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自宅警備兵  作者: SIN


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40/50

17 th BREAK

 ダイニングのテーブルの上には中身が少なくなった醤油さしが鎮座していた。

 なくなる前に継ぎ足しておくか。

 「あぁ、なくなったら容器1回洗うから、そのまま置いといて」

 慌ててダイニングにやってきたのは親父。

 「分かった」

 と、返事をしてから1ヶ月あまり。その醤油さしはまだ1度も洗われていない。しかも現在の醤油さしの中には醤油がたっぷり入っている。

 洗うと言った事を忘れた親父自らが継ぎ足した訳ではないし、俺が継ぎ足した訳でもない。

 醤油が減って来ると密かに親父がソワソワし始める。洗うタイミングを計っているのだろう。しかし、それよりも先に行動を起こすのは新母親。

 中身が3分の1ほどになると継ぎ足すのだ。

 トクトクトクと継ぎ足されて行く醤油を見ながら、

 「あっ、あぁ~…」

 と、密かに言う親父。

 容器を洗いたいと言えば良いのに、と思いながら俺はニヤニヤしながら2人を眺める。

 「親父、またションゲリするわ」

 俺の隣では弟もニヤニヤしている。

 ションゲリと言うのは弟が名付けた親父の行動で、しょんぼりとゲンナリを混ぜた言葉。本当に、ションボリした後、ゲンナリするのだ。

 何を隠そう、新母親が来るまで木場家唯一の癒し系は、親父だった。

 1番人間らしいと言うのか、人間味に溢れ返っていると言うのか、お人好しと言うのか。喜怒哀楽がハッキリしていると言うのか。

 そりゃモテるわな。

 俺と弟は癒し系でもなんでもないので「醤油を他の容器に移して洗えば良いだけ」とは教えず、まだしばらくの間この醤油さしを巡っての攻防を観戦する事にしたのだった。


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