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犯人は語る:3

 あの事件の夜、敦は隼人のことで大事な話があると弥生を呼び出した。


 彼女はすぐに飛んできた。それまでにも何度か、兄貴のことを教えてやると言っては彼女を呼び出し、何度か会っていた。実際、二、三度隼人に会わせてやったこともある。


 初めは弥生と二人、店からほど近い飲み屋で食事をした。


 彼女は一刻も兄に会いたがっていた。そんな彼女を宥めつつ、隼人を呼び出す。


 彼はやはりその夜もひどく怒っていた。

『あゆみ』に手を出したことに対して、である。


 誘ってきたのは向こうなんだ、敦はそう言ったが納得しない。同じ名前の違う女性。


 それから新しい店への引き抜きの話。

 俺の知らないところで勝手に話を進めやがって。

 昔からそうだったが、彼は敦を自分の家来か何かだと思っていた節がある。

 

 ナイフを持ち出したのは隼人ではない。自分だ。

 

 敦はナイフをちらつかせて挑発してみた。


『悔しかったら、俺をここで刺してみせろよ』


 怒りで頭に血が昇っていた隼人は、本当にナイフを奪い取って振り回してきた。

 止めようとして隼人にしがみついた弥生は、突き飛ばされて壁に強く背中を打ちつけてしまい、ぐったりと意識を失ってしまった。


 もともと腕力に関しては隼人よりも自分の方がずっと自信がある。多少の傷は覚悟の上で敦は、隼人に飛びかかってナイフを奪い取った。

 そして躊躇いなく腹部を刺した。


 決して息を吹き返したりしないよう、何度も何度も。


 完全に息が止まったのを確認してから、敦は弥生の手に凶器のナイフを握らせた。それからオーナーに電話をする。


 あとはすべて警察が読んだ通りだ。


 敦こと、小杉拓真は逮捕、起訴に至った。


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