再会は明るく
慣れてしまえば、少しは外に出るというもので。
まず連絡を取ったのは、今でも連絡の取れる楽天的な友人、六花だ。
「りっちゃん、おひさ~」
「おひさ。はるちゃんが出てくるとは思わなかった」
「メッセージに書いた通り、パパが引き抜きにあったのだよ。私も受験失敗してたしちょうどいいと思って」
「ヲイ、勉強しろや」
「どうせだから、通信制の大学行っちゃおっかなって」
楽天的でしっかり者の六花に早速説教を受けた晴海である。
「はるちゃんがそれでいいならいいけどさ。そういや、なっちゃんと連絡がつかないのだが、はるちゃん何か知ってるかい?」
「メッセージ入れた内容くらいだよ。なっちゃん慌てて出てったから。まぁ、そのあと私らの連絡先移し忘れてスマホを変えちゃったんでしょ」
「……しっかりしているようでうっかりさんだからね、なっちゃん」
「うむ。『知り合いの所についたら連絡入れる』ってメッセージが来てから、音沙汰無しなんだよねぇ」
「親父に行方不明届け出してもらおうかな」
「さすがにやりすぎ、りっちゃん」
ちなみに、六花の父親は警察官僚、つまりはキャリア組の警察さんなのである。そんな方に行方不明届け出されるものなら、指名手配になりかねないと思ってしまう晴海だった。
「でぇも、そんな状況を親父や兄貴が知ったら、絶対に調べる」
「あちゃーーー」
うちの母ちゃんがなっちゃん大好きだからねーー、とのんきに六花が言うが、その六花の「母ちゃん」も曲者である。なにせ、六花の父と兄を指一本で命令できる稀有なお方だ。さすがに人事には口出しできなかった故、不安が残るままあの地を離れたのだ。
「あたしも大学行くようになったし、家の心配事が減ったから、なっちゃんを見に行こうとしてたんだよ、母ちゃん」
「そういや、長期休みごとに来てくれてたっけ」
たった数日とはいえ、来てくれていたのを思い出す。そして、毎度厭世的な友人の保護者にぶっとい釘をさして帰っていったものだった。
そのおかげで厭世的な友人がかろうじて助かっていたという面もあった。
どこかで会ったら、所かまわず抱き着いてやる。そう、六花と晴海は決意したのだった。




