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自宅警備兵  作者: SIN


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LEVEL-16

 シルバーウィークと言う大型の連休が終わった。

 姉が無告知でやって来るだろうと想像していたにも拘らず、何の連絡もなく連休は終わり、実に平和なシルバーウィークを過ご……せなかった。

 シルバーウィーク中はパートの面々が休みとなり、俺と高校生バイトが昼出勤となる。

 困った事が起きたのは、そんなバイト終わりのロッカー室。

 ロッカー室はそんなに広いと言う訳でもないので、入り口付近に立たれると出られない。そんな時は「ちょっと退いて下さい」と言えば済む話なのだが、済まなかったのだ。

 3代目が着替えるでも、立ち尽くしている訳でもなく、明確に俺を外に出さないと言う意思を感じさせる態度で立ちはだかっていた。

 セット確認などの話以外喋った事がほとんどない3代目がこんな行動を取るというんだ、なにか余程の事があるに違いない。

 入り口付近で立ち塞がっているのは流石に邪魔になるので、3代目の手をとって壁側に寄る。

 何を言われるのだろうかと待ってみるが無言。きっと頭の中で言葉を整理しているんだろうと更に待つ事しばし、無言。余程言い辛い事なのだろうと更に更に待つも、無言。

 あれ?これはもしかして俺から何か話し始めないと駄目な感じか?それとも沈黙が続き過ぎた為に喋り出す切欠を失っている状態?

 「セット確認なら、店長にした方が良いですよ」

 とりあえず話を振ってみた所、

 ドン。

 隣にいた3代目は壁に手を突き、少々見下ろすような形で俺を凝視し始めた。この状態に名前をつけるとするならば、威圧形壁ドン、だろうか。

 いやいや、ただの通せんぼだ。にしては顔が微妙に近いから壁ドンか?なにを、ただこの場所が狭いだけだ。しかしだ、この歳にもなって高校生に壁ドンされる事になろうとは。いやだから通せんぼだ。にしたってこの歳にもなって高校生に通せんぼとは。

 そんな貴重な経験に驚愕していると、突然

 「プライドとかって、ないんですか?」

 と、言われた。

 はて、プライド?

 高校生に壁ドンをされる事は確かにかなり恥ずかしい。しかしそれを仕掛けてきた当人がプライド云々言うのは可笑しい。寧ろ俺を相手に壁ドンを実行した3代目のプライドが心配になってくる。

 なら、客がいない時は基本的にボンヤリしている事がバレていると!?

 いやいや、ボーッとしている事とプライドとは無関係だ。

 なら考えられる事は1つ、3時間勤務になっても働き続けている事だろう。

 しかしだ、休日には昼から入って2代目としての役目を果たしている。それに、まだ充分に力を発揮出来ていない3代目を補助すると言う役目があるので辞める訳にはいかない。

 「プライドは特に傷付いていません」

 そう答えてから少しの間、壁ドンを維持したままポツリポツリと話し始めた3代目。内容をギュッとしてオブラートに包むと、店長と聖徳太子1号はかなりの勢いで俺が嫌いらしい。

 そんな嫌な相手を3時間でも働かさなければならない理由は、店長が細かい仕事を俺にやって欲しいから。

 大根をおろしたり、キャベツの千切りをしたり、豚肉ブロックのトンカツ仕込み、海老の下処理、バイトの賄作りと、言い出したらきりがない。

 嫌な相手を必要としなければならない店長のプライドまで心配になってしまったではないか!


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