プロメテウス3 ‐ ウィキパディア
ウィキパディア-フリー百科事典
ページ/ノート
―――――――――――――――――――
プロメテウス3
―――――――――――――――――――――――――――
プロメテウス3(プロメテウス・スリー 英語:Prometheus3)は3042年より、テラーズ7星系の星系政府が同星系の第3惑星テラーズ7の衛星ルナ2において、建設を進めている鉄道網敷設計画である。
―――――――――――――――――――――――――――
概要
3042年に、テラーズ7星系政府は、テラーズ7星系第3惑星テラーズ7の衛星ルナ2において、居住区画、食糧生産区画、資源採掘区画、工業区画などの施設を有する7つの巨大溶岩洞(ルナ1からルナ7)間の物資供給網の強化を図る為に、新たな運搬システムの構築計画を発表した。この新たな運搬システムの構築計画の名称がプロメテウス3である。
現在、7つの巨大溶岩洞間の物資の運搬は宇宙機を利用して行われている。しかし、宇宙機を利用してでの物資の運搬は非常に運搬コストがかかる事から、テラーズ7星系政府は鉄道網を敷設し無人遠隔制御の電動貨車を走行させ物資を運搬させる事での運搬コストの大幅な削減を計画した。
プロメテウス3を進めているテラーズ7星系政府の内務総省・運輸局による完成予想によると、7つの巨大溶岩洞間の鉄道網の敷設が完了した場合、7つの巨大溶岩洞間の運搬コストは現在よりも大幅な削減が見込める他、現在の宇宙機による輸送よりも大規模な物資の大量輸送が可能になるとの試算を出している。
プロメテウス3は計画に沿って3042年には鉄道網の建設が開始され3153年現在も建設は進められている。建設はテラーズ7星系政府の内務総省の運輸局が主導し、内務総省職員の他、星系軍の人員によって進められている。
3153年現在、プロメテウス3の計画進捗率は全体の56%。なお、各溶岩洞間を結ぶ路線の線路で接続している箇所は現状では、まだ無く開通している路線はまだ無い状況である。
―――――――――――――――――――――――――――
計画案
プロメテウス3の草案段階では敷設する鉄道網は地下鉄道網案と地上鉄道網案の2案が検討されていた。地下鉄道網案は掘削機を利用して地中を採掘しトンネルを建設。その内部に鉄道を敷設するという内容だった。地下鉄道網案は、大気が存在しないルナ2の環境を考慮し、隕石などの飛来物から鉄道を守る意味があった。しかし、地下鉄道網案は建設コストが非常に高く、また建設にかかわる建設要員の人数も非常に多くの人数が必要であると見積もられた事から廃案となった。地上鉄道網案は言葉通りに、ルナ2の地表部に鉄道網を敷設するという案である。地上鉄道網案は地下鉄道網案が廃案となった事から、必然的にこちらで決定する事になった。
―――――――――――――――――――――――――――
建設方式
高架橋方式の建設方式が採用されている。ルナ2の地表は地形の起伏が多い為、鉄道路線は高架橋を建設しそこに線路を敷く方法がとられている。また、この高架橋の導入は、完成後の鉄道部品の整備性が考慮された結果である。
線路上を走行する電動貨車への給電方式はサードレール方式(第三軌条方式)を採用。線路の各種部品は隕石による被害を事前に想定し、取り外しや付け替えが容易な様に設計されている。
鉄道の建設の作業には移動基地方式を採用。プロメテウス3における移動基地方式は、地面を掘削する為の掘削ドリル、設置する高架橋のアーチ×16基、その他、必要な建設資材や機材を搭載した作業員の長期滞在が可能な大型移動基地車両による建設方式となっている。
建設に使用される大型移動基地車両にはプロメテウス3BWE‐M、プロメテウス3BWE‐Sの2タイプの車両が採用されている。両車ともプロメテウス3の為に開発された。大きさは、プロメテウス3BWE‐Mが、全幅21m、全長112m、高さ17.2m。プロメテウス3BWE‐Sは、全幅21m、全長56m、高さ14m。
両車は1つの建設現場につき基本的にはセットで運用される。プロメテウス3BWE‐Mは建設資材や機材を搭載、運用する為の移動基地で、プロメテウス3BWE‐Sは、作業員の長期滞在の為の設備を搭載した移動基地である。
プロメテウス3BWE‐Mは作業を円滑に進める為に、高架橋の基礎、高架橋のアーチ、橋桁、線路の敷設などの設置作業を極力、移動基地内から作業員の操作によって、作業が可能な様にされている。プロメテウス3BWE‐Mの機能ではできない作業を作業員が宇宙服を着用して移動基地外に出て作業をしたり、強化外骨格などの機材を活用して作業を進める形となっている。
―――――――――――――――――――――――――――
制御と管理
完成後に運用される予定の電動貨車は無人遠隔自動制御となる予定である。ルナ4に自動列車運転集中制御装置が置かれる予定であり、この制御装置が置かれる集中制御センターからコンピューター制御による電動貨車の遠隔自動操縦が行われる予定である。
鉄道の管理には鉄道の沿線上の各地に設置される車両基地が利用される予定である。車両基地は作業員の長期滞在が可能な機能を有する予定でり、車両基地自体の機能はコンピューターによる大幅な自動化がされるものの、作業員は鉄道部品の交換など、既存のコンピューターシステムインフラでは対応しきれない鉄道の維持管理に必要な作業をこの車両基地を中心として機動的に行う予定である。
―――――――――――――――――――――――――――
完成後の用途
プロメテウス3によって建設される鉄道は、無人遠隔自動制御の電動貨車による物資の運搬が主目的である。物資以外の人員の輸送は想定されていない。これは、人員輸送を行う場合、電動貨車には、生命維持機能を備える事が必要であり、その場合、電動貨車車両の開発や製造のコストが増えてしまう為である。その為、プロメテウス3で運用予定の電動貨車は、生命維持機能を省き製造コストを大幅に落とした物資の運搬のみに特化した車両となる。
しかしながら、鉄道網が完成した後とはなるものの、将来的な話としては、人員輸送も可能な電動貨車が導入される余地も運輸局は残しており、こちらの将来的な話はプロメテウス3の計画の範疇外ではあるが、鉄道網の完成後、その時のテラーズ7星系政府が人員輸送が可能な電動貨車車両の導入を進める可能性は大いに残されている。
物資の運搬や、プロメテウス3の完了後に導入される可能性のある人員輸送が可能な車両の導入など、プロメテウス3はテラーズ7星系の人類からは、完成すればルナ2における物流革命になると期待されている。
―――――――――――――――――――――――――――
メリットとデメリット
プロメテウス3が完了した場合のメリットは、運搬コストの大幅な削減が可能となる事である。電動貨車はその動力に電力を採用している為、これまでの宇宙機による輸送で使われていた貴重な水資源や酸素資源による液体水素燃料や液体酸素燃料の大幅な節約が可能となる。また、宇宙機を利用するよりも円滑な大量輸送も可能となる。
現在、物資の運搬に利用されている宇宙機の燃料の生産拠点は大半がエレベーター・UAE(英語:Elevator UAE)に依存したものとなっているが、長年、この燃料供給体制には燃料供給先の一極集中への危険性を指摘する声が相次いでいる。液体燃料はルナ2でも生産しているが、その生産量は1割にも満たないのが現状である。この状況では、エレベーター・UAEに万が一の事態が発生し燃料の製造が困難となった場合、ルナ2の物流は完全に停止してしまう恐れがある。そうなった場合、ルナ2の人類の生命維持に関わる重大な問題になりうる。
しかし、プロメテウス3が完了すれば、液体燃料を使用しない鉄道による物資の輸送が可能となる為、上記の様な緊急事態が万が一に発生してもルナ2における輸送能力は維持する事が可能である。
デメリットは建設コストが莫大であるという点である。現在進められている計画は建設コストをできうる限り最小限に抑えているが、それでも現在のテラーズ7星系の人類の国力では非常に高い建設コストである。
その為、テラーズ7星系政府は建設作業をその時々の情勢に沿って臨機応変に進め、建設作業が可能な時に資源や人員を投入し建設を進めるという建設方法をとっているが、非常に作業効率が悪い為、建設作業の長期化に繋がっている。そして建設作業の長期化によって、その間に発生した隕石などによる完成区間へのダメージの修繕作業のコストも上乗せされてしまっている。完成区間へのダメージの修繕作業も建設作業の長期化の要因のひとつである。
この建造コストの問題の中には、半導体に関する問題も挙げられる。プロメテウス3では電動貨車の運行方法を遠隔地からのコンピューターによる無人遠隔自動制御とした事から、これに使用される予定の制御コンピューター等、高度なコンピューター設備類の製造する際には、毎年の生産数の限られる高いレベルの半導体を多く割り当てなければならないという問題もある。
プロメテウス3の完了後にも維持と管理の問題がある。長大な鉄道網の設備の維持や管理にも大きなコストがかかる。必要な人員数も多くの人的資源が必要である。
その他、移動時間もデメリットに上げられる。宇宙機を使った物資や人員の運搬はルナ2のどのポイントからでも1時間以内での運搬が可能である。しかし、鉄道を利用して運搬する場合、その移動時間は大幅に伸びる事になる。最も互いの間の距離が長いルナ1とルナ7間を鉄道で移動した場合には、その移動時間は5‐6日間程度の時間を要すると想定されている。




