ユーラシアの壁 ‐ ウィキパディア
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ユーラシアの壁
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ユーラシアの壁(ロシア語:Евразийская стена アラビア語:الجدار الأوراسي トルコ語:Avrasya Dduvarl 中国語:欧亚墙)とは、2045年から2052年にかけて地球国家とテルエレブ諸国との間で勃発したパン・アフリカ=サウスアメリカ戦争中におけるシリア戦線の名称である。
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目次
1.概要
2.経緯
3.パン・アフリカ=サウスアメリカ戦争
4.シリア戦線
5.終結
6.影響
7.注釈
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概要
ユーラシアの壁(ロシア語:Евразийская стена アラビア語:الجدار الأوراسي トルコ語:Avrasya Dduvarl 中国語:欧亚墙)はテルノポレスト大陸と陸続きとなったユーラシア大陸との唯一の接点である中東において、パン・アフリカ=サウスアメリカ戦争中、激しい地上戦が繰り広げられたシリア戦線を主に地球国家側から見た名称である。
2045年から2048年にかけてセル=エレーン帝国軍を筆頭としたテルエレブ諸国軍とシリア軍を筆頭とした国際連合軍との間で行われた史上最大の地上戦として知られる。犠牲者数は推計で国際連合軍側が650万人、テルエレブ諸国軍側が1080万人に昇る。
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経緯
2045年に発生した世界転移事件によって地球国家の内、23ヶ国(ロシア、中国、モンゴル、北朝鮮、韓国、ラオス、ミャンマー、ネパール、パキスタン、キルギス、タジキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャン、イラン、イラク、シリア、レバノン、トルコ)を残して、それ以外の地球国家は消滅し、代わりに北米大陸、西太平洋、イギリスのあった地域を跨ぐ様に出現したアルムール大陸。そして、アフリカ大陸と南米大陸のあった地域を跨ぐ様に出現したテルノポレスト大陸に入れ替わった。
これら2つの大陸にはテルエレブ族系民族が治める複数の国が存在しており、科学技術を文明の基礎としない、魔術や魔法を文明の基礎とする魔術文明が繁栄していた。転移が発生した当初、テルエレブ諸国は突如として地球国家に対して侵略戦争を開始した。これに応戦する形でパン・アフリカ=サウスアメリカ戦争とパン・ノースアメリカ=グレートブリテン戦争は勃発した。
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パン・アフリカ=サウスアメリカ戦争
パン・アフリカ=サウスアメリカ戦争はテルノポレスト大陸最大のテルエレブ族系民族国家、セル=エレーン帝国のレバノン侵攻によって勃発した。レバノンは転移してきたテルノポレスト大陸と陸続きで接続してしまっており、唯一の接点であった事から、真っ先に地上侵攻の標的となった。
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シリア戦線
レバノンはセル=エレーン帝国軍の電撃的侵攻によって僅か3日間で陥落した。戦線はこれによってすぐにレバノンの隣国であるシリアに移った。セル=エレーン帝国軍は非常に強大であり、シリアの陥落も数日中にはなる可能性が高いとの見方が高まった。
しかし、シリア軍は各国の予想を大きく覆し1週間近くに渡って防衛をする事に成功した。これはシリア軍がテルノポレスト大陸の転移後、即応体制を整えていた事と、2011年から2025年まで続いていたシリア内戦の結果、シリア軍がその経験から市街地戦などにおいて、非常に精強な実力を持つ軍隊を有していた為である。シリア軍は市街地戦闘において最強の軍隊との異名もあった。
シリア軍が稼いだ時間によって、ロシア軍やイラン軍やトルコ軍を筆頭とした複数の国々の軍からなる国際連合軍の援軍が到着に成功した。これによって、戦線は膠着。両者、一進一退の状況となった。この状況からシリア戦線はユーラシア大陸唯一の地上戦闘が行われていた地域だった事もあって、ユーラシアの壁と多くの人々から呼ばれる事となった。
シリア戦線は2045年から2048年までの間続いた。この間、両軍の犠牲者数は推計で国際連合軍側が650万人、テルエレブ諸国軍側が1080万人にも昇った。この犠牲者数はパン・アフリカ=サウスアメリカ戦争及びパン・ノースアメリカ=グレートブリテン戦争の両戦争で発生した一連の戦闘における国際連合軍側の犠牲者数としては最大規模の犠牲者数である。
ここまで、地球側に犠牲者が出たのには他の戦線における戦況が関係している。パン・アフリカ=サウスアメリカ戦争及びパン・ノースアメリカ=グレートブリテン戦争で主体的に地球側の国々をまとめ上げ、戦った国はロシア及び中国だった。
両国は欧州が消滅した事で広くなった大西洋側や、地理構成が大きく変わった太平洋側において、テルエレブ諸国軍と激しい海戦や空戦を繰り広げた。ロシア軍及び中国軍は海戦において壊滅的な被害を負い、これに対してロシア、中国の両国軍は核兵器の無差別使用による防衛戦を繰り広げた。
シリア戦線は本来であれば核兵器の使用がされてもおかしくない戦闘であった。実際、シリア軍やシリアに派遣されていたロシア軍部隊は何度も核兵器の使用を要請していた記録も残っている。
しかし、大西洋及び太平洋での戦いに核兵器は集中的に投入されていた為に、シリア戦線に核兵器は投入されなかった。その結果としてシリア戦線では核兵器が使用されず、史上最大の地上戦が繰り広げられ、犠牲者数は跳ね上がってしまった。
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終結
膠着していたシリア戦線が動いたのは、2048年9月の事である。ロシア軍による戦略核攻撃が初めてセル=エレーン帝国の魔術的防衛網を突破し複数地点への核攻撃に成功した。これによって以降、セル=エレーン帝国軍全体の動きが鈍くなり、また勢いが失われた。その後、国際連合軍による大規模反抗作戦ユーラシアの矛作戦によってレバノンの奪還に成功。これによってシリア戦線での戦いは終結した。
以降はユーラシアの矛作戦による戦いの舞台はセル=エレーン帝国本土に移り、国際連合軍は史上初めて太陽系外の惑星を起源とすると思われる大陸の大地に足を踏み入れた。その後、国際連合軍はセル=エレーン帝国領の北西部の制圧に成功。この地域一帯に核地雷原を敷設した事で、強固な防衛線の構築に成功する事となった。
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影響
主戦場となったシリアでは国民の大半が戦災難民となった。国内難民を含めればその数は実にシリア国民の87%にも推計される。激しい戦闘によってシリア国内にあったパルミラ遺跡を筆頭とした多くの歴史的遺産の多くが失われた。
また、シリア以外にも戦闘に参加した多くの国々の軍や組織からも非常に多くの犠牲者を出した。戦死者数はシリア軍が最も多いが、次にイラン軍、トルコ軍、中国軍、ロシア軍が多大な犠牲者を出している。
失われた損害は軍や民間を問わず天文学的な数値に達し、特にシリア戦線の主戦場となったシリアや、シリア戦線には含まれないものの、レバノンも甚大な被害を負った。
だが、ユーラシアの盾としての役割を文字通り果たした事で戦後、シリアの国際的な発言力は非常に高まった。また、諸外国からの感謝と莫大な経済援助が齎された事もあり今日、シリアの奇跡とも称される奇跡の経済復興を成し遂げる事に成功している。
シリア戦線での戦いは復興後のシリアの街並みにも大きな影響を与えている。シリアにおいて再建された都市は万が一、次の侵攻があった時の状況を想定して都市計画が練られるようになった。その結果、現在のシリアの各都市は世界で最も実戦に備えた都市要塞とも称されている。
しかし、シリアの奇跡を巡っては問題も近年生じている。
シリア政府と中国政府との間で国際社会を巻き込んで国際問題が現在、発生している。中国は戦後、一般の中国人からシリアに送られた莫大な復興寄付金や支援物資の他に、中国政府がシリア政府に対して資金を貸しインフラの復興を行う復興事業をシリアの復興期間に行った。
しかし、中国政府主導の復興事業を巡ってシリア政府は中国政府から借りた資金を返済できる目処が立たなくなった事から、中国の航空会社がシリアの国際空港の運営権を握るという事が起きた。これに対してシリア政府は中国政府を非難する声明を発表し、債務の罠だと批判した。中国政府はこれを否定したが、その後、中国の国営水道会社がダマスカスの浄水処理場の運営権を取得していた事が新たに発覚していた事を受けて、シリア政府は中国との取引を規制する処置をとった。
中国政府はこのシリア政府の動きに対して国際市場取引を歪ませる挑戦的な行為と強く反発し経済制裁をチラつかせたが、この問題はロシアがシリアを擁護する動きを見せた事から、国際連合でも加盟国で意見が大きく割れる国際問題となった。
しかし、シリアは復興資金を巡る問題は現在まであるものの、経済復興を成し遂げる事には成功している。
その一方で、経済復興を成し遂げたシリアと比較されるのが、シリア戦線には含まれないものの、同じく戦争中に主戦場となったシリアの隣国レバノンである(※レバノンをユーラシアの盾に含むか含まないかには諸説あり)。
シリアとは違い3年間にも渡ってセル=エレーン帝国軍の支配下にあったレバノンは、その間にセル=エレーン帝国軍によって自然環境は改変され、市街地なども全て破壊された。国民の60%‐70%も殺害もしくはセル=エレーン帝国の生体兵器へと改造されてしまった。これらの影響はすさまじく、2070年現在においてもレバノンの人口は、外国からの労働者を除けば僅か100万人未満の規模に留まっており、自然環境の改変の影響から首都ベイルート以外の地域の復興が遅々と進んでおらず、最も復興が進んでいるベイルートでさえも住民の大半が仮設住宅での居住に悩まされているなど、人道上の問題となっている。
レバノンはテルノポレスト大陸と接している為に、セル=エレーン帝国の脅威を最もまじかに感じている。開戦の際の電撃的な攻撃の記憶もある事から、戦争中に国外に逃れた多くのレバノン人やレバノン系の住民は帰国を拒否していたが、戦後、国連主導の帰還事業によって全ての国民がレバノン国内に戻された。しかし、国連による帰還事業は強制的だったとの批判が出ており、帰還事業に対する反発やセル=エレーン帝国に対する不安が各地で噴出している。また、復興が遅々と進んでいない点などの問題もあり、レバノンでは移民や難民としてレバノンからの脱出を図る人々も毎年の様に出ており、人道上の危機として問題となっている。
この移民や難民を巡っては対応が国ごとに大きく分かれており、隣国であるシリアはレバノンからの移民や難民を全面的にシャットアウトしている他、トルコやイランやアゼルバイジャンは移民や難民を積極的に受け入れている。これらの難民の受け入れ国と非受け入れ国の一部は対立しており、トルコやアゼルバイジャンはシリアに対して国境の解放と難民の受け入れを呼びかけ、難民を受け入れようとしないシリア政府を非難している。シリア側はトルコに対して国境を開放すれば混乱がおきるとし、トルコもシリアとの国境線の管理を厳格化している事をあげて、トルコの狙いはシリアの混乱だとトルコやアゼルバイジャンを非難している。
なお、イランは対立には加わらずに、レバノンにイラン政府が設置した現地の救護センターを通じてレバノン人の受け入れを行っている。
このレバノンを巡る一連の人道問題に対して国際連合は、レバノンと接するテルノポレスト大陸の北西地域には国際連合軍が駐留を続けており、核地雷原も存在する事からレバノンに再びセル=エレーン帝国が攻め込む事は無いと安全性を訴えている。
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注釈
・パン・アフリカ=サウスアメリカ戦争及びパン・ノースアメリカ=グレートブリテン戦争 - アフリカや南米、北米やイギリスの地域に転移してきた大陸が存在していた事から、この様な名称で呼ばれた。戦争勃発当初、転移してきたテルエレブ諸国は地球側と一切の交流を持たずに戦争を起こした事もあり地球側はこの両戦争をこの様に呼んだ。
・セル=エレーン帝国 - テルノポレスト大陸において最大の領土面積と国力を持つ国家。
・テルエレブ族系民族 - テルノポレスト大陸とアルムール大陸の両大陸において最大規模の人口を有する民族。
・テルエレブ諸国 - テルエレブ族系民族系国家の総称。
・テルノポレスト大陸 - アフリカ及び南米の大陸があった地域に跨る様に転移してきた大陸。
・アルムール大陸 - 西太平洋、北米、英国があった地域を跨ぐ様に転移してきた大陸。




