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自宅警備兵  作者: SIN


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LEVEL-10

 千手観音2代目を引き継いで2ヶ月程。季節はもう春であり、新入社員やら新入生やらで激動する季節到来!して少しばかり落ち着いた感じ。

 そんな訳で今年高校生になったばかりの学生がバイトの面接に来た。

 店長は店があるので、その代理としてパートのオバサン2人と俺の3人で面接官を勤める事になったのだが、個室で細かい説明をする訳でもなく、正装でもない上にバイト先の1番テーブルでと言うんだから緊張感も何もない。

 せめてエプロン位は外した方が良いんじゃないだろうかとも思うが、不意に団体さんが来店した時に即厨房に戻れるように臨戦態勢を保つ必要もある。

 「土日入れる事が条件なんやけどね」

 パートのオバサンは緊張感のないまま強引に面接を開始させた。

 1度始まってしまえば俺の出る幕すらなく面接が終わるんだから、別にこの場にいなくても良いような気がしなくもない。

 そして一言も発する事無く面接は終了した。

 後日結果を知らせると言うやり方ではなく、その場で採用不採用を言い渡す面接方法なのだが、1度も不採用と聞いた事がない。

 要するに、面接に来れば必ず全員採用される状態だ。

 そんなにもこの店が忙しいのかと聞かれたら、言い難いがそうではないし、バイトがジャンジャン雇えるほど繁盛しているのかと聞かれても、非常に言い難いがそうでもない。

 千手観音1代目が辞めて行った時、社会人になるからと言う理由で5人いたバイトが3人も辞めたのだから不採用にしている場合ではないのだ。

 そしてもう1つ、折角採用したバイトがスグに辞めて行くという謎の現象が起きている。

 3日で辞める奴もいたし、来ない奴までいる程バイト事情は厳しい事になっていて、あまりにも人手が足りない時はパートのオバサンや俺が長時間残業をする事もある。

 最近の若者は普通に接客する事すら苦痛と感じるのだろうか?

 バイトがコロコロと入れ替わる状況は、この店にとって良い環境ではない。

 定食のセットや掃除の仕方など、細かい事をいくら教えようとも身にならないんだからパートのオバサンだって指導を怠りがちになっているし「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」等の基本的な声すら出さないベイトに対しても注意しなくなってきている。

 いちいち注意をして態度を改めさせても、すぐに辞めて行くから黙認していると言うのは店側の都合であって、客には全く関係ない。まともな接客も出来ない店なのかと思われるだけだ。

 この店を守る者として、どうにかして改善させなければ!

 「困った事があれば言って下さい」

 困らなくても、何か可笑しな事があれば言って欲しい。

 元凶を突き止め、それを排除し、そして共にここを守ろうではないか高校生バイトよ!

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