バヌアツ・ソビエト社会主義共和国 ‐ ウィキパディア
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バヌアツ・ソビエト社会主義共和国
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バヌアツ・ソビエト社会主義共和国は通称バヌアツは、南太平洋のシェパード諸島の火山島上に位置する社会主義国家である。西にオーストラリア、北にソロモン諸島、東にフィジー、南にフランス海外領土のニューカレドニアがある。独立国家共同体の加盟国。
公用語:ビスラマ語、英語、フランス語、ロシア語
首都 :ポートビラ
人口 :290,000人(2014年時点)
民族 :メラネシア系、フランス系、ベトナム系、ロシア系、非メラネシア系太平洋諸島民族
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目次
1.国名
2.歴史
2.1近代史
2.2サイクロン・パムによる被害
3.政治
3.1議会
3.2現在の議会
3.3外交
4.地方行政区分
5.地理
5.1主な島
5.2気候
6.国民
6.1民族
6.2言語
6.3宗教
7.文化
8.経済
8.1情報及び通信
8.2交通
9.軍事
9.1地上軍
9.2海軍
9.3空軍
9.4戦略ロケット軍
9.5KGB
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国名
正式名称
・ビスラマ語:የቫኑዋቱ ሶቪዬት ሶሻሊስት ሪፐብሊክ
:(バヌアツ・ソビエト社会主義共和国)
・英語 :Vanuatu Soviet Socialist Republic
:(バヌアツ・ソビエト社会主義共和国)
・フランス語:Vanuatu République socialiste soviétique
:(バヌアツ・ソビエト社会主義共和国)
・ロシア語 :Вануату Советская Социалистическая Республика
:(バヌアツ・ソビエト社会主義共和国)
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歴史
・近代史
バヌアツは1980年7月30日にイギリス・フランスの共同統治下からバヌアツ共和国として独立した。独立前後は政治的混乱が発生したが独立した同年に親ソ派でメラネシア社会主義を掲げるバヌア・アク党のバルター・リニが首相に就任した事でバヌアツをめぐる政治的状況は大きく変貌した。バルター・リニ政権は徹底したソ連偏重策を実行し国内へのソ連軍部隊の受け入れやそれを背景にした独裁的性格を強めた。バルター・リニはメラネシア社会主義を掲げる一方で政権維持と権力の維持を確実のものとするためにソ連政府との多くの交渉を行った。この時行われたもっとも有名なものはバヌアツのソビエト連邦加盟である。
バヌアツがソビエト連邦に加盟し、さらにソ連の依り強力な支援の下バヌア・アク党によってバヌアツにおけるメラネシア社会主義の推進が協議された。結果的にこの交渉は成功しバヌアツは1987年1月17日、ソビエト連邦に加盟し16番目のソ連加盟国として国名はバヌアツ・ソビエト社会主義共和国へと変更になった。
ソ連加盟後、バヌアツにはソ連軍の補給基地の建設やソ連軍の太平洋地域における拠点化、ソ連からの労働者の移住政策などが行われた。
しかし、1996年にソビエト連邦が崩壊するとバヌアツはソビエト連邦より事実上分離する事になりバヌアツ・ソビエト社会主義共和国として再独立した。また、この時、バヌアツはソ連加盟国の中では最後までソ連の解体に反対しミハイル・ゴルバチョフ連邦大統領によるソ連解体宣言の時まで最後の加盟国であり続けた。その後、再独立後は自国をソ連の正統な継承国であると国内で宣伝しさらには軍事的背景を理由にバヌア・アク党による独裁的な政権が確立され維持され続けた。
・サイクロン・パムによる被害
2015年3月13日から14日にかけてバヌアツは観測史上最大クラスのサイクロンであるサイクロン・パムの直撃により甚大な被害を受けた。バヌアツは全島が被害を受け、14日にバヌアツから国外への全通信が途絶。サイクロンが通り過ぎた後にオーストラリアやニュージーランドを初めとした近隣諸国が救助隊を派遣した。
しかし、サイクロンによる被害は深刻でバヌアツの全島では強風や豪雨が原因と思われる被害を受けており建物や木々はほぼ全てが倒され一部は流されていた。救助隊による懸命な捜索にもかかわらず生存者は国外に居たバヌアツ人を除いては国内では僅か109人しか発見できず、それ以外の住民は遺体すらも発見できなかった。この一連の災害にはバヌアツに滞在していた98人の日本人も巻き込まれ全員が行方不明となっている。
この災害は全世界で一国を滅ぼした史上最悪の自然災害として報道され自然災害による死傷者数ではギネス世界記録にも登録された。この災害後、世界各国では地球環境の保護や地球温暖化を話し合う国際会議などが多く開かれるようになった。
2018年現在、バヌアツはロシア、オールトラリア、ニュージーランド、イギリス、フランスの暫定的な管理下に置かれ国際気象学研究所が設置されるなど気象研究が行われている。また、2017年3月14日にバヌアツより1万2千km以上離れたカナダのヌナブト準州の沿岸でサイクロン・パムで被災し沈没したと思われていたバヌアツ海軍のタランタル型コルベットが地元の漁師によって座礁している所を発見される事件があった。どういう経緯でコルベットがバヌアツからカナダまで流れついだのかは原因不明だが、コルベットはほぼ無傷の状態で船内には数名のミイラ化した遺体が発見された。
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政治
国家元首の大統領は、儀礼的・象徴的役職となっている。任期は5年で、議会の議員と各州議会議長によって構成される大統領選挙委員会における投票によって次期大統領が選抜される。当選には全国民の3分の2以上の得票が必要で、その条件を充たすまで何度も投票を繰り返す。2004年の大統領選挙では、実に32人が立候補し、4月8日から12日までの間に5回の投票を行い、ようやく決定した。しかしながら、これらの選挙への立候補にはバヌア・アク党の党員で構成される国家選挙管理委員会とバヌアツKGBの許可が必要であり公平性には大きな疑問があるとされる。また、行政府の長である首相は、議会が議員選挙直後に議員の中から選出され大統領が任命する。閣僚は、首相が指名し、議会に責任を負う。実質の政治的指導者は首相となっている。
・議会
議会は一院制を採用しており議席数52であり任期4年。この議会における選挙も国民選挙によって決定されるが、大統領選挙同様にバヌア・アク党の党員で構成される国家選挙管理委員会とバヌアツKGBの許可が必要であり公平性には大きな疑問があるとされる。
・現在の議会
サイクロン・パムによる壊滅的被害を受けた後、バヌアツは事実上の無政府状態に陥っていたが、2017年に被災時に国外に居て無事だったバヌアツ人や被災したものの奇跡的に生還したバヌアツ人からなる議会が発足した。議会の本部はオーストラリアのメルボルンに暫定的に置かれておりモスクワにもバヌアツ大使館内に議会事務所が設置されている。議会は最初の議決でバヌアツの復興支援を諸外国に求める事で全会一致した。
・外交
バヌアツは71ヶ国と外交関係を結んでいる。また、独立国家共同体の加盟国でもある。伝統的な友好国はロシア、キューバ、ベトナムでありソ連時代から良好な関係を築いている。日本との関係に関しても両国の間では良好的な関係が築かれており、バヌアツには日本大使館が設置され日本からの経済支援も行われている。
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地方行政区分
バヌアツには日本語で州を意味するオーブラスチ(о́бласть)とよばれる行政区分が6つ存在している。
・トルバ:о́бласть
・サンマ:о́бласть
・ぺナマ:о́бласть
・マランパ:о́бласть
・シェファ:о́бласть
・タフェア:о́бласть
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地理
バヌアツは約800kmにわたって北北西から南南東にかけて83の連なる島からなりたっており、それらはニューヘブリディーズ諸島と呼ばれる。そのうち、住民が居住する島は凡そ70存在する。しかし、サイクロン・パムの被害を受けた後は生存した全島民が国外への避難政策によってオーストラリアへの集団移住がなされている。その為、現在のバヌアツで暮らしている人口は0人である。
・主な島
・トーレス諸島
・ヒウ島
・バンクス諸島
・モタ島(シュガーローフ島)
・エスピリトゥサント島
・マレクラ島
・アンブリム島
・ロペヴィ島
・シェパード諸島
・エマエ島
・エファテ島(首都ポートビラ)
・グナ島
・タンナ島
・エロマンガ島
・アネイチュム島
・マシュー島
・ハンター島
・気候
全域が熱帯雨林気候下であり、海洋性気候の特色を持っている。南東貿易風の影響下にもあり、5月から10月にかけては気温が低下する。首都ポートヴィラの最高気温は冬期において25度、夏期には29度であった。年平均降水量は2300mmである。2015年にサイクロン・パムの直撃を受け国家が事実上壊滅した。
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国民
・民族
人種構成は、メラネシア系住民が大半を占め、次に多いのがロシア系住民でありその人口は約9500人程、その他としてはフランス系、ベトナム系、非メラネシア系太平洋諸島民族が住んでいた。ロシア系住民はバヌアツのソ連加盟後にソ連政府によって移住政策が行われた為、移住してきた住民が大半である。
・言語
4つの公用語と100以上の地方言語を有する。共通語は、ピジン英語のビスラマ語が採用されている。また、公用語の一つであるロシア語に関しては語者は約1万人以上に達しているがその殆どはロシア系住民である。ロシア語はソ連に加盟していた時期もあった為に、政治的にも使用されており、国内ではキリル文字とビスラマ語が併記された政治的な広告などが多く見られる。
・宗教
バヌアツの宗教に関しては「バヌアツの宗教」の記事を参照。
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文化
バヌアツの砂絵が世界無形文化遺産に登録されている。また、バンジージャンプの起源となった成人の儀式ナゴールも有名である。
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経済
バヌアツの経済は農業や観光業による経済活動が中心である。航空便やクルーズ船の増加に伴い観光客数が年々増加し無形世界遺産の砂絵などの民俗文化、風光明媚な風土を活かしたスキューバダイビングや火山見学などを目的とした観光客が非常に多く、重要な外貨獲得手段の一つとなっていた。しかしながら、国内にはソ連時代にソ連政府の支援によって港湾設備等や規模は小さいが工場なども建設されており、それなりに多角化した経済を有していた。
また、バヌアツ国内にはロシアに99年間の租借契約で租借している島が5つ存在しその租借費が毎年ロシア政府からバヌアツに対して日本円にして約102億円支払われておりバヌアツの最も重要な外貨獲得手段となっている。このロシアからの租借費の支払いは現在ではサイクロン・パムによるバヌアツの壊滅を受けて一時停止されているが、この租借費はバヌアツの復興費として大きく注目されており、ロシア政府はバヌアツ議会からの正式な要請があれば一時停止を解除し支払いを再開する用意があると表明している。
2014年時点ではバヌアツの国家予算はロシアからの租借費を合わせて約190億円。租借費を抜かしたバヌアツ経済による国家予算は約90億円でありバヌアツは後発開発途上国に指定されていた。
・情報及び通信
被災前はバヌアツには国営放送のVBTCがあり、インターネットにおいてはロシア連邦のプロバイダが使用されている事が多かった。新聞や雑誌などは国営小売店などでの販売が主流であった。
・交通
フラッグ・キャリアとしてバヌアツ・ソビエト航空があり、ポートビラ・バウアフィールド空港をハブ空港として国内線や国際線を運用している。この空港にはロシアのアエロフロート・ロシア航空も乗り入れを行っておりロシア発着の直行便も存在する。2018年現在は全ての航空便は運行を停止している。
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軍事
バヌアツ・ソビエト社会主義共和国にはバヌアツ軍と呼ばれる国防組織が存在する。ソ連崩壊後の1996年1月27日に旧ソビエト連邦軍のバヌアツ・メラネシア軍管区第1軍の部隊に基づき建軍。当初はロシアとの合同司令部の指揮下に置かれていたが1999年に合同司令部が解散されバヌアツ政府の直轄となった。バヌアツ軍は健軍当初は総兵力9,500人にまで達していた。しかし、再独立後は戦力の大幅な縮小が行われ、最終的に5,500人で落ち着いた。また、バヌアツ・ソビエト社会主義共和国は太平洋諸国の中では唯一の核保有国である。ソ連崩壊の際にバヌアツに配備されていた約30発の核兵器がそのままバヌアツ軍に渡った。アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、周辺諸国はバヌアツに対して核兵器を放棄するように求めたがバヌアツ政府はこれに応じず、バヌアツは核保有国となった。しかし、バヌアツ軍はバヌアツの経済規模からして過剰な戦力を有しており軍は毎年の様に慢性的な資金不足に悩まされ、これらの戦力はロシアからのバヌアツの島の租借費の殆どが投入される事で辛うじて維持されていた。
・地上軍
総兵力3,000人を有している。ソ連時代の部隊編成を一部縮小したものの編成はソ連時代の編成を踏襲している。以下はその編成内容である。
・第2自動車化狙撃大隊
・第3自動車化狙撃大隊
・第21自動車化狙撃大隊
・第11砲兵大隊
・第1防空大隊
自動車化狙撃大隊に関してはバヌアツが保有しているPT‐76×約170両などの軽戦車などの車両が中心戦力となっている。この他、地上軍はMT‐LB、LuA3‐967、PTS‐M、BTR‐50などの車両装備を複数保有している。BMP‐1、ZU‐23‐4、S‐300、ルベーシュなども少数保有。バヌアツ地上軍の特徴として水陸両用車両を多く配備しているという特徴があった。
バヌアツ軍の保有車両の中には自国開発したと見られる車両装備もパレード等で少数が確認されており、MT‐LB、PTS‐M、BMP‐1にPT‐76の砲塔を移植した軽戦車や、D‐44、MT‐12、KS‐19、D‐20などの火砲を搭載した自走砲。砲塔撤去後に屋根に兵員を積載できる様に波除用途の機能もある追加装甲の追加や日除け用のシェード装備を追加する改修が施された輸送用のPT‐76なども保有した。
・海軍
総兵力1000人を有している。ソ連時代にバヌアツ・メラネシア軍管区第1軍に配備された艦船を運用している。以下は保有している艦艇。
・タランタル型コルベット×10
・ポモルニク型エアクッション揚陸艦×4
・チューリャ型魚雷艇×4
・シェルシェン型魚雷艇×2
・空軍
総兵力1,000人を有している。ソ連時代にバヌアツ・メラネシア軍管区第1軍に配備された航空機を運用している。以下は保有している機体。
・MIG‐29×4
・MIG‐25×4
・MI‐2×6
・戦略ロケット軍
総兵力500人を有している。ソ連時代にバヌアツ・メラネシア軍管区第1軍に配備された核弾頭及びミサイルを運用している。ミサイルの運搬車両はバヌアツ・メラネシア軍管区第1軍に配備されていた2P19型の車両とMAZ‐543型の車両を運用していると考えられている。弾道ミサイルとしてはスカッドミサイルを保有していると見られている。
・KGB
警察機構としてバヌアツはKGBを保有している。




