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彼岸の夢
久しぶりのあなたは 変わらない笑顔で
楽しそうなところに 連れていこうとする
私だけを
現実ではもうその声すら 朧げなはずなのに
隣にいるのが当たり前のような顔をして
さぁ行くかと言った
目が覚めても 夢ははっきりと胸に残っていた
目蓋の裏に 焼き付いていた
もしかして 心配して会いに来てくれたの?
伝えたいことでも出来た?
――心の底で望んでいるから 迎えにきてくれた?
もう10年になるんだね
もう、そんなに会っていないんだね
全然 実感がわかないな
まだ近くにいる気がするよ
会いたいな
……会いたいな




