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自宅警備兵  作者: SIN


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24/50

8 th BREAK

 先週の土曜日、半袖でも良いくらいに気温が高かった。しかし、ここ数日はまた気温が下がり、長袖でも少し肌寒い日が続いている。

 部屋の温度は19度なのだからそこまで寒いと言う訳でもないのだが、1回蒸し暑さを経験してしまうと、白い息も出ない気温でも充分寒く感じる。

 さて、そんな俺の手には湿布がある。

 肌寒く感じる気温の中、上半身を外気に晒し、フィルムを剥がした湿布を持っている。

 よし、貼るぞと気合を入れても、その後に待っているだろうひんやり感を思うと手が止まってしまう。

 昨日、1週間前にやった血液検査の結果を聞きに病院に行ってきた。

 相変わらず原因不明だったが、始めの頃と比べるといくらかは良くなっている。もうカラ咳は自然治癒に任せようと思い、総合病院の紹介状とか催促せずにそのまま病院を出た。

 原因不明だったとは言え病院通いがなくなった開放感で大きく伸びた時、ゴキゴキッと胸が鳴った。

 指の関節をポキッと鳴らした時のような爽快な音ではなく、なんとなく嫌な感じのブチッとした感触と言うのか、グニャっとした感じと言うのか。

 音が鳴ってから鈍い痛みが鳩尾よりも少し上部に現れ、寝てれば治ると自己暗示をかけて家に帰って寝た。

 ゴホッゴホッ

 あぁ、また咳か。

 少し息苦しく感じて寝返りを打とうとして、また胸が鳴る。今度はポキョっと軽い音だ。

 まだ頭がハッキリとは働いていなかったので、その物足りなさから腰を鳴らすような感じで上半身を捻ってみた所…。

 あれ?何か痛い?

 ゴホッゴホッ

 あ、痛い。

 時計を見ると近所にある整形外科の診療時間に間に合う5時半、借りたまま忘れていたレントゲン写真を持って自転車で向かった。

 「ありゃSIN君」

 医師は俺を覚えていた。

 突き指をした時や、腕の筋を痛めた時に長い間通っていた記憶が蘇る…余裕もなく胸が痛い。

 持参したレントゲン写真を見せたのだが、痛み出したのが今日からと言うのでもう1回レントゲンを正面と横から2枚撮られ、ん~と眺める医師。

 「見えるかな~、ここの所」

 と指差された場所を見るが、良く分からないので更に近付いて見ていると「こーこ」と何度も言ってきた。

 全体的に薄く透けているレントゲン写真なのだから素人の俺では何処に異常があってもきっと分からないだろう。

 「ほら、ここ。亀の甲羅の脱皮みたいにちょっと剥がれてる所あるやろ?」

 ん?

 亀って脱皮すんの!?

 ちょっとした衝撃を受けつつレントゲン写真を眺めていると、言われてみれば確かに縦に裂けている部分があった。折れている訳ではなさそうなのでこれはヒビ?

 咳の出し過ぎで肋骨が疲労骨折する事もある。と事前に聞いていたので、やっぱりかーと言う感じだ。

 医師から処方されたのは痛み止め成分配合の湿布。錠剤の痛み止めとの併用はするなと言う事なのできっとキツイ湿布なのだろう。

 俺の手にはフィルムを剥がしたその湿布がある。

 「っし」

 小さく、軽く気合を入れ、湿布を冷え切った上半身に向かって貼る。

 「つめっ!ぃたたたた」

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