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甘い香の予感
きりり この引き絞られた空気に冬を感じる
甘いココアの香が漂うカップを両手で包んで
そんな風に独り言ちた
目を閉じて椅子に座っていると
キッチンもまるで土間のよう
さながら 雪国の古い一軒家
そんなわけはないのに 心だけ 遠くへ飛んでいく
年末年始の非日常が終わってみれば
世の中はもう2月に夢中
鬼とハートが同居するなんて 本当にフカシギ
さすがは どんな神さまでも受け入れる国だけはあるね
そんな皮肉屋も 気付けば頭は甘い予感でいっぱい
明日のために 予行演習だなんて言って
熱々のココアを そっと口に含んだ




