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引退変身ヒーロー、学校へ行く!  作者: 雑種犬
第51話 戦闘開始
439/545

51-3

 僕が学校に戻るとほどなくして真愛さんも「天昇園」から西住さんに車で送られてきた。


 少しでもペイルライダーに警戒していると気取られるリスクを減らすべく、「天昇園」自慢の旧軍戦車や「UN-DEAD」から接収した鉄子さんの駆逐戦車ではなく、西住さん私有の軽自動車でだ。


 ペイルライダーのビーム兵器やディメンション兵器をもってすれば軽自動車だろうが重装甲の装甲戦闘車輛(AFV)であろうと大して変わりは無いわけで、それよりは型落ちの軽自動車の方が目立たないという点では利がある。


 今の時代、下手にAFVを動かすと数分後にはSNSに写真をアップされかねないのだ。


 真愛さんが乗り降りするところまで撮られなくとも、ウチの学校にAFVが乗りつけたところをSNSに上げられてしまえばペイルライダーの目に止まる可能性がある。


 それが直接的に真愛さんに結び付くかは微妙なところだけど、それでも奴が「なんで?」と思えば偵察のために動き出すかもしれないのだ。


 せっかく僕が奴のところに乗り込んでいって2、3日の猶予を得たというのにそれを無駄にする愚は冒したくはない。






 4時限目。

 数Ⅰのテストの返却があり答え合わせと解説があって後半は各人で間違えた所を見直すために費やされる。


 隣の天童さんが満点だった僕の答案用紙を見るために自分の席を寄せてきたために僕も彼女が見やすいようにして、自分は授業用のタブレットで予習をしておく事にしていた。


 ただ僕の答案は計算の式と回答は書いてあるものの、細々とした計算は電脳でやってしまっているために書かれてはいない。


 そして数Ⅰのテストは僕と他の生徒の差を埋めるために電卓の持ち込みが許可されていたために当然、天童さんの答案用紙にも細かい筆算なんかは無い。


 それでは間違った問題のどこを間違えたのか、しっかりと見定めないといけないと思うのだけれど、天童さんはパッパと僕の解答を赤ペンで丸写しにしていき、それで満足感を得ているようだ。


 僕が天童さんの答案用紙を見る限り、実の所、計算式自体が間違っているという箇所はそう多くはない。

 途中の計算が間違っていたり、小数点の打ち間違いというケアレスミスが多いように思える。


 現に彼女の答案には〇や×の他、△で減点されている箇所も多く、それらは僕の答案を見て正答を丸写しにしても次回に活かせるというものでもないのだろうけど、僕にはウンウンと満足気に頷きながら僕の解答を写していく彼女に声を掛ける事ができないでいた。


 授業時間もそろそろ終わりに近づいてきた頃、僕のタブレットにメールの着信を知らせるポップアップが浮かぶ。


 差出人は明智君。

 何だろうとは思ったものの、彼は授業中に無駄な用事でメールをよこす人ではないのでチラリと教卓の先生を見てこちらに注意が向いていないのを確認してからメールを開ける。


 そこには明智君らしい「マズい事になった」という端的な言葉とともに1件のURLが張られていて、そのリンクはとあるネットの匿名掲示版のものだった。




(凸厳禁!)真愛ちゃんを見守るスレPart810


 98: ヒーローオタのゆうすけ 20××/06/××(月) 23:58:37.41 ID:××××.net

 我らの真愛ちゃんの命を狙う不届き者が現れたらしいぞ!!


 99: ヒーローオタのゆうすけ 20××/06/××(月) 23:59:49.24 ID:××××.net

 はっ? キレそう……


 100: ヒーローオタのゆうすけ 20××/06/××(火) 00:01:01.09 ID:××××.net

 ≫98 ソースは?


 101: ヒーローオタのゆうすけ 20××/06/××(火) 00:01:53.33 ID:××××.net

 ≫100 本日の護衛班からの書き込み。wiki見ろ!




 ……なんだコレ?

 これが噂の集団ストーカーですか?

 たまげたなぁ……。


 さらに明智君からメールが入り、それによると書き込みにあった「wiki」とはTorを使わないと閲覧もできない、いわゆるディープウェブにあるものらしい。


 まぁ、僕が入学して早2ヶ月。

 これまで真愛さんがストーカーに怯えているという事もなかったし、私物が盗難にあっているという話も聞いた事がない。


 これまで実害は無かったという事なのだろう。

 ただ、今の状況下においてはこういう書き込みがあるという時点で真愛さんの生死に関わりかねないのだ。


 僕が明智君にTorの使い方を教えてもらわないとディープウェブを見る事ができないように“向こう”の僕もWikiとやらを見て詳細を確認する事はできないだろう。

 でも詳細を確認できなかった奴は「真愛ちゃんの命を狙う不届き者が現れたらしい」という書き込みを見てどう思うだろうか?


 自分の他にも真愛さんの命を狙っている者がいるとは思わないだろう。その書き込みを自分の事だと思うハズだ。

 もし仮に100歩譲って他にも真愛さんの命を狙っている者がいると思ったとして、そうだとしても奴は先手を打つべく行動を開始するのではないだろうか?


 僕がネットカフェに行って話をしてきた時はまだ奴は気付いているようには思えなかった。

 でも、それも今は分からない。


 あまりにも無責任。

「見守る」だの「護衛」だの書き込んでいる彼らが真愛さんの命を危険にしているとは自分たち自身、想像もしていないだろう。


 そもそも「護衛班」なんて書いてあるけれど、この2ヶ月の間、真愛さんの身に危険が及んでも姿を現した事の無い連中なんて護衛として役には立たないだろう。

 大方、どこかで張り付いて盗撮している罪悪感から逃れるために護衛なんて耳触りの良い言葉を使っているだけなのだろう。


 さらに明智君からの3件目のメールによると、例のWIKIとやらを明智君が見てみるとライブカメラの映像が埋め込まれており、そのスクリーンショットの画像も添えられていた。


(……うん? これは……)


 その画像は僕たちの通う学校を外から撮影したもの。

 大分、遠くから撮影されているのかモアレも酷く、細部は潰れている。

 しかも陽光がガラスに反射して中の様子を見る事はできない。


 僕は赤ペンの先にデスサイズマントのナノマシンを変質させたカメラを取り付けて、大まかに推測した撮影位置を推測して即製のカメラを向けてみた。


 1500メートル先、雑居ビルの屋上に大きな三脚に取り付けたカメラと都市迷彩のコートを目深に被った人物がそこにいた。

 明智君にメールで災害対策室などで真愛さんの警戒をしていないか確認すると、やはりペイルライダーに異変を悟られる恐れがあるためにそのような事はありえないと返事がすぐに返ってくる。


「……相川さん、悪いんだけど、窓を全開にしてくれない?」

「ええ。いいわよ」


 窓際の席の相川さんに頼んで僕と撮影者を結ぶ直線状にある窓を開けてもらう。


「ありがと。ついでにちょっと席を離れてくれないかな?」

「うん? どうかしたの?」

「ゴメンね~」


 相川さんは訝しみながらも席を立ち後ろへと動いてくれる。

 教室中の皆が急に声を出した僕に注目してくるけれど、明智君から先に送られてきたスクリーンショットに映っていたガラス窓の光の反射からすると教室の中の様子を窺う事は難しいだろう。


 僕は机の脇のフックに下げたいた学生鞄の中に手を突っ込み、そこで手元にビームマグナムを転送する。


 さらに即製のカメラをもう1つ作って、三浦君と天童さんに頼んでそれぞれカメラを1つずつ教室の前と後ろの窓際まで持っていってもらった。


 そしておもむろに学生鞄の中からビームマグナムを取り出して2連射。


 2つのカメラはステレオ・レンジファインダーの役目を果たし、1500メートル離れたカメラや人間という小さな目標であっても必中の効果を生み出す。


 教室の中がザワつく中、明智君からライブカメラの映像が途切れたと連絡が入った。

 JK(女子高生)盗撮してたら殺されても文句は言えないだろう。(常識的に)(考えて)

さて、これまでに主人公さんが盗撮犯を射殺しても許される世界観を作れていたでしょうか?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 怪人の疑いをでっち上げ………ゲフン。 書類送検とかして事後処理ですね。
[良い点] 真愛さん、引退して長いのに追っかけがいるのか・・・。 よっぽどのファンなのか、それともロリコンを拗らせた人達なのか・・・いや、高校生はロリコンのターゲット外か。 どっちにしたって真っ昼間か…
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