14歳消滅 ‐ ウィキパディア
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14歳消滅
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2022年2月、日本国で起きた異常現象。日本全土が正体不明の闇に呑み込まれ、24時間後に解放されたとき14歳の子女(推定110万人)が未知の方法によって消失していた。同時にかれらに関するあらゆる媒体の記録、関係者の記憶も失われていた。
2022年12月現在、異常現象の正体や行方不明児童の消息はつかめていない。
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目次
1概要
1.1異常現象の発生と終息
2被害
2.1消えた時間
2.2消えた14歳
3異常現象への対応
3.1日本国
3.2アメリカ合衆国
3.3中華人民共和国
3.4ロシア連邦
5その他
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概要
・異常現象の発生と終息
2022年2月2日22時22分、日本国の領空領海を含む全領域が正体不明の「闇」に呑み込まれ、あらゆる種類の通信が途絶した。闇の全周に作用した未知の斥力のためにあらゆる種類の航空機、船舶は進入できず諸外国は緊張を強めたが、24時間後闇は突然消滅した。
奇妙なことに閉じ込められていた日本の人々は異変を認識しておらず、謎の闇や24時間の経過を示す証拠や目撃証言は日本側に無かった。死傷者や建造物破壊などの直接的被害はみられず、一時は日本が寸分違わぬかたちで未知の闇から解放されたと考えられた。その後、推定100万人をこす児童が行方不明で日本から14歳の年齢集団が消滅していることが判明した。
・被害
・消えた時間
正体不明の闇に閉ざされていた24時間は「消えた時間」と称された。日本側の風雨や波浪などの自然現象やさまざまな社会活動、個人の挙措と記憶に異変前後の空白や途絶はなく、謎の闇を目撃した者や24時間の封鎖に関する記録や記憶はなかった。日本側の主観では異変はまわりの世界で生じ、突然混乱した情報を送って来たところから状況が開始していた。
異変発生時、日本の上空に大小数千機の民間航空機が飛行していたが、闇が消滅すると24時間前と同じ座標にふたたび姿が確認された。機体のトラブルや航空燃料・電池の消耗は無く全機無事に着陸することができ、同様に異変に遭遇した自衛隊機や在日米軍のアメリカ軍機、ロシア連邦、大韓民国の軍用機も無事帰投した。しかし、日本領空を侵犯していたロシアと韓国軍機に関して、両国は一部の情報公開を拒んでいる。
闇の消滅から57時間後、日本政府は謎の闇による直接的な人的・物的被害は確認されないと公式発表した。通信と交通(物流)が突然途絶したことで、金融や保険や通商取引を中心にして国際的に甚大な経済的被害と混乱が生じていたが、死者行方不明者は無かったという発表は未知の災害に対する内外の一般の民衆の不安感情をいったん鎮静化させた。
・消えた14歳
2月8日、アメリカのメディアの調査報道をきっかけにして世界に知られた日本の異常事態。発端はイギリス人家族の訴えで、かれらは親交のあった日本人家族の安否を異変後に確かめたさい14歳の長女の姿が無いことに気づいたが、日本の両親は娘の存在そのものを否定した。日本の学校関係者や警察が海外からの通報や相談に動きをみせなかったことから、イギリス人家族は自国の政府機関やメディア、知人に働きかけ、とくに失踪者の友人だった次女がSNSで情報を求めたことで関心が集まり同様の事例が数多くみつかった。
100万人を越えると推測された日本の少年少女の消失は、人類史上最大規模の集団誘拐( マス・アダプション )として世界に衝撃を与えた。何者かの意図を想像させる、特定の14歳の年齢層が一国から失われる異常事態は多くの人々に不安と恐怖を与えたが、当事国の日本は対照的反応を示し、日本政府は24時間の闇による死者行方不明者は無いという見解を変えず日本のマスコミや国民も同調した。
彼らの主張は突然の大量失踪はそもそも存在せず、異変発生当時14歳という年齢層はもともと日本社会には欠落していたというものだった。この反論は海外では異様と取られたものの、調査に訪れた海外のマスコミ関係者や科学者、教育医療分野や犯罪捜査の専門家たちは、日本側のいかなる記録媒体にも14歳の子どもの出生や養育の記録を確認できず、かれらの生活の痕跡や証言者を発見できなかった。
日本各地に14歳の年齢層を欠いた人口密集地はあり、学校は14歳の一学年が無く一つの階の全教室が未使用の空室という校舎さえ発見された。しかし、教員生徒や地域住民はさまざまな空白を正常と認識し、関係書類や物的証拠の改竄や紛失破却は認められなかった。
ある日本の有名映画作品は14歳の子役のすがたが消えて、すべてのシーンが年下の別人に変わっていた。海外にあったフィルムに変化が生じずオリジナルの14歳のすがたが残っていたことから異常を指摘できたが、映画監督やほかの俳優たちは海外の映像を悪質な改竄と強く批難した。
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異常現象への対応
・日本
日本政府は謎の闇に関する科学的調査に協力的だが、海外の関心が強い『14歳の児童消滅』の問題には無関心で取り組みに熱意を欠いた。
消滅した14歳の児童の「100万人超」という推計は、海外にあった日本の人口統計資料の写しが基になっているが、日本政府はこの点も国内の統計資料や戸籍の方を真として、異変前から14歳の年齢集団は無かったとする当初の主張を変えない。一般の日本国民も関連情報への関心が薄弱で、 14歳の子女がいたと思われる住民へのインタビュー調査は成果が上がっていない。逆にプライバシーにふれる調査の繰り返しに反発が高まりつつあり、2022年12月現在、児童消失関連の言説を海外の国々の集団ヒステリー乃至、反日活動とする主張が首都圏を中心に支持を広げつつある。
『日本には今、14歳の子どもはいません。外国の方がそれを異常と感じることは分かりました。でも、はじめからそうなんですから仕方ないでしょう…… 人口ピラミッドに空白がある理由? 知りません、専門家に聞いてください』
『わたしに娘はいないんです。写真を何度見せられてもほかに言いようがない。妻やほかの子供に聞いてもいい。その娘さんは本当に知らないんです』
『ただ普通に暮らしたいんです。なのに思い出せ、間違った認識を自覚しろとつきまとう………おかしいのはあなた達だ』
[海外のホームステイ先にあった写真などから、14歳の長女がいたと特定された日本人男性へのインタビュー:アメリカ CBS ドキュメンタリー番組『60 Minutes Mystery( 60MーM)』より]
・アメリカ合衆国
日本を襲った異常現象にアメリカ国民は強い関心をよせた。とくに100万人を超える子どもの消滅は激しい不安と恐怖を呼び、富裕層の一部はアメリカでの異常現象の発生がありえるとして、危険が低いと言われる小国に住まいを移したり子女を海外留学に出した。また、2022年春には、一般大衆向けに自分自身や家族の個人データ、さまざまな写真、証明書類のバックアップを世界各地に分散させて、異常現象の記憶改変の脅威にそなえるサービスが登場して話題になった。
一方、数多くの個人や団体が正体不明の闇と14歳の消滅について、未知の存在の侵略行為や国際的な秘密勢力の陰謀、あるいは終末論的な宗教的事象と主張して社会の不安を煽った。その一部は過剰な武装や暴力行為、政府系機関への不正アクセスなどの問題を起こした。
・LAエクソダス・パニック
2022年5月1日21時23分、アメリカ西岸のロスアンゼルスで発生したパニック。五日にわたって都市圏が混乱して、58名の死者と推定二千人の重軽傷者を出した。
発端は一部地域の停電で、事故原因の火災の煙と突然の暗闇から「アメリカを襲う第二の闇」のデマが広まり、群衆が都市の外へ避難するため深夜の空港や幹線道路に押し寄せた。混乱は翌5月2日朝になってもおさまらず、むしろこの日が日本の事件から三ヶ月後に当たることから、夜までにロサンゼルスを離れようとする動きが広がった。
近隣都市の警察部隊の応援や州軍部隊の出動により数日かけてロサンゼルスの秩序は回復したが、5日にわたってさまさまな分野で集団欠勤や職場放棄が生じ、渋滞道路や一部の市街地で発砲事件や略奪行為が相次いだ。また、ロサンゼルス国際空港は滑走路や駐機場へ群衆が侵入したことから、一時閉鎖された。
・中華人民共和国
中国政府は、事件直後から謎の闇と大量失踪に強い関心をみせた。政府機関は、観光などで日本を訪れて異変に遭遇した自国民に対し即時帰国を呼びかけ、旅客機を手配する迅速な動きをみせたが、帰国者は入念な聞き取り調査を受けて日本国内で撮影した異変前後の写真データを押収された。また、児童の一部は中央政府の研究機関で各種の科学的調査や検体採取をされたという。こうした動きとは別に、中国軍の偵察機が異変時に謎の闇への進入を数次にわたって試み、異変後は科学調査船が日本の領海に侵入した。
一方、異変後の日本政府や日本人からの接触に対して、中国当局は強く警戒する姿勢を示して日本から中国への情報通信は一時遮断された。情報汚染を最大限警戒したと説明されたものの、この措置は韓国が制限措置に追随するなど周囲に大きな影響を与えた。日本政府は強く反発し、その後諸外国の調査団を国内へ受け入れたさいに中国政府からの要請のみ事実上拒絶した。
・ロシア連邦
謎の闇は、ロシア連邦が実効支配する北海道の千島南部の島嶼(日本側呼称・北方領土)をつつみ、現地のロシア人18,000人前後が一時音信不通となった。
異変の終息後、連邦政府は現地に科学調査団を派遣して日本国と同様の24時間の時間消失を確認したが、ロシア人の児童は消滅していなかった。現地調査は2022年現在継続中で、調査メンバーの一部は日本本土にも派遣された。
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その他
・クライアイ・チルドレン
消えた14歳の記憶を回復したとされる日本人の少年少女。現在まで3名が確認されてアメリカ政府の保護下におかれたが、日本の家族や関係機関は海外メディアの影響を受けた児童の妄想、虚言と主張して証言内容を認めておらず、身柄の返還を求めている。
きっかけは在日アメリカ大使館に16歳の女子高校生が駆け込んだ事件で、侵入者は精神病患者として日本側に引き渡されようとしたが、消えた14歳の児童の姉であるという主張をたまたま居合わせたアメリカの科学調査団が耳にした。どのようにして彼女の発言が真とされたか明らかにされていないが、この少女を含めた3人の男女が最重要の調査対象となり在日米軍基地に収容される事態となった。
アメリカ側は人類史上類を見ない異常事態を解明する特別措置としたが、日本側は少年少女の家族のみならず主要閣僚が拉致・誘拐と発言するなど強く反発している。
「クライアイ・チルドレン」と不明の理由で呼称されて、超法規的措置がとられた日本の子どもたちはアメリカ本国でも政治問題化して政府上層部と有力議員に対する非公開の中間報告が行われた。一部の情報はリークされ、記憶を取り戻したとされる少年少女は過去に臓器移植手術を受けていること。提供者は存在そのものが消えた14歳の日本の子供と伝えられた。
最初に保護された少女は一年前、当時13歳の弟から右の腎臓を移植されて、その証言をもとに海外の医療機関から主張を裏付る記録と証人が発見された。彼女は闇の消滅から三日後に弟に関する記憶を突然取り戻したといい、同時にどこかでまだ生きている14歳の弟から不可思議なメッセージを受け取るようになったと述べた。彼女を保護するアメリカ側でも超能力を思わせる主張への見解は分かれていて、メッセージの解析中の内容は極秘となっている。
また、日本国内にはほかに数名のクライアイ・チルドレン(消滅児童から腎臓や骨髄を移植された元患者)がいるといわれる。かれらは身柄の拘束を嫌って名乗り出ず、何らかの方法で協力者を増やしていると噂されているが、その活動規模や目的は不明で、日本の警察や教育関係者、学識者はある種のパフォーマンスや悪質な詐欺、実体のない都市伝説と主張している。
この14歳消滅の記事の執筆はK John・Smithとボイジャーによる共同執筆によって行われました。
【原案:K John・Smith 編集:ボイジャー】




