ジャポン・エ・ポルトガル ‐ ウィキパディア
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ジャポン・エ・ポルトガル
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ジャポン・エ・ポルトガル(ポルトガル語:Japão é portugal 日本語:日本はポルトガル)は、2003年頃に日本のインターネット掲示板での主張からその後、主に九州から中部地方にかけて支持を広げた運動である。
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目次
1.概要
2.インターネット掲示板での書き込み
3.規模
4.事件
5.日本政府の対応とポルトガル政府の反応
6.帝国臣民運動との関連性
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概要
ジャポン・エ・ポルトガルとは、1570年に日本がポルトガル王国に対して貿易港として長崎港を開港して以降、日本はポルトガル王国によって統治されてきたと主張する運動である。ジャポン・エ・ポルトガルの支持者は、現在の日本の歴史を否定しており、現在の日本の歴史は盗まれたものだと主張し、日本国の存在を認めず、法的根拠が無いとして現在の日本の偽りの統治からポルトガル王国の主権を解放せよと主張している。しかし、日本が歴史上、ポルトガルの統治下にあったという歴史的事実と根拠は存在しておらず、ポルトガルは一度も日本の領土を領有していたという記録も事実も無い。
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インターネット掲示板での書き込み
ジャポン・エ・ポルトガルの主張の始まりは2003年7月2日に日本の大手インターネット掲示板サイト8ちゃんねるにて投稿された『【歴史】日本ってポルトガルじゃね?』というスレッドが最初であるとされる。この投稿されたスレッド内の内容は大まかに、今日学校で日本史習ったけど日本の歴史はおかしい。日本なんて国は存在しない。ここはポルトガル王国だ。という内容である。
これに対して掲示板の利用者から歴史的根拠を投稿者は求められたが、根拠は示さなかった。しかし、この様な正当性のみられない書き込みに対して、非常に多くの書き込みが不特定多数から行われ、この投稿者の主張に賛同する書き込みが相次いだ。この、【歴史】日本ってポルトガルじゃね?のスレッドはその後、爆発的に伸び、投稿から僅か3ヶ月で2万1千以上の書き込みが行われた。
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規模
ジャポン・エ・ポルトガルの正確な規模は判明していない。日本の公安調査庁は、2019年の見解で、少なくともジャポン・エ・ポルトガルの支持者の数は日本国内に1万人以上は存在するとしている。2013年には大規模な日本政府への抗議集会が開かれ、東京の国会議事堂前、長崎市役所前で参加者数千人規模のデモが行われた。
ジャポン・エ・ポルトガルは多くのグループに分かれており、その様相は多岐に渡る。単に頭の中に奇異な考えが詰まっている人達、極右、極左、反日、反ユダヤ勢力、あるいは犯罪グループから、オカルト集団、ユニークなミクロネーションなど。統一した思想や組織は存在しない。
ただし、いずれの思想や勢力であっても、唯一の共通点として日本国の存在を認めず、あくまで日本の統治を違法とし、日本はポルトガル王国の領土であると主張している。
また、日本最大の塾講座会社ユーキンの発表によると2003年以降、九州から中部地方にかけてポルトガル語の受講者が2002年までの受講者を遥かに越える数で増加している事が判明している。特に長崎市においてポルトガル語の受講者は非常に増加傾向にあり、2002年までポルトガル語のみを専門に教える塾の数は市内に存在しなかったが、2007年には長崎市内にすでに11のポルトガル語を専門に扱う塾が登場している。これらのポルトガル語受講者の増加が、ジャポン・エ・ポルトガルの支持者の数と関係するかは不明だが、日本メディアはジャポン・エ・ポルトガルの影響を指摘している。
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事件
・2013年国会議事堂前デモ流血騒動
2013年12月6日、東京の国会議事堂前で、ジャポン・エ・ポルトガルの支持者が特定秘密保護法の成立に反対して抗議デモを行った。この時、特定秘密保護法に反対する様々な政治集団が既に国会議事堂前で政府を批判する大規模な抗議デモを行っていたが、そこへジャポン・エ・ポルトガルの支持者の集団が、“日本からポルトガルを解放せよ!“阿部政権は我々ポルトガル人を弾圧しようとしている!”“ポルトガル王国万歳!”とシュプレキコールを上げながら、さらに多くの支持者がポルトガル王国旗やポルトガル王旗を振りながら参加した。
これに対して、それまで国会前でデモを行っていた労働組合系の政府への抗議デモを行っていたデモ隊が、ジャポン・エ・ポルトガルの支持者らに、デモをやめる様に要求した。このデモをやめる様に要求したデモ隊は、ジャポン・エ・ポルトガルが抗議の主張を出すと、自分達のこれまでの政府への要求がジャポン・エ・ポルトガルの主張が加わる事によって政府に対してもデモを見ている一般国民からも抗議デモの主張が歪められてしまうとしてジャポン・エ・ポルトガルにデモからの離脱を呼びかけた。
これに対してジャポン・エ・ポルトガル側はこれを無視してデモを継続。これに労働組合系のデモ隊が激しく反発した。すると、これにジャポン・エ・ポルトガルもこれに反発。双方のデモ隊の間で一部が暴徒化し流血騒動となった。この事態に、国会前のデモは騒然とし大混乱となり政府への抗議デモが一時中断され、警察が事態の沈静化に乗り出すなど状況が混沌とした。
・2010年長崎市ジャポン・エ・ポルトガル警察騒動
2010年にジャポン・エ・ポルトガル支持の集団の一つ、全国ポルトガル連合(構成員は凡そ100名程度)が、日本国の法治はポルトガル王国の法に照らして違法であるからと、自ら長崎市警察を名乗り、独自の法律を作り、自らデザインした警察制服を作り、さらに警察署を設置し、アーチェリーで武装し市内を巡回した。しかし、当然、違法である為、これが分かると本物の長崎市の警察は団体を凶器準備集合罪・凶器準備結集罪で取り締まった。
・京都偽銀行事件
2008年に京都市伏見区で、ジャポン・エ・ポルトガル支持団体、ポルトガル帝国が、違法に銀行業部や保険業務も行ったとして、警察による強制捜査を受けた。この団体はリーダーである加藤大志氏がポルトガル帝国の皇帝と名乗り、主にネット上にて議会や政府機関を設置しているミクロネーションの様な団体であった。警察による逮捕後、加藤大志は警察に対して、日本の統治は法的根拠をもたないと主張して、その上で自身の帝国の統治は合法であると主張した。
・香川県警機動隊ジャポン・エ・ポルトガルシンパ問題
2018年に香川県民新聞のスクープ記事で明らかになった問題である。香川県民新聞は2018年6月2日付の新聞で、香川県警の機動隊内にジャポン・エ・ポルトガルのシンパ化している機動隊が存在していると報じた。これに対して香川県警はこれを否定したが、この香川県警の否定の翌日に香川県民新聞は香川県警機動隊の複数のメンバーが居酒屋でポルトガル王国旗を持って記念撮影をしている写真を掲載した。さらに、機動隊の訓練場での目撃証言も掲載し、当該機動隊が野外訓練の際にほぼ全員の部隊に属する機動隊員がポルトガル王国の国旗の腕章を付け内一人はポルトガル王国の国旗を持ち込んで訓練中に振っていた事が報じられた。
この報道を受け香川県警は緊急の記者会見を開き、事実確認の調査を行う事を発表した。そして、6月19日、香川県警は当該機動隊について、香川県民新聞の報道内容が事実であった事を認めた。そして、この当該機動隊の隊員について、勤務中の職務違反が見られたとして、懲戒免職および懲戒解雇の処分を発表した。
この事件は日本社会に非常に大きな影響を与え、これまで、単なる変わり者の集団だと一般的には思われていたジャポン・エ・ポルトガルに対する危険性が指摘される様になった。この事件は現職警察官の中にジャポン・エ・ポルトガルに感化されている者がいる事を暴いた。警察庁はこの警察の精鋭部隊である機動隊からジャポン・エ・ポルトガルに感化されている隊員が出ている事について、特定の思想に強く感化された警察官を出してしまった事は非常に深刻な事態であり厳正に対処していくと声明を発表した。なお、香川県民新聞は、ジャポン・エ・ポルトガルのシンパが警察内に他にも存在する可能性を指摘しており、これらのシンパの警察官がジャポン・エ・ポルトガルに関連する事件を捜査する際に意図的に捜査を遅らせたり妨害をしている可能性を指摘した。
・その他
ジャポン・エ・ポルトガルの支持者は、日本国という国家の司法権も課税権も認めない。ジャポン・エ・ポルトガルの団体の中には勝手に王立銀行や、王立保険会社、王立市役所を作る団体。各地に点在する団体には、首相や大臣、将軍もいれば、宰相も存在する所が多くある。そして、それぞれの団体が様々な国章や、独自のパスポート、通貨も発行している。
これらを行う団体の中には体裁上は日本国という国家の司法権も課税権も認めていなくても、日本の法律に抵触しない範囲で行っている団体もあるが、日本の法律を全て無視する団体もある。さらに個人レベルでも、勝手に作った免許証で車を運転したり、建設許可なしに建物を改造したり建築を行ったり、または、自分の子供の出生届けを提出せずに、勝手に身分証明書を発行するなどしている人も居る。
当然、これらの勝手に王立銀行や、王立保険会社を設置したり、勝手に作った免許証で車を運転したり、建設許可なしに建物を改造したり建築をしたりする行為は日本国の法律に抵触する。実際に毎年の様に、逮捕者が検挙されている。しかし、捜査にかかる時間がかかったり、役所の手続き上の問題や煩雑などで、効果的な取り締りはできていない。
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日本政府の対応とポルトガル政府の反応
日本政府は一環してジャポン・エ・ポルトガルの主張を認めていない。違法な活動がある場合は適切に取り締まりをする方針である。一方で、この日本でのジャポン・エ・ポルトガルという奇妙な運動とその広がりについて、ポルトガル共和国政府も反応を示しており、2019年に、マリオ・リベロ大統領が会見中にこの問題に触れ、ポルトガル共和国はその歴史上において王国であった頃から現在に至るまで日本国の領土を領有した歴史的事実は無いと日本政府と同一の公式声明を発した。
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帝国臣民運動との関連性
帝国臣民運動とは北海道から関東地方にかけて、ジャポン・エ・ポルトガルと同じ様に日本国の存在を認めず、この場合はポルトガルではなく、スペイン帝国によって統治されてきたとする主張するジャポン・エ・ポルトガルと似た運動である。この運動の正確な始まりは定かでないが2007年頃にはすでに主張をする団体が現れている。この帝国臣民運動の規模はジャポン・エ・ポルトガルの支持者ほど多くないと見られるがそれでも、複数の団体が作られ個人での活動も見られている。
ジャポン・エ・ポルトガルと似た様な主張をしている事から、これらの帝国臣民運動はジャポン・エ・ポルトガルと何らかの関係性があるのではないかと議論されている。しかし、ジャポン・エ・ポルトガルと帝国臣民運動の支持者は各々の様々な理由を付けてお互いの仲が悪いとされており、明確な関連性があるかどうかは不明である。




