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軍閥 - ウィキパディア

ウィキパディア-フリー百科事典

ページ/ノート

―――――――――――――――――――


軍閥

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軍閥とは


1統一国家の軍隊に存在する派閥。時に軍事クーデターの母胎となる。

2軍事力を背景に、地方に割拠する集団。国際的な承認や未承認を問わず、ある程度の実効支配地域を持つ。


などの意味合いを持つ勢力の全体的な名称である。


現代における軍閥は1と2の両方の意味を兼ね備えた意味合いが非常に強い。ここでは現代における軍閥を解説する。過去の軍閥に関しては「軍閥」を参照。

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目次


1.概要

2.歴史

 2.1 大大戦の終結とユースティティアの成立

  2.1.1ミストの誕生

 2.2 ユースティティアの腐敗

 2.3 外惑星治安統制統合宙域軍の崩壊と内乱

 2.4 タイタンの統一と急速な軍閥の統合化

 2.5 帝国の建国

 2.6 帝国独立戦争

 2.7 ユースティティアと帝国の冷戦

 2.8 太陽系大戦の勃発

 2.9 両陣営の崩壊と指導者の消滅

 2.10太陽系騒乱

3.現在の状況

4.軍閥戦争で使用された主要な兵器

 4.1荒神

 4.2艦船

  4.2.1宇宙艦艇

  4.2.2浮遊艦艇

5.人道問題

 5.1未成年の兵士の増加

 5.2奴隷商売

 5.3違法ドラッグの蔓延

 5.4性病の蔓延

 5.5人体の違法改造

 5.6殺人強盗事件の増加

 5.7食糧問題

 5.8違法労働

 5.9識字率の低下

6.太陽系人口増加傾向調査

7.統一組織意識


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概要


現代における軍閥の意味とは太陽系大戦の実質の終結後に発生した対立陣営の政府機関の消滅に伴う混乱の延長線上として太陽系の各地に発生した各地域における軍事力を持った勢力の総称である。これらの勢力は名目上は統一勢力に所属している勢力も多く存在するが全ては名目上の事であり、現在に至るまで太陽系内に統一政府は存在せず、これらの勢力は太陽系大戦後、太陽系全体を治安的、情勢的、経済的、軍事的、人道的にも大きく混乱させている大きな原因となっている。近年、国境なき記者団によって行われた最新の最も信頼における統計調査では現在、太陽系内に存在する軍閥の数は大小様々なものを含めると1万106を超える状況となっている。軍閥には主に惑星を主戦場とする軍閥と宇宙空間を活動の場とした軍閥またはその両方を兼ね備えた軍閥が存在する。

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歴史


・大大戦の終結とユースティティアの成立

現代より凡そ650年以上前、西暦の時代、太陽系内においてアステロイドベルト付近の宙域を中心に他の次元の階層宇宙がワームホールを通じて我々の次元の宇宙と接続してしまう大規模な異常現象が発生した。このようなワームホールの発生や現象は人類史上初めて確認されたものであり、この最初の現象を起点にこの異常現象は急激に悪化していった。最初のワームホール発生後、その後、連鎖的に中小規模の同様の現象が太陽系各地で発生し、接続だけではなく他の次元から知性を持たない非常に凶暴な異生物が太陽系内に無数になだれ込んだ。これに対して、異生物の侵入の阻止を目的に人類側との間で大大戦と呼ばれる史上最大規模の大規模戦争が勃発した。当時の人類は木星圏にまで進出を果たしており総人口は300億人を超えたとされているが、戦争の激化によって人口は急激に激減し7億人にまで激減した。しかし、人類の必死の抵抗と太陽系各惑星の中規模接続現状を引き起こす最大の原因となっていたアステロイドベルト付近に位置する宙域、大規模接続現象宙域に存在するワームホールに対して人類側が重力爆弾を使用したことで他の次元との接続現象は次第に終息していき大大戦は人類の勝利によって終結した。


その後、残存人類は地球において6つの経済圏に分かれて新国家を建設した。さらにこれ以上、無益な戦争をひきおこして人類の人口を減らさないようにする為に秩序と平和を守る為の統合的治安機構として大大戦の終結に最も貢献した人類宇宙軍を中心に治安組織ユースティティアを組織しユースティティアに太陽系全域の治安維持権が与えられた。また同時に西暦が廃止され大大戦終結日を1年として新たな暦としてエウノミアー暦が採用された。さらにユースティティアは太陽系共通通貨Δίκηを作った。


ユースティティアは太陽系に三つの区分を設けた。太陽から火星までを内惑星治安統制統合宙域軍。木星から冥王星までの外惑星治安統制統合宙域軍。さらに冥王星より外側の惑星を太陽系外縁部治安統制統合宙域軍とした。この内、内惑星治安統制統合宙域軍がユースティティア本部を有する本隊であった。


 ・ミストの誕生

大大戦の最終決戦で使用された重力爆弾は無事にワームホールを閉じる事に成功はしたが、爆弾の中心核がコントロール不全に陥った事によって最終決戦後に同宙域に地球と同等規模の重力と金星とほぼ同じ面積を有する惑星の80%以上が水で出来た太陽系第5惑星である水惑星ミストが誕生した。ミストは当初は水ではなく氷の惑星であったが、後にミストの衛星軌道上には惑星地表環境制御衛星が設置され最高気温を地球における熱帯地域の平均気温にまで調節され水の惑星となった。ミストの名の由来は原因不明の濃霧が台風やハリケーンの様に突発的に惑星上でよく発生する事からミストと名づけられた。ミストの詳細は「ミスト」を参照。


・ユースティティアの腐敗

エウノミアー暦が350年代頃になると人類の人口はかつての最盛期までには及ばないが290億人にまで回復したが、地球やスペースコロニー以外での各殖民惑星では治安の悪化が大問題になった。殺人、窃盗、誘拐、強姦、非合法なドラッグ、人体の違法改造など、ありとあらゆる犯罪行為が各殖民惑星に蔓延した。この原因はユースティティアの組織的な腐敗にあったとされ、結成後350年以上が経過した為に、かつては治安機構の側面しかなかったユースティティアが時間と共に各殖民惑星に駐留する部隊が惑星の地域経済に密着してしまい金銭や利権の搾取などを行うようになり、これが原因で組織全体のモラルの低下や士気の低下が発生しさらに世襲制の導入など様々な事が原因で地球やコロニー以外でのユースティティアの活動は機能不全の状況となった。


・外惑星治安統制統合宙域軍の崩壊と内乱

350年代後半、外惑星治安統制統合宙域軍の管轄宙域内で当時の外惑星治安統制統合宙域軍の上層部がユースティティアに反旗を翻し一方的に外惑星を独立する旨の宣言を行う事件が発生した(タイタン事件)。これに対してユースティティアは反乱に加わらなかった外惑星治安統制統合宙域軍の大半の戦力や内惑星治安統制統合宙域軍の一部戦力を投入し反乱を押さえ込んだ。この事件は最終的にはユースティティア側の勝利に終わったが、この内乱によって外惑星治安統制統合宙域軍の宙域内の殖民惑星は荒れ果て、さらに組織を統括する者が居なくなった為、外惑星治安統制統合宙域軍内では組織内に幾つもの派閥が誕生した。これらの派閥は一つの植民惑星において数十の派閥も存在しており、その後、これらの派閥が各植民地惑星や宇宙空間において単なる組織内の派閥を超えて軍閥となり、当初は暗殺や謀殺などの事件が多く発生しただけだったが事態は悪化し外惑星治安統制統合宙域軍は名目上は同じ組織にも関わらず味方同士で戦闘や争いを行う状態へと陥り事実上の内乱状態へと突入した。この内乱はその後、約80年以上にも長きに渡って続く事になる。また、この80年間の間に人類の総人口は300億人を突破しその後も増加を遂げて438年の頃には365億人を突破。


・タイタンの統一と急速な軍閥の統合化

438年、土星の衛星タイタンにて主に少女兵と少年兵で構成された非常に規模の小さい弱小の軍閥が突如として急激に力を付け始めた。この軍閥は周囲の軍閥を吸収したり協力する形で急激に拡大し440年にはタイタンの半分を平定した。その後、残り半分を治めていた大軍閥に対してこの軍閥の司令官を務めていた男性将校の二メトン准将が大軍閥への従属を表明し合併。これによってタイタンは凡そ80年ぶりに統一された。この統一は外惑星治安統制統合宙域軍内での内乱において殖民惑星全土を初めて統一に成功した最初の一例となり、タイタンに誕生した統一惑星軍閥は事実上、その軍事力においては外惑星治安統制統合宙域軍内の陸上戦力では最大規模の戦力を保有する軍閥となった。その後、タイタン統一惑星軍閥は自分達に協力的な他の殖民惑星や宇宙空間の軍閥と協力して反抗的な軍閥を討伐してゆき外惑星治安統制統合宙域軍内での軍閥の統合化が急速に進められた。外惑星治安統制統合宙域軍内における内乱の詳細は「外惑星治安統制統合宙域軍軍閥戦争」を参照。


・帝国の建国

441年、タイタン統一惑星軍閥を中心に急速に統一化が進んだ外惑星治安統制統合宙域軍内での軍閥同士の争いは事実上の終戦を迎えた。各軍閥はタイタン統一惑星軍閥を中心に他の大軍閥と協調姿勢をみせ、海王星の衛星軌道上に存在する古都、ドーナツ型スペースコロニー・ネプチューン7にて、ついに外惑星治安統制統合宙域軍臨時最高司令部が設置された。これによって太陽系内の内乱は完全に終息するかに見えたが、しかし、外惑星治安統制統合宙域軍臨時最高司令部はユースティティアからの離脱を発表。442年、外惑星治安統制統合宙域軍臨時最高司令部はネプチューン7に国家議会の役目を果たす軍閥議会の設置を決定した。さらに外惑星治安統制統合宙域軍の解体と帝国の建国を宣言した。これはユースティティアからの完全なる独立宣言であった。


・帝国独立戦争

442年、地球のユースティティア本部は外惑星治安統制統合宙域軍の解体とユースティティアからの逸脱、帝国の建国を認めず、内惑星治安統制統合宙域軍の宇宙艦隊を木星宙域、及び太陽系第5惑星ミストの宙域へと集結させた。これに対して帝国側は新設した宇宙軍の派遣を決定。ミスト周辺の宙域及び、木星宙域へ進軍を開始した。両者の戦闘は444年まで続き、最終的には内惑星治安統制統合宙域軍の木星圏よりの退却へといたり事実上、帝国側の勝利に終わった。


・ユースティティアと帝国の冷戦

帝国独立戦争後、ユースティティアと帝国の主戦場はミストへと移る事となり、両者の睨み合いが続く事になった。両者はこれによって事実上の冷戦に突入した。両者は互いに軍備を増強し冷戦の後期には両者、宇宙艦隊の艦艇数が総合計で11万隻を超えていた。


・太陽系大戦の勃発

448年、ユースティティアと帝国の冷戦は帝国によるミスト地上侵攻によって大戦へと発展。人類史上初の人類同士による太陽系大戦が勃発した。戦闘は両者拮抗の状況となり帝国はミストを制圧後、火星を目指したがユースティティアの宇宙艦隊によって阻まれた。しかし、帝国の諜報員がユースティティアがフェンリルシリーズと呼ばれる大大戦時に開発され現代の技術では再現困難な兵器である戦略光速弾頭兵器を入手して使用しようとしているという情報を入手した事で、帝国は宇宙軍を火星を迂回するルートで地球へと進軍を開始した。この惑星を迂回するという方法は太陽系内の航行において非常に困難で危険な航海であったが、フェンリルシリーズを使用しようとしている情報は帝国側にこの奇襲作戦を実施させるに足りるだけの危機感をもたらせていた。しかし、この奇襲作戦はユースティティアによって察知され、地球と火星軌道の中間地点にてユースティティア宇宙艦隊は帝国の宇宙軍を迎え撃った。


・両陣営の崩壊と統一勢力の消滅

449年、ユースティティアと帝国は地球と火星軌道の中間地点にて一大決戦を行った。この決戦にユースティティアは宇宙艦艇を3万隻投入、帝国は宇宙艦艇を4万5千隻投入した。これだけの数の艦艇が戦闘をおこうなうというのは人類史上初めての事だった。これらの大戦力によって行われた一大決戦であったが、最終的な結果は両者共倒れという結果だった。しかし、この大決戦の終盤にユースティティアは戦略光速弾頭兵器を使用。海王星のネプチューン7に向けて準光速の速度で特殊金属弾頭弾を3発、発射した。さらにこの際、帝国側も地球へと向けてフェンリルシリーズの戦略光速弾頭兵器をモデルに開発を進めていた光速弾頭兵器を使用し5発の特殊金属弾頭を発射した。この両者の攻撃はほぼ同時に行われたとされ、両者の放った弾頭は発射地点より距離の離れたネプチューン7には時間差で命中しネプチューン7は全弾が命中し完全に崩壊、コロニーの住民は全員死亡した。一方の地球は弾頭が北米大陸に5発全弾が命中し地球全体規模の大地殻変動と磁極の逆転を発生させた。この攻撃によって地球は総人口の4分1が死亡した。この地球への攻撃について、オリジナルのフェンリルシリーズの戦略光速弾頭兵器が使用されていれば1発の弾頭が命中しただけでも地球の地表は完全に崩壊し地表の全生命は死亡、地球自体も太陽周回軌道から外れ最悪は地球が太陽系から弾き飛ばされる程の大被害をもたらす筈であったが、帝国が使用したのはオリジナルの戦略光速弾頭兵器ではなく独自に再現した物であった為、オリジナルが荒神の搭載兵器サイズであったに対して帝国の開発した物のサイズは帝国の標準艦艇2隻分にも匹敵する程のサイズであり、しかもその威力はオリジナルの弾頭速度の準光速速度には遠く及ばず、地球への被害は大地殻変動のみでとどめられた。しかし、これらの被害による影響は非常に大きかった。この戦闘によって両陣営は統一組織を消失してしまった。


・太陽系騒乱

両陣営の統一組織の消失は太陽系全体を混乱の渦へと叩き込んだ。帝国は指導部の壊滅によって再び軍閥が分裂し戦闘状態へと陥り一方のユースティティア内惑星治安統制統合宙域軍も地球の壊滅的被害と指導部の壊滅によって、かつての外惑星治安統制統合宙域軍の内戦時代の様に軍閥が出現し戦闘状態となった。451年、戦乱は広域に広がり、太陽系騒乱は勃発した。


しかし、この状況に太陽系大戦に参加せず、唯一組織による統率力が保っていた太陽系外縁部治安統制統合宙域軍はこれらの争いに巻き込まれぬように各殖民惑星に対して内側の太陽系各惑星への取引や渡航を全面禁止し事実上の鎖国に近い状況となっている。


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現在の状況


現在、太陽系騒乱は太陽系の第1惑星である水星から第10惑星の冥王星までの幅広い範囲の宙域で発生している。その主な範囲はユースティティア内惑星治安統制統合宙域軍と帝国の領域内であり、近年、国境なき記者団によって行われた最新の最も信頼のおける統計調査では現在、太陽系内に存在する軍閥の数は大小様々なものを含めると少なくとも1万106を超える状況となっている。


この中で、最も大きい勢力を有している軍閥は帝国宙域内の木星経済会である。木星経済会は350年代、外惑星治安統制統合宙域軍の崩壊と内乱が発生した当初に木星圏に成立した古い軍閥で、軍閥発足以前から木星圏を経済的に支配し事実上、ユースティティアからの支配を受けていなかった木星開拓企業連合が作った軍閥である。外惑星治安統制統合宙域軍軍閥戦争の時代も帝国の設立時も木星は何処からの支配も受けておらず中立の立場だった。木星経済会は中立ゆえにユースティティア、帝国の両勢力の木星圏の殖民惑星や基地への宇宙艦の入港などは一切許しておらず、そうした中立の立場が幸いし太陽系騒乱の時代でも比較的、安定した治安状態を保っている。しかし、木星側は木星圏のみの確保で良いと考えており他の惑星の混乱にはまったくといって良いほど関与していない。


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軍閥戦争で使用された主要な兵器


以下は軍閥の戦争において使用されている主要な兵器である。また、ミサイルなどの誘導兵器については大大戦時以降から永らく使用されていなかったが、一部の軍閥では独自に開発した誘導兵器を運用している所もある。


・荒神

荒神とは大大戦の時代に異生物を倒す為に開発され現在に至るまで使用されている最大全長約20mの人型戦闘機動兵器である。特筆すべき点は3点あり、1つは動力に重力炉と呼ばれる動力炉を搭載している点であり他の兵器とは違う非常に強力な出力を出す事ができる点と2つめは光学粒子学兵器への対策として反射装甲を有しているという点である。この反射装甲の搭載によって現在、惑星上における戦闘では光学粒子学兵器は全く使用されない状況が作られた。3つめは脳波制御によって動かされる為、操作にタイムラグが無い事である。


荒神は主に惑星地表部と宇宙空間での戦闘で使用され、惑星地表部では基本的に陸海上での戦闘に使用され陸海上での戦闘においては地上戦の覇者とも呼ばれた。荒神に対して、その他の地上兵器では、まともに対抗できる通常の兵器は存在しないとされる。宇宙空間における戦闘では主に宇宙戦闘艦の艦載機として運用されている。艦隊戦や艦戦の際には敵との接近戦の際に出撃する形で使用されている。宇宙空間における戦闘ではいくら対光学粒子学兵器の反射装甲を搭載しているとはいえ、艦艇に搭載されるレベルの高出力の光学粒子学兵器には精々、光学魚雷2発を防ぐ事ができる程度(光学魚雷はその大半が一度の射撃で1つの砲口から5発以上の光エネルギー弾が連続発射される)である為、現代艦隊戦闘の様な砲撃密度の高い環境では運用に問題をきたす事も多い。


・艦船

 ・宇宙艦艇

宇宙艦艇について太陽系騒乱では大きく分けて二つの種類の艦艇が主に使用されている。これらの艦艇は各軍閥の名目上の所属組織である、ユースティティアと帝国(旧外惑星治安統制統合宙域軍)のどちらかで建造されたかによって大きく違いを持っており、ユースティティア側が建造した艦艇は基本的に荒神に搭載された反射装甲よりも遥かに強靭な反射装甲を搭載した装甲艦である。装甲艦は装甲艦同士の戦闘を想定しており、ゆえに光学粒子学兵器は搭載されておらず砲塔から発射されるタイプの航宙魚雷などの実弾兵装が搭載されている。基本的に戦闘では長距離戦ではなく中距離での攻撃に使用される艦艇である。対して帝国側が建造した艦艇は旧式のもので反射装甲を有しない正面火力と光学粒子学兵器に特化した光学攻撃艦艇で、光学魚雷を多数搭載している。この光学攻撃艦艇は射程距離こそは装甲艦を上回り長射程を有してはいるが技術的には防御力においてはユースティティアの装甲艦の方が遥か上を有しており、この光学攻撃艦艇で装甲艦を撃沈するには5対1の戦力が必要と言われている。


 ・浮遊艦艇

浮遊艦艇は海王星や天王星で使用されている艦艇である。海王星や天王星は従来であれば風速が強すぎる為に人工物は存在しえない環境であったが、テラホーミングで使用される惑星地表環境制御衛星が設置された事によって地球の風速と大差ないレベルまで押さえられた事によって海王星や天王星への降下が可能となりその際に、地上が無い環境でも人類が居住を可能にする為に開発されたのが浮遊艦艇である。軍閥の戦闘ではこれらの艦艇に砲を搭載した艦艇や航空母艦が運用されている。


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人道問題


・未成年の兵士の増加

太陽系騒乱の勃発後、軍閥同士の争いが激化するにしたがって未成年の子供を兵士として扱う状況が常態化している。統計によれば太陽系内の軍閥における少年兵、少女兵の数は全体の軍閥の兵士達を年齢別にまとめた割合の内、4割から5割を占めているとされる。その多くは生まれて間もない頃から兵士としての教育を受けさせられた子供であったり、奴隷売買によって買われた子供たちである。未成年の兵士の年齢別の数では最も多いのは6歳から15歳に満たない子供達が非常に多い状況となっている。


・奴隷商売

奴隷商売はもはや水星から冥王星までの領域のほぼ全域で行われている。取締りを行っている軍閥もあるにはあるが、現状、その様な軍閥は数少ない。軍閥自体が兵士をこういった奴隷商売を通じて兵士を補充している為である。奴隷商売は基本的に子供を対象にしたものとなっており一例としては0歳から3歳までの幼児の一般的なレートは一人当たり約100Δίκη(100Δίκη(Δίκηの発音:ディケー)は円に換算して約1000円程)、4歳から7歳までの幼児のレートは一人当たり約500Δίκη、8歳から15歳までは約1000Δίκηとなっている。この様な奴隷を販売する市場は一般の都市部などにもかなり浸透しており、一般家庭や一般企業、マフィア、ギャングなどでも家政婦やメイドとして奴隷を買う場合や自分の子供として育てる場合、性的な目的や暴行、殺人をする目的で買う場合、臓器売買を目的で買う場合などが存在する。ただし、殺人をする目的の場合に関しては規制を行っている軍閥が非常に多い。また、留意する点として奴隷商売と一般的には呼ばれているがその実態は奴隷という社会階級が明文化されている訳ではなく、実態は人身売買である。その為、売却後は買われた先によってその社会的地位が大きく違う。


・違法ドラッグの蔓延

医療人権団体、太陽系医療騎士団が発表した内容によると、ユースティティア内惑星治安統制統合宙域軍と帝国の両領域内における違法ドラッグの使用者の数は78億人にも及ぶ。違法ドラッグは大人だけではなく子供にも広がっておりこの問題に関しては、永らく続く戦争で人道問題にはもは違和感を抱きにくくなってきている人々の間でも問題視され深刻な社会問題となっている。


・性病の蔓延

貧民層、奴隷、風俗、一部の少年兵や少女兵の間では性病の蔓延が発生している場所が少なからずの惑星で存在する。これは奴隷商売が一般化するにしたがって広がっており、大きな問題となっている。現代においては医療技術が発展している為、本来であればすぐに治療が可能な物が大半であるが、社会的弱者は金銭的な問題から治療を受けられない状況が多く存在する。


・人体の違法改造

人体の違法改造に関しては最も有名な物では少年兵や少女兵に対する人体強化用のナノマシン投与が有名である。ナノマシンには、神経抑制型、人体強化型、強修復型の三種類が存在する。神経抑制型は人間の痛覚を完全に遮断する物。人体強化型は荒神を含めた脳波制御型の兵器をより操作させやすくした物、もしくは人体の機能そのものを強化した物。強修復型は人体への損傷や病気などを修復する物。この三種類が軍閥では多用されている。しかし軍閥で使用されているナノマシンは安価で不完全な物が多く、ナノマシンの開発メーカーにもよるが、突然死のリスクがある物、成長を停止させる物、急激な成長と老化をもたらす物、慢性的な体調不良を発生させる物、生殖機能を失う物、などが大半である。


また奴隷関係にも人体の違法改造は存在し、奴隷の肉体改良や遺伝子改良による物も存在する。これには人類の総人口が戦乱の真っ只中にもかかわらず増加する由縁だといわれている物もある。所謂、人間牧場の存在である。奴隷商売を行っている多くの企業の中には安定的な奴隷の生産を目指して人間牧場と呼ばれる施設を運営している所が幾つかあり、生産用に選別した奴隷を女児の時に肉体改良や遺伝子改良を施す事によって、一度の出産に10から20人以上の人間の子供を生産ができる用に人体改造をする事があり、この様な改造手術を受けた奴隷の数は非常に多いとされる。この様な人体改造を施された者は人の姿を保っていなかったり、牛と人を混ぜた様な姿をしている事が多い。


上記の様な奴隷の人体改造が行われるまでは人間牧場では遺伝子改良によって生産用の女性の奴隷に受胎から出産までの時期を1週間から2週間程度まで短縮するなどの行為をしていた。しかし、この人体改造には問題が多く、その出産された子供が女児であった場合、母体の遺伝子改良の遺伝子が遺伝してしまった為、現在、このタイプの母体から出産され奴隷市場より販売された女児や女性が子供を持った際にその子供にも遺伝してしまう事例が相次ぎ、その人口が増えている。現在、奴隷商売の業者ではこのタイプを回収し殺処分する事も多い。しかし、購入者が回収を拒否した場合や軍閥などに買われた者は、回収不能となり回収による殺処分を回避した者も非常に多い。


・殺人強盗事件の増加

基本的に治安に関してはその地域を支配している軍閥が担当しているが軍閥の影響力が小さかったり弱小軍閥であった場合、治安が安定していない地域が多い為、殺人強盗事件が毎日の様に発生している。また、窃盗などの軽犯罪については慢性的に蔓延している。


・食糧問題

太陽系騒乱が激化するに当たって、多くの地域では軽微、深刻の度合いに関わらず食糧不足から生じる問題が発生している。この問題が最も深刻なのは地球であり、大地殻変動の影響もあって農作物が取りにくい状況となっている。しかし、意外にも殖民惑星の多くでは深刻と言うほどの食料不足問題は発生していない。理由としては殖民惑星には地球とは違い気象条件などに影響されない合成食物の生産工場が存在する為である。殖民惑星の大半は元々人間が住めない星だった場所が多く、それをテラホーミングで惑星地表環境制御衛星や大気の組成を変化させる装置を使って無理やり人間が生身でも生きていけるように変化させたものである為、これらの殖民惑星の大半の土地では植物が育たない場合が多く、その為、鉱物資源などの惑星資源を利用して生産工場で合成食物として生産しているのである。一方の地球、火星、コロニーなどでは合成食物ではなく天然の農産物に頼っていた為、この内、地球では深刻な食料問題に陥った。また、帝国では旧外惑星治安統制統合宙域軍の時代から軍閥同士の争いには暗黙のルールがあり、基本的に一般人や民間業者の軍閥支配領域間の往来は基本的に自己責任が伴うものの自由であった。これによって戦乱の最中でも市場は動いていた為、深刻な食糧問題にはなりにくい環境が整えられていた(業者は私兵や傭兵を雇う、もしくは軍閥に対して根回しをするなどをして身を守っている。これらの業者を武装行商人と呼ぶ)。一方でユースティティア内惑星治安統制統合宙域軍の領域では、この暗黙のルールそのものが存在しない地域が非常に多いため食糧問題や物資不足の問題などがある地域が存在する。


・違法労働

いくつかの軍閥では民間人を不当に働かせ収益を上げている軍閥も存在する。


・識字率の低下

太陽系第1惑星から第10惑星までの範囲内に居住する18歳未満の児童の識字率は15%以下とも言われ非常に深刻な問題となっている。これは教育機関に通える子供が少なく、さらに少年兵や少女兵の場合は、兵士としての教育は受けても読み書きの教育を受けていない者が非常に多い為である。


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太陽系人口増加傾向調査


太陽系の人口増減を調査した国境なき記者団の報告によると、人類の総人口は太陽系騒乱の戦乱の真っ只中にも関わらず、人類の人口は毎年急激に増加の傾向にある。地球が大地殻変動によって地球の当時の地球人口58億人内、4分の1の住民が死亡した後、太陽系の総人口はその分減ったはずだが、現在、既に太陽系の総人口は最盛期の総人口まで回復しさらに増加の傾向を見せている。増加の理由はいくつか考えられるが、最も大きい理由は、戦争にあるとされる。これは子供が軍閥戦争によって消耗品として消耗され、それを消耗した場合、軍閥はそれを補充しようとする為、それを供給する奴隷商売等の業者が商品不足にならない様に人間牧場を利用して効率的に需要に合わせて子供を多産している事が大きい。また、軍閥内では兵士が結婚し子供を作る環境が整い子供を実際に作る場合、4人から6人と多く子供を作る傾向が非常に強い。この状況は所謂ベビーブームの様な状況でこの様な事が様々な場所で慢性的に発生している。この理由にも軍閥戦争が大きく関わっておりこういった家庭は親子共々軍に属している事が多い。これには生まれた子供達は、はたして大人になるまでに何人が生き残る事ができるかという数の原理が働いているとも言われる。


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統一組織意識


通常、人類の歴史を見てここまで軍閥が誕生し長期間に渡って戦乱が続いている時代は存在しない。歴史学的に通常、この様な長期にわたって一定の地域を治める勢力は軍閥では無く、国家という物を建国しようとする事が多い。しかし、現在までに1万106を超える軍閥が存在しているが、そのどれもが自らをユースティティア内惑星治安統制統合宙域軍や帝国の正規軍であると主張している。国家の樹立宣言を行った軍閥は過去の例を見ればあるが旧外惑星治安統制統合宙域軍を解体して誕生した帝国を抜かせば、その数は10にも満たない数である。しかも、そのいずれの国家樹立宣言を行った勢力は、その周囲の各軍閥によって反政府行為、テロ組織の討伐、反乱行為と主張され各軍閥からなる連合軍によって討伐さている。この討伐の際には敵対している軍閥でも連合を組み国家の樹立宣言を行った勢力を討伐している。その為、現在に至るまで独立国家を主張する勢力は存在せず、ユースティティア内惑星治安統制統合宙域軍や帝国はもはや国家や治安組織の体を成してはいないにも関わらず、名目上は現在に至るまで存在し続け、軍閥抗争という形をとった戦争が続いている。


これについて、なぜ、独立国家が誕生しないのかという疑問については多くの人々の意識下に統一組織意識という物が存在している為だと言われている。目に見える物としては軍服や制服である。ユースティティアや帝国では内部分裂によって軍閥が幾つも分かれてもなお、ユースティティアではユースティティアの正式軍服や制服を、帝国では帝国の正式軍服や制服を未だに使用している。これは軍閥の兵士達の意識下もしくは無意識下に自分達はユースティティアや帝国の軍人であるという意識がある為、それが軍服や制服といった形で現れているとも言われている。


しかし、一般人の間では軍閥戦争が続く原因の一つとして、これらの統一組織意識を問題視する意見も存在する。しかし、この意見には反対意見があり、統一組織意識は人類が結束している唯一の意識であるという意見も非常に多い状況となっている。


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― 新着の感想 ―
[一言] フェンリルの箱舟の答えこれでしたか。 別次元へと意図せず送られたようですね。 この記事も中々面白いです。軍閥による宇宙戦国時代といった感じですね。
感想一覧
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