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5歳の見習い魔女ノアールの冒険  作者: 多田 笑


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10/11

ノアール、完結する?

前回のダイジェストォ!!


オカダとちっちゃいオジさんは、現実世界に転移。

ノアールは悪魔になる。

そして、ムキムキになったセインツは、壁にめり込んだ!

 ノアールの放った魔力により、魔王城とその周辺一帯は、深い闇に覆われていた。



 魔法都市スゲーンダーナ。


「アリアさん……あれ……」


 リンディが、魔王城の方角を指さす。遠くの空が、不自然な闇に染まっていた。


「ああ……」


「ノアールたち……大丈夫でしょうか……?」


 不安を押し殺した声で、リンディはアリアに尋ねる。


「大丈夫よ」


 アリアは、はっきりとそう言った。


「ノアールとオカダなら、きっと大丈夫。だって……約束したでしょう? 必ず、また遊びに来るって」


 その言葉は、リンディに向けたものでもあり、同時に自分自身に言い聞かせるためのものだった。


 アリアは、リンディの手を強く握る。


 胸の奥に、不吉な予感が渦巻いていたが、それを少しでも打ち消したかったのだ。


(ノアール……オカダ……)



 現実世界。


 オカダが元の世界に戻ってきてから、一週間が経っていた。


(私が異世界にいた時間は、半年ほど……。けれど、この世界では、ほとんど時間が経っていなかった……)


 家族も

 この街も

 スーパーも

 すべてが以前と変わっていなかった。


(それに……他の人たちには、ちっちゃいオジさんが見えていない……)


 ちっちゃいオジさんは、オカダの隣で、軽やかなステップを踏んでいる。


(私が元の世界に戻されたのには、きっと理由がある)


 エダルの言葉が、脳裏をよぎる。


 ――ジャギー様は、異世界に転移した。


(もし、その“異世界”が……この世界だったとしたら……)


 ちっちゃいオジさんは、野良猫とにらみ合っている。


(ちっちゃいオジさんが一緒に転移したのも、偶然じゃない。きっと、ジャギーさんに呼ばれたから……。だから──)


 ちっちゃいオジさんは、野良猫と踊り始めた。


(私が、この世界でジャギーさんを見つける。たとえ、何年かかっても……。ジャギーさんの力なら、あのときの魔王城へ戻れるはず……)


 オカダは、小さく息を吸い、空を見上げた。


「ノアールさん……待っていてください」


 そして、静かに――しかし、確かな意志を込めて宣言する。


「私が必ず、ジャギーさんを見つけます。“チョモランマ”の名に懸けて……!」



 ピィーッ。


 ホイッスルが鳴り響いた。


 この日、オカダは弟のサッカーの試合を応援しに来ていた。


「風よ! 炎よ! この身に宿れ! 《ファイアサイクロン》!!」


 キックオフ直後、そう叫ぶ相手チームの選手。


(今どき、いるのね。中二病の高校生……)


 オカダがそう思った次の瞬間。


 彼の蹴ったボールが、明らかに炎と風を纏った。


(え? いや、待って。あれ……どう見ても……)


 炎と風を纏ったボールは、一直線にゴールへ飛び――


 ズサッ!


 鋭い音を立てて、ネットに突き刺さった。


 会場が、静まり返る。

 誰もが、言葉を失っていた。


 ピィイイイイーー!!


 遅れて、審判が笛を鳴らす。


 ポケットから取り出されたのは――赤いカード。


「……退場。11番、深田くん」


 深田と呼ばれた少年は、何事もなかったかのように微笑み、ゆっくりとフィールドを後にした。


 その背中を、オカダは見つめていた。


(……やっぱり、あれは魔法!)



「あ、あの……」


 退場処分となり、控え室へ戻ろうとする深田に、オカダが声をかけた。


 フカダ……

 オカダ……


 ――紛らわしいな、おい!

 作者、もうちょっと分かりやすい名前を付けろよ!

(↑誰?)


 呼び止められ、振り返る深田。


 その視線が、オカダの隣に立つ“ちっちゃいオジさん”を捉えた瞬間、空気が変わった。


「ほう……。“サッカー”を極め、この世界で力を蓄えてから元の世界へ戻るつもりだったが……」


 その目が、ぎらりと光る。


「まさか、こんなにも早く我が“魔力の源”が戻ってくるとはな……」


(……やっぱり)


 オカダは、確信した。


「あなたが……ジャギーさん……」


 その瞬間――


 深田? 

 ジャギー?


 もうややこしいので、以後この人はジャギーでいきます!

(↑だから誰なんだよ!)


 オカダの言葉に、ジャギーの眼光が更に鋭くなる。


「その名を知っているとは……」


 一歩、距離を詰める。


「貴様、勇者の仲間か!?」


 そう叫ぶと同時に、ジャギーは呪文を唱え始めた。


(ま、まずい……!)


 オカダは息を呑む。


(ジャギーさんは、魔王軍最強の魔女……! こんな場所で魔法を使われたら……!)


「ま、待ってください……!」


「闇よ! すべてを焼き尽くせ! 《ダーク・ファイアボール》!!」


 ジャギーの手から放たれた火の玉は――


 ピンポン玉サイズだった。


 しかも、ヒョロヒョロと、今にも落ちそうな速度で飛んでくる。


(……え? 虫より遅い……。でも、当たったらとんでもない威力だったり……?)


 だが──

 火の玉はオカダに届く前に、ふっと消えた。


 沈黙。


 次の瞬間――


 がくり、とジャギーがその場に膝をついた。


「……あ、あかん……」


 肩を震わせ、呻く。


「ダメや……ワイ、何をやっとるんや……。こんなん、魔法ちゃう……! ワイの知ってる魔法ちゃう!!」


(……関西弁? え、どういうキャラなの……?)


 オカダは、心の中で全力ツッコミを入れた。


「あ、あの~……ジャギーさん?」


 オカダは、恐る恐る声をかける。


 そして――

 これまでのいきさつを、ゆっくりと語り始めた。

 


 数分後。


「なるほど……話はわかった。早速、魔力の源を取り込むとしよう」


 ジャギーはそう言うと、ちっちゃいオジさんとアイコンタクトを交わす。


 次の瞬間――

 二人?は横に並び、なぜか両腕をグルグル回し始めた。


「え? 君、今なんて言ったんだい? い、いや……僕の聞き間違いかな……。うん、きっとそうだ。僕はてっきり――」


 ジャギーが、謎のセリフを語り始める。


「オマエ……コロス……」


「ち、違うって! そ、そんなこと考えてないってば──!」


(……何なの!? そのやり取り!!)


 オカダが心の中で全力ツッコミを入れた、その瞬間。


 二人?が同時にバンザイのポーズを取り、ジャギーが叫ぶ。


「魂のレボリューション!!」


 同時に、二人の全身がまばゆい光に包まれた。


(ま、眩しい……!)


 やがて光が収まると、そこには――

 一人の魔女が立っていた。


 深田の身体は地面に横たわっている。

 そして、ちっちゃいオジさんの姿は、どこにもなかった。


(ちっちゃいオジさんが……消えた……。でも……今は悲しんでいる場合じゃない!)


「キャッホー!! これや! これがワイの身体や!!」


 両手を掲げ、ジャギーが歓喜の叫びを上げる。


「あ、あの……深田くんは、大丈夫なんでしょうか……?」


「ああ、問題ない。こやつの魂は、もともとこの身体に残っていた。すぐに目を覚ますだろう。それよりも──」


 ジャギーはそう言って、真剣な表情で呪文を唱え始める。


「出でよ……闇の扉よ!!」


 叫ぶと同時に、あの時と同じ“渦”が出現した。


 だが――


(……ちっちゃい)


 そう。

 直径、わずか1センチほどの渦だった。


 沈黙。


 そして次の瞬間――


 がくり、とジャギーがその場に膝をついた。


「……あ、あかん……」


 肩を震わせ、力なく呻く。


「こんなん、ちゃう……ワイの魔法とちゃう……。魔力が……魔力が、全然回復しとらんのや……!!」


(魔力が回復してない……? もしかして……)


 オカダは鞄の中を探り、ある物を取り出した。


 それは――

 “銀のペットボトル”だった。


「ジャギーさん、これを……。この中には、“魔力の水”が入っています」


「ま、魔力の水やて~!! フフ……やるではないか。クク……血が騒ぐ。これで帰還できるぞ……我が“本来あるべき世界”へ!」


 こうして――

 ジャギーとオカダは、再び異世界へと戻るのだった。

 ノアールは思った。


(主人公の私の出番がないなんて……そんなのあり!?)


 セインツは思った。


(壁にめり込んだまま、1エピソードが終わるなんて……そんなのあり!?)



 そんなのありなんですぅ~!

(↑だから誰なの……?)



最後までお読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字、誤用などあれば、誤字報告いただけると幸いです。

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― 新着の感想 ―
オカダとちっちゃいオジサンが転移したのには、理由があったんですね! チョモランマの名にかけて!どういう意味だ!w そして、ついにジャギーと対面! 元の世界に戻って、ノアールとセインツを助けることができ…
あはは、地の文がちびまる〇ちゃんのナレーション並みにツッコんでくる(笑) シャギーさま、予想外に関西弁だった(笑) 多分最終回にちっちゃいオジさんが違うカタチで出てくるんですね(めっちゃ圧) ……あれ…
 つい方言でツッコミを入れてしまいました。「ジャギー様、あたは、なしてそがんサッカーば究めようとしとんなさるとですか?」(実際の発音通りに書くと拗音と撥音が多くて読み辛いので、だいぶ、よそ行きの表記で…
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