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割り込み投降機能については知っていますが、1度、投降した物を動かす事ってできないんですかね?
クリスマス編18回の前に投稿するのも変な感じが……。
シュウシュウと小気味良い音を立てて、鉄板の上のお好み焼きが焼けていく。
「おっ! 焼きそば2つ、来たよ~! 皆で取り分けよ~! ほら! パイセンも」
「ほれ! デブゴンも取り皿よこせ、マコっちゃん、明智んの皿も取って!」
「え? うん……」
改造人間にされてしまっても「普通の生活」を送りたい。
将来の事なんか良く分からないけど、それがさしあたっての僕の夢だ。
……うん。
それはいい。
なら、高校生にもなったら学校帰りに何か食べていく事もあるんじゃない?
でも、それは僕のイメージだとハンバーガーとか牛丼チェーンのファストフードとか、運動部の人とかならラーメン屋とかもあるのかな? 後は学校帰りにコンビニがある人はそこで済ませたりもするんじゃない?
でもさ、平日の放課後にお好み焼き屋でガッツリ食べてく高校生なんているのかな? 大阪の高校生だって学校帰りはタコ焼きとかイカ焼きで済ませるんじゃなかろうか?
しかも「D-バスター1号」を名乗る謎のアンドロイドと一緒に……。
いきなり「メシでも奢れ!」とか言い出してきた謎アンドロイドの言葉に最初に乗り気になったのは天童さんだった。折角のテスト準備期間中で部活が休みになったのに真っ直ぐ帰って家で勉強したくない派の天童さんは渡りに船とばかりに少し離れた所にあるスーパーの広い駐車場の片隅に新しくできたお好み焼き屋を提案してきたのだ。
さらに意外にも天童さんに乗ってきたのが明智君だった。
ただ、口では「お、そうだな」と言いながらも明智君の眼光は鋭くD-バスター1号を見据えていた。
大方、彼女が、もしくは彼女の製造者が何を企んでいるのか注意深く探ろうという腹なのだろう。
「ところでさ、君、愛称とかってないの?」
「愛妾? 妾を囲えるような身分じゃ?」
「そうじゃなくて! 『D-バスター1号』って名前じゃ呼びづらいでしょ? 何か愛称とかないの?」
「ええ~!? 女の子を『ペット』とかパイセン、噂通りにマジヤベー奴!?」
「アハハ! そうだぞ! ウチのマコっちゃんは人ができない事はやってのけんだぞ! そこに痺れて憧れろォ!!」
「ちょ、ちょっと2人とも他のお客さんもいるんだし、騒ぎ過ぎるのは……」
「「は~い!」」
まるで天童さんが2人に増えたみたいだ……。
ただ通路側の席に座る真愛さんが周囲を見渡しながら窘めると素直に返事を返した。
お好み焼き屋の店内は新しいだけあって清潔感があって油汚れもほぼ無い。
ただ掘りごたつ風になってるこの座敷席はいただけないかな? 片側に3人ずつ座ると少し狭い。
あ……。
いや、席が狭いんじゃない。三浦君が幅を取ってるせいで狭いんだ。
現に向かいの席に座っている天童さん、D-バスター、真愛さんはゆったりと余裕を持った間隔だ。
女性陣は窓側に天童さん、真ん中にD-バスター、通路側に真愛さん。男性陣は三浦君、明智君、そして僕という順で座っている。
本来ならばD-バスターを窓側の席に座らせて、僕がその隣で彼女の脇腹に銃を突きつけているのが理想的なんだろうけど、店内に入って席に案内されるのと同時に「男子はそっち~! 女子はこっち~!」とD-バスターと天童さんが言い出したものでこのような配置になってしまった。
謎アンドロイドと天童さん、明智君に巻き込まれて連れてこられた真愛さんは困惑した顔をしながらも、鉄板で焼いてるお好み焼きとは別に厨房で調理されてきたソース焼きそばと塩焼きそばを皆に取り分けてくれている。
ヒーローオタの三浦君も謎のアンドロイドに興味はあるようで興味深げにD-バスターを舐めるように眺めてもいるが、彼も明智君の意図を察しているのかドリンクバーの飲み物を僕と明智君の分も取ってきてくれていた。
「……まあ、真面目な話、『D-バスター』じゃ味気ないから、何か名前でも付けようかって話にはなったんだよね~!」
2種類の焼きそばを摘まみながら、ドリンクバーのメロンソーダとヨーグルトドリンクを混ぜた物を飲みながらD-バスターが話し始めた。
「でも皆、『カチューシャ』がいいとか、『レーヴェ』がいいとか、『あああああ』はどうだとか話が纏まらなくてさ~!」
へぇ~!
……ん? ちょっと待て、最後に何か凄いのなかった!?
まるでスマホゲームのリセマラするときに適当に付ける名前みたいな……。
「『ああああああ』とかまるでルックズ星人みたいだな?」
え? 何? 明智君、それで分かるの?
てか、そんなリセマラだかRTAみたいな名前を持つ宇宙人がいるの!?
でも目を細めてD-バスターの言葉を聞き逃すまいとしている彼にツッコミを入れるのは悪いような気がして聞き流す事にした。
「違うよ~! 『ああああああ』じゃなくて『あああああ』だよ! まぁ、それを言い出したのはルックズ星人だってのは合ってるけどさ!」
「す、凄ぇ名前の付け方をする宇宙人もいるモンだな……」
「宇宙は広いで御座るなぁ」
「ほ、ホントね~……」
「あああああ」とかいう名前が気になっていたのは僕だけではなくて、明智君以外の皆がそうだったようで皆で引き攣ったような困惑したような顔をしていると明智君がその名前の意味を教えてくれた。
「……確か『ああ』と『あああ』の子供って意味になるのだったかな」
「そうそう! メガネのお兄さん凄いね! もしかして宇宙人マニア?」
「……もしかして明智君を知らないの?」
これは意外な事だった。
明智君は中学1年生の頃に地底人に拉致されて地上の支配権を賭けたデスゲームを強要され、3種のゲームの全てで勝利を収めて地底人を地下に追い払っていた。
丁度、時期的に年末で暇を持て余していた僕も兄ちゃんと一緒にその電波ジャックされた中継放送を見ていたのを思い出す。
その事で明智君は「黄金の頭脳」とか「史上最高の頭脳」とか言われて一躍、時の人となっていたのだ。
その後もその能力を買われてヒーローたちに幾度となく協力していた彼の事はARCANAどもも高く評価しており、僕のデータベース内にもレベル2優先目標として記載されていたのだ。
その明智君の事を知らない?
モグリの組織かな?
「あれ? もしかして有名人? うわ~! 私ってテレビ、バラエティしか見ないからな~!」
「……アンドロイドならデータベースとかインストールされてない?」
「あるけど、私のメモリー内にはパイセンたち兄弟の事しか入ってないよ。さっきも言ったじゃん? 私は貴方用のエクスペンダブル・アンドロイドだって……」
そう言ってD-バスターはウインクを決めながら投げキッスを寄越す。
「というワケでメシは奢ってね? まぁ、駄目と言っても財布なんか持ってきてね~けどな!」
「アハハ! やるぅ~!」
「すいません、すいません! すぐに静かにさせますから……」
2人で勝手に盛り上がってるアンドロイドと天童さん。
その脇で真愛さんがペコペコと頭を何度も下げて店員さんに謝っている。
そりゃ店員さんも大声で「財布、持ってきてない」なんて言われたら怪訝な顔もするよね。僕も真愛さんと一緒に頭を下げておいた。
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