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アイスランド ‐ ウィキパディア

ウィキパディア-フリー百科事典

ページ/ノート

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アイスランド

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アイスランドは、北ヨーロッパの北大西洋上に位置する共和制国家。領土を持った地球人類国家としては地球人類南極同盟(英:Earth Humanity Alliance of Antarctic 略:EHAA)と同様に地球上に唯一残存している地球人類国家である。また、世界最大の地球人類の人口を有した国家でもある。


公用語:アイスランド語

首都 :レイキャビク

人口 :377,432人

種族 :地球人類・新人類

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目次


1.概要

2.国名

3.歴史

 3.1 魔の十二ヶ月事件以前のアイスランド

 3.2 魔の十二ヶ月事件

 3.3 シィキレイ大陸との接触とファーストコンタクト

 3.4 ドラクニク王国との国交樹立

 3.5 レイキャビク食中毒事件

 3.6 ガラクニク帝国のドラクニク王国侵攻に伴う混乱

 3.7 アイスランド戦争

 3.8 欧州自由貿易連合の拡大とNATOの拡大

 3.9 ゲノム編集の全面解禁

 3.10第二次アイスランド戦争

 3.11EHAAとの交信

 3.12ソラニアガルとの国交樹立

 3.13第二次アイスランド戦争の終結

 3.14EHAAとの通信途絶による波紋

4.政治

 4.1欧州自由貿易連合

 4.2北大西洋条約機構

 4.3EHAAとの協力

5.軍事

 5.1歴史

 5.2アイスランド防衛隊

 5.3アイスランド危機対応部隊

 5.4防衛庁

 5.5沿岸警備隊

 5.6警察特殊部隊

 5.7NATO即応軍

6.地方行政区分

7.地理

8.経済

9.国民

 9.1人口統計

 9.2種族

 9.3言語

 9.4文化

 9.5宗教

 9.6教育

 9.7人名

10.科学技術


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概要


アイスランドは魔の十二ヶ月事件以前はグリーンランドの南東方、ブリテン諸島、デンマークの自治領であるフェロー諸島の北西に位置していた。魔の十二ヶ月事件後は、最も近い陸地は南方に位置しているシィキレイ大陸である。領土はアイスランド島が主な領土であり、イギリスとのタラ戦争の舞台にもなった漁業基地があるヴェストマン諸島、北極圏上のグリムセイ島など周辺の島嶼も領有している。国土面積は102,828km2有している。国内には多くの火山が存在しており、多くの温泉が存在する他、豊富な地熱を利用して発電などに有効利用している。一方でその特性上、噴火による災害も多い。


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国名


正式名称はアイスランド語でIsland(読み:イースラント)英語ではIcelandだが、非公式にLydveldid IslandやRepublic of Icelandを用いることもある。アイスランドという国名はヴァイキングのフローキ・ビリガルズソンが流氷が浮んでいるのを見て名付けたと言われている。


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歴史


・魔の十二ヶ月事件以前のアイスランド

詳細な魔の十二ヶ月事件以前のアイスランドは「アイスランドの歴史」を参照。アイスランドへの人類の最初の入植は2001年にレイキャビク市内でアイスランド最古の人工物が同地層の下から発掘された事から、紀元前871年よりも以前から人類が居住していたことが確認されている。その後は9世紀末から10世紀にかけて、ノルウェー人やスコットランド、アイルランドのケルト人がフェロー諸島を経由して移住した。また、人類が到達する前にはホッキョクギツネしか生息していなかった。


19世紀に入るとアイスランドではヨン・シグルズソンを中心とした独立運動が発生した。その結果1874年に自治法が制定され、1918年にデンマークの国王主権下の立憲君主国アイスランド王国として独立した。しかし、第二次世界大戦でデンマークがドイツに占領されたのを機に、アメリカとイギリスがアイスランド駐留を開始。1944年6月17日には共和国としてデンマークからの完全な独立を達成した。国際連合に加盟したのは1946年11月である。


独立後の20世紀後半から21世紀の始まり(2015年3月12日まで)までは一時、欧州連合(EU)への加盟を政府として目指していた時期もあったが結局、政府は加盟申請の取り下げを行った。


エネルギー政策では1980年代から再生可能エネルギー発電への切り替えを政府として推し進め、その結果、2000年以降ではエネルギー政策先進国として世界的な注目を浴びた。2030年頃までには国内の自動車の全てが水素自動車または電気自動車に変わり、8割近くのトロール漁船も水素燃料動力となった。また、この時期に行われた再生可能エネルギー発電への切り替えは政策は後の魔の十二ヶ月事件後も科学文明社会の維持に成功し文明国家として生存する大きな要因ともなった。


・魔の十二ヶ月事件

2038年9月11日、アイスランド全域で大規模な通信障害が発生し凡そ7日間にわたって国内外への無線通信、インターネット通信のすべてが原因不明の不通の状態となった。この事態に対してアイスランド政府は国家非常事態宣言を発表し国家警察を中心に郵便局員を総動員して郵便局網を利用した速達による通信網の回復を問題発生から2日目までに行った。これによって早期に国内の混乱は沈静化させたが、その後、7日後に国内の全通信網やGPS通信等の一部の衛星通信が回復したが、いつになっても国外への全通信の回復がなされる事がなかった。この事態にアイスランド政府は再び対応を求められ、アイスランド政府は近隣諸国の状況調査を行う為に沿岸警備隊のノルウェー、イギリス、グリーンランドへの派遣を行った。しかし、事態の派生から10日後、アイスランド政府は国民向けの演説を緊急で行い、沿岸警備隊が近隣諸国に向かった際にGPS上や測量上ではノルウェー、イギリス、グリーンランドに到達している筈なのにいずれも陸地を発見できなかった事を発表した。また本来ユーラシア大陸があるはずの位置の海底の地形が大きく変わっている事も発表された。大統領はこの発表で一連の出来事を「まるで夢を見ているかのような事態だ」と称しまた、我々には人類史上かつてない災いが振りかかっているのかも知れないとも述べた。この発表はアイスランド国内において非常に大きな混乱と議論を巻き起こした。特に諸外国からの観光客らは自国の大使館に押しかけるなど治安的にも大きな問題になった。さらに輸入品の一切が完全に途絶えた事によって国内の食糧事情にも大きな問題が現れた。特に穀物、野菜、果物の輸入が途絶えた事によって国内の物価が急激に高騰した。政府は営業が可能な漁師に対して海産物資源の速やかな国内市場への提供を呼びかけた。


その後もアイスランド政府は国内の通信機器を使った捜索と沿岸警備隊を外洋に派遣する方法で諸外国との接触を行うべく活動を続けた。しかし、この活動がようやく実を結んだのは2039年の事であり、それまでの9ヶ月間はアイスランドは完全に外界から孤立した。国内のエネルギー事情に関しては化石燃料に頼らない再生可能エネルギーに移行されていた為に大きな問題とはならなかったが、特に大きな問題として挙げられるのは食料関係の問題である。アイスランドはこの9ヶ月間の間に国内の食糧市場は事実上崩壊。20世紀から21世紀にかけて国内に進出した多種多様の諸外国の食文化はその多くが原材料の輸入不可という状況下によって消滅し穀物を輸入に頼っていた為に伝統的なパンすらも製造が困難となった。調味料の輸入もストップとなった事からアイスランドの食料事情は時計の針を大きくまき戻しヴァイキングの時代から続く旧来のものへと戻った。この急激な食糧事情の激変によって多くの人々は大きな負荷を感じた。特にファストフードや輸入品の菓子類などに慣れてきた2000年以降の生まれの世代への影響は大きく、2039年2月には政府のこれまでの対応を批判する三百人近くの若者たちが首都レイキャビクのメインストリートに集結しチョコレート運動と呼ばれる抗議デモと暴動を起こした。この時に抗議運動に参加した若者たちが口を揃えて言った「パンを返せ!チョコレートを返せ!」というフレーズはアイスランド中に広がり後にアイスランドの若者世代を中心に設立された政党であるアイスランド・チョコレート同盟戦線党の誕生にも繋がった。この、アイスランドが外界から隔絶された期間は2038年9月11日を始まりに魔の十二ヶ月事件と後に呼ばれた。


・シィキレイ大陸との接触とファーストコンタクト

2039年9月14日、アイスランド政府はついに騒動の始まり後、外界との初めての接触に成功した。この件に当たったのは沿岸警備隊に所属する哨戒艦ソールであり、ソールは北緯42度、東経12度の海域(本来ならばイタリアのローマが位置する地域)を航行中に国籍不明(※後に判明)の帆船を発見した。帆船はバーケンティン型に似た構造を持つ木造船で船体は激しく破損していた。哨戒艦ソールはこの帆船を遭難船と判断して臨検を含めた生存者の捜索を行った。この遭難船との接触は外洋において、初の船舶との接触であり一連の騒動の状況把握を目指す為にも沿岸警備隊本部及び哨戒艦ソールはこの接触を重要視した。船内の捜索の結果、船内では多数の乗組員の私物と思われる物や航海図の様な物も発見されたが、いずれも未知の言語で書かれていた物だった。また、臨検部隊は船内の捜索の結果、船倉にて生存者を2名発見したが、この時、発見された生存者は人間ではなく、二足歩行はするものの人間とは違う骨格の体を持ち、なおかつ全身が毛で覆われ頭からは兎の耳を生やし小さな尻尾を持った未知の生命体だった。この生命体は船倉にて足枷を付けられていた。発見当初、臨検部隊はその余りにも異様な姿に混乱したが、この生命体が、未知の言語の様なものを喋っている事から哨戒艦ソールはこの生命体を暫定的に要救助者と判断して、救助した。哨戒艦ソールはアイスランドへとすぐに帰島し国籍不明船舶の調査報告を行い未知の生命体をアイスランド防衛隊の基地で隔離した。未知の生命体はその後、アイスランド政府によって凡そ一ヶ月間に渡って慎重に保護されさらに研究が行われた。この事は9月20日に大統領が記者会見でイタリアのローマのあった海域で国籍不明船舶との遭遇と未知の生物を保護した事を国民へと向けて発表した。


その後、保護と研究が始まった日から約一カ月が経過した10月14日にアイスランド政府は学術的調査の結果、哨戒艦ソールが救助した未知の生命体には人間と同等の知性がある事がアイスランド大学の研究によって確認された事を公表した。また、保護した2体の個体は人間の年齢に加算すると15歳から17歳前後という事も判明した。さらに2名の個体が喋っている言語に関しても古ノルド語等、その他3つのヨーロッパの古い地方言語との類似性が確認された事からアイスランド大学はアイスランドの情報技術企業アドバニアの協力を得てアドバニアが所有しているデンソー社製の次世代型量子コンピューターサーバーMIRAI2及びMIRAI3を使用して2名の喋っている言語の解析を行い試作段階ではあったが翻訳ソフトの開発を成功させた。これによって2名との言語による意思疎通が可能となった事から11月までに証言によってアイスランド政府は外部に関する断片的な情報を多く入手した。この2名の証言によれば、2名は奴隷として親に売られ奴隷船に乗せられていたが、その船が嵐で壊れ、気がつけば乗組員たちは逃げ出し他にも乗っていた奴隷たちも連れて行かれ何故か自分達だけが残されたという。さらに2名は人間を一度も見た事がないとも証言した。また、2名の証言によってアイスランド政府は遭難船が救助された場所よりもさらに南に行けば大陸があるという情報も入手した。


11月5日、アイスランド政府は2名の証言を元に大陸との接触を計画し、沿岸警備隊は哨戒艦ソールに加えて民間のスーパートロール船1隻を臨時の補給艦として徴用して任務を行った。そして、11月18日、哨戒艦ソールは証言にあった大陸の北端をついに発見した。この大陸は地図上ではイタリアのシチリア島のあった地域に位置しており、その事からアイスランドではこの大陸を以後、アイスランド語でシチリアを意味するシィキレイと合わせてシィキレイ大陸と呼んだ。そして、大陸発見後まもなくして、哨戒艦ソールはソールが到達した大陸地域の一部を支配する非人類国家ドラクニク王国と初めて接触した。


・ドラクニク王国との国交樹立

アイスランドは11月18日のドラクニク王国との初めての接触後、アイスランドは派遣していた外交官を中心にすぐさまドラクニク王国に対して国交樹立を提言した。その後、両国との交渉は11月28日まで続き、翌29日にはついにアイスランドはドラクニク王国との国交を樹立した。この接触と国交の樹立はアイスランドでは衝撃と歓喜を持って報道された。まず、ドラクニク王国との接触の成功は事件によって消失が確認されたのが欧州からついにアフリカ大陸にまで及んだ為である。国内では未知の知的生命体との接触に対して慎重論は強かったものの、それでも外界からの隔絶した状況から1年以上もの時間が経過していた為に国民はこの接触を歓迎した。また、国民が未知の知的生命体との接触に容認の立場を示した理由としてドラクニク王国を含めて哨戒艦ソール、スーパートロール船が大陸の数箇所のポイントで行った無人機による調査の結果、確認された未知の知的生命体の文明の程度が地球人類の水準で最低でも古代ローマ時代、多く見積もっても6世紀未満と推測された事などが一番の要因であるとされる。


アイスランドとドラクニク王国は国交の樹立後、貿易の開始が両者ですぐに協議された。アイスランド側はドラクニク王国に対して自国の技術力を大きく宣伝し、この関連協議の過程ではドラクニク王国の通商交渉団もスーパートロール船に乗船してアイスランドを訪問した。この時、通商交渉団はアイスランドに上陸するとすぐに自動車、街灯、暖房器具、テレビ、スマートフォンなどを目にして衝撃を受けた様子だった。その後、両国の通商交渉はドラクニク王国国王へのゲーム機の献上もあってか概ね成功しドラクニク王国からは農産物品のアイスランドへの輸出を行い、一方でアイスランドからドラクニク王国へはインフラの輸出とタラの輸出が決定された。これによってアイスランドは外界から隔絶されていた状況を脱する事に成功し貿易活動が再開した。この際の農産物品の輸入品目は小麦の様な穀物、トマトの様な農産品などいずれも似た物であったが地球には存在しない食品19品だった。しかし、それでも農産物品が輸入された事によってアイスランドの食料事情は若干ではあったが改善の兆しを見せた。


その後、アイスランドはドラクニク王国以外にもその周辺各国を巡り国交と貿易の締結を求めて接触していった。アイスランドが接触した知的生命体国家の数はドラクニク王国を含めて7カ国。その内、国交の樹立が確定したのは5カ国。貿易が始まったのは2カ国だった。しかし、7カ国中2カ国に関しては人類を悪魔である。毛のない化物だ。として交渉以前に正常な接触に失敗した。


・レイキャビク食中毒事件

2041年3月19日、レイキャビクの飲食店で患者23人を出す食中毒事件が発生した。この食中毒では患者の体内から未知のウイルスが確認され後の捜査によって店側がドラクニク王国産のナス科の野菜を使った生サラダを食べた事が原因である事が確認された。23人の患者はこの未発見のウイルスが、ウイルスではあったものの抗生物質を投与するとその効果が確認された為に抗生物質による治療が行われた。しかし、それでも18人は完治したが5人の患者は死亡した。これを受けてアイスランド政府は食品の加熱処理を多く国民に訴えたが事態は食中毒だけではすまなくなった。国内では兼ねてより危険性が指摘されていた人類が未遭遇のウイルスに関する議論が活発になり防疫対策に関する国民的な議論が大きく巻き起こった。また、魚などに関しても海は繋がっている以上、未知のウイルスが潜んでいる可能性があるとして、加熱処理を行わない魚の調理はなるべく控える様にとアイスランド政府は要請した。しかし、アイスランド政府は同時に、未知のウイルスや細菌の存在に関する可能性があるのは否定しないが、我々以外の知的生命体との交流は続けるべきだと一部過激な議論に釘を刺した。


・ガラクニク帝国のドラクニク王国侵攻に伴う混乱

2042年7月31日、ドラクニク王国に対して隣国のガラクニク帝国がアイスランドとドラクニク王国の取引を毛のない化物との取引をしているとしてそれを根拠にドラクニク王国に対して宣戦布告と侵攻を行った。この戦争に伴って、アイスランドは大きな混乱に陥った。アイスランドにとってドラクニク王国は最大貿易相手国であり友好国であり戦争の開始に伴ってアイスランド国内の食料市場は大きく乱高下した。


2043年10月、ガラクニク帝国とドラクニク王国の戦争は大きな局面を迎えた。ガラクニク帝国がドラクニク王国領の四分の三にあたる地域を占領下においた為である。ドラクニク王国はこの間、アイスランドに対して支援を要求していたが、アイスランドは物資支援に関しては承諾したものの、軍事支援に関しては戦争への介入の懸念から承諾しなかった。しかし、ガラクニク帝国がドラクニク王国領の四分の三にあたる地域を占領下においた結果、ドラクニク王国の敗戦がほぼ確定的となりアイスランドも座視する事はできなくなった。ドラクニク王国はアイスランドに対して人道上の危機であると訴え王族及び自国民の救援を要請した。これに対してアイスランド議会では受け入れに関する大きな議論が巻き起こったが、アイスランド政府の戦況調査団も兼ねてより現地入りをしており、ガラクニク帝国はドラクニク王国の国民に関して十数万人規模の虐殺行為、また、都市部ではアイスランドが輸出したインフラ技術設備の破壊行為などが多数確認されたとして戦況調査団はこの現状を大規模な人道危機であると報告していた事もあって、アイスランド議会はドラクニク王国国民の国外脱出の支援を決定した。


2043年11月初旬、アイスランド政府はドラクニク王国に対して哨戒艦ソール、客船1隻、民間のスーパートロール船8隻の派遣を決定。また、ドラクニク王国の有する帆船の受け入れを開始した。これによって11月下旬までに5万人近いドラクニク王国の住民がアイスランドへと脱出した。その後12月9日、ドラクニク王国は全領土を占領され併合された事から事実上滅亡した。


アイスランドへの脱出後、ドラクニク王国難民は3つのグループに分かれた。一つはアイスランド本土でアイスランド政府から提供された住宅などでの生活を選んだ者。二つ目はアイスランドの新領土であり最も南に位置するソール諸島に移住した者。三つ目はアイスランドから別の国へと移住した者である。最終的には約4万人がアイスランド本土及びソール諸島での生活を選び、中でもソール諸島への移住者は3万人を超えた。当初はこれらの難民に対する抗議運動等が予見されたが、実際に抗議運動が行われた規模は少なく大きな問題にはならなかった。これらの住民達は後の2045年にはドラクニク王国国王とアイスランド政府の合意によって正式にアイスランドの国民となった。しかし、最大貿易相手国の消滅はアイスランド経済に大きなダメージを与える事となった。さらにガラクニク帝国が周辺諸国に対してアイスランドとの貿易をしないようにと圧力をかけ始めた事もあり、これも追い討ちをかけた。この間、アイスランドとの貿易を行っていた国はブクラクニク王国のみであり、アイスランドのその輸入量もドラクニク王国に比べれば四分の二以下の水準で、さらに輸入品目も減った。


・アイスランド戦争

2044年6月3日、ガラクニク帝国は突如、アイスランドに対して聖戦を行うと表明した。ガラクニク帝国は軍船200隻からなる艦隊をアイスランドへと派遣した。この突然の侵攻は宣戦布告も無しに行われた事であり、アイスランド側が事態の把握をしたのはガラクニク帝国の艦隊がアイスランド沖1,200kmの地点にまで接近してきた時である。操業していたトロール船の漁師によって沿岸警備隊に通報された。この事態に対して沿岸警備隊は哨戒艦ソール、哨戒艦トール、哨戒艦ラーン、哨戒艦エーギル、哨戒艦ティアを緊急で召集しアイスランドの沿岸部防衛に当たらせた。さらに民間のトロール船数隻にも武装した国家警察の人員が乗り込んだ。そして6月21日、ついにガラクニク帝国の艦隊はアイスランドの領海に侵入し、アイスランドの沿岸警備隊と戦闘が行われた。


このアイスランドとガラクニク帝国との戦闘は最終的にはアイスランドが勝利を収めるという結果となった。ガラクニク帝国側の戦力は数こそは圧倒的ではあったが、最終的な戦闘の勝敗の要因は運用していた装備の差であり、ガラクニク帝国側の戦力は帆船とバリスタなどの攻城兵器が主流で、一方でアイスランド側には速射砲や機関砲を装備し、さらにはヘリコプターを有していた為に上空からの攻撃ができた。ガラクニク帝国の艦隊は近代兵器による長距離攻撃によって敗北した。ガラクニク帝国の艦隊戦力は200隻であったが、最終的にはその大半が撃沈され残存した39隻はアイスランドに降伏した。


その後、アイスランドはアイスランド防衛隊と沿岸警備隊の主導によってガラクニク帝国への報復作戦として哨戒艦ソール、哨戒艦トール、補給艦としてスーパートロール船1隻を活用した作戦を7月20日に行った。哨戒艦ソール、哨戒艦トールはガラクニク帝国の一大軍港があるクレムニルクに派遣され、住民への注意喚起後に速射砲による砲撃を行い、軍港に停泊していた帆船59隻を航行不能の状態に追い込んだ。その後、哨戒艦ソール、哨戒艦トール、スーパートロール船はアイスランドに帰国し作戦は無事に成功した。アイスランドによる報復作戦後、ガラクニク帝国は表立ってはアイスランドへの聖戦は終結しておらず聖戦は継続していると主張したが、戦闘などはその後一切行わなかった。これは諸外国からは実質の敗北として受け止められた。また、ガラクニク帝国の艦隊は無敵艦隊としても各国で恐れられた艦隊であったが、その艦隊を破りさらには軍港を襲撃した事でアイスランドはその名前をシィキレイ大陸中に広める事になった。


・欧州自由貿易連合の拡大とNATOの拡大

アイスランド戦争後、アイスランドを巡る国交、貿易の状況は大きく様変わりした。2045年から2050年までにかけてアイスランドがシィキレイ大陸において国交が持つ国の数は11カ国にまで拡大。さらに貿易関係国は6カ国にまで増加した。いずれもアイスランドと国交を結んだ国はガラクニク帝国などの大国を自国への脅威として感じていた国であった。この貿易圏の拡大はアイスランドにとってドラクニク王国消滅後、高騰していた食糧市場や落ち込んでいた国内経済を大きく回復させる物となった。さらに食糧事情だけではなく金属資源、石油資源などの資源類も輸入が可能となった事によって、新たな金属類部品やプラスチック製品や樹脂製品の製造が可能となった事から長らく低迷状態であった国内の工業産業も回復傾向へと転じた。


また、アイスランドは国交と貿易の拡大を受けて、2043年から強まったアイスランド戦争などの安全保障上の脅威を念頭に、これらの脅威に対抗する為に、魔の十二ヶ月事件後にもはや形骸化していた欧州自由貿易連合と北大西洋条約機構(NTAO)の枠組みを利用して国際組織、及び同盟の拡大をアイスランド主導によって行う事を政府方針として決定し、2046年7月、その時点で貿易関係を有していたブクラクニク王国を含めて4カ国が欧州自由貿易連合に加盟した。さらにこの4カ国は北大西洋条約機構にも加盟した。最終的に2050年後半までには、これらの加盟国の数は欧州自由貿易連合が10カ国。北大西洋条約機構が6カ国となった。アイスランドは相互防衛を柱に安全保障分野での協力関係国を広げた。この協力関係国の広がりはしばしば、アイスランド経済圏や大アイスランド圏と呼称された。


・ゲノム編集の全面解禁

2046年8月10日、アイスランドはこれまでゲノム編集に関して人間の胚や人体による編集を禁止。また、一部の農産物品への編集禁止をしてきたが、アイスランド議会でこのゲノム編集の規制を全面撤廃する事を正式に決定した。国内では反対派による抗議運動が大きく巻き起こったが、アイスランド議会は高額の医薬品開発はアイスランド単体ではもはやできないとしてゲノム編集に活路を求めた。また、アイスランド大学がゲノム編集技術を使ってカカオ豆に限りなく似た豆類の開発に初めて成功した事も大きな要因の一つとなった。さらに9月1日には大統領が国民に向けてゲノム編集の国民的普及を目指すと宣言した(ゲノム宣言)。


・第二次アイスランド戦争

2051年7月11日、ガラクニク帝国はドルダドバスト王国と同盟を組み、アイスランドの同盟国に対して宣戦布告を発表した。ガラクニク帝国とドルダドバスト王国はアイスランドの同盟国に対して毛のない化物に協力した邪教徒として侵攻を開始し、この戦争は後に10年戦争と呼ばれた。アイスランドはNATO加盟国に対してアイスランド危機対応部隊の派遣を実施。アイスランド史上、最大の規模となる16,000人から20,000人規模の部隊が緊急海外派遣された。これらの部隊はその半数が旧ドラクニク王国出身の住民によって結成された。さらに沿岸警備隊からも哨戒艦ソールをはじめ、輸送船として水素タンカーも派遣された。海上での戦いはアイスランド沿岸警備隊が参戦した戦闘ではすべてがNATO側の勝利となったが、陸上戦闘では戦いなれしているガラクニク帝国とドルダドバスト王国に有利な状況となった。しかしNATO軍側もアイスランド危機対応部隊やNATO即応軍の活躍によって戦況の状況は両者一進一退という状況になった。


・EHAAとの交信

2053年1月2日、アイスランドのロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台がアイスランドより15,000km外からの電波による通信の傍受を魔の十二ヶ月事件後では初めて成功した。魔の十二ヶ月事件後、アイスランド政府は地球国家で残存している国家は自国のみとして考えていたが、このロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台の通信傍受はそれを覆す衝撃的なものだった。アイスランド政府はすぐに、傍受された通信を元に何処の国が生存しているのかを確かめる為にアイスランド大学、アイスランド防衛隊、ロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台に緊急の協力を要請した。通信の調査の結果、通信は南極大陸から送信されている事が判明。さらに長距離電波通信設備を使った南極への交信の試みが行われた。そして最初の傍受から3週間後の1月23日にアイスランドのロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台はついに魔の十二ヶ月事件後初となる電波による通信を成功させた。この通信の結果、通信相手は南極大陸にアイスランドにおける魔の十二ヶ月事件の最中に発足された地球人類南極同盟(英:Earth Humanity Alliance of Antarctic 略:EHAA)という組織である事が判明した。また、EHAAとの交信の成功はアイスランドに魔の十二ヶ月事件によって、原因不明の影響を受けた地域が北半球だけでなく南半球でも南極以外の地域が消滅している事を知らせた。EHAAによると南半球では南極大陸以外でもイギリス領トリスタンダクーニャ、イギリス領サウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島、フランス領ケルゲレン諸島、オーストラリア領ハード島とマクドナルド諸島の残存が確認されているが、それ以外の地域は消滅しているか地形が大きく変貌しているとされた。


このEHAAとの交信の成功はアイスランド国民に衝撃と喜び、そして大きな落胆を与えた。地球人類がアイスランド以外にも存在するという報は喜びを持って報じられたが、それと同時に原因不明の現象の影響を受けている地域が北半球だけでなく南半球にまで及び、さらには魔の十二ヶ月事件前に建国された国家で生き残っている地球人類国家がもはやアイスランドしか残されていないという情報は多くの人々に大きな落胆を与えた。特に魔の十二ヶ月事件前にアイスランドに観光や労働目的などで入国し魔の十二ヶ月事件に巻き込まれた外国出身者の多くに与えた影響は大きかった。


その後、アイスランド政府は政府を挙げてEHAAとの関係強化を決定し交信を活発化させていった。


・ソラニアガルとの国交樹立

2055年、アイスランドの上空にアイスランドの半分ほどの面積を持った自然回遊浮遊大陸群が飛来した。この自然回遊浮遊大陸にはソラニアガルと呼ばれる都市国家が存在しており鳥の様な外見を持った知的生命体が生活を行っており、アイスランドの上空をソラニアガルが通過するに当たって、アイスランドとソラニアガルは正式な外交関係の樹立を行った。


・第二次アイスランド戦争の終結

第二次アイスランド戦争は戦争開始から5年が経過した2056年ごろになると泥沼化の様相と化していた戦争によって戦死者は増え、アイスランド経済も大きく圧迫される事になった。アイスランドはこの事態を打開する為に、戦争の早期終結を狙ってこの時期になると各戦線に塩素ガスを初めとした化学兵器や、ウイルスや細菌などの生物兵器までが無差別に段階的に使用され始める様になった。アイスランド国内ではこの攻撃に対して根強い反対があったが、政府は反対意見を押し切り実行した。そしてこの攻撃は2057年には本格化していき、ガラクニク帝国及びドルダドバスト王国に対して大きな損害を与えた。しかし、その後も両国は聖戦と称した戦争を継続した。


しかし、戦争開始から10年目を迎えようとした2061年6月28日にガラクニク帝国において戦争に反対する皇女派の帝国軍騎士団と帝国軍が皇宮を制圧し皇帝の身柄を確保する革命が勃発した。革命政権はその後、アイスランドを初め、NATO加盟国に対して停戦を呼びかけた。これに応じる形でNATOはこの停戦を承認しガラクニク帝国とNATOによる戦争は停止した。これが影響して同盟国のドルダドバスト王国も一国では戦争の継続は困難として停戦協定などは結ばなかったものの、戦闘行為は停止した。


そして、2061年7月11日、第二次アイスランド戦争は開戦開始から10年がちょど経過したこの日にNATO加盟国はガラクニク帝国との間で和平条約の締結を行い、さらに翌月の3日にはドルダドバスト王国もNATO加盟国との間で水面下の停戦及び終戦交渉を行った結果、条約などは結ばなかったものの、ドルダドバスト王国軍は兵を撤収させ、こうして10年に渡って続いた第二次アイスランド戦争は事実上終結を迎えた。この第二次アイスランド戦争の結果、アイスランドは10年間を通して5,623人の負傷者と599人の死亡者を出した。


・EHAAとの通信途絶による波紋

2061年9月9日、前日の交信を最後に突如としてEHAAとの通信が途絶するという事件が起きた。この事件はアイスランドでトップニュースとして報道されEHAAに何かが起きたのではないかという心配と議論が巻き起こった。しかし通信はその後12月25日に回復した事からその後もEHAAとの関係は続いている。しかし、事件後にアイスランド政府が事件解決を理由に公開した通信の一部内容は物議をかもした。EHAAとの通信が途絶する前日の通信は通称ペンギンズレポートと呼ばれており、その内容は奇妙な物だった。9月8日、EHAAは午前8時、午前10時、午後12時までの定期交信を問題なく行っていた。しかし、午後2時の定期交信で問題が発生した。内容そのものは通常の定期交信の内容ではあったが、通常の通信と比べてノイズが多かった。そして午後4時の通信の際にはノイズで殆どの音声が判別不可能にまでなった。当初は電波障害かEHAA側の通信機器のトラブルが疑われていたが、午後6時の通信の際にEHAA側の通信士からノイズと共に何かを叫ぶような声が断続的に届いた。通信自体は短い物でその後、通信が途絶した。その際の通信の内容は以下の通りである。


「…My car――[ノイズ音と共に驚く様な何かを叫ぶ声]――!――[ノイズ音]――Penguins!…」


この交信の内容が公開されるとアイスランド国内では多くの憶測などが飛び交った。この事態にアイスランド政府はすでにEHAA側に通信の際に何があったのかを聞いたと国民に対して発表しておりその際にEHAA側の担当官からは機材トラブルであると説明されたとされる。この事件は多くの疑問を残す事になったがその後はEHAAも通常の交信体勢と協力体制に戻った事から大きな問題はないとアイスランド政府は発表している。


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政治


アイスランドは魔の十二ヶ月事件以前、世界で最も汚職の少ない国として知られていた。国家元首である大統領は国民から直接選挙によって選出される。大統領には政治的な実権はなく、象徴的な地位である。議会としてアルシングがある。アルシングとは全島集会や全国会議を意味する言葉で930年に創設された世界最古の近代議会とされる。アルシングは一院制議会で構成され63名の議員で構成される。議員の議席は4年に1度の選挙で選出されている。特筆すべき事として、この議員選挙では2031年の法改正で人工知能の選挙出馬が無所属である事を条件に法律によって認められており、第二次アイスランド戦争前は人間の議席が大半を占めていたが(AIの議席は多い時でも3議席だった)、第二次アイスランド戦争後の2062年現在では与党や野党が軒並み選挙で議席を失った結果、62の議員議席の内24議席が人工知能の無所属議員となり、急速に議会の無人化が進んでいる。現在のアイスランドの政党には連立与党として独立党、進歩党、アイスランド・チョコレート同盟戦線党があり、野党としては社会民主党、左翼・緑の党運動、明るい未来、海賊党がある。行政機関としては首相府、産業イノベーション省、財務経済省、内務省、教育科学文化省、環境天然資源省、外務省、福祉省が設置されている。また、裁判制度に関しては2031年に最高裁判所が人工知能の裁判官を採用しており現在では最高裁判所に関しては完全に人の手を離れた独立機関となっている。これによって冤罪の発生率は80%は低下したとされる。


外交政策に関してはアイスランド戦争までは戦争などには積極的な関与はしないという姿勢であったが、実際にアイスランド戦争の際に侵攻されると、アイスランド政府は貿易圏の拡大やNATOの拡大を行い、自国の安全保障政策を集団安全保障へと大きく転換した。しかし、NATOが勝利を治めたものの、10年にも及ぶ戦争で国内の経済圧迫、さらに多くの負傷者や死者が出た結果、国民から戦争の長期化を批判する声が上がった為、戦後、国民から議会への信用は戦争長期化を予見できなかったとして、かつてない程までに低下している。さらにその結果、議会選挙で与野党が軒並み議席を減らし変わりに人工知能の台頭を招く結果となった(第二次アイスランド戦争ではアイスランド自体は宣戦布告及び攻撃を受けておらず、攻撃を受けたのはその他のNATO加盟国である。戦争中アイスランドはNATO加盟国として部隊を派遣したが、アイスランド自体は全く攻撃を受けておらず被害を受けていない。戦争中の際もアイスランド本土は平穏を保っていた。こうした要因もあってか戦争初期は国民も戦争に対しての意識はアイスランド戦争前の食糧市場の混乱やアイスランド戦争を経験していた為に仕方ない事という世論が過半数であったが、戦争が長期化し遠く離れた地でのアイスランド人の負傷者や死者がかつてない程までに増加すると、世論の流れは戦争長期化への反対に傾いていった)。


・欧州自由貿易連合

アイスランドは魔の十二ヶ月事件前から欧州自由貿易連合に所属していたが魔の十二ヶ月事件後、アイスランド戦争を経て、アイスランドは安全保障的な観点から欧州自由貿易連合の枠組みを利用した貿易連合の拡大政策をおこなった。当時の政権はこれを食と経済の安全保障と呼びこれを推し進めた。その結果10カ国が条約を批准しアイスランドは欧州自由貿易連合の盟主として君臨した。欧州自由貿易連合はEUと類似した関税態勢を構築。ただし、この欧州自由貿易連合は加盟国間の貿易推進を主軸としていたものの、実質はアイスランドにとって重要な物流の生命線である。また、NATOの補佐を担う条約批准国間の物流機関である。


・北大西洋条約機構

アイスランドは安全保障的な観点から欧州自由貿易連合の拡大と同様にNATOの拡大も行った。NATO加盟国は6カ国であり相互安全保障の政策を条約批准国と共に推し進めた。ただし、現在のNATOは魔の十二ヶ月事件前のNATOとは大きくその組織構成などは様変わりしている。平時においてはNATOは加盟国の協力として武官の交流や研修など加盟国の軍備の整備の支援などを行っている。アイスランドはNATOにおいて中核的な役割を果たしており実質、NATOの海上戦力では核である。また、アイスランドはNATOにNATO即応軍の設置改革を行っており、平時においては即応軍は他国と緊張状態のあるNATO加盟国の地域に対してNATO即応軍を配置して仮想敵国に対する牽制を行っている。NATO即応軍はNATO加盟国の人口比率から選抜人数が決まりそれに応じた部隊が各国の軍隊から選抜された部隊で構成され、部隊の装備はアイスランドが支援を行いNATO弾仕様及び幾つかの改良が加えられたFBP軽機関銃やステアーM1886歩兵銃などを配備している。アイスランドはこのNATO即応軍に平時100名が派遣している。


・EHAAとの協力

地球人類南極同盟(英:Earth Humanity Alliance of Antarctic 略:EHAA)とアイスランドは共に協力関係にある。物理的な交流は距離的に不可能である為に行われていないが、アイスランドとEHAAは互いの生存確認の為に定期交信を一日6回行い、さらに互いの持つ情報を共有している。


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軍事


アイスランドはこれまでの歴史上、一度も独自の軍事力は保有していない。過去に徴兵制度も施行したことがなく近代的軍事力を保持した経験もない。魔の十二ヶ月事件前はアメリカを中心とする北大西洋条約機構に安全保障を依存していた。しかし、魔の十二ヶ月事件後は安全保障環境の激変によってアイスランドを主軸とするNATOの拡大などを行い、2度の戦争にもアイスランドは沿岸警備隊とアイスランド危機対応部隊を派遣するという形で実質参加していた。その為、法律上は軍隊ではないとはされつつも、その実体は限りなく軍隊に近いものだという声も多くある。


・歴史


 ・第二次世界大戦

アイスランドは1874年にデンマーク王国と連合するアイスランド王国として独立。アイスランドは高度な自治権をデンマーク王国から獲得した。しかし、自治獲得と共にデンマーク軍はアイスランドから退却したが、近代的な軍事力はアイスランドでは確立しなかった。第二次世界大戦では中立国として国家警察の能力拡充を実施。しかし、1940年に中立国であったにも関わらずイギリスがアイスランドに侵攻(アイスランド侵攻)しアイスランド全域がイギリス軍の占領下におかれた。1941年にはイギリス軍の代わりにアメリカ軍が駐留。戦後は連合国軍は撤退しさらに1944年にアイスランド共和国としてデンマークとの連合を解消し完全に独立した。


 ・タラ戦争

タラ戦争は1958年から1976年の間にアイスランドが海産物資源の保護を行う為に自国の領海の拡大を宣言した事から始まった。タラ戦争は第一次、第二次、第三次と三度にわたって行われた。イギリス海軍は艦艇を出動させ、アイスランドの沿岸警備隊と互いに砲撃、さらに両国の漁船同士による体当たり攻撃など激しい衝突を起こし、両国は一時、国交断絶寸前の事態にまで発展した。だが戦争と呼ばれているが厳密には戦争ではない。また、いずれの衝突も奇跡的に死者は出ていない。しかし、これらの衝突の結果はその後の交渉で実質アイスランドの勝利で幕を閉じた。交渉によって大幅な妥協による解決となったイギリスはその後、北洋漁業に大打撃となった。さらにアイスランドに敗れたという事やその後にフランスとイギリスとの間で行われた中間線を巡る係争でもフランスに敗れた事が重なった結果、イギリス国民はフォークランド戦争で勝利するまで国民は長らく自信喪失の状態となった。


 ・国際貢献

アイスランドは平和維持活動に積極的に参加している。SFOR、KFOR、ISAFなどにアイスランド危機対応部隊や警察特殊部隊を派遣した。


 ・魔の十二ヶ月事件

2038年9月11日から始まった魔の十二ヶ月事件では主に諸外国との接触、及び捜索のために沿岸警備隊の艦船が利用された。主に利用されたのは哨戒艦ソールで、哨戒艦ソールは外洋にて多くの活動を行った。また、沿岸警備隊はアイスランドの隣国の地域が消滅し、地形が変わっている事を最初に確認し、さらに初めて新人類と接触した部隊である。


 ・ドラクニク王国難民の脱出

2042年7月31日、ドラクニク王国に対して隣国のガラクニク帝国がアイスランドとドラクニク王国が取引を毛のない化物との取引をしているとしてそれを根拠にドラクニク王国に対して宣戦布告と侵攻を行った問題に関してアイスランドは2043年11月初旬、ドラクニク王国に対して哨戒艦ソールを筆頭に客船1隻、民間のスーパートロール船8隻の派遣を行い、ガラクニク帝国に包囲されたドラクニク王国民の脱出を全面的に支援した。この脱出作戦が行われた結果、ドラクニク王国民の約5万人の脱出を成功させた。このドラクニク王国民の脱出は当時、アイスランドが行った人道支援としては建国史上最大級の物となった。


 ・アイスランド戦争

2044年4月3日、ガラクニク帝国は突如、アイスランドに対して聖戦を行うと表明した。ガラクニク帝国は軍船200隻からなる艦隊をアイスランドへと派遣した。この突然の侵攻は宣戦布告も無しに行われた事であり、アイスランド側が事態の把握をしたのはガラクニク帝国の艦隊がアイスランド沖1,200kmの地点にまで接近してきた時である。操業していたトロール船の漁師によって沿岸警備隊に通報された。この事態に対して沿岸警備隊は哨戒艦ソール、哨戒艦トール、哨戒艦ラーン、哨戒艦エーギル、哨戒艦ティアを緊急で召集しアイスランドの沿岸部防衛に当たらせた。さらに民間のトロール船数隻にも武装した国家警察の人員が乗り込んだ。そして4月22日、ついにガラクニク帝国の艦隊はアイスランドの領海に侵入し、アイスランドの沿岸警備隊と戦闘が行われた。この戦闘でアイスランド側は勝利を収めた。


 ・第二次アイスランド戦争

第二次アイスランド戦争でアイスランドはNATO加盟国として非常に多くの支援を侵攻を受けたNATO加盟国に派遣した。別名で10年戦争とも呼ばれるこの戦争でアイスランドは10年間を通して5,623人の負傷者と599人の死亡者を出した。この被害はアイスランドの建国史上最悪の物となった。また、当初は自制心をもって通常火器による戦闘支援を行ってきたアイスランドだったが、2056年ごろになると泥沼化の様相と化していた戦争によってアイスランド側の戦死者は増え、アイスランド経済も大きく圧迫される事になった為に戦争の早期終結を狙って各戦線に塩素ガスを初めとした化学兵器や、ウイルスや細菌などの生物兵器までが無差別に段階的に使用されるようになった。この化学兵器および生物兵器による相手国の死亡者数は大陸全体で100万人から800万人以上とも推計される。特に生物兵器に関しては戦争中に最も多く使用され、現在でも一部は脅威として使用された相手国において猛威を振るっており現在でも年間1万人近くが生物兵器として使用された細菌やウイルスに感染しているとされる。第二次アイスランド戦争中に使用された生物兵器はアイスランドの製薬会社と大学の協力によって開発された。病原菌としては、炭素菌、BSEプリオン、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、O157、ペスト菌などが使用されたとされ、いずれも新人類への感染に特化したゲノム編集が行われた。一方でNATO加盟国には感染者用の治療用ワクチンが提供され被害は少なかった。また戦後処理の一環として、かつての戦争相手国だったガラクニク帝国及びドルダドバスト王国に対してワクチンの輸出が現在行われている。


・アイスランド防衛隊

アイスランド防衛隊(英:Iceland Defense Force, 略:IDF)はアイスランドの防衛を担っている軍事組織である。アイスランドは軍を保有しておらずIDFは正式にはアメリカ軍の派遣部隊でありアメリカ欧州軍の一部である。司令部はケフラヴィークに存在しているがこの司令部は魔の十二ヶ月事件発生後にはアメリカ欧州軍の司令部及びアメリカ合衆国臨時政府、NATOのアイスランド航空警察を兼任している。IDFの構成員はアメリカ陸軍、海軍、空軍のほか、アイスランドの民間人が含まれる。25を超える各種部隊によって構成され、アメリカ空軍第85航空群、在アイスランド・アメリカ陸軍、アメリカ海軍の対潜作戦司令部が設置された。その人数は1,350名のアメリカ軍人、350名のアメリカ国防総省職員、650名のアイスランド人職員で構成されその他、オランダ、ノルウェー、カナダ、デンマーク、イギリスからも軍事要員が派遣された。


アイスランド防衛隊は一度2006年9月30日に解散が行われている。この際の解散に際してはアイスランドは駐留費用の全負担を申し出るなど駐留継続を要請していたが、アメリカ側がこれを受け入れる事は無く解散された。しかし、その後に2014年のロシアによるクリミア危機を始まりとした世界情勢の変化、安全保障情勢の変化によって2023年10月10日、トランプ・ドクトリンを基礎としたアメリカ軍の再編計画の一環としてIDFの駐留再開が決定した。アイスランドはこの決定を歓迎し受け入れた。そして2023年12月9日、閉鎖されていたケフラヴィーク米軍基地が再開された。配備された航空機はその多くが無人航空機であり、規模としては2006年までの装備を下回るものだったが、2028年には、アイスランドとアメリカは無人機の運用に関して、アイスランドの情報技術企業アドバニアと共同事業として人工知能による無人機操縦実験を行った。また、アイスランド戦争中にはアヴェンジャー1機が防衛投入されガラクニク帝国の帆船にTHELによる攻撃を行い数隻を炎上させるなど大きな戦果を上げている。以下はアイスランド防衛隊が配備する兵器類一覧。


 航空機

  ・P‐8A ポセイドン      ×2

  ・KC‐135 ストラトタンカー ×2

  ・V‐280 ベル        ×4

  ・アヴェンジャー(UAV)    ×4

  ・MQ‐4C トライトン     ×4

  ・RQ‐4 グローバルホーク   ×4

 火器

  ・AGM‐114 ヘルファイア

  ・CBU‐24 ぺイヴウェイ

  ・GBU‐36

  ・THEL(UAV装備)

  ・THEL(地上発射型設備)  ×2

  ・THAADミサイル      ×3

  ・その他歩兵火器


・アイスランド危機対応部隊

アイスランド危機対応部隊はアイスランド外務省が管轄している部隊である。魔の十二ヶ月事件前は、冷戦後の国際環境を踏まえ、警察や沿岸警備隊などその他の部署から選ばればれた要員で構成され、ノルウェー陸軍において軍事訓練を受けて派遣された。当時の要員数は80名である。コソボ、アフガニスタン、スリランカ、イエメンなどに平和維持活動の一環として派遣された。アフガニスタンに派遣された際には負傷者を出した事からアイスランド危機対応部隊が軍であるかどうかの定義や法的な立場、訓練方法が論議の対象となった。魔の十二ヶ月事件発生後はアイスランドの安全保障環境の激変によって本来の想定された活動を超える活動を余儀なくされた。本来が80名の規模であったのに対して第二次アイスランド戦争の際にはNATO加盟国支援の為に兵力が拡充されアイスランド史上、最大の規模となる16,000人から20,000人規模の部隊が組織され、海外派遣された。部隊の構成員には従来の警察や沿岸警備隊などその他の部署から選ばればれた要員以外にも、アイスランド防衛隊や民間からも募集され、その兵力の半数は旧ドラクニク王国民で構成された。第二次アイスランド戦争中や戦後には再び軍であるかどうかの定義や法的な立場に関する議論が頻繁に行われた。


・防衛庁

アイスランド防衛庁 (Varnarmalastofnun Islands) はアイスランド防衛隊が2006年に撤収した事を受けて2008年5月に設立された外務省が管轄している組織である。主な活動は本土における防空レーダーシステム及びソフトウェアの運用を主体としている。この防空レーダーシステムは元々、アイスランド防衛庁の前身であるレーダー庁に1987年から設置されてたが、政府の組織再編によって防衛庁となった。レーダー基地を国内4ヶ所に設置し運用しており、アイスランドの領空監視を実施している。また、NATOへの防衛協力と各種調整は防衛庁を通じて行われている。


長年、防衛庁には実行部隊は設置されていなかったが、2037年7月11日にアメリカの軍事ドローン・ソフトウェアの共同研究プロジェクト国の一つとして名を連ねた事からその一環としてアメリカより試作四脚歩行走行戦車マティス、6両を順じ実験用車両として貸与された事から現在も保有しており魔の十二ヶ月事件発生後もソフトウェアの研究は継続して行われ、現在はこれらの戦車は研究も終了した事から有事の際に国内での運用を想定した軍事ドローンとして、2053年にアイスランドの情報技術企業アドバニアの戦術統合知能システムAngrbodaを遠隔制御システムとして導入し、整備は人間が行うが車両の運用自体は完全な無人化というアイスランド初の完全無人化戦闘部隊を編成した。この完全無人化部隊の編成は後のNATO即応軍におけるヘルズ爆撃機の運用の際にも参考にされた。以下は装備一覧。


 戦闘車両

  ・四脚歩行走行戦車       ×6

   ・スカジ    ・ウルズ    ・スクルド

   ・ベルザンディ ・ヒュロッキン ・リンド

    ・搭載火器

     ・ロイヤル・オードナンスL7

     ・CROWS

     ・THEL


・沿岸警備隊

アイスランド沿岸警備隊(Landhelgisgasla Islands)は1920年頃に始まり、以後は沿岸防衛と海上、航空捜索救助を目的に活動を行った。1950年代から1970年代には、3度に渡ってイギリスとタラ戦争を引き起こしている。基地は現在はレイキャビク及びソール諸島のソール島に置かれている。また、沿岸警備隊にもアイスランド危機対応部隊同様に軍であるかどうかの定義や法的な立場に関する議論の対象になっている。イエメンへのアイスランド危機対応部隊の派遣の際には沿岸警備隊が民間のスーパートロール船を借り上げて輸送船として使用した事があり、沿岸警備隊は海軍ではないかという議論が存在する。また、魔の十二ヶ月事件発生後からは沿岸警備隊はアイスランドにおける重要な外洋戦力を務めている。アイスランド戦争では侵攻してくるガラクニク帝国にたいして沿岸部防衛戦を展開し勝利を収めた。その後、ドラクニク王国難民の脱出作戦や第二次アイスランド戦争にも参加した。また、沿岸警備隊は航空機部門として3機のヘリコプター、1機のDHC‐8ダッシュ8海上監視機を運用しているが、ヘリコプターに関しては軍や沿岸警備隊が保有するヘリの中で世界で唯一民間登録の機体として魔の十二ヶ月事件前は有名だった。以下は沿岸警備隊が保有、または計画する船舶一覧。


 〔哨戒艦 ソール〕

全長 :132m 幅 :21m

兵装 :ボフォース100mm砲    ×1

   :GWS多目的VLS 30セル ×1

    :スカイウルフ

   :連装式ブローニングM2重機関銃×4

   :放水砲            ×4(最大8基まで増設可能)

艦載機:SH‐60 シーホーク      ×2

概要 :ソール(ICGV Sól)はアイスランドが2029年にアメリカの資金援助の下、アメリカとスウェーデンによって共同開発され2032年に就役した世界初の小型原子力哨戒艦である。動力としてはスウェーデンの原子力関連企業が開発した小型原子炉を搭載した。建造の背景には2024年にアイスランドが行ったイエメンへの平和維持部隊の輸送の際に沿岸警備隊が民間から借り上げていたスーパートロール船がイエメンの武装勢力が保有する無人攻撃ヘリによって攻撃された件がある。ソールは防空能力と外洋航行を重視した設計とされ、防空としてはイギリスから調達したスカイウルフ近中距離対空ミサイルを装備し、さらに両用としてスウェーデンのボフォース社が開発したボフォース100mm砲を搭載した。ボフォース100mm砲はボフォース57mm砲と同じ射撃速度を有している事で有名で欧州の海軍でも多く採用されていた。さらにソールには沿岸警備能力として船同士の体当たり攻撃及び防御を前提とした設計が行われ放水砲も装備した。しかし、ソールが導入されるとアイスランド国内では哨戒艦とはされつつも、原子力を動力とした事やGWS多目的VLSを装備している事などから、哨戒艦の能力を大きく超えているとアイスランド国内からも批判された。反対派は皮肉をこめてソールを世界最強の哨戒艦と揶揄した。その為、ソールは就役後すぐにアイスランド防衛隊との共同運用という形をとり国際援助活動ではアイスランド防衛隊の名義で使用され、通常は沿岸警備隊の名義とされる事で反対の声を避けた。


また、特筆すべき事としてソールは原子力を動力とした事で航続距離的な制約が殆ど無いために魔の十二ヶ月事件の際やその後には沿岸警備隊の艦船の中では最も長く多く使用されている。最初に新人類と接触しアイスランド戦争、第二次アイスランド戦争と殆どのアイスランドにおける軍事行動に参加している。


 〔哨戒艦 トール〕

全長 :93.80m

兵装 :ボフォース40mm単装機関砲砲塔×1

   :12.7mm機関銃       ×2

艦載機:中型ヘリコプター甲板      ×1

概要 :トール(ICGV THOR)はノルウェーの哨戒艦NoDGV ハシュタをモデルに発注された哨戒艦である。2005年3月4日に当時の法務大臣だったビョルン・ビャナソンによって草案された。主な任務は救助活動、パトロール、海上汚染の防止、給油、ヘリコプターによる捜索と救助活動で、そしてある程度の防衛能力を有した。さらにテロ等の脅威への対応、犯罪予防、警察や関税当局に関連する作業、あらゆる種類の救助や救助作業にも対応を求められた。トールはソールが就役するまでアイスランドの保有する艦船の中では最大級を有していた。アイスランド戦争ではアイスランドへと侵攻してきたガラクニク帝国の帆船の迎撃作戦に参加し報復作戦にも参加している。


 〔哨戒艦 ラーン〕

全長 :93.80m

兵装 :ボフォース40mm単装機関砲砲塔×1

   :12.7mm機関銃       ×2

艦載機:中型ヘリコプター甲板      ×1

概要 :ラーンは(ICGV Rán)はトールの2番艦として2027年に建造された哨戒艦である。主な任務はトールと同様に救助活動、パトロール、海上汚染の防止、給油、ヘリコプターによる捜索と救助活動で、そしてある程度の防衛能力を有した。さらにテロ等の脅威への対応、犯罪予防、警察や関税当局に関連する作業、あらゆる種類の救助や救助作業にも対応を求められた。ラーンはトールと同様にソールが就役するまでアイスランドの保有する艦船の中では最大級を有していた。アイスランド戦争ではアイスランドへと侵攻してきたガラクニク帝国の帆船の迎撃作戦に参加した。また、ラーンはトールとは違い動力として液体水素を導入した。


 〔哨戒艦 ティア〕

全長 :71.15m

兵装 :ボフォース40mm単装機関砲砲塔×1

艦載機:中型ヘリコプター甲板      ×1

概要 :ティア(ICGV Týr)はエーギルクラスの巡視船として建造された。デンマークの造船会社Aarhus Flydedokによって建設された。ティアは第三次タラ戦争に参加しアイスランド戦争ではアイスランドへと侵攻してきたガラクニク帝国の帆船の迎撃作戦にも参加した。


 〔哨戒艦 エーギル〕

全長 :71.15m

兵装 :ボフォース40mm単装機関砲砲塔×1

艦載機:中型ヘリコプター甲板      ×1

概要 :エーギル(ICGV TYR)はエーギルクラスの巡視船として建造された。デンマークの造船会社Aarhus Flydedokによって建設された。エーギルは第二次タラ戦争、第三次タラ戦争にも参加しアイスランド戦争ではアイスランドへと侵攻してきたガラクニク帝国の帆船の迎撃作戦にも参加した。エーギルは現在、老朽化の為、予備役艦として港で保管されている。


 〔ICGV Baldur〕

概要 :アイスランドで建造されたBaldurクラスの水路測量艦である。


 〔ICGV Bergelmir〕

全長 :111m

兵装 :100mm単装砲        ×3

   :連装式ブローニングM2重機関銃 ×4

   :対潜迫撃砲           ×1(検討中)

艦載機:大型ヘリコプター甲板      ×1

概要 :Bergelmirは現在、アイスランド沿岸警備隊がBergelmirクラスの哨戒艦として将来的な導入を検討している新型の哨戒艦である。動力としては民間のトロール船から水素動力エンジンを取り出し運用する事を検討している。Bergelmirはイギリス海軍のCa級駆逐艦キャヴァリアのデザインをモデルに計画されており、アイスランドの海上警備及び防御力強化の為に法務大臣によって草案された。開発検討プロジェクトにはアイスランド防衛隊の他、アイスランド大学など複数の関連機関及び企業が参加している。Bergelmirには大型ヘリコプター甲板が設置される予定で、V‐280を初めとしたヘリコプターや無人機の運用を想定している。建造後はアイスランド防衛隊との共同運用が計画されている。デザインは当初、アメリカ海軍のギアリング級を想定していたが、建造コスト削減が決定された為、変更された。艦の名前は北欧神話の最初の巨人Bergelmirに由来する。造船所はスリップリン社を予定。


 〔ICGV Hræsvelgr〕

全長 :118.93m

兵装 :100mm連装砲        ×5

   :連装式ブローニングM2重機関銃 ×4

   :格納式RIM‐116RAM-A  ×1

艦載機:中型ヘリコプター甲板(半展開式)×1

概要 :Hræsvelgrは現在、アイスランド沿岸警備隊がHræsvelgrクラスの哨戒艦として将来的な導入を検討している新型の哨戒艦である。動力としては民間のトロール船から水素動力エンジンを取り出し運用する事を検討している。本来は2隻が検討されていたが、1隻は建造コスト削減が要求されていた為にプロジェクトから破棄された。Hræsvelgrはアメリカ海軍のギアリング級駆逐艦FRAM‐Iのデザインをモデルに幾つか変更点を加えた艦が計画されており、開発検討プロジェクトにはアイスランド防衛隊の他、アイスランド大学など複数の関連機関及び企業が参加している。Hræsvelgrは海上戦闘能力に特化した装備を搭載しており、さらに対空火器として格納式RIM‐116RAM-(マイナス)Aを搭載する事で検討されている。格納式RIM‐116RAM-AはRIM‐116RAMの廉価版コピーとしてアイスランド防衛隊が現在開発中である。建造後はアイスランド防衛隊との共同運用が計画されている。艦の名前は北欧神話の鷲の姿をした巨人Hræsvelgrに由来する。造船所はスリップリン社を予定。

   

・警察特殊部隊

警察特殊部隊はアイスランドの国家警察として内務省に属する部隊である(国家警察全体の人員は805人)。対テロ戦闘や任務を想定しており、爆弾処理班や狙撃班などの特殊部隊で構成され、魔の十二ヶ月事件前はアフガニスタンにも派遣された。魔の十二ヶ月事件後は部隊内に対精霊術師特殊部隊なども設置されるなど大規模な組織改変が行われ、シィキレイ大陸においてはアイスランド危機対応部隊の構成部隊としてアイスランドの要人保護や第二次アイスランド戦争では対ゲリラ戦闘任務を担当した。


・NATO即応軍

NATO即応軍はNATO加盟国の人口比率から選抜人数が決まり、それに応じた部隊が各国の軍隊から選抜され構成される。NATO即応軍の規模は凡そ9万人の規模で、陸上部隊が7万人、海上部隊が2万人となっている。アイスランドはこの即応軍に平時では100人。第二次アイスランド戦争の際には500人を派遣した。アイスランドは第二次アイスランド戦争中、このNATO即応軍を通じて化学兵器や生物兵器を使用している。アイスランドはこの即応軍に一部の装備を供給しており、歩兵火器としてFBP軽機関銃やステアーM1886歩兵銃などを配備した。ただし、アイスランドは即応軍に対して歩兵火器、通信機器、艦載発電装備、100m級フリゲート用の艦載補助動力エンジン、艦載設備の提供や自国派遣部隊への装備提供は行っているが帆船本体や軍服など、その他の軍備品はNATO加盟国によって製造され提供されている。また、この即応軍に属するアイスランド派遣部隊は第二次アイスランド戦争中には長距離無人戦略爆撃機ヘルズ(アイスランド語:Hells 日本語直訳:ヘル達)、20機を戦術統合知能システムAngrbodaの制御下の元、運用していた部隊である(ヘルズの最大航続距離は凡そ3,000km)。ヘルズはアメリカの無人航空機ボーイング・ファントム・アイの設計を元に機体を大型化、双胴機化させた物で、水素燃料によって稼動する。ヘルズは通常の爆撃も可能であるが、第二次アイスランド戦争中、その任務の大半の使用目的は化学兵器や生物兵器、特に生物兵器の広域散布を目的に運用された。戦後、ヘルズやそれに関連する装備や設備はアイスランドにて保管されている。以下は即応軍全体が保有する装備一覧。


 車両

 ・精霊術馬車

 ・通信中継機搭載精霊術馬車

 ・その他

 火器

 ・FBP軽機関銃

 ・ステアーM1886歩兵銃

 ・M240機関銃

 ・ホッチキスQF3ポンド歩兵砲

 ・ホッチキスQF3ポンド拠点防御高射砲

 ・M3 37mm砲

 ・1.56インチビッカースQ.F.ガンMkⅡ歩兵砲

 ・1.56インチビッカースQ.F.ガンMkⅡ高射砲

  (第二次アイスランド戦争中に現地部隊が高射砲として独自改良した仕様)

 ・QF12ポンド12cwt艦砲(艦載用) ×216門

  (100m級フリゲート艦、1隻につきQF12ポンド12cwt艦砲を6門搭載)

 船舶

 ・100m級フリゲート艦(準動力付き帆船)×36隻

 ・50~70m級コルベット艦(帆船)   ×52隻

 航空機

 ・ヘルズ                 ×20

 ・ソーラー発電式通信中継UAV

 ・通信中継バルーン


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地方行政区分


アイスランドには伝統的な地方行政区分として23のシスラと25の市( コイプスターズル)に分けられる。現在ではこれらの区分は行政上の意味をほぼ失っておりあくまで伝統の側面が強い。アイスランドには現在26の地域行政官が存在しており、この地域行政官は地方の警察に関する最高権限を有している(レイキャヴィークを除く)。また、行政機能を有している。アイスランドの人口は南西部に集中している傾向がある。以下は伝統的な県及び市一覧。


・アゥルネースシスラ

・オイストル・バルザストランダルシスラ

・オイストル・フーナヴァスシスラ

・オイストル・スカフタフェルスシスラ

・ボルガルフィヤルザルシスラ

・ダーラシスラ

・エイヤフィアルザルシスラ

・グトルブリングシスラ

・キョゥサルシスラ

・ミーラシスラ

・ノルズル・イーサフィアルザルシスラ

・ノルズル・ムーラシスラ

・ノルズル・シンクエイヤルシスラ

・ラゥングアゥルヴァトラシスラ

・スカーガフィヤルザールシスラ

・スナイフェルスネースシスラ

・ストラゥンダシスラ

・スーズル・ムーラシスラ

・スーズル・シンクエイヤルシスラ

・ヴェストゥル・バルザストランダルシスラ

・ヴェストゥル・フーナヴァスシスラ

・ヴェストゥル・イーサフィアルザルシスラ

・ヴェストゥル・スカフタフェルスシスラ

・レイキャヴィーク

・アゥルタネース

・アークラネース

・アークレイリ

・ボールンガルヴィーク

・ダールヴィーク

・エスキフィヨルズル

・ガルザバイル

・グリンダヴィーク

・ハプナルフィヨルズル

・フーサヴィーク

・イーサフィヨルズル

・キェプラヴィーク

・コゥパヴォーグル

・ネースコイプスターズル

・オゥラフスフィヨルズル

・オゥラフスヴィーク

・ソイズアゥルクロゥクル

・セールフォス

・セルチャルトナルネース

・セイジスフィヨルズル

・スィグルフィヨルズル

・ヴェストマンナエイヤル


以上が伝統的なアイスランドの地方行政区分である。魔の十二ヶ月事件中にアイスランドによって発見され編入された7つの島からなるソール諸島、19の島からなるポーランド諸島はレイキャヴィークの行政下にある。


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地理


アイスランドの本土は北大西洋に浮かぶ島である。魔の十二ヶ月事件前はグリーンランドの東、イギリスの北に位置していた。大西洋中央海嶺上に存在している為に火山が多く、火山活動と地熱活動が盛んな地域に分類され間欠泉なども多い。その為、アイスランドでは水力発電のほか、地熱発電が盛んに行われている。また、魔の十二ヶ月事件中に発見され領有化されたソール諸島、ポーランド諸島の位置はソール諸島が、魔の十二ヶ月事件前の世界地図上におけるアイルランドのヨールより南沖合い100kmの位置に存在。ポーランド諸島は魔の十二ヶ月事件前の世界地図上におけるポーランドのヴロツワフ上の位置に存在している。両諸島の名前の由来はソール諸島が発見した哨戒艦ソールに由来し、ポーランド諸島が旧ポーランド領内で発見された事から付けられた。また、両諸島の内、ポーランド諸島の総面積はイギリスのメインランド島とほぼ同等の面積であり、アイスランドが領有している島の面積ではアイスランド島を除いて最大の面積を有している。


気候は魔の十二ヶ月事件前は比較的、穏やかであり、アイスランドど同緯度に位置していたフィンランドやスウェーデンの北部の2月の最低気温の平均が氷点下20度近くにも達するのに対して、アイスランドは氷点下3度ほどであった。しかし、魔の十二ヶ月事件後は大陸の構成の大規模な変化によって気候が大幅に変わっており、現在ではアイスランド北部の2月の最低気温の平均がかつてのフィンランドやスウェーデンと同等とまでは行かなくとも氷点下18度近くにも達っしている。その為、気温の低下が激しかった地域では住民の大規模な流出が起きており北部の人口は年々減少している。


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経済


アイスランドの経済は20世紀には国家経済の6割を漁業や農業が占める状態だった。しかし、その後に第二次産業、第三次産業へと多角化してゆき第一次産業の割合は国家経済の2割未満にまで低下した。だが、それでも漁業で獲れる海産物はアイスランドの主要な輸出品目である。魔の十二ヶ月事件発生後には一時その経済規模は輸出相手国の消滅によって全体的に大きく規模を縮小させた。貿易も途絶えた為に海産物は国民の生命線ともなった。しかし、シィキレイ大陸の発見と貿易が拡大していくと、漁業によって得られる海産物資源は再び輸出の対象となった。さらに諸外国へのインフラ技術の輸出や医薬品の輸出を行った。ただし、第二次産業に関しては欧州自由貿易連合が拡大するまでは長らく停滞状態であった。


・エネルギー

アイスランドでは1980年代から再生可能エネルギー発電への切り替えを政府として推し進め、その結果、現在では化石燃料を使う事は殆どない。国内電力では、7割近くが水力発電。3割が地熱発電を利用している。アイスランドには湖や火山島ゆえの地熱熱源が多い為、再生可能エネルギー発電への利用が容易で安定した供給を実現している。その為、電力価格が非常に安い為、アルミニウムの精錬事業や、一般家庭のシャワーの温水にまで様々な分野でこの安価な電力が使用されている。2000年以降にはこれらの安価な電力事情から、膨大な電力を必要とするIT関連企業等のサーバー等、データーセンターを多数誘致した。また、自動車や船などに水素の導入が行われており魔の十二ヶ月事件前の時点でも自動車は全てが水素、または電気自動車となっており、船舶に関しても8割が液体水素を燃料とするタイプに変わっていた。


・製造業

工業に加えて、2010年代頃よりソフトウェア産業やバイオテクノロジー産業が非常に成長している。工業分野は一定の水準を保っているが、ソフトウェア産業やバイオテクノロジー産業は、国内でもトップの伸び率で、特にバイオテクノロジー産業に関してはゲノム編集の規制緩和等により年々成長している。特にゲノム編集技術を使った医薬品開発、農作物開発、家畜開発などはアイスランドの食糧事情や医療体制にも大きく貢献しており、アイスランドの平均寿命は過去最高の107歳にまで達している。


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国民


・人口統計

アイスランドの総人口は地球人類、新人類合わせて377,432人である。地球人類の人口は337,610人。新人類の人口は39,822人を有している。新人類に関してはその大半が旧ドラクニク王国の国民でアイスランドに帰化した人々である。出生率は2062年現在13.6%。死亡率は3.7%。全体的な平均寿命は人類史上最長の107歳である。


また、アイスランドの総人口には含まれていないが、アイスランド国籍を所持していない消滅した地球国家国籍の人々もアイスランドには凡そ9万人がアイスランド本土及び、ソール諸島、ポーランド諸島に居住している。これらの人々には準アイスランド国籍が与えられており本来の国籍を有したままアイスランドでの居住が許可されている。さらに少数の新人類も労働ビザ等を取得して居住している。


・種族

アイスランドには地球人類と新人類の2種の異なる種族が共存している。国籍を問わず地球人類に関しては北欧系の他、アジア系、アフリカ系などの多種多様な人種もアイスランドには居住。また新人類に関しては主に兎系統、狐系統、鼠系統、蛾系統、蝶系統の新人類が居住している。


地球人類と最初の新人類との接触は2039年9月14日の哨戒艦ソールが漂流していた奴隷船で生存していた2人の兎系統の新人類が初めての事例である。発見当初は知的生命体や人類外知的生命体などとも呼ばれてたが、兎系統を初め、様々な動物や虫に類似した特長を持つ人間と同等の知的生命体が発見された事から2041年までにこれらの動物や虫に類似した特長を持つ知的生命体は新人類で呼び方が統一された。これらの種族はアイスランド政府の発表ではアイスランド国内に4万人未満が居住しているとされる。しかし、近年、ソール諸島やポーランド諸島において地球人類の人間が新人類に対してヘイト活動をする者があわられており、国家警察はこれらを取り締まっている。これらのヘイト活動をして逮捕されているのはその全員が準アイスランド国籍を持った外国人である。


・言語

アイスランドの公用語はアイスランド語である。ただし、小学校では英語、デンマーク語の教育を行っている為、国民の大半はトライリンガルである。また、新人類の間ではドラクニク語など、シィキレイ大陸の言語も使用されている。地球人類と新人類間のコミュニケーションについて、地球人類及び新人類に対するアンケート調査ではアイスランド語やドラクニク語など、シィキレイ大陸の言語が喋れるかという質問に対して大半の人々が、喋れない、もしくは、読めても喋れないと回答している。しかし、言語翻訳アプリの普及によって生活的な支障はほぼ出ていないとされる。


・文化

アイスランドの文化圏は北欧であるが、他の北欧諸国と比べても似てはいるが異なる文化を有している。また、宗主国であったノルウェーとデンマークの影響も強い。さらにアイスランド防衛隊としてアメリカ軍が駐留している為に21世紀に入ってからはアメリカの影響も受けている。


冬季は極寒の為、多くの人々が文学や詩に親しむ傾向にあり、人口が少ない国ではあるが世界的な多くの芸術家、文学者、音楽家などを輩出している。魔の十二ヶ月事件前は紙媒体の書籍が非常に多く好まれ発行されていたが、魔の十二ヶ月事件発生後からは、紙資源の節約の為に一時は政府主導によって電子化が推し進められた結果、現在では電子書籍も多く出ている。魔の十二ヶ月事件の際に若者世代であった者達を中心とした世代の間ではインターネットオンラインゲームやオンライン仮想現実ゲームの普及率も高い。


アイスランドの食文化に関しては、アイスランドが世界有数の漁業国である事などから、魚介類や鯨などが食されている。また、伝統的な海鳥を使った料理や、牧畜が盛んである事から、食肉も生産され肉料理、チーズ、バターもある。その他にもアイスランドで作られる野菜であるジャガイモやキャベツも国民的な野菜である。これらの魚介を使った料理などは古代ゲルマン人からの伝統を受け継いでいる料理もあれば、宗主国であったデンマークの影響を受けている料理もある。また、1960年代からは、食の国際化が始まった事から、世界各国の様々な料理がアイスランドに登場して受け入れられた。しかし、これらのアイスランドを起源としない料理の大半は魔の十二ヶ月事件発生後一時、原料の調達不能の状態によって製造が困難、もしくは不可能の状態へとなった。特に小麦などの穀物が入手できなくなった事によってパンや菓子の製造も困難となり、製造可能な料理のレパートリーが古代ゲルマン人から受け継いでいる料理などに限られタンパク源に魚やアザラシ等に限られた。この急激な食の変化は多くの国民に大きなストレスを与えた。当時は多くの若者が貿易が途絶えた影響による菓子の入手やパンの入手ができなくなった事から政府に対する抗議運動まで起きた。現在は、貿易圏の拡大にともなって食文化は概ね回復している。さらにゲノム編集によってカカオ豆に似た豆の製造が行われる様になってからはチョコレートなども復活しつつある。


・宗教

アイスランドにおいて、地球人類の間ではルター派のキリスト教信者が多く存在しその割合は73.7%に達する。その他にもアイスランドでは20世紀後半から古代ゲルマン宗教の回帰運動が起こっておりこれによって誕生した北欧神話系のÁsatrúarfélagiðと呼ばれる新興宗教がキリスト教以外の宗教では国内で最大の規模を有している。


新人類の間では各系統によって幾つか宗教が信仰されているが、近年、旧ドラクニク王国出身の住民たちの中ではÁsatrúarfélagiðを信仰する者も増えている。キリスト教を信仰する者も居ない訳では無いが数は少ない。これはÁsatrúarfélagiðの宗教観の前提に置かれている北欧神話が新人類の信仰体系にも似ている為に受け入れられていると推測されている。


また、近年、新人類間で社会問題になっている新興宗教として、アイスランド発のクトゥルー神話系の宗教問題が存在する。クトゥルー神話とはアメリカの怪奇小説作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの怪奇小説、クトゥルフの呼び声をはじめ、ラヴクラフトやその他の作家の作品群が構成する架空の神話である。近年、一部の新人類間でこのクトゥルー神話に登場する邪神を実際に存在すると考えた者達が実際に神として信仰するという宗教団体が出現している。これは当初、アイスランドにおいて始まったが、その後、現在ではブクラクニク王国にまで進出しており、さらにブクラクニク王国では過激な信者が猟奇殺人事件を引き起こすなど、アイスランドを含めて大きな社会問題、国際問題となった。現在では問題を受けてアイスランド政府がクトゥルー神話に該当される作品にはフィクションである事が前もって分かる様にされている為、近年はアイスランドにおけるこれらの新興宗教は縮小の傾向にあり、クトゥルー神話を信仰する者の人数はアイスランド国内においては100人から300人未満であるとされる。しかし、ブクラクニク王国ではクトゥルー神話に登場するクトゥルー、クトゥグア、ヨグ=ソトース、ナイアーラトテップ、古のもの、イースの大いなる種族、ウボ=サスラなどの神を信仰する宗教団体が乱立しており、現在、その信者の数はブクラクニク王国では全体で6,000人から最大で8,000人以上1万人未満にまで達すると推測されている。特に大きな問題としてブクラクニク王国ではこれらの信者による猟奇的な殺人事件がすでに数件発生しており、現在、ブクラクニク王国の協力要請でアイスランド政府もこれらの新興宗教根絶に向けて、無償でクトゥルー神話は創作作品であるという事実を広めるキャンペーンを行っている。


・教育

アイスランドの教育には初等教育(10年間)、中等教育(4年間)、高等教育(3から6年間)がある。この内、初等教育が義務教育となっている。また、受験制度などは無く、中等教育を修了すれば自動的に高等教育を受ける権利がある。その為、国民は柔軟な教育が可能となっている。


・人名

アイスランド人の名前には姓がないという特徴がある。ファーストネーム+父称という構成で名前が作られている。ただし、全てのアイスランド人が姓を有していない訳ではなくルーツが外国系のアイスランド人などでは姓を有している者もいる。ただし、アイスランドでは姓に馴染みが無い為に、ファーストネームで呼び合われる。


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科学技術


アイスランドではソフトウェア産業やバイオテクノロジー産業が非常に盛んである事からこれらの分野が特出して進んでいる。また、水素などの再生可能エネルギーに関する高度な技術も有している。ソフトウェア関連ではアイスランドは安価な電力事情から、膨大な電力を必要とするIT関連企業等のサーバー等、データーセンターを多数誘致した経緯がある為に、アイスランドの情報技術企業アドバニアを中心に幾つかの企業がソフトウェアの研究開発を行っている。特に情報技術企業アドバニアはデンソー社製の次世代型量子コンピューターサーバーMIRAIを6基、導入している事から、人工知能などのソフトウェア開発において、中心的にリードしている。情報技術企業アドバニアは軍事ソフトウェアの開発にも2020年以降から積極的に参加しており、2046年に開発された人工知能による遠隔で無人兵器の操作を行う戦術統合知能システムAngrbodaはその最も有名な代表作である。また、バイオテクノロジーの分野に関してはゲノム編集による技術が医薬品や食料など様々な分野に非常に多く普及している。医薬品の開発、食料品の開発等が行われている。魔の十二ヶ月事件前は規制もあったためにゲノム編集の人体そのものへの編集は禁止されていたが、魔の十二ヶ月事件後に医薬品の内、海外製品に依存していた物や原料が手に入らなくなり製造不能に陥った医薬品が多かった事からアイスランド政府はゲノム編集の大幅な規制緩和を行った。この規制緩和によってテロメアの修復治療や老化治療等も始まり、再生医療技術の飛躍によってアイスランドはその結果、平均寿命の大幅な伸びを獲得した。しかし、これに伴う社会問題も起きており、外見による年齢確認が実質不可能になりつつある(極端な例では2062年現在、アイスランドには80代から90代の年齢層の中に人数は少ないが外見及び肉体年齢を10代にまで回復させた例もある)。


ただし、これらの技術の内、水素関連技術及び量子コンピューターを初めとした高度コンピューターハードウェア技術に関しては現在、危機を迎えていると2040年代後半には国内で議論が巻き起こっている。アイスランドにおいて水素関連の施設や自動車、船などはその割合が非常に多い為に化石燃料に頼らない態勢が得られているが、水素の関連技術は非常に高度な技術であり、アイスランドはこれらの設備や物を海外からの輸入によって、それらの設備を導入した。その為、アイスランドには現在導入されているレベルの水素動力機関や水素燃料生産施設などを開発するだけの技術力が存在しない。その為、水素動力機関や水素燃料生産施設は既存の物が故障したり交換部品が無くなれば使用ができなくなると、警告されている(量子コンピューターを初めとした高度コンピューターハードウェア技術に関しても同様でアイスランド独自での開発は困難)。アイスランド政府はこれを受けて2040年代には代替エネルギーの研究を進めているが現状、水素に変わる燃料設備の導入は困難であるとされる。その為、アイスランドでは安全保障上の危機だとして現在、シィキレイ大陸から高位の精霊術師を雇い劣化防止精霊術による設備や部品の劣化対策を本格化させしており、アイスランド政府はこれらの対策によって少なくても100年以上は設備の寿命が維持されると発表している。アイスランド政府は2080年をめどに人工知能による次期水素動力機関及び次期水素燃料生産施設の設計を急がせ2100年までには実現させたい考えである。コンピューター関連に関しては現時点では時間的目処を設けていない。


また、地球人類には扱えない技術である精霊術に関してもアイスランド政府は、精霊術師にアイスランド国籍を与えるなどの優遇策を行っており精霊術の研究を進めている。この精霊術が科学技術に応用された例は劣化防止精霊術以外ではまだ少ないが、それでも医療分野においては、老化治療の分野においてゲノム編集技術との併用による治療の効率化などを実現しており、また、精霊術を使った馬車などは水素自動車に変わる技術としても研究の対象になっている。しかし、現状では精霊術は地球人類には扱えず新人類の中でも精霊術を扱えるのは僅かな適合者のみという事もあって問題も山積している。


アイスランドは諸外国への科学技術供与も僅かではあるが行っており、アイスランドにとって最も友好国であり唯一の二国間同盟国(NATO以外の軍事同盟)でもあるブクラクニク王国に対してはアイスランドの企業が経営する工場設備の建設が行われており、ブクラクニク王国軍向けの装備や武器、NATO即応軍向けのヘルメットなどの装備品及び弾薬、銃器の生産などがアイスランド政府の監督下によって行われている。これらの工場は第二次アイスランド戦争前に設置されたもので、ほぼ軍事分野のみに限られるがブクラクニク王国軍の装備のある程度の近代化には貢献している。しかし、ブクラクニク王国に限った話では無いが、アイスランドがNATOへ供給している火器装備の大半はアイスランドの科学技術水準からすればその殆どが旧式の物ばかりである。これはアイスランド政府が自国の技術的優位の立場を守る為に安全保障上の観点から意図的に技術の流出を制限している為である。


 



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AKEMASITE OMEDETOU GOZAIMASU!!

KOTOSI MO YOROSIKU ONEGAISIMASU!!


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↓AAガアリマス


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 l                         l

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 l  , , ,           ●      l   みんな、読んでくれて

 ` 、      (__人__丿    、、、   /   ありがとうにゃ

   `ー 、__               /

       /`'''ー‐‐──‐‐‐┬'''""´


皆さん、風邪引いたりとかカキとか食べ過ぎてノロウイルスにかかったりしないように気をつけて!

皆様の健康を祈っています!!今年も元気に過ごしましょう!!


それと、気がついたらこの作品の文字数がなんとエンジェルナンバー555になっていました!555,555!前半の555は完全に偶然です!後半半分は頑張って合わせました。

ですが、この小説が続いているのも全ては読んでくださる皆様のおかげです!本当にありがとうございます!


今年は何か良い事があると信じて。皆様も良い年になるようお祈りしています!

感想やご意見等がありましたら遠慮なくドンドンお送りください!今年もよろしくお願い致します!




※555,555は87部まで、ですのでご了承ください。

※確認したい方は小説情報ページへ!

※それと、いきなり喋ってすいません。今までは作品の世界観を壊さないように後書きではなるべく沈黙していまいた。ですが今回は新年初日という事と縁起良い数字である事から我慢できずに後書きで喋らせて頂きました。

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― 新着の感想 ―
[一言] アイスランドが異世界で生きる、結構過酷な感じがしました。この異世界も中々に厄介のようで。 軍事力も日本と似た軍を持たないのに軍に匹敵する組織が巨大化する点は中々興味深いですし。 南極の人類…
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