表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました  作者: 氷雨そら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/44

仲間意識


「さて……ベルアメール夫人は、濃いグリーンのドレスが似合わないと言うけれど」


 ランディス子爵令嬢が言うとおり、私には夫の色が実際似合わない……それは、何度も挑戦してわかっていることだ。

 けれど、ランディス子爵令嬢が手にしたのは、濃いグリーンの布地だった。


 彼女はバサリと布を広げ私の肩にかける。


「そうね、イメージは森の奥にたった一輪ひっそりと咲いた儚げな淡いピンクの薔薇かしら」

「ランディス子爵令嬢まで、アシェル様みたいなことを言い出した!?」

「は……? 普段の上司からあまりに乖離した愛妻家像なんて知りたくもない」


 ランディス子爵令嬢は、一瞬だけゾッとしたように体を震わせた。

 私は普段のアシェル様を知らないのだ。

 古典恋愛の本から持ち出したような賛辞を並べる彼のことしか……。


「……仕事中はすまして冷徹宰相を装っているから、ほかの人間が知ったら驚くでしょうね」

「……」

「まあ良いわ。とにかく、今回は真っ正面から宰相殿の瞳の色に合わせるわよ」

「……っ! よろしくお願いします!!」


 そのあとは、デザイナーとも相談しながらひたすらお着替えと小物選びの時間が続いた。


 ――気がつけば日が傾いていた……。


「ここまでお付き合いいただいたけれど、お仕事は良かったのですか?」

「宰相殿と宰相補佐殿に任せておけば大丈夫よ。そもそも私は楽して最高の仕事をすることを目指しているから」


 フフンッと鼻で笑い、ランディス子爵令嬢はようやく決まったデザインと布、そして小物をテーブルに並べた。


「お茶会の飾り付けとコンセプトは、森に紛れ込んだ妖精姫の秘密のお茶会よ」

「……やっぱり、アシェル様が私を褒めるときみたい」


 ランディス子爵令嬢はため息を一つつくと、我が家の侍女たちを一堂に集めた。


「と、いうことでお茶会のイメージは森の中、そして淡いピンク色の薔薇で統一してもらうわ。ところどころに、白を入れて幻想的な雰囲気にすることを忘れずに」

「かしこまりました!!」


 いつの間に皆の心を掴んだのか。

 初めのうち侍女たちは自分たちの領分を侵されまいと少々とげとげした雰囲気だったのに、いつの間にか長年ともに戦った戦友みたいになっている。

 ランディス子爵令嬢と侍女長が固い握手を交わす。


(たぶん、ランディス子爵令嬢はこうやって周囲を巻き込みつつも最高の結果を残し、女性でありながら文官として出世してきたのね……)


 肩の上でバッサリ切られた黒髪に金色の鋭い瞳。彼女のことを悪く言う人は多いけれど、それと同時に熱烈に信奉する人も多い。


 ジョシュア様もその一人なのだろうか……。

 そんなことを思いつつ、私は仕事を終えたとばかり意気揚々と去って行くランディス子爵令嬢の背中を見送ったのだった。


最後まで、お付き合いいただきありがとうございます。下の☆を押しての評価やブクマいただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ