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ジャシー(民間軍事会社) ‐ ウィキパディア

ウィキパディア-フリー百科事典

ページ/ノート

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ジャパン・アカデミック・セキュリティー・インターナショナル

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ジャパン・アカデミック・セキュリティー・インターナショナル(英:Japan Academic Security International 略:JASI(ジェーエーエスアイ。ジャシー))とは、2013年に日本の国防組織、自衛隊の除隊メンバーによって設立されたアメリカに拠点を置く民間軍事会社(PMC:Private Military Company)である。2017年以降、フランス、ドイツ等の欧州連合加盟6ヶ国、アフリカ14ヶ国、ロシア、中華人民共和国、韓国、朝鮮民主主義人民共和国などから国際テロリストとして認定されている。以下、本項ではジャパン・アカデミック・セキュリティー・インターナショナルをJASIと呼称する。


種類:民間軍事会社

設立:2013年 解散:2022年

事業内容:軍事コンサルティング :リスクマネジメント

    :軍事訓練       :戦闘行為

代表者 :上嶋英作 :モハメド・クリー

従業員数:3,600人程(戦闘要員3,500人程 軍事顧問100人程)

支店数 :7(ロサンゼルス・サンフランシスコ・ロチェスター)

      (ロンドン・ハノイ・マニラ・アブダビ)

子会社 :アジアン・エア

    :サンフランシスコ・ジャパン・サービス

    :ヨーロピアン・サービス

    :ウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティー

    :ASS

    :ジャパン・グローバル・トランスポーテーション

関連人物:ヤヒヤ・ジャメ

    :サイモン・フランシス・エドワード

    :モハメド・クリー

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目次


1.概要

2.JASIの経緯

 2.1JASIの設立

 2.2ブラジル麻薬戦争及びメキシコ麻薬戦争

 2.3イエメン内戦

 2.4その他

3.2017ガンビア騒乱

 3.1ガンビアでの政変

 3.2JASIの介入

 3.3国際的批難

 3.4ガンビア内戦

 3.5ジャメ政権の傀儡化

4.赤道ギニアでのクーデター

5.国際テロ組織認定

6.東西ガンビアと赤道ギニアの消滅による解散

7.解散後の社員達のその後

8.武装

9.西ガンビアと赤道ギニアにおけるJASI

 9.1西ガンビアにおけるJASI

 9.2赤道ギニアにおけるJASI

10.資金

11.JASIの不祥事

 11.1韓国における自動車爆弾テロへの関与疑惑

 11.2サンフランシスコ暴動の誘発

 11.3部隊内での麻薬の蔓延


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概要


ジャパン・アカデミック・セキュリティー・インターナショナル、略称JASIは、2013年に当時、陸上自衛隊の大隊長であった上嶋英作2等陸佐の発案の下、上嶋が除隊後に自衛隊のその他の除隊メンバーと共に設立したアメリカの民間軍事会社である。本社はロサンゼルスに置いていた。その前身組織は日本の陸上自衛隊、海上自衛隊の部隊であり、軍事部隊がスライド式に民間軍事会社となった事から設立当初からある程度、大きい規模を有し、最盛期には世界の民間軍事会社の中でもトップ5に入る程の規模であった。


しかし、2017年のガンビアでの政変を故意に介入した事で国際的な批難を受けた。さらに、JASIはその後、赤道ギニアでのクーデターにも関与し、これらが原因で2018年、2019年、2020年と立て続けに国際テロ組織の認定を複数の国から受けた。


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JASIの経緯


・JASIの設立

JASIの前身は日本の国防軍事組織である自衛隊の第1輸送隊と陸上自衛隊の大隊である。2011年11月11日に発生した日本消滅事件において、アメリカでの共同軍事演習の為に日本を発っていた第1輸送隊はこの人類史上最悪の災害から偶然にも難を逃れる事ができた。しかし、自衛隊はその後、組織解体される方針が決定される。


この時、陸上自衛隊の大隊長であった上嶋英作2等陸佐と元CIA職員のサイモン・フランシス・エドワードが接触した事で、自衛隊の民間軍事会社化構想が持ち上がり、2013年に二人を共同代表としてJASIは設立された。JASIには自衛隊員の凡そ3分の1が参加したとされる。アメリカ政府は米国内にいる日本人に対して生活支援を約束していたが、JASIの参加者の多くは生活への不安から参加した。


サイモン・フランシス・エドワードは日本の消滅によって世界恐慌が起こり、世界の紛争が激化すると推測していたとされ、上嶋英作はこれを聞き隊員達を路頭に迷わせない事を理由に当初は賛同したとされる。実際に推測通り、世界情勢は日本の消滅を原因とする世界恐慌によって紛争が拡大していくが、そんな中でJASIは組織の拡大を続けた。


・ブラジル麻薬戦争及びメキシコ麻薬戦争

JASIの最初の業務はブラジルにおける麻薬戦争となった。ブラジルは世界で最も日系人が住む国であり、この日系人社会の後押しもあってJASIはブラジル軍や警察に雇用された。JASIはこの麻薬戦争で自身の民間軍事会社としての地位を確立しており、以後、その規模を拡大。ブラジルでの活動が認められメキシコでも警察に雇用された。企業規模の拡大と共に最初は日本人で構成されていた社員も徐々に多国籍化した。


・イエメン内戦

次に投入されたのはイエメン内戦である。JASIはUAEに雇われ南部移行評議会(STC アラビア語: المجلس الانتقالي الجنوبي)を支援した。UAEはイエメン内戦において、サウジアラビアと協力してフーシ派と対立する勢力を支援していたが、イエメンへの派兵には国民感情が否定的であった。その為、UAEはかつて自衛隊として日本の防衛組織であったJASIと契約する事で派兵の規模を削減した。このイエメン内戦での仕事はJASIにとって最大の契約であったとされる。


イエメン内戦において、JASIはSTCの軍事訓練や共同作戦を展開した。2019年にはソコトラ島に300名の部隊を上陸させ、暫定政権軍の勢力を完全に駆逐し同島をSTCに明け渡してもいる。また、アデンでの戦いでは、STCからアデンを奪還する為に進軍していた暫定政権軍をUAE空軍と共に空爆している。


・その他

この上記の麻薬戦争や内戦以外にもフィリピン内戦やインドネシアの民族紛争、パプア・ニューギニアにおける内戦、南米の治安悪化に伴う各国の動乱にも関与していたとされる。これらの戦闘行為以外には、民間施設の警備業務や要人警護等も幅広く行っていた。


また、JASIはアメリカのトランプ政権が始めた国境線の警備厳格化にも参加しており、メキシコとの国境線に社員を送っている。JASIは2020年にトランプ政権の移民に関する政策の支持を表明しており、不法移民の存在を不公平の象徴として批判した。


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2017ガンビア騒乱


・ガンビアでの政変

2016年12月、ガンビアで行われた大統領選挙で野党連合統一候補のアダマ・バロウが長期独裁政権をとっていたヤヒヤ・ジャメを破り当選した。しかし、これに対してジャメは当初はテレビ演説で敗北宣言を行い退陣の意思を示したものの、後に退任を拒否し首都に軍隊を配備した。これに対してバロウは反発し2017年1月19日、隣国セネガルのダカールにあるガンビア大使館で宣誓式を行った。


アフリカの15カ国で構成される西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は、バロウ氏への支援を表明し、ジャメに対して20日正午までに政権の権限移譲するように要求。セネガル、ナイジェリア、ガーナは連合軍を結成し2017年1月19日にガンビアへの軍事介入を表明した。これに対し21日、ジャメは退陣を宣言、赤道ギニアへと亡命した。


・JASIの介入

しかし、赤道ギニアに亡命したジャメは、政権の意欲を諦めた訳ではなく仲介者を通じてJASIと接触し、政権奪還に向けた支援を依頼した。この依頼にJASIはジャメと契約を結び、ガンビアの政変への介入を行った。2017年2月1日にJASIは揚陸艦1隻と貨物船でガンビアの首都バンジュールを強襲。この強襲作戦にはジャメを支持するガンビア軍の一部部隊も参加し国内でクーデターを起こした。JASIの部隊は大統領府や議会庁舎を占拠。市内を瞬く間に支配下に置いた。この突然の攻撃にバロウ政権は混乱し、バロウ大統領は大統領警護隊に保護されセネガルに脱出した。


この攻撃は成功を収め、同日中にジャメは揚陸艦からヘリコプターで大統領府へと降り立ち翌日にはテレビ演説を行い、外国勢力には屈しないと主張。大統領を継続すると宣言した。


・国際的批難

このジャメによるJASIを使った政権転覆は国際的な批難を呼んだ。ガンビアから脱出したバロウは侵略であるとジャメを批難。また、これに協力したJASIに関しても批難し、国際社会もこれに同調した。


・ガンビア内戦

2月5日、セネガル、ナイジェリア、ガーナの連合軍はバロウがガンビアの正当な大統領であるとして、軍事介入を宣言。ガンビア川上流地方、ガンビア川中流地方へと進駐した。これにジャメは徹底抗戦を表明。ガンビア軍の展開を命令したが、実際に戦力の主力となったのはJASIだった。JASIはこの時、保有する戦力の大半である2,000人から3,000人の兵力をガンビアに展開していたとされる。


2月7日、セネガル空軍、ナイジェリア空軍を主軸とする連合軍は首都の即時奪還を計画して侵攻したが、JASIが保有するPAC3や対空戦車によって撃墜され失敗した。その後、連合軍とバロウ政権軍は地上からの進撃による占領地の奪還を狙いJASIとの間で激しい地上戦を繰り広げガンビア内戦は勃発した。


この内戦は赤道ギニアとギニアの仲裁で2018年に休戦するが、両者とも正等なガンビアの政府を掲げた。その結果、ガンビアは西にはガンビア共和国、東にはバロウ政権を主導するガンビア自由共和国という分断国家の状態となった。


・ジャメ政権の傀儡化

2020年3月、ウォール・ストリート・ジャーナルは西ガンビアのジャメ政権について、ジャメ大統領はJASIによって傀儡化されているという内容の報道を行った。JASIはこれを否定しているが、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ジャメはバンジュールにある自宅で軟禁状態にされ、自宅は高さ2mの壁で覆われ、周囲にはJASIの武装部隊が監視しているとした。また、ジャメ政権は2019年に国軍を解体し、国防の民営化と称してウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティーという民間軍事会社を設立し、同社に国防を委任しているが、同社の代表者が、2017年までJASIの共同代表であったサイモン・フランシス・エドワードである事から事実上、西ガンビアはJASIによって支配されていると報道している。


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赤道ギニアでのクーデター


2020年8月、JASIの子会社であるウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティーを率いるサイモン・フランシス・エドワードが首謀して、赤道ギニアにおいて、長期独裁を行っていたンゲマ大統領を追放して、ンゲマの政敵である当時、スペインに亡命中であったセベロ・モトヌサを大統領に挿げ替えるクーデター事件が発生した。


このクーデターでンゲマは赤道ギニアより追放され、セベロ・モトヌサ率いる赤道ギニア亡命政府が赤道ギニアに帰国。支持者とウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティーの支援によって政権を奪取した。


海外へ亡命したンゲマはスペインとウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティーを批難。侵略であると声明を発表した。この事件について、スペイン等の欧州各国はモトヌサ政権を支持する意向を示したが、赤道ギニアと親交があったロシア等の東側諸国は犯罪行為だとして非難した。この中でロシアの情報当局はJASIはウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティーを海上の揚陸艦から支援していたとして犯罪に重大な加担をしたとしている。


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・国際テロ組織認定


JASIは2017年以降、アフリカ14カ国を初め、フランス、ドイツ等の欧州連合加盟6ヶ国からガンビアを巡る問題で、ガンビアを事実上侵略したとして国際テロ組織として認定されている。2020年には赤道ギニアにおけるクーデター事件から、主導的な役割を果たしたとして、ロシア、中華人民共和国、韓国、朝鮮民主主義人民共和国などから国際テロリストとして認定された。


また、中国に関しては共同代表を務めるモハメド・クリーが中国が弾圧するウイグル人であった事や彼がJASI内でウイグル人社員による戦闘部隊を編成していた事、西ガンビア政府が中国のウイグル人政策を非難していた事が、国際テロ組織認定の根底にあったと香港メディアは報道している。


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東西ガンビアと赤道ギニアの消滅による解散


2022年11月9日に発生した「アフリカ大陸西岸地域及びアフリカ大陸西岸隣接諸島地域の消滅事件」は同地に展開していたJASIに大きな影響を与えた。この事件によってJASIの強みでもあった揚陸艦も消滅し、社員の大半も巻き込まれた。これによるJASIの経済損失は深刻であり、11月18日、ニューヨークにいて消滅事件から逃れる事ができていたJASIの共同代表モハメド・クリーは、経営の建て直しは困難であるとして、JASIの解散を発表した。


JASIの解散によって子会社の多くは解散か他社による買収、もしくは独自の道を歩む事になった。ウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティーは消滅し、アジアン・エアとASSは南アフリカのニュー・エグゼクティブ・アウトカムズに買収。サンフランシスコ・ジャパン・サービス、ヨーロピアン・サービス、ジャパン・グローバル・トランスポーテーションはジャパン・グローバル・トランスポーテーションの傘下の下で纏まった。


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解散後の社員達のその後


JASIの解散後、消滅に巻き込まれなかった社員の大半は子会社であったジャパン・グローバル・トランスポーテーションに再就職した。モハメド・クリーはジャパン・グローバル・トランスポーテーションの代表に就任。引き続き民間警備会社としての業務を継続した。


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武装


武装については設立初期こそは、自衛隊運用時代に運用されていた装備が殆どそのまま利用されていたが、部品不足に陥り、アメリカ製や旧東側諸国製の装備も取り入れられていた。小火器は64式7.62mm小銃、89式6.56mm小銃、AK‐47、M16、M870、ミニミ軽機関銃、M60機関銃、ブローニングM2重機関銃、PKM、9mm機関拳銃、MP7、9mm拳銃、M110、M107、96式40mm自動擲弾銃、RPG7などである。


JASIは船舶、航空機、戦闘車両なども幅広く運用しており、その規模は中小国の1軍隊に相当した。自衛隊における第1輸送隊を前身とする事から、おおすみ型輸送艦を1隻保有しており、さらにエア・クッション型揚陸艇2隻や貨物船とタンカーも保有した。なお、エア・クッション型揚陸艇、貨物船とタンカーは子会社のジャパン・グローバル・トランスポーテーションの保有物である。航空機はCH‐47、AH‐1、ロビンソン・ヘリコプター、Ayres Thrush社製COIN、A‐10等を保有。車両は、10式戦車、T55戦車、ZSU‐23‐4シルカ、BMP‐2、73式トラック、ピックアップトラック等を保有していた。


また、保有基数は少なかったが、PAC3やMLRS等も所持しており、イエメン内戦やガンビアではその威力を示した。また、気化爆弾やクラスター爆弾も保有していたとされる。


通常、PMCは傭兵として扱われないために、民間人風の服装に銃器や防弾装備などを身につけるPMC装備に身を包むのが基本であるが、JASIは、アメリカにおける警備員風の警備服や帽子。紛争地等ではポルトガル軍型迷彩服を着用した。ヘルメットなどはLWHヘルメット、66式鉄帽、88式鉄帽を着用。その為、紛争地においては、傭兵との見分けが難しかった。


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西ガンビアと赤道ギニアにおけるJASI


以下は2021年6月19日の国際連合人権委員会で国連特別報告者より提出された報告書を基に解説する。なお、これらの状況に関して、JASIは事実ではないと反対声明を発表していた。


・西ガンビアにおけるJASI

国連特別報告書では西ガンビアにおいて、JASIの影響力は非常に大きいと指摘している。ガンビア内戦後、ジャメ政権下の西ガンビアではJASIを主導とした治安維持態勢が構築された。JASIは事実上、ガンビア軍や警察と同等の扱いを受けていたとされ、国内にはJASIの駐留基地が複数個所設置された。しかし、ガンビア軍と警察は内戦前の政変と内戦によって、その規模や基盤が大きく損なわれており、事実上、JASIはジャメ政権の国軍として振舞った。


しかし、2018年頃に入り東ガンビアとの休戦協定が結ばれるとジャメ政権は国軍を解体し民営化するという政策を突如として実行しはじめ、アフリカ人や外国人による民間軍事会社ウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティーが設立された。国連特別報告者はこの前代未聞の国防の民営化という政策をJASIによる明確な侵略行為だと指摘しており、その点として2つを上げている。まず1つ目が、この会社の代表にはJASIの共同代表であったサイモン・フランシス・エドワードが就任していた事と、2つ目がこのウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティーがJASIの完全子会社であった為である。


さらに、2020年には報道機関やNGOによってジャメが事実上の軟禁状態にある事が分かり、国連特別報告者は西ガンビアはジャメ政権がJASIによって傀儡化され事実上、海外企業による軍事独裁政権と化している異常事態と報告した。


また、国連特別報告者はガンビア全体の人権問題も挙げており、それに関連してブラジルやアメリカの日系経済界を批判している。西ガンビアではJASIによって政権が傀儡化された後、日系経済界による事実上の経済支援がJASIを通して行われており、首都バンジュールでは日系経済界の支援を受けたJASIが、自社の社員やウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティー等の子会社社員用の高層住宅地開発や商業施設を建設し、さらにブラジルからは日系人が経営する靴工場等が移転した。さらに、日本消滅事件によって祖国を失い難民となっていた日本人を西ガンビアに呼び住居や職などを提供している。西ガンビアではこれによって歪な日系人社会が急速に構築されつつあるとし、報告書製作者のキム国連特別報告者は、この状況を事実上の侵略行為と評した。


西ガンビア国内では、これらのJASIによる独裁や日系人社会への反発の声も起こっているとされており、2019年には8月と9月に数万人規模の大規模デモが起きたがいずれも武力によって鎮圧されている。JASIはジャメ政権により与えられた警察権を行使してこれらの反対派を逮捕し粛清している。また、JASIは国内メディアも掌握しているとされ、ジャメ政権を利用し自らを正当化するプロパガンダ放送を流しているとした。


この状況に関して西ガンビアでは日系人社会の構築によって首都バンジュールに限っては急激な経済発展をしているとされるが、一方で分断状態にある東ガンビアでは経済難と飢饉が発生し数千人の餓死者が発生している。


・赤道ギニアにおけるJASI

赤道ギニアにおけるJASIについて、国連特別報告書では間接的に重大な関与をていると評している。赤道ギニアではJASIの子会社であるウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティーが非常に大きな影響力を有しているとしており、代表のサイモン・フランシス・エドワードは、赤道ギニアの国家安全保障委員会のメンバーである。赤道ギニアは西ガンビアと同じく政権交代後、国軍を解体しウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティーに国防を委託している。赤道ギニアでは必ずしも独裁的な政治が行われているとは言い難いが、2020年のクーデターの際にJASIが揚陸艦で海上からクーデターを支援した事、ウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティーがJASIの子会社であり深い関わりがある事から、無関係ではないと評している。さらに、ウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティーは赤道ギニアの国営石油採掘会社の株を実に35%を赤道ギニア政府から譲渡されており、石油利権との関わりも指摘されている。


この赤道ギニアの石油利権を巡っては、国連特別報告書では、あくまでも疑惑としながらも、ウエストアフリカン・アカデミック・セキュリティーとJASIの活動資金になっていると指摘している。


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資金


初期のJASIは第一輸送隊の解散後にアメリカ国防総省に売却された2隻の輸送艦や幾つかの装備を売却した事により得た売却資金と、アメリカ国防総省、アメリカ国務省の資金提供によって成立していた。麻薬戦争後はこれに加えて日系人社会からの莫大な支援を受けた。その後は業務を黒字化し拡大した事でアメリカ国防総省、アメリカ国務省の支援は減少したが、それでも日系人社会や悪化する国際紛争をバックに大きな規模を維持した。


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JASIの不祥事


JASIは上記の事件の他にも幾つかの不祥事を起こしている。以下はその一覧。


・韓国における自動車爆弾テロへの関与疑惑

2018年9月3日、韓国のソウルにある旧日本大使館前に設置されている慰安婦像前で市民団体が日本に対する抗議集会を開いていた所、午後1時32分24秒、抗議集会に軽ワゴン車がクラクションを鳴らしながら突入し自動車に設置されていた自動車爆弾が爆発する爆弾テロが発生した。幸い死傷者は犯人の40代男性以外には居なかったものの、爆弾の直撃を受けた慰安婦像が破壊された。


韓国警察の捜査により、車を運転していた40代男性は、アメリカ在住の日本人である事が分かり、さらにその後の捜査によってこの男性がJASIの元社員である事が分かった。この事から韓国警察はJASIがテロに関わった可能性があるとして捜査をしたが、JASIは関与を否定。また、その後の捜査でもJASI直接的な関与の証拠は見つからなかった事から、単独犯であると結論づけられた。しかし、このテロ事件によって韓国国内の世論が加熱し、前年のサンフランシスコ暴動の件も合った事から、反日感情が噴出した。犯人男性の滞在していたホテルの部屋には「日系人への人種差別は許さない」と書かれた横断幕があり、犯人は韓国の反日活動への反発から事件を起こしたと推測されている。


・サンフランシスコ暴動の誘発

2017年11月14日、アメリカ、カリフォルニア州サンフランシスコ市議会が、中国系市民団体が市に寄贈した慰安婦像に関して土地ごと寄贈を受け入れる決議案を全会一致で可決した。この像の受け入れに関して現地の日系人社会は猛反発を示したが、市議会は反対を受け入れずに像を受け入れた。これに対して15日、ワシントンに本部を置く日本国臨時政府と日系人、日本国籍の国際難民で作られる日本難民協会は共同声明を発表し、サンフランシスコ市と慰安婦像の設置を全米各地で進める市民団体に対して非難した。


すると、11月16日。JASIがSNS上で19日に全米の日系人に対してサンフランシスコに集まって市に抗議をしようと呼びかけた。そして、11月19日、全米各地から日系人とこれを支持する人々が集まった。この数は実に1万人から3万人程であったとされる。これらの人々はサンフランシスコの市庁舎前、慰安婦像が設置された中華街、韓国人街のあるベイエリア等で大規模な抗議デモを実施した。すると、このデモに反発し現地の韓国系市民団体や中国系市民団体も衝突。暴動へと発展した。この暴動による死者は38名、負傷者数は約1,000人を出し、この暴動で、市庁舎、ベイエリアの韓国系商店街や中華街は甚大な被害を受けた。この事態にサンフランシスコ市には州兵は元より、2,000人を超える連邦軍が暴徒鎮圧の為に投入された。暴動は5日もの間続いたが、連邦軍の介入で終息した。しかし、その後も日系人によるサンフランシスコ市に対する抗議は断続的に続き、11月30日にサンフランシスコ市は慰安婦像の寄贈を受け入れない方針を採らざる終えない事態になった。その後のFBIによる捜査で暴動に関与したとして数十人が逮捕されたが、その中に商店の破壊行為や、SNSでの先導行為を行っていたとしてJASIの社員18名が暴動に深く関与したとして逮捕された。


この件に関してJASIは当初は暴動誘発の意図はなく暴動となったのはあくまで自衛行為だったと釈明したが、後に自社の社員が暴動に関与した事は大変遺憾として謝罪し関与した社員の処分を決定した。詳しくは「韓国の日本消滅後の反日活動」及び「サンフランシスコ暴動」の記事を参照。


・部隊内での麻薬の蔓延

2021年1月、ウォール・ストリート・ジャーナルはJASIの部隊内で麻薬やドラッグが蔓延しているする報道を行った。JASIはこの報道内容を否定したが、翌月に社員の2名がアメリカの麻薬取締局に違法ドラッグの所持で逮捕された事から、JASIは緊急記者会見を開き、社内調査により社員23名が薬物を使用していた事が分かったと公表。会社にFBIと麻薬取締局の捜査が入る事になり、会社側が発表していた23名の他にも新たに11名が麻薬を所持していた事が明らかになった。最終的な逮捕者数は19名だったが、JASIの部隊内で麻薬が蔓延している事が明らかになり、大きな問題となった。また、これとは別にウォール・ストリート・ジャーナルは内部告発者の証言としてJASIの上層部は麻薬の密売や密輸にも手を染めているとも報道している。


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― 新着の感想 ―
[一言] JASIの記事や今回のワグネルの反乱を見ても重武装化された現代の傭兵たる民間軍事会社に軍事任務を丸ごと任せるべきでないということにはなるのは仕方ないでしょうね。 作中の韓国やサンフランシス…
[良い点] 日本消滅後にこの世界で取り残された自衛隊の部隊がPMCを結成するのはとてもそそります。 この会社には海賊対策部隊は参加してないのですか。 [気になる点] 日本とアフリカの転移は何かしらの関…
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