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自宅警備兵  作者: SIN


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39/50

LEVEL-15

 恐ろしい事が起きている。

 先月までの給料は少なくとも15万はあった。しかし、今月の給料は盆の昼出勤があったにも関わらず10万もなかった。

 この大幅な給料ダウンの理由は明白、普通ならば夕方の4時から閉店まで入るバイト時間を大幅に減らされたからだ。その時間、僅か3時間程。

 聖徳太子1号か2号が来ると上がらされてしまう。

 そこには理由があって…なんと、厨房に入っていたあのオッサンが、新店長となってしまったのだ。

 昼間は旧店長がチーフとして入るようになっているが、夕方からはオッサンのみ。もう俺が何を言おうとも聞く耳すら持たなくなり、挙句の果ては勤務時間3時間と言う嫌がらせ。それでも土日と祝日はいつも通り昼出勤なので一応千手観音2代目としての面子は保たれていると思っていた。

 恐ろしい事が、起きている。

 「木場さん。今日は俺がセットしろって店長が」

 日曜、出勤した俺の所に高校生バイトが1人駆け寄って来て、少しテンパッた様子でウロウロと落ち着きなく報告した。

 俺の守るべき場所を勝手に奪おうと言うのか!?1代目から受け継いだこの場所を、セットすらまともに覚えていないオッサンがなにを偉そうに…いや、店長なのだからこの場所で1番偉いのは間違いなくあのオッサンだ。

 誰がセットしようが、間違いさえなければ客に出せる。滞りなくオーダーが通れば何の問題もない。

 「丼物が通った時は丼に、定食なら木製の碗、かやく飯なら陶器の椀です。伝票は先に通った順に並べて、終わった物はお盆の下に挟んで置いて下さい」

 まだ器の事と伝票の置き方しか伝えていないのに高校生バイトはポカンとしてしまっている。

 大丈夫なのだろうか?

 セットは覚えている筈だから、怒涛の如く通るオーダーに頭が真っ白にさえならなければ耐えられるだろう。なら、もう1つ出来るアドバイスがある。

 「頭が真っ白になった時は、通るオーダーのご飯だけを用意して下さい」

 こうして始まった休日の昼ラッシュ、高校生バイトは始まって即効で頭が真っ白になったのだろう、ご飯の用意しかしなくなった。

 丼物、天ぷら、とんかつ、次々と出来上がってくる料理をお盆にセットする事も出来ない程ご飯にだけ集中している高校生バイト。

 そして、恐ろしい事が起きた。

 昼ラッシュの最中、ご飯が切れた。

 保温釜の中のご飯が半分になった時点でチーフに「後半分だと言う報告をしなければならない」と教えるのを忘れていた俺の責任だった。

 「なにしてんねん!」

 オッサンは怒鳴りながらご飯を炊き始めたが、少なくとも30分は白飯がない状態が続く。もう通ってしまったオーダーもあるから客に説明してかやくご飯に変更してもらうようお願いするしかないが、問題は丼物の客。

 まだ持って行ってない定食のご飯を丼物に回すしかない。

 「チーフ、かやく後3分の1です」

 かやくも白飯が炊けるまで持ちそうにないだと!?

 そして俺はバイト先を飛び出した。

 距離にして200メートル程先にある弁当屋まで!

 「ご飯大、5個ください」


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