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新人類 ‐ ウィキパディア

ウィキパディア-フリー百科事典

ページ/ノート

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新人類

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新人類とは2039年9月14日に地球人類が初めて接触に成功したその起源を地球以外に持つ知的生命体群の事である。生物学的観点からは新人類という定義は存在せず各種ごとに規定されているが、アイスランドにおいて、これらの生命体の権利を明記する上で法律上の定義としてまとめて新人類と定義された。

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目次


1.法律上の定義

2.学術的反論

3.系統種

4.文明度

5.精霊術

6.生物学的共通の特長

7.文化

8.社会問題


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法律上の定義


アイスランドにおいて新人類に関する法律上の定義がなされたのは2040年の事である。当初はこれらの生命体に関しては知的生命体や人類外知的生命体などと呼ばれていたが、アイスランド議会において、ドラクニク王国との国交樹立後にこれらの知的生命体が有する権利に関する議論が始まり法律が制定された。そして、この際に知的生命体とするのではなく新人類と総称して表記する事も決定された。


この法律上の新人類に該当する生物は、地球人類と同等の知性を持っている事と定義されている。その為、アイスランドにおいてはどの様な姿形をしていても地球人類と同等の知性を有していればその生命体は新人類となる。


アイスランドにおいて新人類が有している権利と義務は地球人類と同等に与えられるとされており、その為、アイスランドでは一般の地球人類と同様に同じ人間としての生活を行う事が保障されている。


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学術的反論


アイスランド議会が、地球人類と同等の知性を有している知的生命体を新人類と定めた当初、アイスランド国内に居た生物学者の多くが法律に反対の意思を示した。反対意見を持つ生物学者は確認されている知的生命体は非常に多くの種が確認されており、さらには明らかに人類ではない知的生物を人類と定義するのは無理があるのではないかとし、個別に対応すべきだとアイスランド議会に反応を示した。


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系統種


現在、新人類に該当される知的生命体は18系統種が確認されている。いずれも、大きさも形状も人型の生物ではあるが、外見上は明らかに人類とは違う種である。これらの種族には系統種よりもさらに細かい種や、各種が自称している種全体の固有名詞等が幾つか存在しているが、アイスランドでは法律上の登録ではこれらを系統種族として各種を登録している。これは現状発見されている新人類の各種の姿が概ね地球に存在する何らかの生物に類似する様な一部外見的特長を各種が何らかを有している為である。以下は現在、アイスランド政府が確認している新人類の系統種族一覧。ただし、系統種は学術的な学名や種名でなく、あくまで制度上の登録名である事に留意。


・兎系統

・狐系統

・鼠系統

・蛾系統

・蝶系統

・犬系統

・猫系統

・猿系統

・蜥蜴系統

・海豚系統

・蟻系統

・飛蝗系統

・蚯蚓系統

・豚系統

・馬系統

・熊系統

・北極熊系統

・鹿系統


また、アイスランド国内では上記の確認されている系統種の内、兎系統、狐系統、鼠系統、蛾系統、蝶系統の住民が2062年現在で39,822人、アイスランド国籍を取得して居住している。この内、兎系統、狐系統に関しては大半が亡命、もしくは旧ドラクニク王国から脱出しアイスランドに帰化した住民でこの内、狐系統に関してはアイスランドにおける新人類人口の大半を占めている。鼠系統、蛾系統、蝶系統の住民に関してはその大半がアイスランド政府の進めている精霊術師の誘致政策で国籍を取得した住民で比較的少数の住民が居住している(1,000人未満)。


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文明度


新人類の文明度に関してはシィキレイ大陸での発見当初は地球人類の水準では最低でも古代ローマ時代から多く見積もっても6世紀未満の文明であると推測されていた。しかし、シィキレイ大陸の新人類との交流が行われるにつれて、その認識は大きく変わっていった。


建築文化などは古代ローマ時代の初期から後期にまで見られる様な似た様な石造建築物が多く存在しているが、船舶技術などは特に帆船の風を受けるマストや帆に関連する構造的な技術には関しては、地球人類の有している帆船の技術を越えていた。その為、この時点で既に新人類全体の文明水準という観点で見れば、アイスランド政府が想定していた、古代ローマ時代から多く見積もっても6世紀未満という文明の想定は当てはまらない。


しかし、帆船技術以外に関する技術水準に関しては現状では一部を除いて、古代ローマ時代から多く見積もっても6世紀未満という文明度の推定は間違いではない。


また、特筆すべき事としてはシィキレイ大陸のアイスランドと国交が有する国家からの多くの歴史資料によれば、この文明度は少なくとも3千年以上前から殆ど変わっていないという事である。これはアイスランドの歴史学会でも議論がされているが、新人類が使用できる精霊術が物理技術の発展に悪影響を与えている説等が唱えられている。


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精霊術


新人類の一部の適合者は精霊術と言われる非常に超常的な技術を行う事ができる。この精霊術は未だに科学的な研究が続いているが、どのような原理で精霊術が発動するのかは未だに分かっていない。


精霊術に関して、アイスランドに亡命した精霊術師グダァディアィジ・ディラギュラディズイン・アディイサによれば、精霊術とは大気中に存在する精霊に働きかけを行う事によって力を得る技術だとされ、精霊術は四大元素と呼ばれる土、水、気、火を司る精霊をエーテルと呼ばれる精霊術師の体内に存在する力で精霊陣(魔法陣の様なもの)を形成し操る事で超常的な現象を発生させる。


精霊術が引き起こせる現象は簡単な例を挙げると、火を発生させる。水を発生させる。風を発生させる。引力を発生させる、打撃を防止するなど様々な術がある。これらの精霊術は庶民にも親しまれており、精霊術師が発生させた火や水を精霊術を扱えない一般の人々が買うなどの商売もシィキレイ大陸では成り立っている。こういった精霊術師のシィキレイ大陸における社会的なステータスは精霊術を扱える者が稀少である為に非常に高くなっている。


また、シィキレイ大陸では戦争などが勃発すると、これらの精霊術師は重宝される傾向にある。これはNATOにおいても同様であり、特にNATO即応軍では精霊術師は非常に多く活用されており、主に軍用馬車の動力や治療目的で活用されている。しかし、NATO即応軍ではアイスランドの意向もある事から精霊術師は他の軍隊とは類を見ないほどまでに精霊術師が多く起用されているが、それ以外では様々な国において、重宝はされるが、騎士や戦士などの影響力が非常に強く、さらには一般常識として精霊術は戦においては卑怯な行為であるとの認識がある事から、軍に起用されていても精霊術師の戦への直接参加は社会的な地位が高い者のみに限られる場合が多い。しかし、第二次アイスランド戦争の際にはNATO陣営とガラクニク帝国、ドルダドバスト王国の陣営の戦いが長期戦となり、ガラクニク帝国とドルダドバスト王国は多くの兵士を失った為に、軍が精霊術師を徴兵した例もある。実際に精霊術師を有した部隊とNATOは交戦した記録が残っており、精霊術を使って銃弾や砲弾を防御しようとした例が幾つか確認されているが、いずれの例も精霊術単体による防御では砲弾はまず防御はできず、銃弾に関しても比較的小口径のライフルでは限定的な防御に成功した例があるのみで、比較的口径の大きいライフルや、連発が可能な銃である機関銃ともなると、その殆どの例では防御はできなかったとされる。


精霊術に関する詳細は「精霊術」の記事を参照。


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生物学的共通の特長


新人類はその外見や内臓器官などを様々に種ごとに有しているが、全ての新人類には生物学的に共通の特長がある。これは種族間での生殖である。生殖行動自体は種ごとに違いはあるが、いずれも精子や卵子(もしくは卵)が揃えば現状発見されている新人類の各種同士ではいずれも全ての種が受精が可能である。しかし、交配した結果、生まれてくる子の種は母親と同一の種で生まれてくる。この交配結果、父親と同一の種として生まれてくる確率は6兆分の1の確率であるとアイスランド大学は試算している。


また、生殖に関してアイスランド大学では地球人類と新人類との間で交配実験を行ったがいずれも、全て失敗に終わっている。


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文化


現状、確認されている新人類の文化は古代ローマ時代のヨーロッパの多神教文化に類似した文化や、南米や東南アジアのシャーマニズムに似た文化、さらにはアジアの文化体系に似たものまで多種多様な文化が確認されている。これらの文化は国家ごとにも違うが、地方によっても大きく違う場合もあり、なおかつ地球人類の場合では一定の地域区分で分散している文化圏が新人類の場合は複雑に合わさっているなど地球人類の文化圏の構造とは大きく違う傾向がある。


アイスランド大学による新人類の文化圏が複雑化した原因に関する最新の研究では、これらの多種多様の文化はシィキレイ大陸において文明が誕生する際に種ごとに文明が誕生した結果、その後、長い歴史を経て文化や文明が混ざり合い、なおかつ文化がある一定の規模で維持された結果、現在の様な複雑な多種多様な文化体系が構築されたと提唱されている(個別文明・文化発展説)。


この説の裏づけの一つとして、蛾系統種の一つの種族である種名:Fall webworm Type of humanoid(日本語直訳:アメリカシロヒトリ型ヒューマノイド。種としては国家を持たない少数種族)が説では挙げられている。


このFall webworm Type of humanoidは種として数千年もの間、文化体系をほぼ変えずに文化圏を保全している事が有名な種である。極めて珍しい事例ではあるが、魔の一二ヶ月事件前にあった日本国の中世の時代に類似した様な文化体系を有している(ただし、社会構造は女性中心社会。Fall webworm Type of humanoidから生まれる子供が女児のみの為)。この種の里では着物を全て白色や銀色を基調とした物に変えたような衣服を身に纏う服文化を有していたり(完全に着物と類似した様な服が発見された例はこの例のみ)、独特な恋愛観を元にした自己崇拝等を行っている事が分かっている。


また、この少数種族の例以外にも、他の種族の例も説では紹介されており、極めて一般的な種であり欧州風の文化を有していても種ごとに若干違う宗教体系や生活体系などを有している種族などが非常に多いとされる。


これらの例は様々文化圏が現在の姿になる前に種族ごとに独立して存在していた事を示していると、アイスランド大学の研究グループは発表している。個別文明・文化発展説に関する詳細は「個別文明・文化発展説」の記事を参照。


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社会問題


アイスランドには2062年現在で39,822人の新人類がアイスランド国籍を有して居住しており地球人類との共存を行っている。しかし、文化的、社会的、生態的な事からアイスランド国内において幾つかの問題が発生している。以下は主な問題となっている一覧。


・発情期問題

新人類の多くの種には通常の動物等と同じく発情期を有している種が多数存在する。アイスランドにおいては最初の事例として2045年3月に、ドラクニク王国出身の狐系統種族の女性とアイスランド人男性(地球人類)の夫婦において妻の狐系統種族の女性が発情期に入り夫との性行為の末、夫を腹上死させるという事故が発生した。この際の報道によると、この夫婦のこの際の性行為の連続時間は19時間にも及んでいた。この事故の発生当初は単なる事故として報道されていたが、後にこの様な事故の事例が続発した事からアイスランド国内で大きな社会問題となった。さらには2048年には狐系統種族女性が準アイスランド国籍のアジア系男性数人に拘束監禁され発情期に入った時期に集団強姦のすえ焼死させられる事件も発生した。この事件をきっかけにアイスランド政府もアイスランド大学と協力した本格的な取り組みが行われ発情を抑制する医薬品などが開発された。これによって発情期の問題は大きく改善されたが、それでも年間にして1件から3件ほどの事故が現在でも発生している。


・精霊術による犯罪

精霊術は新人類が使用できる特異な技術である。2055年、アイスランドのレイキャビクにあるアリオン銀行支店において、クライデニク王国の外交官が酒に泥酔した状態で精霊術を行使し精霊術で強化した剣で銀行員2名を殺害しさらに銀行から金を脅し取る事件が発生した。この事件はアイスランド国内で大きく報道され精霊術による犯罪の危険性が訴えられた。また、一部のメディアはアイスランド政府に対して精霊術師に積極的に国籍を与えて受け入れをする方針について、批判を展開した。この事態に対して、アイスランドにおいて唯一かつ最も大きな精霊術師と科学者からなる団体の、アイスランド精霊術科学技術推進協会は、精霊術を行使した犯罪を強く批難すると声明を発表した一方で、政府の精霊術師受け入れの方針を支持するとした。また、アイスランド政府も犯罪対策の強化は示したが、精霊術師の受け入れ政策は継続しなければならないと表明した。


・人類主義者の台頭

人類主義とは地球人類こそが地球の正等な支配者であり、地球上における文明の先端であるという過激思想である。人類主義は2040年代にマケドニア人思想家キロ・イヴァノフ氏によって主に準アイスランド国籍の人々を中心に広がった。アイスランドでは人類主義はネオナチと同じ過激思想であると考えられており、準アイスランド国籍の人々が多く暮らしているソール諸島では同諸島で生活している新人類の人々に対して一部がヘイトデモや暴動を行う行為が発生している。これらの人類主義を主張する人々の数は準アイスランド国籍を有している外国人の間で凡そ3,000人以上が存在していると国家警察は発表しており、年々その取り締まりを強化している。2059年には思想家キロ・イヴァノフ氏を含めて人類主義を掲げていた非正式政党の人類覇権同盟の政党幹部がソール諸島において一斉検挙され、キロ・イヴァノフ氏や幹部などは人種差別・種族差別を必要以上に煽りアイスランドの国益を損ねたとして国家転覆罪、内乱準備罪、内乱先導罪、テロ行為未遂、殺人未遂の容疑で逮捕・拘束された。この一斉検挙により人類覇権同盟の政党幹部58人が逮捕され、人類覇権同盟は事実上の空中分解の状態に陥った。しかし、政党レベルでの運動行動はなくなったが、現在でも人類主義者は活発な活動を行っており、2060年にはソール諸島で国家警察の警察署に放火をしようとした準アイスランド国籍の韓国人男性と日本人男性が逮捕されている。


・交配問題

アイスランドにおいて地球人類と新人類の人々が結婚する事は2062年現在においては、新規に結婚する人々の内、統計上はアイスランド国民の20人に1人が結婚をしているが、地球人類と新人類との間では子供を授かる事ができない。その為、2055年頃からアイスランド大学とアイスランド精霊術科学技術推進協会では共同で新人類と地球人類との間でも子供を授かる事ができる様にする為のゲノム研究が行われている。2062年4月には共同研究チームが狐系統2種、蛾系統1種、豚系統1種、海豚系統1種の種族に関して、実験レベルではあるが、ゲノム編集技術を応用した卵子と精子の受精に成功したと発表した。また、2066年を目処にこれら4種と地球人類との種族間での交配を可能にしたいとも発表した。しかし、他の種に関しては現状では未だにDNAのデータ収集が充分に完了していない事から多くの種では未だに研究前段階の状況である。


しかし、これらの地球人類と新人類との交配に関しては反対意見もある。主な反対意見としては、ただでさえ魔の一二ヶ月事件後には地球人類の人口は1億人すらも居ないのに多種族との交配を可能にするなど地球人類の滅亡を加速させるだけであるという意見である。これに関して、アイスランドの民間シンクタンクが行ったアンケート調査では地球人類3,000人中、4割の人々が地球人類と新人類との交配に反対と立場を示し、交配に賛成の立場をとったのは3割だった。


また、これに関して2062年8月にはアイスランド議会は種族間交配に関する一時的な規制を発表した。この規制法案では技術の安全性が確立しなければならないとし、種族間交配が可能な種を2085年まで、蛾系統1種、海豚系統1種の2種までに規制する事を発表した。しかし、これに対して地球人類と新人類との交配賛成派からは実質、種族間交配を禁止するものだと大きな批判が起きた(アイスランド国内において、蛾系統と海豚系統の住民は非常に少なく、蛾系統のアイスランドでの人口はFall webworm Type of humanoid種のみが僅か19人、海豚系統に限っては0人)。


この議会の決定後、新人類を対象に世論調査が行われたが、凡そ八割が議会の決定に反対の意思を示した。特に蝶系統からは実質、蛾系統種のみが認められている事に関して蛾系統種の人々が政府に対して何らかの圧力をかけたのではないのかと不信感を露にしている。


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― 新着の感想 ―
[一言] こっちの新人類は現代国家であるアイスランドでの法律や学術上の問題に当たってしまったと言えますね。 精霊術の弊害が大きいと考えますね、でも戦争での有用性があるのは否定できませんね。 交配問…
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