裏・空白の国・ディセル目線1
ここからしばらく、ディセル目線の話となります。
先に進むどころか、かなり前にさかのぼったところから出発です。
説明文が多いのと、なにやらディセル様は固いので…読みにくかったらすみませんm(__)m
ずっと探していたあいつがこの国にいるとは思いもしなかった。
ずっと探し求めていた、俺の癒し。
…もう放さない。
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末の弟、レイランドが毒に倒れたと聞いた時はかなり驚いた。
10歳も歳が離れていて、余りにも可愛いものだから甘やかしすぎた感は否めない。
が、まっすぐに育った上に、レイランドの師匠はあの『森の番人』と呼ばれる最強の魔女。
自分も、毒への耐性はレイランドとアルシェイにはきちんとつけさせた。
かなり楽な形で耐性をつけさせたはずだ。
その辺りの研究はかなりやったからな。
だからこそ、毒への耐性がついているレイランドが倒れるほどの毒とは何かと驚いたのだ。
聞けば、街で身分を偽って行動している時に『アバロス』というかなり猛毒な草で切り傷を作り倒れたらしい。
『アバロス』がこのロシュラントにあるはずが無い。
というか、『アバロス』ほどの毒が育つには、かなりの条件が必要だ。
この世界の魔法の源となる力の結晶『マテリア』に異変が起きている?
・・・やはりきな臭い。
大国であるローリュエンナがおかしなことになっているのと何か関係がありそうだな。
マテリアはこの世界の力の結晶だ。
この世界を創りし女神が与えた力の結晶。
よほどのことが無ければ、マテリアが狂うことはない。
マテリアが狂っているのであれば、そのマテリアが生精された国が狂ってきているという事。
おそらく、『アバロス』が育ったのは商人の手で運ばれたローリュエンナの大地のマテリアのせい。
「…ローリュエンナからの物資を調査せねばならんな。…アリアス」
「はい。ここに。」
音も無く、現われたのはこの国の『影』の一族の女。アリアス。
普段は侍女として城に常駐しているが、影の長アシランの長女で優秀な『影』の一員だ。
『影』とはすなわち、密偵や情報操作を行う国の『闇』の人々の事。
「アシランにローリュエンナについて探らせろ。それから国で動く前にローリュエンナからのマテリアの輸入を止め、すでに入ったものが何処に流れているか調べるように伝えろ。それと『アバロス』の犠牲者をださないよう、徹底的に『アバロス』を摘み取れ。」
「かしこまりまして。」
「それから、レイランドの毒を治した医者は誰かわかるか。普通の医者にあの猛毒をあんなに早く正確に治せるのはおかし過ぎる。大体『アバロス』の毒さえ知っている医者がそうそう居るとも思えん」
「それが…街に店を構える薬師なのです。しかも、薬を扱うというよりは、ハーブなどの商品を多く扱う店の薬師です。」
そう答えたアリアスに、まさか、と思った。
薬よりもハーブを取り扱う店。『アバロス』ほどの毒を的確に解毒させるその手腕。
そんな事できるのは…自分の知る限り、2人しかいない。
そのうちの一人である、医学の師匠『時渡りの魔女』と呼ばれる師匠が街に店なんか構えるはずがない。
…ということは…まさか。
「…薬師の名は」
「エヴァ。エヴァ・トゥルーツリーです」
やはり永遠か!
握っていた拳に力が入る。まさか、こんな近くに居たとは!
2年前に別れてから行方が分からなくなっていた妹弟子。
去り際に「待っていろ。迎えに来る」と言ったのに、あいつはあの場所には居なかった。
しかも、どんな追跡魔法を使ってもあいつの居場所は分からなかった。
それが、この、ロシュラントの首都で薬師として店を構えているだと?
「…灯台下暗しとはこの事だな…」
「は?」
「いや…」
永遠がこの国に…すぐ近くにいる…
逢いたい。
あいつを妃に迎えるために2年前から周りを固めてきたというのに、肝心のあいつが見つからなかった。
そうこうしている間に隣国が荒れだした。
探したいのに、探しに行けない。こんなに王子という身分が面倒になったことはない。
逢いたい。
永遠。
いつだってあいつは俺が苦しい時に現われる。
そうして凍りついた俺を、溶かし癒していくんだ。
あいつをもう一度この手にするため、俺の元に留めて置くための『案』をすばやく構築する。
胸が騒ぐ。
はやく、こい。この手の中に…
―――――永遠。
読んで頂きありがとうございます!!
世界観に関してはかなり設定があるので、ちょっとずつ出していけたらと思ってます。
分かりにくいところがあるやもしれません。
しばらくディセル目線続きます。(多分)
よろしければ次回も読んでみて下さい。




