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並行地球人拉致事件 ‐ ウィキパディア

ウィキパディア-フリー百科事典

ページ/ノート

―――――――――――――――――――


並行地球人拉致事件

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並行地球人拉致事件(スペイン語:Terricola Paralelo casn de secuestro)は、キューバ共和国とエルゼリオス帝国との間で勃発したエルゼリオス戦争中の2053年9月7日に発覚したエルゼリオス帝国による並行宇宙の地球人の拉致事件の事である。被害者数は少なく見積もっても10万人以上だと見られている。


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目次


1.概要

2.発覚

 2.1エルゼリオス戦争

 2.2レオリニユスの戦い

 2.3キューバ革命軍による保護

 2.4投降グループの証言

3.実態調査

 3.1戦時中

 3.2戦後

 3.3英雄墓地の調査

4.戦後処理

5.保護


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概要


[日本語]:並行地球人拉致事件( へいこうちきゅうじんらちじけん )、[スペイン語]:Terricola Paralelo casn de secuestro 、[ポルトガル語]:Terráqueo Paralelo caso de sequestro、[英語]:Parallel Earth People abduction case、[ロシア語]:Параллельные земляне случай похищения、[ベラルーシ語]:Паралельны зямлянін справа аб выкраданні、[ウクライナ語]:Інцидент паралельного викрадення землян、[中国語]:平行地球人綁架案、[ベトナム語]:trái đất song song trường hợp bắt cóc、[フランス語]:terre parallèle cas d'enlèvement、[ヒンディー語]:समानांतर विश्व अपहरण का मामला 、[アラビア語]:عالم موازي قضية الاختطاف、[インドネシア語]:alam semesta paralel kasus penculikan、[ウルドゥー語]:متوازی کائنات اغوا کیس、[スワリ語]:ulimwengu sambamba kesi ya utekaji nyara


並行地球人拉致事件は、キューバ共和国とエルゼリオス帝国との間で勃発したエルゼリオス戦争中の2053年9月7日に発覚したエルゼリオス帝国による並行宇宙(平行世界、異世界とも言う)の地球人の拉致事件。被害者は10万人以上と推計されている。


エルゼリオス戦争におけるエルゼリオス帝国本土の戦いであるレオリニユスの戦いにおいて、事件が発覚し、エルゼリオス帝国が長年に渡って古代リオーネテス人の空間魔法陣を用いて複数の並行宇宙の地球世界から勇者や英雄と称して地球人を拉致、徴用している実態が明らかになり大きな問題となった事件である。


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発覚


・エルゼリオス戦争

2030年3月3日にエルゼリオス帝国がキューバ共和国のプンタ・デ・マイシに突如として侵攻してきたプンタ・デ・マイシの戦いに始まり、2055年4月15日にエルゼリオス帝国がキューバ共和国に無条件降伏を行うまで続いたエルゼリオス戦争において、キューバ革命軍は2051年から続いたエルゼリオス帝国本土での戦闘で通常の異星人類よりも遥かに強靭な戦闘能力及び魔法戦闘能力を持った集団に遭遇し大きく苦戦した。


この集団は様々な雑多な人種、十代の少年少女を主体とした様々な年齢層によって構成されているという特徴の他、異常な戦闘能力及び魔法戦闘能力を持っている事がその特徴に挙げられた。この集団は数十kgもある様な鎧を着た状態でも難なく走る事ができ、その脚力は全身に鎧を着ている状態でも優に陸上選手に匹敵もしくは圧倒する記録を出す事ができた。


また、この集団が扱う武器は他の一般異星人類が扱う物と物理的には同じであり、剣や槍や弓や魔法の杖などであったが、この集団が扱うこれらの武器は地球の物理学を超越した威力を発揮した。剣や槍や弓では通常、装甲車の装甲を貫く事は不可能である。しかしこの集団はそれを可能とした。また、この集団が扱う魔法攻撃は非常に威力が高く、一部は榴弾砲の威力にも匹敵した他、一般異星人類の能力を上昇させる魔法や、負傷者や病人に対して現代医療を超越した回復を行う魔法も存在した。


この集団をエルゼリオス帝国では一般異星人類で構成された各部隊へと人員を振り分ける事で軍全体の能力の底上げを行っていた。これにより、この集団がもしも存在せず、さらには魔法の存在を除けば精々、中世ヨーロッパの水準でしかなかったエルゼリオス帝国軍の軍事力が大幅に向上し、キューバ革命軍の軍事力には及ばないものの、それでもキューバ革命軍にダメージを与える程の強力な軍隊を形成していた。


この集団の存在にキューバ革命軍は大きく苦しめられた。この集団を構成する1人辺りの戦闘能力は非常に強力であり、戦時中にキューバ革命軍を管轄する革命軍省が算出した分析では、200m圏内でお互いの存在を正確に認識できる状態で戦闘を行った場合、この集団を構成する1人の兵士を倒すのには最低でも15人の兵力が必要であると見積もられた。


キューバ陸軍はまともに正面からこの集団に属する兵士と衝突するのは危険であると考え、戦時中は偵察部隊による狙撃戦術を展開した。この集団に属する兵士は一目見ても他の一般異星人類の兵士よりも上等な装備を着ている事や、人種構成が一般異星人類とは違っていた為、狙撃兵はその様な兵士を優先的に射殺(ライフルによる狙撃だけでなく迫撃砲や無反動砲による砲撃も行われた)し無力化する事でできる限り、正面衝突を退ける戦術が採られた。その為、エルゼリオス戦争は別名で狙撃戦争とも言われる。狙撃兵の活躍により、戦時中、キューバ革命軍の通常歩兵の犠牲者数は最小限に抑えられたと考えられる。しかし、その代償として戦時中、最も戦死者の割合が高い兵科は狙撃兵となった。


エルゼリオス帝国はこの集団を聖騎士隊と呼ばれる皇帝直属の部隊の所属とし、帝国政府から一般市民に至るまで、その存在は広く認知されていた。エルゼリオス帝国人はこの集団の事を勇者や英雄と呼んでいた。


・レオリニユスの戦い

2051年、キューバ革命軍はエグゼニナ王国の協力の元、エグゼニナ王国から提供されたガレオン船や、エグゼニナ王国の帆船技術者の協力の下、キューバ革命海軍が建造した輸送帆船を使用した事でエルゼリオス帝国本土への大規模上陸作戦が始まった。それまで、燃料不足や艦船不足によって外征能力を殆ど有しておらず、事実上、沿岸防衛しか出来なかったキューバ革命軍は状況を打破しエルゼリオス帝国本土への直接的な反撃を開戦から20年経ってようやく実行する事に成功した。このエルゼリオス帝国本土への大規模上陸作戦は5年もの歳月をかけて準備された。


エルゼリオス帝国海軍との海戦を経て、エルゼリオス帝国の本土へと上陸を果たしたキューバ革命軍はエルゼリオス帝国の首都クルセン=アエリドルフを目指し進撃し各地でエルゼリオス帝国軍と激しい戦闘となり、エルゼリオス帝国の本土には戦線が構築された。


レオリニユスの戦いはこのエルゼリオス帝国本土における戦いの後半に起こった戦いである。2053年8月31日、エルゼリオス帝国領のレオリニユス地方へと到達したキューバ革命軍はエルゼリオス帝国軍及びこの地の領主であるエバーハルト・フォン・ジーメンス男爵領軍と衝突した。この戦いは同年9月20日まで間続き、キューバ革命軍がレオリニユス地方の中心都市ルクエタを占領した事でキューバ革命軍の勝利に終わった。


この戦いにおいて、エルゼリオス帝国軍とエバーハルト・フォン・ジーメンス男爵領軍はルクエタを中心に防衛線を構築し、近隣の森林地帯等の地形の他、魔法で掘削した地下トンネルや塹壕を駆使した徹底的な防衛戦闘と後述する聖騎士隊の人員による機動部隊を展開した。互いの兵力状況はキューバ革命軍が革命陸軍の部隊を約5万人、投入し、対するエルゼリオス帝国軍及びエバーハルト・フォン・ジーメンス男爵領軍が7万人の兵力を投入した(エグゼリオス帝国軍の兵力が凡そ5万人、エバーハルト・フォン・ジーメンス男爵領軍の兵力が凡そ2万人だったと推計される)。


レオリニユスの戦いは他の多くの戦線の様に歩兵を中心とした戦いが展開された。エルゼリオス帝国軍とエバーハルト・フォン・ジーメンス男爵領軍には魔法があり一部は先に記述した様に地球科学技術文明の水準を超える力も持っていたが、基本的には中世ヨーロッパに準じる様な軍隊構成や装備構成であった為、歩兵が中心的な戦力であり、最も機動力の高い部隊は騎兵部隊だった。対してキューバ革命軍はエルゼリオス帝国の勢力とは違い、戦車、自走砲、兵員装甲輸送車、トラック、自動車、ヘリコプター、戦闘機など、地球科学技術文明の兵器を多く所持し運用してはいたが、キューバ共和国の石油自給率は国内から採れる油田だけでは僅か40%程度であった為、軍全体に必要な燃料の供給ができず、エルゼリオス帝国本土での戦いでは一部の優先的に燃料供給を受けていた機械化部隊を除いて、多くの戦線では歩兵を中心とした戦いを展開していた。このキューバ革命軍の状況はレオリニユスの戦いにおいても同じであり、レオリニユスの戦いにおいてキューバ革命軍の部隊は歩兵を主体とした戦闘を行った。


キューバ革命軍はAK‐47やAKM等の自動小銃の他、機関銃、重機関銃、ドラグノフSVD等のライフル銃、自動拳銃、AGS‐17等のグレネードランチャー、RPG‐7やSPG‐9等の携行ロケット砲や無反動砲、M‐41/43やM‐38/43等の迫撃砲、少数の対空機関砲、少数の牽引砲、少数の軽航空機を主体とした装備編成の歩兵部隊を多くの戦線で投入し、輸送にはエグゼニナ王国やモルテナ王国から提供された馬や牛が利用された。なお、軽航空機には偵察機及び軽攻撃機として、690ccの草刈り機のエンジンを採用した非常に簡易的な単座単葉攻撃機アルミーニオⅠが牽引式火薬式カタパルトや現地の草原など障害物の少ない場所を利用して少数が運用された。アルミーニオⅠはRPG‐7系弾頭を運用できTBG‐7Vを最大で10発搭載する能力があった。


レオリニユスの戦いは、勃発当初からキューバ革命軍の優勢で戦況は推移したが、他の戦線と同じく、勇者や英雄と称されるエルゼリオス帝国軍の聖騎士隊に属する部隊員を用した部隊の存在によって戦況は圧倒的な優勢と言うよりも、膠着よりの優勢といった様相だった。


エルゼリオス帝国軍はレオリユスの戦いにおいて、聖騎士隊に属する勇者や英雄と称される部隊員を他の戦線と同じく、一般異星人類の兵士によって組織される部隊に平均で1万人辺り、戦士1名、重騎士1名、弓兵1名、戦闘魔法使2名、支援魔法使2名の比率で派遣していた。これとは別にレオリニユスの戦いでエルゼリオス帝国軍は聖騎士隊の戦士3名、重騎士3名、弓兵2名、戦闘魔法使1名、支援魔法使3名と一般異星人類の兵士1,000名からなる機動部隊を編成していた。


キューバ革命軍は特にこの機動部隊の存在に悩まされ、機動部隊はレオリユス地方における各防衛線を機動的に転戦し積極的な攻撃を行う事でキューバ革命軍に損害を与えた。なお、この機動部隊はキューバ革命軍を大いに悩ませたが、エルゼリオス帝国軍側もキューバ革命軍の狙撃戦術に悩まされ、負傷者や死亡者を出した。欠員者が出た場合、後方配備の聖騎士隊員から引き抜かれ補充される事や、聖騎士隊より補充要員が送られた。


・キューバ革命軍による保護

2053年9月7日、聖騎士隊に所属して2年目となるアメリカ人少年のトミー・ショーン(当時17歳)はエルゼリオス帝国の戦況の悪化により通常3年間の訓練課程を短縮され、この日、初めて最前線に投入された。戦士として戦地に赴いた彼は、戦闘中にキューバ国旗を目撃し、自分達が戦っているのが地球国家である事を初めて認識した。


エルゼリオス帝国は聖騎士隊の隊員達に対して、キューバ共和国の事を、あくまで自分達の世界( ドラゴスペル )の機械文明国家で悪の帝国であると説明していた(なぜ、聖騎士隊の隊員がキューバの存在を認知できなかったのかについては後述の項目で解説)。


トミー・ショーンは自分と同じ部隊に属する同じ聖騎士隊の隊員、ロシア人少年のヴィタリー・クラコフ(当時18歳)、ウクライナ人女性のユリーア・ポンスカヤ(当時16歳)に自分達が戦っているのはドラゴスペルの国家ではなくキューバだと説明し、この戦いは何かがおかしいと説明した。


3名は議論の末、キューバに救助を要請する事を決定し、エルゼリオス帝国軍の隙を見て夜間に陣地を脱走し、キューバ革命軍に白旗を上げて降伏の意志を示しながら現地部隊に保護を要請した。キューバ革命軍はこの投降の要請を受け入れ、3名を完全武装解除の上で保護した。


・投降グループの証言

キューバ革命軍にとって、この投降してきた3名は非常に重要な情報源となった。キューバ革命軍はこれまで一般異星人類の捕虜などは得る事はあっても聖騎士隊メンバーの捕虜は一度も確保した事が無かった為である。キューバ革命軍は3名をすぐに後方の作戦司令部へと輸送し、そこで取り調べを行った。


3名は取り調べに対して非常に協力的であり、キューバ革命軍側の質問に対して可能な限りの回答を行った。3名は聖騎士隊のメンバーは殆ど全員がドラゴスベルの出身者ではなく古代リオーネテス人の空間魔法陣によってドラゴスベルへと召喚された多数の地球人だと証言し、召喚後、エルゼリオス帝国から聖騎士隊への入隊を半ば強制された上で、そこで軍事訓練を受けさせられ、訓練後にはエルゼリオス帝国軍の各部隊へと派遣されていると述べた。また、3名は自分達の国籍や生い立ちの情報も証言し自分達がアメリカ人、ロシア人、ウクライナ人である事を語った。


この取り調べにより、キューバ革命軍は戦争勃発後、初めて、エルゼリオス帝国が地球人を召喚魔法によって地球から拉致し戦力として使っている事を知り、実態のさらなる解明に向けて調査を進める事になった。


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実態調査


・戦時中

3名の投降を受けてキューバ革命軍を管轄する革命軍省(Ministerio de las Fuerzas Armadas Revolucionarias)は調査委員会を立ち上げ、エルゼリオス帝国による地球人の拉致に関しての調査を開始した。調査は当初、3名の証言を中心に調べる形で行われ、その後は3名の協力を得て勇者や英雄と称されている聖騎士隊のメンバーである3名の能力テストなどが行われた。


3名はこの時の証言で嘘は付いていなかったとされている。しかし、当時は3名の証言について、革命軍省は不信感を抱いていた。その理由は3名の証言に整合性が合わない点が多々見られた為である。


アメリカ人少年のトミー・ショーンはキューバ革命軍に降伏を決断した理由について、キューバ国旗を目撃したらからと回答したが、キューバ革命軍はキューバと対立するアメリカの国民がキューバ国旗を目撃して保護を求めるのかと疑問を呈し、これに対してトミー・ショーンはキューバはアメリカの同盟国だからと意味不明な回答を行った。それ以外にもトミー・ショーンはキューバとアメリカが長年の友好国との趣旨の証言をした。トミー・ショーンによればキューバとアメリカは米ソ冷戦後に両者共に和解し、今ではキューバとアメリカは同盟国との事だった。


トミー・ショーンはキューバが居るという事はアメリカも居るかもしれないと考えたらしく、他2人に投降を呼びかけた際にも、もしもアメリカも居るのなら絶対にこんな戦争勝てないと説得したのだという。


ロシア人少年のヴィタリー・クラコフとウクライナ人女性のユリーア・ポンスカヤの証言に関しても同様で、両名は地理や歴史には詳しくなくキューバと聞いても、ヴィタリー・クラコフはキューバの国名は知っていたが、国旗や何処にあるのかは答えられず、ユリーア・ポンスカヤに至ってはキューバどころか、自分の出身国であるウクライナなど十数ヵ国しか答えられない状況であったが、地理的質問ではなく、2人の国に関する質問で整合性の合わない回答が多く得られた。


ヴィタリー・クラコフとユリーア・ポンスカヤの両名は仲が悪く、辛うじてトミー・ショーンが間を取り持つ形で交流があるという状況だった。トミー・ショーンによれば3名はレオリニユスの戦いで初めて知り合ったという。


取調官は二人に仲が悪い理由を質問した。すると、ヴィタリー・クラコフは自分は隣の国の人間同士だし仲良くしようとしたが、ユリーア・ポンスカヤが意味不明な事を言うので仲良くできないと答えた。ユリーア・ポンスカヤはなぜヴィタリー・クラコフと仲が悪いのかという質問に対して、ロシア人とは仲良くできないと答え、その理由については、ロシアがウクライナを侵略してきた事を挙げた。これをヴィタリー・クラコフに伝えるとヴィタリー・クラコフは、それは何回も聞いたよと答え、ロシアとウクライナが戦争なんかするわけないと答えた。


3名の証言の中でキューバ共和国が知る事実と一致する証言を行っていたのはユリーア・ポンスカヤのみであった。この為、調査委員会はこの3名について、エルゼリオス帝国がこれまでのキューバへの攻撃の中で捕虜を獲得しており、この捕虜から聞いた地球文明の情報を聖騎士隊のメンバーに刷り込ませ、3名を通じてキューバ革命軍を混乱させようとしているのではないかという仮説や、単に3名の学力が低すぎる事が原因なのではないかなど、様々な仮説が考えられた。


しかし、地球文明の情報を聖騎士隊のメンバーに刷り込ませ、3名を通じてキューバ革命軍を混乱させようとしているという仮説については、確かに調査委員会が3名の証言によって混乱してはいたが、3名は革命軍省の調査に非常に協力的であった事から、エルゼリオス帝国による意図的な攪乱行為だとすると整合性が合わない点が多いなどの指摘が当初から相次いだ。


結局、3名の語る内容の整合性の問題は一旦保留される事になった。その後は3名が他の聖騎士隊のメンバーもなんとか保護してほしいとの要請をキューバ革命軍に求めてきた事から、革命軍省は検討の上で、聖騎士隊メンバーの能力は非常に戦力となると判断し、3名がキューバ革命軍の軍事作戦に完全な協力をする事を条件に要請を引き受けた。


3名は元々所属していた国家に敵対する事について最初は悩んだものの、聖騎士隊のメンバーを助けるとの目的からこれを了承した。3名はキューバ革命陸軍の第97歩兵師団に配属され、キューバ革命軍としてエルゼリオス戦争に再び参加した。


3名は非常に高い戦果を獲得した。戦士であるトミー・ショーンと重騎士のヴィタリー・クラコフは敵の聖騎士隊のメンバーの攻撃から第97歩兵師団を多くの場面で守り、エルゼリオス帝国軍への攻撃も効果的であった。支援魔法使のユリーア・ポンスカヤの支援魔法はキューバ革命軍の主力迫撃砲である81mm迫撃砲弾の威力を榴弾砲に匹敵する破壊力にまで増強したり、ZU‐23‐2機関砲の機関砲弾の威力を増強するだけの威力を発揮した。


3名の協力により、キューバ革命軍に保護された聖騎士隊のメンバーらにもよってキューバ革命軍は最終的には戦時中の段階で聖騎士隊に所属するメンバーの内47名を救出した。この47名は全員が革命軍省による聞き取り調査によってトミー・ショーン、ヴィタリー・クラコフ、ユリーア・ポンスカヤの3名の証言通りにそれぞれが地球文明国家の出身を名乗った。また、3名と同じ様に証言に整合性が合わない点がある点も確認された。


・戦後

エルゼリオス戦争は2055年4月15日にエルゼリオス帝国政府がキューバ共和国に無条件降伏をした事で終結した。エルゼリオス戦争の終結後、革命軍省は戦後処理と並行してこの聖騎士隊の問題の大々的な調査を開始した。戦争終結により聖騎士隊のメンバーは生存していた大部分がキューバ共和国に降伏した。戦時中及び戦後にキューバ共和国に降伏した聖騎士隊のメンバーの総数は凡そ955人。しかし、100人から120人程の数の聖騎士隊のメンバーは降伏を拒否しエルゼリオス帝国軍の残党と合流した。残党軍は当時7歳の第一王女アルシノエをエルゼリオス帝国の正統な皇帝だと主張して皇帝を名乗らせ抵抗運動の旗印とした。残党軍は2058年までゲリラ的に抵抗し、キューバ革命軍及び、四王国連合、エルゼリオス臨時革命政府(キューバ革命軍により設立された新政府)と各地で戦闘を行ったが、戦況が劣勢になった後に、キューバ革命軍との交渉により、アルシノエの安全の保障をキューバ革命軍と合意した事で降伏。これによって旧エルゼリオス帝国系勢力の組織的な抵抗は終結し残党軍に加わっていた聖騎士隊のメンバーの内、生存していた14名はキューバ革命軍に身柄を確保された。


残党軍との交戦中にも聖騎士隊のメンバーに対する聞き取り調査は並行して行われた。なお、聖騎士隊のメンバーの内、キューバ革命軍に非常に協力的な231名はキューバ革命軍に所属し残党軍との戦闘に参加したが、残りのメンバーはキューバ共和国の占領政策には従うものの、キューバ革命軍への積極的な協力はしていなかったり、協力はしていても残党軍の討伐には協力していなかったメンバーであり、これらは潜在的に反乱を起こす危険性があると判断していた為、キューバ革命軍はエルゼリオス帝国国内に複数の収容施設を設けて分けて収容された。


残党軍の討伐後、革命軍省は聖騎士隊のメンバーに対する調査を加速させた。残党軍の討伐後に正式に成立したエルゼリオス共和国の革命政府に対して調査への全面的な協力を要請。また、キューバ共和国に協力しエルゼリオス帝国の領土の一部を得たエグゼニナ王国、モルテナ王国、プリステン王国、パルテノ王国に対しても協力を要請した(※エルゼリオス共和国に対いする要請は事実上の命令)。


まず、聞き取り調査の結果として、聖騎士隊に属していたメンバー969名の内、話に整合性が合わない内容が見られたメンバーの数は、ほぼ全員の956名に達した。いずれも、キューバ共和国の知る地球文明の地理や歴史や常識の内、国名や地名、人名などに違いは余り見られないものの、細かな内容になると大小の異なる内容が見られた。ただし、この聞き取り調査には後に記述する問題から調査の精度に関して疑問視する主張も存在する。


聖騎士隊に属したメンバーはいずれも、戦時中にキューバ革命軍に投降した50名と同じ様に地球文明国家の国籍を証言した。革命軍省が把握した国籍はカナダ人、アメリカ人、フランス人、ロシア人、ベラルーシ人、ウクライナ人、日本人、中国人、ベトナム人、インドネシア人、インド人、パキスタン人、イラン人、マリ人、ニジェール人、アンゴラ人、タンザニア人、サウジアラビア人、アラブ首長国連邦人、エクアドル人、パラグアイ人、ホンジュラス人、ケイマン諸島人、ドミニカ人。人数が多い傾向にある国籍の上位3国は日本人の84名、アメリカ人の41名、イギリス人の39名。少ない傾向にある国籍の上位3国はケイマン諸島人の1名、アラブ首長国連邦人の2名、ドミニカ人の3名だった。


また、聖騎士隊に属したメンバーの共通点として、全員の証言するエルゼリオス帝国によって召喚されたとする時期が、地球における2022年3月から2024年10月の間である事が分かった。


聖騎士隊に属したメンバー及びエルゼリオス帝国政府の関係者の証言から得られた情報ではエルゼリオス帝国政府の召喚者の扱いが分かった。召喚者はいずれも、召喚時に召喚の理由を魔獣や周辺諸国から脅威を受けているとし、それに対処する為に召喚を行ったと説明され、聖騎士隊に属すか、政府が出す僅かなばかりの見舞金を持って自由に生活するかを選ばされたが、召喚されたばかりで生活基盤が存在しない為、召喚者の多くは聖騎士隊に入る事を選んだ。聖騎士隊に入った場合は多額の報酬が約束された。聖騎士隊には戦うつもりが無い者たちでも入る事ができ、そうした者たちは戦闘以外の仕事を主に任された。聖騎士隊は組織としてよりも各個人の運営が重視されており、聖騎士隊に属するメンバーが大勢で集まる事は稀だった。聖騎士隊に属するメンバーはエルゼリオス帝国各地にバラバラに振り分けられた。参考としてエルゼリオス帝国の領土面積はキューバ共和国の約18倍の面積であり、その領土内は非常に危険な魔獣が潜む密林地帯をはじめ、山脈や河川や湿地帯等が点在し、移動手段も馬や牛や馬車や牛車しかない為、遠隔地との積極的な交流は難しく、離れた場所に送られれば、会う事は非常に困難だった。


召喚者達にエルゼリオス帝国への帰属意識を付けさせる為にエルゼリオス帝国政府は徹底した召喚者の調査を行った。催眠術を使い召喚者の好みや嫌いな物を徹底してあぶり出し、その調査結果から、エルゼリオス帝国軍の聖従士隊から、召喚者の好みに合う人物を厳選し召喚者が通う下記の学院やその後、配属される部署に送った。こうした召喚者の好みに合う人物が召喚者と恋愛関係や親しい友人関係になる事で召喚者にエルゼリオス帝国への帰属意識を構築させた。さらには、聖騎士隊は、正式な貴族的位には分類されなかったが、所属しているだけでも充分に中級貴族と同等かそれ以上の報酬があるばかりか、成果次第ではあるものの、貴族の位を与えられる事もよくあった。過去には皇族との婚姻例も存在する。


聖騎士隊に入る事を決めた召喚者は、所属を聖騎士隊としながらも聖騎士学院と呼ばれる帝国立学校教育機関で3年間の学習、訓練、実習がされた。聖騎士学院はエルゼリオス帝国全土に180校余りが設けられ、1校辺り平均で5名程の召喚者が入学し、異星人類の生徒も合わせると1校辺りの生徒数は30名~35名程だった。聖騎士学院は皇城や地方の城や砦の中に併設されている施設もあったが、その多くは屋敷の様な豪華な施設かつ独立した施設だった。聖騎士学院は寮生活であり、そこでの生活は非常に豪華で、食事は毎食、貴族階級と同レベルの食事が提供され、在学期間中にも報酬は支払われた。聖騎士学院を修了した後には本格的に召喚者の能力に合わせてエルゼリオス帝国軍の各部署へと派遣された。比率としては1万人辺り7名であり、エルゼリオス帝国軍の総兵力は500万人であった事から、凡そ3,500名の召喚者が聖騎士隊からの派遣要員として派遣されていた。なお、聖騎士学院の学生の数はキューバ革命軍によるエルゼリオス帝国本土の戦い前までの時点で凡そ1,031名だった。


エルゼリオス帝国軍での召喚者の役割は主に2種類に分けられた。第一は戦闘要員としての役割。戦闘任務を許容した召喚者は異星人類の指揮官の指揮下に入り魔獣の討伐や周辺国との戦争に駆り出された。この役割において、召喚者はある一定程度の規模であれば、異星人類の兵士からなる部隊の指揮官として抜擢される場合もあった。第二は支援要員としての役割。戦闘任務を許容しない召喚者は軍の後方での活動に従事した。その内容は要人の警護から、魔法職は、魔法研究や魔法具の研究開発、農業や工事などの公共事業や医療に従事した。


調査委員会は聞き取り調査の他、聖騎士隊のメンバーに対する全面的な学力テストも実施した。これを行う事になったのは、調査委員会の委員から、聞き取り調査の内容を踏まえて聖騎士隊のメンバーの学力が低いのではないかという指摘が相次いだ為である。これらの指摘から調査委員会は聖騎士隊のメンバーの平均学力を測定する為、学力テストを実施した。結果、聖騎士隊のメンバーの平均学力は非常に低い事が判明した。結果には個人差はあるものの、平均もしくは平均以上の点数を取る事のできた教科があったメンバーは全体の内、僅か10%に収まった。また、全員が半数以上の教科で平均点以下の点数を採った。


この学力テストの結果から、聖騎士隊のメンバーの聞き取り調査から得られていた、キューバ共和国の知る情報と整合性が合わない事に関して、単に聖騎士隊のメンバーの学力が低い為に一般常識を答えられない、もしくは誤って記憶しているのではないかという可能性が生じた。


しかし、この学力テストの結果により、聖騎士隊のメンバーの学力が低い事が明らかとなった為、キューバ共和国が地球国家にも関わらず、聖騎士隊のメンバーがエルゼリオス帝国の主張を信じ込み、戦闘を継続した事に関しては、そもそも地球国家の地理に関して詳しい者が少なく、キューバ共和国を地球国家であると認識できた者が僅かしか存在しなかった事が原因であると調査委員会は結論を出した。


聞き取り調査や学力テストと並行、もしくはその後に調査委員会は得られた証言内容が正しいのかを検証する為に物的証拠に関する調査も行った。


まず、聖騎士隊のメンバーの国籍や出身が証言通りの内容なのかについて。これは聖騎士隊のメンバーが召喚時に身に着けていた物品などから偽りである可能性は低いと調査委員会は結論付けた。聖騎士隊のメンバーの多くは召喚時に身に着けていた物を保管しており、衣類やバッグ等の小物類の他、携帯電話やタブレット等の電子機器、中にはパスポートや学生証など身分を証明する物を所持しているケースもあった。


それまで、調査委員会は聖騎士隊のメンバーを、何らかの手段で地球の情報を知った異星人類が地球人を装っている可能性も可能性としては考慮していたが、こうした物品の存在から聖騎士隊のメンバーが紛れもなく地球から召喚されたものであると判断した。


ただし、証言の内容からキューバ共和国が持ち合わせている事実と異なる点も多数存在する事から、調査委員会はこれらの聖騎士隊のメンバーはいずれも、地球から召喚はされてはいるが、同じ地球ではなく、それぞれが異なった地球、つまりは並行地球(平行宇宙)から召喚された可能性が高いとの結論を出した。学力の低さから、証言内容の正確性には疑問点も指摘されたが聖騎士隊のメンバーの所持品の幾つかからも、キューバ共和国の持ち合わせる情報とは違う内容の物が確認された事から、聖騎士隊のメンバーが様々な並行地球から召喚された人物である可能性が非常に高いという結論に達した。


また、残されていた所持品や聖騎士隊の名簿記録によりエルゼリオス帝国本土における戦いが発生する前の段階で、聖騎士隊に所属していた召喚者の正確な人数も明らかとなった。聖騎士隊に所属した召喚者は全体で4,531名、この内、3,500名が軍務等の公的業務に従事し、1,031名は聖騎士学院に在学していた。なお、現在、キューバ共和国が保護している召喚者は969名である為、残りのメンバーはエルゼリオス戦争中に死亡もしくは行方不明となっている。なお、大半のメンバーは戦死が確認されている。


聖騎士隊のメンバーに対するエルゼリオス帝国政府の扱いは、概ね証言内容は正しい物と認められた。聖騎士隊のメンバーは貴族待遇で迎えられ各地で貴族水準の生活を与えられていた。また、その業務内容も証言通りの内容の物がされていた。


聖騎士隊のメンバーに対してエルゼリオス帝国への帰属意識を付けさせる為に行われたとする聖従士隊から組織的に召喚者の好みに合う人物を厳選し召喚者に宛がう行為に関しても概ねの内容が事実である事が確認された。


この様に証言の多くが物的証拠等によって事実であると認定されたが、調査委員会による物的調査を巡っては証言では得られなかった新事実も幾つか明らかとなった。これらの新事実は、エルゼリオス帝国が召喚者を効率的に運用する事を前提に体制が組まれた国家規模的な非人道的システムを有していた事を証明した。


新事実として明らかになった内容は多岐に渡るが、その代表例として郵便システムが挙げられる。聖騎士隊メンバー間の交流を抑制する為に郵便システムを意図的に政治、軍事、商業、宗教の内容に限定していた事が明らかになった。これは帝室の機密文書図書館に収蔵されていた超次元転移災害発生年の西暦2030年から逆算して-544年の当時の郵便制度改革を記した資料の発見によって判明した。それ以前は、一切の制限のない郵便システムであった事が分かった。この資料の発見まで、一般的に郵便システムが政治、軍事、商業、宗教に限定されていたのは、あくまで、エルゼリオス帝国の生態系や地理的な要因から輸送コストを削減する為に、この様な郵便システムとなっていたのだろうと考えられていた。なお、郵便システムの根底が情報統制である事はエルゼリオス帝国政府も忘れてしまっていた様で、エルゼリオス帝国政府の関係者も調査委員会が発見したこの資料を提示した際にはその存在に驚きを示したとされる。


また、聖従士隊についても非常に驚くべき事実が明らかとなった。聖従士隊は召喚者の従者を選ぶ為の国家機関であり、庶民や貴族の家庭から志願者を集め、召喚者の従者とする為に教育を行う機関であると表向きはされていた。しかし、その実態は志願者に対して魔法や魔法薬物を使用して徹底した人格矯正と容姿改変を行い召喚者の好みにあった人物を作り上げるという非道な人体改良を行っていた事が明らかとなった。こうして作られた従者は召喚者1人につき、最低でも1人から最大で6人が付けられた。


つまり、これらの例だけでも分かった事はエルゼリオス帝国は召喚者の人心を帝国につなぎ留める為にあらゆる制度を活用し非人道行為にも容易に手を染めていたという事が明らかとなった。


この他、召喚者の平均学力が低い傾向にある事に関しても調査委員会はエルゼリオス帝国にとって与しやすい都合の良い人材を招集する為にあえてその様な人物をターゲットに召喚した可能性があるとして現在でも調査を行っている。


なお、聖騎士隊メンバーを召喚には古代リオーネテス人の空間魔法陣のある遺跡を使用していた事が証言からも物的調査からも分かった。この施設は降伏直前にエルゼリオス帝国軍によって破壊処理された事が分かったが、残骸からこの施設に古代リオーネテス人の空間魔法陣があった事は確認された。


・英雄墓地の調査

エルゼリオス帝国には英雄墓地と称される数カ所の集団墓地の存在が確認されており、この集団墓地は全ての召喚者や召喚物を埋葬する墓地とされていた事から調査委員会はこの英雄墓地の発掘調査を実施した。この調査によって少なくともエルゼリオス帝国は過去300年間に渡って古代リオーネテス人の空間魔法陣を使用して召喚を常習的に繰り返していた事が判明し、この常習的な召喚によって召喚された人数はキューバ共和国が交戦した聖騎士隊メンバーも含めて少なくとも10万人に達する事が判明した。


英雄墓地は数カ所がその存在を確認されているが、未発見の物がまだ複数存在する可能性があり、エルゼリオス帝国によって召喚された被害者の数はまだ増える可能性がある。


発掘された物品からいずれも、召喚された年代はキューバ共和国が交戦した聖騎士隊メンバーと同じく2022年3月から2024年10月と考えられ、-293年に埋葬された聖騎士隊メンバーの墓からも、2023年製のGalaxy Foldと見られるスマートフォンが発掘されている。


これら英雄墓地から分かる事はエルゼリオス帝国は古代リオーネテス人の空間魔法陣を使った召喚によって長年に渡り国力を増強し国家規模を拡大し続け、ドラゴスペルにおいて最大の帝国国家を築き上げる礎としてきたという事である。


なお、英雄墓地の墓には墓石に埋葬された人物の名前と生年月日、召喚された年、死没した年、その者の功績が記されているが調査委員会が確認した中には召喚された年と死没した年が同じ墓が凡そ253基確認されており、この墓の発掘調査では、人間ではなく、身長が約2mほどは有り、菱形に触手の様な手足を生やした様な身体の無機質を主体とする物質で構成された謎の生物と見られる死骸や、身長が小柄な人間程で頭部が大きく目は大きな黒い目を持ち、灰色の肌をした謎の生物の死骸、人間の様な見た目をした爬虫類的特徴を持つ生物の死骸など謎の生物の死骸などが確認された。


この謎の生物について、エルゼリオス帝国の関係者に対する聞き取り調査によれば、召喚時にまれに人間ではない怪物が紛れ込む場合があり、その場合には召喚後すぐに殺害をしていたとされている。


調査委員会はこの謎の生物について、未知の知的生命体であった可能性を指摘している。


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戦後処理


調査委員会は聖騎士隊のメンバーはエルゼリオス帝国によって巧みに利用されていたと判断した。これによってキューバ共和国政府は聖騎士隊のメンバーは、エルゼリオス帝国によって拉致され利用された被害者であるとする公式見解を発表した。これらの被害者は原則としてキューバ共和国の責任において保護するべきとの方針がなされた。


ただし、例外として戦時中にキューバ革命軍や民間人に対して非人道的な行いを行った人物達に対しては革命軍事法廷にて適切な処罰を下す事が決定された。


また、聖騎士隊のメンバーの召喚を主導したエルゼリオス帝国の高官や、聖従士隊のメンバーに対する非人道的な行為を主導したエルゼリオス帝国の高官に対しても革命軍事法廷にて適切な処罰を下す事が決定され行われた。


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保護


現在、元聖騎士隊のメンバー達は超次元転移災害発生後にアメリカ軍から無血解放されたグァンタナモ米軍基地、現在のグァンタナモ・キューバ革命軍基地にて保護されている。元聖騎士隊のメンバー達は元々はアメリカ兵用の居住施設であった施設で居住しており、キューバ共和国政府の各省庁が参画して主導している社会復帰プログラムを受けている。


なお、聖騎士隊のメンバーの好みに合う様に徹底した人格矯正と容姿改変を受けられた元聖従士隊のメンバーに関しては一時は元聖騎士隊のメンバー達とは別にエルゼリオス共和国内に設けた施設にて別々の保護を行った。


この方針には元聖騎士隊のメンバー達や元聖従士隊のメンバーからは反発があったものの、調査委員会による調査結果を説明し治療を行う必要があると理解を求め、元聖騎士隊のメンバー達に関してはこの説明により概ねが方針を了承した。一方で元聖従士隊のメンバーはこれに大反発したが、強制的に別施設による保護と治療が行われた。


しかし、別施設で保護した後も、元聖従士隊のメンバーは保護に否定的であり反発を示し続けた他、暴動事件や脱走し独力でキューバ共和国へと向かおうとする者まで現れた。さらには元聖従士隊メンバーの治療を行う為に現代医療の他、元聖従士隊のメンバーに対して人格矯正と容姿改変を行った張本人の専門家をも招集して、治療方法を模索したが、ここまで徹底的に人格矯正と容姿改変が行われた人物を元の状態へと戻す方法を確立する事は出来ず、キューバ共和国の公衆衛生省はこれ以上の別々の施設での隔離には限界があるとして、元聖従士隊のメンバーと元聖騎士隊のメンバーの保護を一律の施設で行う事を決定した。


これにより、現在は元聖騎士隊のメンバーと元聖従士隊のメンバーは同じグァンタナモ・キューバ革命軍基地で保護がされており、大半の元聖騎士隊のメンバーと元聖従士隊のメンバーは、エルゼリオス帝国で生活や行動を共にしていたメンバーと同士で同じ住居施設で同居していたり、近辺に居住している。しかし、一部の元聖騎士隊のメンバーはエルゼリオス帝国で生活や行動を共にしていた元聖従士隊のメンバーであったとしても、同居や近辺での居住を拒否している事例もある為、その場合は別住居や離れた場所の住居で居住している。


キューバ共和国政府は元聖従士隊のメンバーについても元聖騎士隊のメンバーと同じくエルゼリオス帝国の非人道的な行いを受けた被害者と判断しており、現代の医療技術では治療は困難ではあるものの、元聖騎士隊のメンバーと共にでも、できるだけ早期の社会復帰ができる様に社会復帰プログラムを実施している。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ついに14歳消滅の主犯が判明した訳ですか。 14歳消滅世界がエルゼリオス帝国転移魔法を解析できていれば自衛隊とキューバ軍が連合することが出来たでしょう。 [気になる点] 果たしてこのまま召…
[一言] 並行世界からの人間の召喚とかよくある感じですがたしかに拉致誘拐の類いですね。しかも洗脳までとは世界を跨いで救出にきても将来ありそう。人種構成で日本人が1番多いのは納得ですが。でもキューバ人は…
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