パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラ ‐ ウィキパディア
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パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラ
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パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラ(pastel de gelatina de azúcar)はキューバ共和国の一般家庭料理。寒天を使ったシュガーゼリーケーキ。パステル・デ・アセシナート(pastel de asesinato)、日本語に訳すと殺人ケーキという俗称でも広く一般的に知られている。
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目次
1.概要
2.歴史
3.殺人ケーキ
4.第三の主食
5.料理の分類
6.作り方
7.保存
8.お供
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概要
パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラ(pastel de gelatina de azúcar)はスペイン語でシュガーゼリーケーキを意味する。パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラは砂糖と寒天を主な材料に作られ、ケーキの本体やそのトッピングでバナナ、パパイヤ、マンゴー等のフルーツを追加する事でフレーバーや視覚的な魅力を加える事もある。
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歴史
パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラは、2030年1月31日に発生した超次元転移災害(Desastre por transferencia hiperdimensional)によって地球上で唯一存続した地球文明国家であるキューバ共和国において、2031年にキューバ共和国の食品産業省(Ministerio de la Industria Alimentaria)が開発したシュガーゼリーケーキである。
超次元転移災害によってキューバ共和国はそれまでの地球文明国家間の全てとの外交関係や経済関係、通商取引のその全てを喪失した。そうした中、キューバ共和国は国内の食糧事情の改善に全力を挙げた。キューバ共和国の食料自給率は2030年時点で凡そ50%程であり、基礎穀物は米やフリホール豆とメイズやパンであったが、米の自給率は凡そ55%、フリーホール豆は凡そ53%、メイズは凡そ34%と低く、小麦粉に至っては100%を輸入に頼っていた。
こうした事情もあり、キューバ共和国政府にとって国民の食料確保は急務だった。そうした中でキューバ共和国の食品産業省は砂糖に注目した。砂糖はキューバ共和国において自給率100%を達成している数少ない食品だった。キューバ共和国では長年、砂糖が主要輸出品として扱われていた。この砂糖の自給率の高さはキューバ共和国のモノカルチャー経済を象徴したものであり、キューバの食料自給率の歪さの象徴的なものであったが、事この状況に至っては、この状況を逆手に取り、豊富にある砂糖を利用して代替食品の開発ができないかと考案が練られた。
当初は砂糖を使ってそれ以外の材料を最小限にケーキやパンを作る方法が研究された。しかし、こちらの研究は軌道に乗る事は無かったが、この研究の中で、食品産業省はキューバ近海でも豊富に取れるテングサ系の海藻類にも注目した。テングサ系の海藻は寒天の材料として有名である。
こうして砂糖とテングサ系の海藻類に注目して考案されたのが、パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラである。パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラは食品産業省によって発表されると、必要な一日分のカロリーを摂取できるとして国民に配給される食品のリストにもすぐに加えられる事になり、その製法も広く国民に伝えられた。
これにより、パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラはドラゴスペル文明諸国から、お粥やシチュー等にして食べる事ができる穀物であるテパンが輸入される様になるまでは、米やフリホール豆やメイズに次ぐ主要な主食メニューとしての地位を確立した。
現在はドラゴスペル文明諸国から安定的にテパンや芋類の輸入が行われる様になった為、パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラの需要はかつてほど大きくは無いが、それでも、パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラは現在のキューバ共和国においても、米、フリホール豆、メイズ、エッグパン(エッグケーキ)、リジン、芋類に次ぐ第三の主食としての地位を確立している。
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殺人ケーキ
パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラはパステル・デ・アセシナート(pastel de asesinato)、日本語に訳すと殺人ケーキという俗称でもキューバ社会において広く知られている。これは、パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラが非常に糖分が高い料理だという事に由来する。
パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラはその製法上、非常に大量の砂糖が使用される。これによって1日に接種するカロリーを充分に得られると食品産業省はしていたが、これには発表当初から国民や医療関係者の間から懸念の声が上がっていた。確かにパステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラは非常に高カロリーの食品の為、カロリー計算では1日に必要なカロリーを摂取できる計算となる。
しかし、材料が殆ど砂糖であるという事や、余りにも大量の砂糖が使用されている事等から、摂取する栄養素に大幅な偏りが出る事や、糖分の取り過ぎが問題視され、日常的に長期に渡って摂取を続けた場合、栄養失調に陥る恐れや、糖分の取り過ぎにより糖尿病や、それでなくても、それ以外の病を発症する危険性が高いと指摘された。
実際、キューバ共和国ではパステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラの発表後、僅か数年で栄養失調が原因とみられる体調不良や、糖分の取り過ぎによる糖尿病など病を発病する人々がそれ以前に比べて急増した。
こうした事から、キューバ国民の間ではパステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラの事をパステル・デ・アセシナート、殺人ケーキと呼ぶ俗称が広まる事になった。
こうした指摘や不安の声に対して食品産業省はパステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラはあくまでも補助的な食品であり、パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラ以外にも野菜や果物などをバランスよく接種する必要があると広く国民に呼びかけている。
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第三の主食
パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラがキューバ共和国の食糧事情に占める需要は登場当初程の需要は今は無く、その消費量は縮小しているが、現在においても主食の一つに数えられるだけの消費量は存在している。これは、砂糖が依然として、キューバ共和国においては最も安定して国民全体に行き渡る程の量の収穫が可能な作物である為である。また、国民の側もこの食事に慣れてしまったという側面もあり、キューバ共和国の食文化の一つに根付いたとの指摘もある。
こうした事から、パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラは第三の主食(Tercer alimento básico)と呼ばれる食品に含まれる。第三の主食は超次元転移災害後にキューバ共和国で主食として食べられる様になった新たな主食メニューの事を指す。新主食(Nuevo alimento básico)とも言う。
パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラと同じ様に第三の主食として知られる食べ物は他にも複数、存在している。パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラと同じ様に食品産業省によって開発されキューバ共和国の国民に第三の主食として広く浸透した他の料理としては、同じく寒天を材料に、日本料理のところてんを参考に開発された代用パスタ等もある。
パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラや代用パスタは第三の主食の中でも分類としては、超次元転移災害発生後の食料不足期に導入された物となる。食糧不足がドラゴスペル文明諸国からの食料品の輸入実現等によって改善した後にキューバ共和国で広く広まった第三の主食としては、テパンやリジン、安定的な飼料の輸入実現による卵の生産性の向上により本格的な生産がされる様になった、小麦粉を一切使わずに卵のみを材料に作るエッグパン(エッグケーキ、代用パンとも言う)も有名。
テパンやエッグパンは導入されるとキューバ共和国において、パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラよりも人気の食品となった。理由としてはパステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラが健康に悪いという認識をキューバ国民の多くが感じていた事と、小麦粉が存在しない故に代用になってしまうとはいえ、パンが食べられるという事で、超次元転移災害前はキューバ共和国では多くの人々がパンを日常的に消費していた事から、パンを食べたい多くの国民がエッグパンを食べる様になった事などが理由であると食品産業省は分析している。
なお、キューバ共和国においてはテパンやリジンは通常、お粥やシチュー等にして食べられている穀物であるが、ドラゴスペル文明諸国では魔法を使って一時的に地球文明におけるパンやパイやケーキの様な状態にする事ができる魔法調理法が一般的に確立されている。しかし、現状ではキューバ共和国の住民には魔力が無い為、これをキューバ共和国本土において実践するにはドラゴスペルの異星人類をキューバ共和国に呼ぶ必要がある。この為、キューバ共和国全土において、これを普及させる事は非常に難しいと見られているが、今後、テパンで魔法調理を行って作成したパンやパイやケーキの長期状態維持をさせる方法が確立できれば、テパンによるパンやパイやケーキはキューバ共和国において急激に普及する可能性が非常に高いと考えられている。これが実現した場合、パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラの第三の主食としての立場は現在よりも低くなると予想されている。
第三の主食に関しては「第三の主食」の記事を参照。
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料理の分類
パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラはパステル( pastel )つまりはケーキと名前に付いてはいるが、その名前にも関わらず、料理の分類としてはケーキには分類されない。パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラは小麦粉や卵を一切使用しておらず、主要な材料は寒天と砂糖のみである。さらには焼いたり、蒸したり等の調理も行われない(※トッピングを除く)。この為、パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラはケーキというよりもゼリーに分類される。
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作り方
一般的にパステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラは寒天、砂糖、水を主な材料に作られる。その他、好みでバナナ、パパイヤ、マンゴー等の好きなフルーツを用意する。以上が主な材料。
寒天を水と一緒に鍋に入れて煮て、寒天を溶かす。次に砂糖を入れる。砂糖の量は水に溶ける限界近くまで入れる。砂糖を投入したらよく混ぜ、ケーキのホールへと流し込む。寒天に香り付けや味付けをしたい場合は、ジュースやフルーツの果汁等や、フルーツをカットにした物を入れたり使っても良い。ケーキのホールに流し込んだら、あら熱がとれるまで放置し、その後、冷蔵庫で冷やして固める。
パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラにカラメルゼリーの層を付けたい場合は、寒天を水と一緒に鍋に入れて煮て寒天を溶かす。そして、それとは別にフライパン等に砂糖と水少量を入れて熱を加え、カラメルを作り、カラメルが液体の内に水を投入してカラメルソースを作る。鍋で溶かした寒天とカラメルソースをよく混ぜて上記の冷蔵庫で冷やして固めた寒天の入ったホールへと流し込む。ホールへと流し込んだら、あら熱がとれるまで放置し、その後、冷蔵庫で冷やして固める。砂糖のゼリーの層とカラメルゼリーの層を別々に固めても良い。
出来上がったゼリーを型から外して1週間程、天日干しにし、日本で言う琥珀糖の状態にする。表面が結晶化したら、生地の完成。
砂糖と水を使って液状フォンダンを作り、出来上がったフォンダンを生地に塗って表面をコーティングする。この際、トッピングを行いたい場合はトッピングを行う。例えば、バナナを輪切りにしてパステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラの上に並べたり、輪切りや微塵切りの状態のバナナを焼いて上に載せる。バナナの他、パパイヤ、マンゴー等の好きなフルーツを使っても良い。
液状フォンダンを塗った上からカラメルソースをかけたり、塗ったりする場合もある。
以上が一般的なパステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラの作り方である。現在でこそ、ドラゴスペル文明諸国との交易により、食糧問題が緩和されいる為、様々なトッピングやアレンジの他、派生デザート等も登場しているが、超次元転移災害が発生してまだ間もなくの、このパステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラが登場したばかりの頃は、味付けや香り付け、トッピング等は、殆どがバナナやカラメルオンリーな状況だった。
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保存
パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラは大量の砂糖を使用している為、大量の糖分を含んでいる事から常温でも腐敗が進みにくい。この為、湿度にさえ気をつければ、常温でも1週間は保存が可能である。この高い保存性から、電力不足状況下の停電した状況や、地方への運搬にも耐える事ができるとして非常に重宝されている。
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お供
パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラを食べる際にはハーブティーやコーヒー、フルーツジュース、ミルクなど飲み物を用意して一緒に食べられる事が多い。フルーツジュースの場合は酸味が高い物が好まれる傾向にある。キューバ共和国は所謂、甘党の人が超次元転移災害の前から多い傾向にあり、エスプレッソコーヒーにも砂糖を沢山入れて飲む人が多いが、パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラはそのキューバ人からしても非常に甘いと評価する人が多い為、パステル・デ・ヘラティーナ・デ・アソカーラを食べる際にはコーヒー等の飲み物には砂糖を入れない人が多い。
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