顔までなので、お面の下に実ってるものがより目立つ。
そして私が気付くくらいなので、他にもそれに気づいた数人の男子はお面に気を取られているふりをしつつ視線は下に。
「…………さいてーだ。……まあ、気持ちは分からないこともないけど……」
素直な感想が口から洩れた後、エースさんの方に目を向ける。
もしかしたらエースさんもその口かと、少し疑念を抱いたので、ちょっと近づいてみた。
でも、どうやら違うみたい。
というかそれ以前に、何故だか不思議そうな顔をして首を傾げている。
「…………あ、お面被ってるんだから当たり前か」
――何故だかではなかった……。
とりあえずそのままエースさんに気付かれないように徐々に近づいていくと、どうも不思議そうにしていた理由が、お面を被っていることではなさそうな呟きが聞こえてきた。
「……最初は全員誰が誰だか把握できなかったけど、なんか見てたらどれが姫かぐらいはわかる気がする…………なんでだ……?」
と、少し遠い目をしながら自問自答するように呟くエースさん。
というかエースさんこの状況で姫ちゃんの事をちゃんと把握できるんだ。
すごいなぁ。
――ってあれ? エースさん、姫ちゃんの事を名前で呼んだ……?
もしかして私の知らないところで意外と距離が縮まってたりするのだろうか。
「ん……?」
とエースさんが何かを見て不思議そうな声を漏らす。
何かと思って目を向けると、陸上部の――わかんないけど、爆弾さんの一人が急に練習から離れだした。
そして、それを見たエースさんが一言。
「? 姫?」
――あれが姫ちゃんなの? 確かにお胸は大きいけど……。
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