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人工妖精 ‐ ウィキパディア

ウィキパディア-フリー百科事典

ページ/ノート

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人工妖精

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人工妖精とは2110年代にスイスの世界最古の時計メーカー、ブランパンがナノマシン工法を利用して開発した世界初の機械式の超精密ロボットである。オートマタ、自動人形、機械人形とも呼称される。人工妖精は人間と同じ心と精神構造を持ち外見も人間と同じ様に作られるため世界各国で人権が認められる数少ないロボットとなっている。


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概要


人工妖精は2110年代にスイスの時計メーカー、ブランパンのロボット開発部門が開発に成功した世界で初めての機械式の超精密ロボットである。人工妖精の内部には億にも及ぶ機械部品が使用され頭部には量子コンピューターを使用した人工知能が搭載されていた。機械技術と電子技術の融合の産物とも言える技術であり、日本で言うカラクリに非常に近い技術である。しかし、その使用された技術水準はカラクリを遥かにしのぎ人間的動作をほぼ完璧に再現した。ブランパンのロボット開発部門は人工妖精の理論を確立させた当初、時計技師の通常の製法による製作を目指したが試作機の1体以外の全ての製作に失敗した為、機械部品の製作にナノマシン工法が採用された。これにより機械部品の全てをナノマシンによって作成される事になり製作の成功率はほぼ100%にまで高められた。


人工妖精の発表は全世界の技術者に大きな衝撃を与えた、人工妖精は世界で初めての超精密の機械式ロボットであり、しかもこれまでは技術的に困難とされていた人間の再現をほぼ完璧に実現した。人工妖精の開発は機械式技術の最高峰であるとロボット開発メーカーのみならず世界の時計メーカーから賞賛されこの技術は2198年現在に至るまで塗り変えられてはおらず、これ以上の機械式ロボットは登場していない。また、ナノマシン工法によって開発コストが大幅に抑えられた為、人工妖精は世界的に普及し女性型、男性型問わず大量に生産されている。


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知能と寿命


人工妖精の頭脳である頭部の量子コンピューターは人工妖精に関する国際条約に基づきその性能は人間の脳と同じ処理能力と定められており多くの個体が人間と同じ知能を有している。


寿命に関して人工妖精には基本的に寿命という概念は存在しない。消耗した部品を適切に補修、交換、修理する事でその耐久は半永久的であるとされる。しかし、機械式である為に定期的な調整などをしなければ身体に大きな不調を起こし故障する原因となる。


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食事


ロボットは基本的に人間と同じ食事は出来ないが2153年に味覚のデータ化技術が確立した事によりホログラム技術とホログラムを感覚認識する事ができる技術を併用する事で人工妖精も擬似的な食事の摂取を可能とする方法が確立されている。


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人権の付与


人工妖精の登場以前、ロボットや人工知能に対して人権を与える議論は多く存在していたが実際に人権を与えた国はヨーロッパではスウェーデンやノルウェーなど僅かな国のみに限られていた。しかし、人工妖精に関しては他のロボットとは違う道を辿った。人工妖精の技術が確立し人工妖精が大々的に世間に登場するようになると世間の人々はその驚異的なまでに人間を再現したロボットの出現に驚愕した。人工妖精は登場と同時にスイスとフィンランドで人権が認められ、人工妖精が大量生産されるようになった2120年代に入ると2121年には超少子高齢化に悩まされ人口の激減期に突入していた日本国において人工妖精の人権を大幅に認め国内で大量生産し国民の増産を行うようになると、これを皮切りに世界各国で人工妖精への人権付与が認められるようになった。2198年現在では38カ国の国家において人工妖精の人権が認められている。


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問題


人工妖精は人権が認められたがその事が原因で世界各国で大きな問題が生じている。これは殆どが人権に関わる問題で世界各国において議論されている。以下は国際社会で大問題となった人工妖精に関する問題である。


・人工妖精の販売と人身売買

現状、人工妖精は世界各国のロボット製造会社において大量生産が行われているが、そこで大量生産された人工妖精は小売店に出され売却される。この事に人工妖精に対して人権を認めている国家の一部団体からは人身売買だという批判が出されている。しかし、人工妖精はあくまで人権が認められた工業製品であり、販売を禁止したり制限した場合、経済的にも大きな問題が生じる為、この問題を規制する国家は今の所存在しない。


・人工妖精との結婚と子供の問題

人口妖精と人間の結婚は現状、スイス、フィンランド、日本、イギリス、ラトビア、台湾、トンガ王国において認められているがこの結婚問題に関して結婚を認めていない他の国からは現在結婚している人工妖精の内、人工妖精が世界に登場した初期において結婚した人工妖精の大半は購入者との結婚である為、これは人身売買であるという批判が存在する。また、宗教上の理由から結婚を認めていない国も多い。


人工妖精と人間の結婚が認められた国において人工妖精と人間との間に子供を設けられるかという問題も存在する。子供を仮に設けるならそれは新たに人工妖精を家族に加える事にするのか。もしくは養子を取れるようにするなどである。この問題について世界で最も人工妖精の人口が多い国家の一つである日本国では人工妖精と人間が結婚した場合、子供として幼児型の人工妖精を新たに購入できる制度を設けている。その為、日本国では人工妖精と人間の結婚が非常に多い状況となっている。


・導入国の少子化

人工妖精に人権を認め結婚の制度を導入している国家の多くでは近年、人工妖精の人口が年々増加し逆に人間の出生率が低下する現象が発生している。こうした人間の出生率の低下は人類不要論を出現させるなど各国で問題となっている。例外は日本であるが(日本国では人工妖精の人口は多いが人間の出生率低下は発生していない)日本は二の星の影響もある為、他の国とは比較の対象にはできない。


・人類不要論

人工妖精の人権が認められ半世紀以上の月日が経過した今日において人工妖精の人権を認めた一部の国家では人類不要論という思想が出現している。人類不要論はトランスヒューマニズムからの派生思想の一種であり、これは肉体的にも遥かに劣る人類を人工妖精へと置き換える事で最終的には全ての人類を人工妖精とすることで人類は寿命という概念から解放されるという思想である。イギリスにおいてはピトケアン諸島の島民がイギリスのトランスヒューマニズム団体の資金援助を受けて人工妖精を島民が受け入れていった結果、現在では人間の島民は子孫を残さすに自然消滅し全ての島民が人工妖精となった。太平洋の島国であるトンガ王国では人工妖精導入後、人間同士の結婚数が減少し逆に人工妖精との結婚数が増加し最終的に総人口の約13万の内、70%が人工妖精となった。トンガ王国の人工妖精が総人口を占める割合は世界屈指であり現在では、このままでは民族が滅亡するとして国王が人工妖精の規制に乗り出したが民間のシンクタンクが行った世論調査では現状、トンガ国民の多くが人工妖精の人口増加に肯定的な意見を述べている。トンガ王国は人類不要論を主張している国ではないが人類不要論者はトンガ王国を先進的人類不要論国であるとしている。


こうした人類不要論の出現の原因について反人工妖精の世界最大の国際団体である世界民族保護連盟では今日の人工妖精人口の激増の原因は人工妖精の姿と性格にあると指摘している。この指摘によると人工妖精はほぼ全ての個体が人工妖精と名前にもあるように皆一様に妖精の様に美しいと形容されるような姿と性格をし人間の趣味趣向によって様々な姿に適応した個体が大量に量産され、しかも、その容姿は一人一人違う姿であり1体として同じ姿の個体は存在しない事から、人間から見て人工妖精は他のロボットとは違い人間的にも性格的にも魅力的に見える事が人類不要論が出現する大きな要因だとしている。


・日本国内戦での人工妖精の兵器化

2172年以降、日本国では二の星の影響によって地方分権戦争と呼ばれる事実上の内戦状態にあるが、国連人工妖精人権監視委員会は日本国での内戦において一部の人工妖精が事実上の兵器といて運用されているとして日本国を非難する発表を行っている。日本国では2172年以降、二の星の影響によって地域へのナショナリズムの高まりによって各道府県同士で激しい戦争をしているがその戦争において全ての道府県の有する軍が人工妖精を軍へ入隊させている。中でも日本の道府県の部隊には零距離砲兵と呼ばれる特殊部隊が存在している。零距離砲兵とはその兵員の大半が人工妖精によって構成され零距離砲と呼ばれるブースターエンジンが搭載された人間では義体化無しでは使用することが出来ない大剣を運用し接近戦を担当する兵である。この零距離砲兵は作戦行動時に意図的に人工妖精のリミッターを解除する事で運用されておりこれによって蒸発現象が発生する事から「現代に現れたカミカゼ」と大きく非難されている。しかし、現状、日本国はこの問題は各道府県の自治に関わる問題であり介入は出来ないと国連人工妖精人権監視委員会の報告を認めていない。


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蒸発現象


蒸発現象とは日本国において初めてその現象が確認された人工妖精特有の現象である。この現象を国際的に最初に認知したのは国連人工妖精人権監視委員会の調査であり、蒸発現象は零距離砲兵などが零距離砲を持ち作戦行動を行う際に確認された。蒸発現象が発生すると人工妖精の体からは霧状の光が出現し走るなどの移動などをすると、まるで本物の妖精の様に見えるようになる。現在までに蒸発現象による発光は翠色、青色、赤色などの霧状の光が確認されている。この現象は普段は体力を人間並みに抑えている人工妖精の安全装置を設計段階や改造などによって排除する事で、その性能を限界まで引き出す所謂、リミッターの解除状態(マキシマイズや妖精化とも呼ばれる)を意図的に発生させる事で発生する。このリミッターの解除状態の際は人工妖精は人間の能力を遥かに超える圧倒的な力を見せる事ができるが、この蒸発現象の発生の原因は人工妖精に使用されている機械部品のナノマシンが短時間で過度に消耗する事により空気中に拡散、蒸発する為に発生する。その為、蒸発現象を発生させた人工妖精は蒸発現象を発生させた総時間、平均凡そ48時間を超えると身体機能に異常をきたし、また、蒸発現象の限界である総時間平均168時間を超えると身体機能が停止し死亡する。48時間以上の蒸発現象を発生させた人工妖精は修繕の為にオーバーホールが必要となる。2198年現在、日本国における内戦では蒸発現象を伴うリミッター解除を行う人工妖精の特殊部隊の活用が常態化している。


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二の星との関連性について


人工妖精の技術についてそのあまりにも突出した技術である事から2105年に出現した二の星との関連性を疑う科学者が多く存在する。その大きな理由として人工妖精の開発会社であるブランパンのロボット開発部門の研究者の一人が2109年まで日本国籍を有し日本で居住していたスイス人であった為である。この研究者がスイスに戻りブランパンのロボット開発部門で最初に人工妖精理論を提唱し主導し人工妖精の技術を完成させた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 以前の日本内戦に関連する内容ですね。 人工妖精とはこれ人としてのあり方にまで関係してくると考えてもいいですね。暴走状態も今後内戦でなく国家間戦争になれば有用なものとなりそうですね。 二の…
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