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裏・空白の国・ディセル目線5

今回は、王様と王妃様が出てきます。

今後に関わるエヴァの秘密やら出てきます。


ちょっと読みにくいし、わかりにくいかもしれません。



後半は、おまけみたいなものです。


エヴァが母上と会った。その晩の事だ。

この時間なら、もしかしたら父上も一緒かもな…。


「母上。ディセルです。」

扉をノックすると、父上の苦笑したような声が返ってきた。


「入れ。ディセル」


…やはり、いたか。


「失礼します。母上。…父上も。やはりこちらにいましたか。」


見ると、二人とも笑っていた。


「それはこちらの台詞だ。やはり来たか。ディセル」

「くすくす。ね?あなた。言ったでしょう?ディは今夜来るって。よほどエヴァさんが気になるのね」

「…。」


それにしても…母上の顔色がすごく良くなっている。

もちろん、寝台に座ってはいるが寝込んではいない。

先日までは、夜になると青い顔して寝込んでいたのに、だ。

ふと、テーブルに置かれたハーブティを見る。


「オートムギ、ジャーマンカモミール、レモンバームのブレンドティですか」

「あら、さすがね!そう。エヴァさんがブレンドしてくれたハーブティよ。飲む?」

「いえ、大丈夫です。」


なるほど。このブレンドは、緊張やストレス状態が続き衰弱してしまった神経を肉体面、精神面両方の疲労回復となるハーブ。不眠や消化器系のトラブル緩和にも有効だ。

塞ぎこんでいる母上に、というエヴァの優しさが溢れている。


「顔色がよくなりましたね。母上。」


「そう?なんだかね、憑き物が落ちたように、すっきりしているの。さっきもね、陛下とその話をしていたのですよ」


「その話?」

「そう。エヴァさんにね。『大丈夫』と言ってもらってぎゅっと手を握られた瞬間にね。こう、ふわっとそれまで重かった空気が軽くなったの。…なんだか不思議な子でしたわ。…すごく素直でまっすぐで、言葉に力がある子。」


「ディセル。メルエスは、ある種の呪いにかかっていたようなのだ。」

「呪い、ですか」

「そう、呪縛…かな。力を使い過ぎたのだろう。見た未来の呪縛から抜けられなくなった。」

「未来の…」


と、いうことは…良くない未来・・・なのか?

母上の力は先見…未来を見る力…


「…そんな青い顔しないで。ディ。『大丈夫』よ。『大丈夫』なの」

「…母上?」

「ディ。あの子は本当に不思議な子。あの子が『大丈夫』と言って手を握った瞬間に『未来』が変わったの。すくなくとも、最悪の未来にはならない。…でもね、ディ。あの子は見えないのよ。」

「はい?」


「あの子は、見えないの。ディ。貴方達を見れば、解るの。そこに居るって。だけど、あの子を見ようとすると、『見えない』のよ。ディ。これがどういうことだか解る?」

…はっとした。

エヴァは『永遠』は、この世界の人間ではない。

だから、『干渉』されない。しかし『干渉』できる?

最悪の未来が変わるほどの『干渉』できる人間。『異世界』の人間だから『見えない』『読めない』のか。


「…無効化…」


だとすれば、色々と納得がいく。

エヴァがあそこから出れたのも、解る。


「…まだ、わからないわ。でもディ。あの子は『空白の国の姫』なんでしょう?」

「…はい。」

「時渡りの魔女が連れて来た『異世界の少女』が『空白の国の姫』か。お前がそう言ったのは、これがわかっての事か?」

「いえ。ただ、文献を読みとくとその事に行き着くだけです。確信があったわけではありません。それに、エヴァはとばっちりでこちらに飛ばされたと思っていますし、もちろん『空白の国』の住人が他にもいるとは思っていないでしょう。」


そう答えると、父上は「はあ」と大きく溜息をついた。


「あの娘が本当に『空白の国の姫』であり、あの方と同郷なのであれば…我々はあの娘を護らねばならん。…今のローリュエンナだけには、あの娘の力を悟られてはならん」

「はい。」

「…お前が2年前に『空白の国の姫』を娶ると言ってきた時には、后にするための方便だと思ったのだがな。」


「まあ、半分嘘でしたよ。確信があったわけでもないですし。エヴァの無効化の力の事もしりませんでしたからね」

「…お前の嘘は、どこまでが嘘かわからんからな」


肩をすくめると、母上がまたくすくすと笑い始めた。

…本当に、たった一日で良くなられた。


「あなた。あの子がどういう子であれ、ディは守りますわ。だって好いた女の子ですものね。あの子が『空白の国の姫』だから守るのではなく、『ディセルの想い人』だから、わたくしも全力で守りますわ。そうでしょう?あなた。」


「ああ。そうだな。だが、ディセル。お前、あの娘の意思を無視してまで『后』にはするなよ。守り方は他にもあるのだからな」

「わかってます。でも、私が逃がすと思いますか?」


「「…。。。」」


父上はなぜかこめかみに手を当てて苦い顔をしている。

母上は笑顔だが、少々青い。


「…ディセル。手加減はしてあげなさい。」

「ディ?あまり黒さを見せてはいけませんよ?逃げられてしまいますよ?」

「…。」

「ディ?」

「ええ。逃げられないように、しますよ。」


俺は笑顔でそう答えた。

もちろん、手加減はしない。


俺は、永遠を守ると5年前に決めたのだから。



■■■■■



ディセルが去った後、父であるセンド王は深く溜息をついた。


「…まさか、ディセルがああも執着する娘ができるとは思わなかったな。」

「ふふ。そうですね。でもあなたも会えば解りますわ。あの子の不思議な魅力が。」

「…お前、本当に大丈夫なのか?」

「ええ。あなた。まだ体力が戻っていないけれど、もう大丈夫。あの子が私を癒してくれましたから。それにね、本当に素直で可愛いのよ?あんな子が娘になってくれたら、わたくし本当に嬉しいの。だから、ディに協力するのよ。」


「相当気に入ったようだな」

「ええ。今度一緒にこの国の歴史を学ぶのよ?その後、ドレスでも作ろうかと思っているの。いいかしら?」

「…好きにしなさい。しかし、あの娘。きっとわかっていないだろうな」

「?何をです?」

「…こうやって外堀を埋められていることをさ」

「まあ、そうね。でも気付かなくていいのよ。その方が幸せでしょう?ああ。それにしても嬉しいわ。はやくお嫁にきてくれないかしら…」

「…はあ。あの娘、ディセルだけでなくおまえにも気に入られたのが運のつきだな。ま、私はそうだな。あの娘の為に、逃げ道でもつくっておいてやるか」


センド王は、いつか娘になるだろう子を思い、また深く溜息をついたのだった。




エヴァも知らない秘密についてでした。


読みにくかったらごめんなさい!!


次回からは通常の空白に戻ります。

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