24 T君
しばらく中2日の更新になりそうです。
とうとう来てしまったこの時が。
俺は今来たばかりのメッセージを再度確認する。
SIHK:大我くん! 今日もしよかったら、放課後陸上部の練習見に来ない?
SIHK:あ、もし用事とかあるなら無理はしないでね!?
SIHK:その……やっぱり大我くんが見てくれてると思うと頑張れると言いますか……
SIHK:でも忙しいかなって思っちゃうと声かけづらかったんだけど、勇気を出しまして!
大鹿:ええと、行っても大丈夫なの? 一応隠してる訳だし
SIHK:お、応援とかがほしいわけじゃないの! ……改めて頑張ってる私の姿を見てもらいたいなって
SIHK:ごめん変なこと言って! やっぱり忘れて!?
SIHK:あれ!? メッセージってどうやって消すの!?
大鹿:や、気にしないで……うん、じゃあ今日、行くよ
SIHK:ほんと!? 嬉しい! 待ってるね!!
「ふぅぅぅ…………」
いや、割と普通の出来事だ。
彼女の部活を見に行くだけ。
下手したら定番イベントだ。
本当はもっと前にこの連絡が来ると身構えてたけど、なんか逆に気を使わせてしまったみたいで申し訳ない。
さてさて、問題は見に行くとして、陸上部という事は部員がたくさん、その中で俺は、顔の知らない彼女を見つけることが出来るだろうかということ。
「応援しなくていいって言っても、全然違う女子眺めてたら、色々問題だし……」
いや、もちろん断ることは出来たとは思う。
――でも、頑張ってる姿を見てほしいとか言われて行かない男いる?
紛いなりにも彼氏を名乗っているのであれば、彼女のこういう小さな頼みは聞いてしかるべしだと俺は考える。
「………………まあ、なんとかなるだろ! たとえ顔は知らなくとも雰囲気でわかるはずだ。うん。俺は彼女の、顔ではなく、心に恋したはずなんだから」
――よし今かっこいいこと言った! ……大丈夫だよな?
放課後。
数名の生徒に何故か異常なほど驚かれているのをスルーしながら、グラウンドに向かう。
結論から言おう。
大丈夫だった。
しかしそれは顔を知らずとも彼女の事を発見できたとかそういう話ではない。
それ以前の問題だ。
俺は今現在、誰一人把握することは出来ていない。
多分、同じものを見ている生徒皆そうだろう。
――そう……今、目の前に広がるのは、ラブレターで呼び出された場所に馬が待っていたとき並みの衝撃だ。
他の部活の生徒も練習に身が入ってないくらいの衝撃だ。
どうしてこういう事になったのか少し考えてみたが、多分顧問の式見先生のせいじゃないかと俺は睨んでいる。
「…………ボンバー○ンかな?」
――――何でみんなあんなわかりやすい爆弾の形のお面してるのかな?
感想、お待ちしてます。




