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5歳の見習い魔女ノアールの冒険  作者: 多田 笑


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11/11

ノアール、今度こそ完結する

前回のダイジェストォォォ!!!だよ


ちっちゃいオジさんは、野良猫と踊った。

深田は退場した。ジャギーは関西弁を話した。


そして──

セインツは、壁にめり込んだままだった……。

 異世界・魔王城。


 漆黒の翼を広げ、ノアールが空中を舞っていた。


「ケケケ……死ね、死ね、死ね!」


 ズガーン!

 ズガーン!

 ズガーン!


 放たれた複数の雷撃が、エダルを襲う。


「ヒエッ!」

「ヒエッ!」

「ヒエ~!!」


 エダルは寸前のところで、それらをかわす。


「オカダを……ちっちゃいオジさんを……返せ~!!」


(いや……それは、お前のせい……)


 エダルは心の中で冷静にツッコんだ。


 ズガーン!

 ズガーン!

 ズガーン!


「ギェェエエ!!」


 雷撃の一つが、セインツに直撃した。


 沈黙。


「オマエ、よくもセインツを!!」


(いや、だから……それ、ノアールがやったよね……? 私、関係ないよね……?)


 ズガーン!

 ズガーン!

 ズガーン!


 雷撃は、さらに激しさを増していく。


(くっ……こうなったら、仕方がない……)


「ノアール! 私の最強呪文を受けてみろ!!」


 エダルが詠唱を始める。


 だが──


 ズガーン!

 ズガーン!

 ズガーン!


「キャハハッ! 死ね、死ね~!」


(いやいや……こういう時って、詠唱が終わるまで待ってくれるものじゃないのか……?)


 必死に回避するエダル。


 その時──

 異世界と現実世界を繋ぐ、あの渦が現れた。


 そこから現れたのは、ジャギーとオカダ。


「ジ、ジャギー様!!」


 エダルが驚愕する。


 しかし、ノアールは雷撃を止めない。


「ノアールさん……!」


 悪魔の姿となったノアールに、オカダは言葉を失う。


 なお、壁に埋まっているセインツには気付いていない。


「あれは……ノアールが魔力を完全に解き放った姿か……!?」


 ジャギーも目を見開く。


「オカダ……ノアールを元の姿に戻すには、お前の協力が必要だ!」


「わ、私の……?」


「ああ。この紙に、ノアールへの思いを書くのだ。詩で……!」


(え……? 詩!? なんで、詩なの!?)


「早くしろ! 急げ!!」


 そう言って、紙とペンを押し付けるジャギー。


 オカダは、必死に思いを込めて書いた。


『ノアールさん


 あなたは、いつもかわいい笑顔で私たちを癒してくれました。早く、いつものあなたに戻ってください。


 P.S

 パンティストッキングの略ではありません』


 提出。


 沈黙。


「ちがーう!! これは手紙や!! それに、P.Sの一文はいらんやろ!! やり直し!!」


 ビリビリに破られる。


(詩……? 詩って……なんだっけ……? あ、こういうの……?)


『ノ:のど越し爽やか

 ア:あいつも飲んでいるビ

 ー:ー

 ル:ル』


 提出。


 沈黙。


「“あいうえお作文”やないか~い!! しかも、“あいつも飲んでいるビール”って、ノアール関係ないやん!! やり直し!!」


 再び、ビリビリ。


(詩……そうだわ! 確か……韻を踏むのよ!)


『Yo Yo チェケラッチョ


 ノアール、あーる。ここにいる!


 悪魔でもかわいい、あくまでも個人的意見!


 いつものあなたに戻ってほしい、私の星ぃ!


 Yo! チェケラ!』


 提出。


 沈黙。


 ──グッドサイン!


「よくやった、オカダ!」


 ジャギーはそう言うと、その詩?を火にくべた。


(え? も、燃やすの……? 私の思いは……? 私の苦労は……?)


 燃え上がる紙から立ち昇った煙が、空中のノアールを包み込んでいく。


「ゲホッ、ゲホッ……にゃ、なんだ、これは!? や……やめりょ……やめろー!」


 煙に包まれ、ノアールが悲鳴を上げる。

 やがて、その煙はぎゅっと収束し、球体を形成した。


『Yo Yo チェケラッチョ……』


 球体の内部から、謎のサウンドが響き渡る。


(こ……これは……)


『ノアール、あーる。ここにいる!』


(私が書いた詩だわ……)


『悪魔でもかわいい、あくまでも個人的意見!』


(や、やめて……私の黒歴史を、公開しないで……)


 赤面するオカダをよそに、サウンドは容赦なく鳴り続ける。


『いつものあなたに戻ってほしい、私の星ぃ!』


 その様子を、ニヤニヤしながら眺めるエダル。


『Yo! チェケラ!』


 ピカーンッ!!


 球体が燦然と輝いた。

 まばゆい光が辺りを包み込む。


 やがて──

 光が静かに収まると、球体はゆっくりと地上へ降りてくる。


 地面に触れた瞬間、球体はフッと消え──

 そこには、元の姿に戻ったノアールがいた。


 ノアールは、すやすやと穏やかな寝息を立てている。


「ノアールさん……!」


 オカダは駆け寄り、その小さな身体をぎゅっと抱きしめる。


「よ……良かった……」


「むにゃむにゃ……おか……あさん……」


 眠ったまま、ノアールがそう呟いた。


 そして──

 セインツは、最後まで壁にめり込んだままだった……。



 一か月後。

 魔法都市スゲーンダーナ。


「おーい! リンディ、アリアさーん!」


 二人の姿を見つけたノアールが、大きく手を振りながら叫ぶ。


「あ、ノアール! それにオカダも!」


 気付いたリンディが、ぱっと表情を明るくして駆け出した。


 その様子を、微笑ましそうに見守るアリアとオカダ。


 リンディは勢いよくノアールの前に立つ。


「おはよー、ノアール!」

「おはよー、リンディ!」


 二人は笑顔でハイタッチした。


 魔王城での出来事の後──


 ジャギーはノアールとともに、魔法都市スゲーンダーナに移り住んだ。


 エダルは、野望を抱きノアールたちを襲った罪によりジャギーの怒りを買い、今ではジャギーの館で使用人として働く身となっていた。


 セインツは筋肉愛に目覚め、真の筋肉を求める旅に出た。


 そして今日は──

 オカダが、現実世界へ帰る日だった。


「オカダ……本当に帰っちゃうの……?」


 リンディが、ぽつりと呟く。


「ええ……」


 オカダは、寂しさを隠すように微笑んだ。


「ノアールは……寂しくないの……?」


「寂しいけど……でも、思い出があるから。大丈夫よ……」


 ノアールは、少し背伸びしたように答えた。


「……強くなったな、ノアール。えらいぞ」


 そう言って、アリアが優しく頭を撫でる。


(ノアールさん……)


「そろそろ行きましょ。闇の扉の準備ができている頃よ」


「ええ……ノアールさん。アリアさん、リンディさん……お二人のこと、忘れません。どうか、お元気で」


「ああ。オカダも、元気でな!」


「わ、私も……私も……オカダのこと、忘れないから!」


 リンディは涙をこらえながら、そう告げた。



 ジャギーの館。


「戻ってきたか。準備は整っているぞ」


 ジャギーがそう言うと、闇の扉がゆっくりと姿を現す。


「ジャギーさん……本当にお世話になりました。今まで、ありがとうございます」


 オカダは深く頭を下げた。


「フッ……オカダがいなければ、私はここまで早く戻れなかった。礼を言うのは、私の方だ」


「ノアールさん……あなたと過ごした日々は、絶対に忘れません。私の一生の宝物です」


 オカダは、涙をこらえながら言った。


「わ……私も……忘れない……オカダのこと、絶対に……」


 ノアールの瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれる。


(ノアールさん……)


 オカダの視界も、滲んだ。


(……ありがとう)


 そして──

 オカダは、現実世界へと戻っていった。



 十年後。

 現実世界。


「オギャア、オギャア」


「松下さん、元気な女の子ですよ。今日からパパですね」


 看護師にそう告げられ、松下は照れくさそうに笑った。


「あ、ありがとうございます!」


「奥様にも声をかけてあげてください」


「はい!」


 そう言われ、松下は妻の手をぎゅっと握り、優しく声をかける。


「恵美、頑張ったな。元気な女の子だよ」


「ふふ……ありがとう。ねえ、名前……もう決めてあるの……」


「え? どんな名前だい?」


「希望の『希』に、『歩く』って書いて──

 『希歩のある』っていうの……」


「うーん……ちょっと、キラキラネームすぎないかな……?」


「大丈夫よ。きっと、明るくて、強い女の子になるわ」


(また……よろしくね。ノアールさん……)


 その様子を、Tシャツにふんどし姿のぬいぐるみが、静かに、そして温かく見守っていた。

最後までお読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字、誤用などあれば、誤字報告いただけると幸いです。

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― 新着の感想 ―
何気なく読んだら、どストライクのコメディーで! ギャグも突っ込みもツボで! マサルさんのシュールなノリも好みで! ああ、もっと早く拝読したかったです。面白かったしか出て来なくてすみません。 楽しませて…
ノアールを元の姿に戻せたのは、オカダの心からの願い&ラップだったんですね〜(ToT) 現実世界で、子供を産んだのはきっとオカダ…ですよね♪ 笑いあり、涙あり、感動あり、笑いの割合が9割くらいだったかも…
あっはっはっ!全部にツッコんでいたら本編くらいかかりそうですね(笑) “提出。”“沈黙。”→大笑いしました!! Tシャツにふんどし姿のぬいぐるみってどこに売っているんだろう!?? そして、完結おめでと…
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