表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/181

事例██████ - ウィキパディア内で削除されたページ

メモ


やぁ、ひさしぶりだね。

私だよ。

今回は少し私の方からの直接的な連絡が遅れてしまったようだ。

許してもらいたい。

と言っても私としたことがここ数週間、彼らに私の滞在場所がバレてしまった様でね。

絶賛追われている状況だ。

流石に街中で襲撃されるとは思わなかったが、やはり持つべきものは味方だ。

君も覚えておくといい。世界の一部の国では特殊な人身売買が未だに行われている国があってね。いざと言う時には非道と思うかもしれないが、こういうものを利用するのも手だ。

傭兵を雇うという手もあるが彼らを相手に逃走しようとしたら、いつまで続くか分からない。

傭兵は強ければ強いほど定期的な利用料が高くかかるが、一度買ってしまった者には食費や滞在費が少しばかり増えるだけで傭兵ほどではない。

つまりはその時の自分の状況を見て財布の事情との相談という訳だ。

ただ、誤解しないでもらいたいが、もしそういう反社会的なシステムを利用するのだとしても、なるべく自分の身を守ってもらう相手には最大の敬意を持った方がよい。

自分をまだ善良な人間だと思いたいのであれば、人間には人間の扱いをした方が私は良いだろう。

下手な事をすれば、いつ後ろから撃たれるか分かったものではないからね。

だからと言っては何だが一応、私と彼女は今の所、良好な関係だよ。

私は敬意を持ってあの年端も行かない彼女と接しているからね。

恐らく彼女は生まれてから今までまともな環境には置かれていなかったのだろう。

文字すら覚えておらず全身は痣だらけで着ている服もボロボロといった様子だったからね。

彼女は私が彼女を一人の人間として接している事にとても驚いていた様子だったよ。

こちらとしてもこの反応はすごく良い事だった。

この方が彼女の思考を上手くコントロールできるというものだ。

私は彼女からの人心を掌握する事で自身の身を彼女に守ってもらう事ができ、一方で彼女は私が居る事によって一人の人間となる事ができるのだ。

つまりは利害の一致、もしくはWin‐Winの関係という事だろう。

世間一般の価値観とは全然かけ離れているがね。

だが人心の掌握という物がいかに重要なのかは分かるだろう。

君もぜひ、いざと言う時には参考にすると良い。


と言っても、私の状況は今、少し切羽詰っていてね。

私は今は何とか隠れているが、ここが見つかるのも時間の問題だろう。

君にこのメッセージが届いている頃には恐らく私は無事に逃げているか、あるいは……。

まぁ、それはこのメッセージの後に私からの連絡があるかないかで君が判断してくれ。

君はもう分かっているとは思うが、もし、私に何かがあったと思ったときはすぐに荷物をまとめて逃げたほうが良い。

正直言って彼らから見れば君の重要度は低い。

私は彼らの元でそれなりの地位にいたからよっぽど運がよければ殺されることは無いかもしれないが君はどうか分からないからね。

これに関しては今でも君には申し訳ないと思っている。

だが、君も自身の判断でここまで私に付いてきてしまった訳だ。

覚悟はした方が良いだろう。

本当なら君から私への連絡ができれば良いのだが……残念ながら、このメッセージの送信システム上それは不可能に近い。

だが、私は君の事をある程度は信頼している。

私は君の顔も声も性格も性別も君が如何なる方法を使って私のメッセージを受信しているのかも何も知らない訳だが、君は私の情報を彼らに知らせなかったはずだ。

知らせる方法が無いという可能性、もしくはこれをただの創作小説か何かだと思っている可能性もあるが、後者なら私から言う事はもう何も無い。精々、創作話だと思ってそのまま謎解きを続けると良い。一応、私は君が後者ではない事を祈るよ。

だが、いずれにせよ、どのみち君には彼らと連絡を取るという選択肢は取れないはずだ。それは例え君が彼らへの連絡手段を手に入れたとしても……。


いや、脅すような事を言ってすまない。

私も疲れてしまっているようだな……。

忘れてくれ。


さて、それでは本題に移ろうか。


今回、君に送る情報はウィキパディア内で発見された削除されたページの情報だ。

彼らを刺激しないように直接的な答えは今回も言う事はできないが、見ず知らずの私にここまでついて来てくれた君なら必ずやウィキパディアの真実を理解してくれると信じている。


私は君を信じているよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ