15-9 ギゴショク共和国 ショクの城下町『セート』
「ここが共和国の街か……」
馬車で移動すること約2週間。
道中幾つか小さい村はあったのだが、情報収集をするのであればでかい街が良いと、シオンが言うので進む事を優先して着いたのは城のある大きな街だった。
街並みは格子状に区画整理がされていて、城まで真っすぐな大通りがありその横をずらっと綺麗に家屋が並んでいる。
家は……王国や帝国よりはアマツクニに近いのかな?
ただアマツクニは平屋が多かったのだが、ギゴショクは二階建てが多いようだ。
「城が見えるって事は、ここが王国でいう王都みたいな扱いなのか?」
「いえいえ。ここはギ・ゴ・ショクのうちショクの『セート』という街ですよ。あのお城はショクの主が住まう城というだけですね。恐らく、自称王様がいらっしゃるのは中心であり会議の場として使われている『カンチュー』かと思われます」
セートにカンチュー……成都に漢中って事か?
もしかしてコウリョウやラクヨウなんてのがギやゴの町ってこともありそうだなあ。
これはたまたまなのか?
それとも過去この世界に来た三国志マニアの流れ人が建国して名をつけたとか……ありそうだな。
「ご主人様ご主人様! 皆さんが着ている服なのですが、アインズヘイルなどで見かけるものと違う感じですがとても可愛いですね!」
「共和国の服といえばこれですが、お館様が好きそうな感じですよね」
「そうだな」
アレって……チャイナドレスだよな。
確か日常使いをするような服ではなかったと思うのだが、この国の女性のほとんどがチャイナドレスを着ているようだ。
……やはり過去に流れ人が影響を与えているだろうこれ。
王道の裾の長い子もいれば若い子は裾が短いものが多い感じで、それが若者の流行りって事なのかな?
お店の店員さんなんかはチャイナドレスに腰で巻くひらひらのエプロンなどもつけていて、ベースとして着て当然の服のように扱われているみたいだな。
そしてどの服もスリットが美しく、ちらっと見えるおみ足が魅力的に見える事見える事。
個人的にはアオザイなども好きなのだが、当然チャイナドレスも俺は大好きだ。
だからまずする事は当然……。
「ご主人様。いかがでしょうか?」
「んんーっ! ばっちり似合ってるぞ!」
チャイナドレス! 買っちゃいました!
短いのも長いのも好きなだけ買っちゃいましたー!
ミゼラの分も当然買っちゃいましたあああ!
チャイナドレスって体に密着するような形なのでくっきりばっちりウェンディのおっぱいがご主張していらっしゃいますね!
ふわふわが付いた扇子など持たせたくなってしまう!
そしてスリットがエッチだ……とてもエッチだ。
指をお邪魔させたくなってくる!
あと地味に肩の辺りで止められているボタン!
あれを自分の手で外したいと思うのは俺だけじゃないはずだ!
「ふっふーん! 私は当然王道でありつつ流行もおさえていますとも! どうですかお館様! このキャップ可愛いでしょう?」
シオン……お前分かっているじゃないか。
赤のチャイナドレスに二つのシニョンキャップだと?
それ好きぃ!
こんなの似合わない訳が無いじゃないか!
それでいてポージングを決める際に足を椅子に乗せているのだが、スリットから太ももの大部分は見えているのに下着は見えないのはなんでだ!
だが見えないのもまたいい! 分かってるじゃないか!
「むう……この切れ目……少し動いたら下着が見えそうで怖いな」
「アイナのはスリットがあまり深くないのを買ったでしょ? それにこれが可愛いんじゃない」
アイナはロングの青いチャイナドレス!
紅い髪色と逆の色によりどちらも良く映える!
髪も少し整えたのか、片側だけおでこを出しているのがチャーミングである!
そしてソルテは白系の短いチャイナドレスなのだが、可愛いが優先なのか恥ずかしがらないんだな。
まあよくよく考えると普段のソルテのスカートはもっと短いしなあ。
「なによ主様? 可愛いでしょ?」
「可愛いけどそれ簡単に見えちゃうんじゃないか?」
ソルテのチャイナドレスの切れ込みはおへそくらいの位置まで入っており、その上部は広がりすぎないよう別の細い布で斜めに格子状にお洒落に繋ぎ止められていて、下着のある位置も同様に隠されてはいるがミニなので下手すると簡単に見えそうなんだが……。
「ふっふーん! 私はAランク冒険者なのよ? 下着を人に見られるような間抜けじゃないわ……よ? っ!?」
「……間抜けがいたようだな」
ソルテが良い終わる前に、俺が腰から下げている精霊樹が枝を伸ばし、二股に割れてソルテの前面の裾を持ち上げてくれました。
最近エルフが見に来るし、精霊樹は置いて行こうかとも思ったのだがシロや皆から絶対に持って行った方がいいと言われたので持って来て正解だったな!
しかし……ローライズとは攻めているじゃないかソルテ。
ん? ローライズなのに縞々……?
可愛らしいとは思うが、そんなの持ってたっけ?
「っ! バッカじゃないの!? そんな事したら見えるに決まってんでしょ! っていうかこの樹! 主様が命令してもいないのにどういう事よ!」
「俺の願いを感じ取ってくれるのかもな」
「持ち主に似る性質でもあるの!? 私のパンツが見たい願いを叶える樹とか、何が精霊樹よ邪悪じゃない!」
「まあでもほら。いつも見てるし、普段なら気にしないだろう?」
最近は着替え中に出くわしても叫び声とかも上げないし、恥ずかしがりもしないじゃないか。
流石に裸をじーっと見つめていると恥ずかしがって隠しはするが、なんというか久々の反応がとても嬉しいです!
「そういう問題じゃないでしょ! ああーもうせっかく新作の可愛いのを買えたから、ここぞで見せて主様をドキっとさせようと思ってたのにぃ……」
やはりあれは新作だったのか。
確かにドキっとはしたのだし、作戦は成功じゃないか?
というか、ローライズは獣人にとって尻尾の穴も必要ないだろうし、なかなか優秀なものなのでは?
「あっはっはっは! 今のは気づかないソルテたんが悪いっすよー!」
「ぐぬぬぬぬ! 油断したのは認めるわよ! でも次やったらその樹叩き折るからね」
おお、怖い怖い。
だがよくやったと精霊樹は撫でておこう。
慌てた素振りのソルテはとても可愛かった。
パンツよりも得られたものがあったのだから俺は褒めるぞ。
ただまあ……俺の知り合い以外には絶対にやめるんだぞ?
道行く人を誰彼構わずとか駄目だからな? 怒られちゃうどころか捕まっちゃうからな?
あーでも精霊樹だしエルフなら……いや、やめておくにこしたことはないな。
「それにしてもこの服結構いいっすねえ! 蹴り出したらパンツ見えるっすけど、結構動きやすいっす!」
レンゲは長めのようだが、両サイドにスリットが入っていてダッシュや蹴りなどは問題ないといった動作を見せてくれている。
まあレンゲの言う通り蹴りを出したらばっちり見えるけど、その恰好で蹴りを見るとレンゲにはちょっと中国拳法を覚えている限り教えたくなってくるな。
「ん。主。シロのなんか違う」
「ん? ああスカートがついてるのか。でもそれも可愛いな!」
シロのは短めのチャイナドレスでスリットもあるが、ドレスの下からスカートが延びており素足のチラリズムがないもののようだ。
子供への配慮ってところなのかな?
それと肘から手首への袖もついており、ひらひらとしていてなんとも可愛らしくなっているな。
「シロもしかしてその下っていつもの装備なの?」
「ん。こっちの方が強い」
そういうとぴらっとスカートを前からまくり上げるシロ。
……見えたのはいつもの装備なんだが元々露出が結構高いのと下半身部分だけを見るとパンツと変わらないように見えるから早くおろすように。
他人から見たらパンツを見せさせてる悪い大人に見えそうだから早くおろすように!
「お館様も似合いますねえ」
「まあ俺は無難だよ無難」
俺は無難に普通の袖が白いシンプルなチャイナ服なのだが、やはりこの服を着るとカンフーをしたくなる。
酔拳とか真似てみたくなるけど、俺のような完全な素人が鍛錬中にやったらふざけているようにしか見えないだろうからやめておこう。
さて、全員この国の風習に従ったところで、色々見つつ調査を始めるとしようか。
「ご主人様。まずはどこから行きましょうか?」
「そうだな……どうするかねえ」
「とりあえず冒険者ギルドはどうだろうか? 共和国にもあるのだろう?」
「そうですね。冒険者から情報を得るのは基本ですし、まずは冒険者ギルドから向かうとしましょうか」
じゃあ冒険者ギルドで情報収集だな。
料理にせよ宝石にせよどちらにしたって王様の所に行けなくちゃ意味がないだろうし、そこに繋がる情報を得られればいいんだが……。
ノベルス12巻&コミックス8巻!
8月25日発売!
もう来週なんだねえ……予約とかもしていただいており感謝しております!
よろしくお願いします!




