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異世界でスローライフを(願望)  作者: シゲ
15章 強き者
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15-8 ギゴショク共和国 いざ共和国へ

お久しぶりでございます。

これからまたマイペースに再開していきますので、よろしくお願いします。

旅の準備は慣れたもの。

必要なものは既に分かっているし、手配しなければいけないものも分かっているから皆俊敏に動いてくれた。


オリゴール達が揃って見送りに来てくれたせいでなんだなんだと注目は浴びてしまったが、特に何事もなく共和国を目指す事が出来ている。

冒険者ギルドにはいつも通り多めに納品を済ませ、知り合いには出掛ける旨は伝えたのだが、相変わらずレインリヒには土産を頼まれたし、リートさんにまでお願いされてしまったんだよな。


えーなになに? 共和国産の貴重な薬草……というか、漢方の材料か何かが多いみたいだな。

まあ後が怖いので一応探すけど、目的は旅行じゃないから見つけられなかったら流石に知らないぞ。


「あー……揺れが少なくていいなあ」


舗装された道様様だ。

オリゴール。帰ったら褒めてあげよう。

更に荷台に魔力球(マジカルボール)を敷いているのでぽよっぽよなのが更に良い。

荷物は全て魔法空間に仕舞えるから横になれるのも楽でいいよな。


「……主様。よくそんな体勢でアクセサリーなんて作れるわね」

「んんー? 原型は家で作って来たし、今やってるのは贋作(マルチコピー)スキルで増やしたのをくっつけるだけだからなー」

「そうなの? わ、小さいのを細々と……よくやるわねえ」


まあ簡単な作業だしな。

中央に手形成(ハンディング)のスキルで宝石と金や銀を使って作ったひし形のペンダントトップの様な物を用意し、それと同じ物を贋作のスキルで増やしてくっつけるだけだし。


キラキラしたものが好きとの事で性能よりは見た目重視というか、俺の美的感覚からは外れているのだが、ゴージャスに感じられるような物を作っている。


俺としては装飾品はシンプルながらも細かい所にまで手の込んだ物が好きなのだが、俺の嗜好とは合わない可能性も考慮して候補は増やしておいた方が良いだろうと思ったのだ。


どれか一つでも気に入るものがあればそれに近しいタイプの物を作ればいい訳だからな。

戦闘を回避できる可能性に繋がるものなのだから、普段以上に備えなければならないのだが……好みじゃない物を作るのは苦行なので、こうして横になってだらだらと作っている訳だ。


「あー……ミゼラは大丈夫かな?」


今回は危険もあるかもしれないし、足を引っ張るかもしれないからといつものように残ると言われてしまったのだ。

薬草畑も手を入れ始めたばかりだし、留守番の間に薬師について色々調べたりもしたいから残るって……。


「まだ心配してるの? 領主様達も気にかけてくれるって言うし、ポココもシアンもいるんだから大丈夫よ」

「それはそうなんだけどさあ……」

「心配しすぎっすよー。ミゼラも言ってたじゃないっすか。家を守るのも大事な役目でしょ? って」

「それはまあ助かりますけども……」


家の管理はダーマがしてくれるとも言っていたんだが、やはり勝手知ったるミゼラがやってくれた方が助かるんだけどさ。


「ふふ。なあに、早めに終わらせてすぐ帰れば大丈夫さ」

「早めにねえ……」


まず道中で2週間くらいかかるんだよなあ……。

こればかりは仕方のない事だし、馬車でゆっくり移動する旅自体は嫌いじゃないから良いんだけど、帰りは絶対国境を越えたら座標転移で帰るからな。


「シロさんシロさん。突然現れた王様についてどう思います?」

「ん。強いと思う」

「まあそうですよねえ。共和国の兵は決して弱くないですし、名の知れた武人も多くいますからねえ。その方々が敵わないとなると……そりゃあ強いですよね」


俺がヤーシスから聞いた話は皆に既にしてある。

戦闘の話をしたら少しぴりっとしたが、装飾品や料理の話をしたら一先ずその線から攻めてみようという事にはなったのだ。

俺の労力は増えるが、安全優先という事で。


装飾品や料理に満足してくれたらそれで良し。

戦闘になるようであれば……臨機応変にって感じかね。


「私、勘は良い方なんですけどぉ……絶対戦闘になると思うんですよねえ」

「ん。シロもそう思う」


……まあはっきり言うが俺もそう思う。

だが可能性としては装飾品や料理にいたく感動し、俺達のお願いを聞いてくれることもありえるのだからその希望は捨てたくはないんだよな。


「サラクリム……でしたっけ? 私、共和国には何度も行ったことがあるんですけど、全く聞いた事もないんですよねえ。まあ他でも聞き覚えはないんですけどね」

「どういうことなのかしらね? 国一つを相手に出来るような武芸者なら、それなりに名前が広がっていてもおかしくないのに」

「案外たまたまヤーシスもシオンも聞き覚えがないだけとかじゃないっすか?」

「いやいやいや。私諜報もやってましたから、少なくとも私が行った事のある国で聞きそびれたなんてことはないはずですよ! ……多分」


最後自信なさげだったが、シオンが言うからには本当に有名ではないんだろうな。

サラクリム……女性との事だけど、一体どんな奴なんだろうなあ。

まあどんなやつか分かった所で……ではあるんだけどな。


「ん。どんなのでもやる事は変わらない」

「わあ心強い。よし! 戦闘になったらお任せしますね!」

「ん。シオンは主を命がけで守る」

「あ、はい。命がけ……も、勿論です。はい!」


いや別に命まではかけなくともいいんだが、まあでも頼りにはさせてもらうけどね。


「よし。とりあえず一つ目完成かな」


ひし形に作ったペンダントトップを長方形になるようにつなぎ合わせ、そこに色の違う宝石をはめ込んだもので、身に着けるものではなく飾って見て楽しむようなものだ。


ドット絵のように宝石で模様を描いたという訳なんだが……全部宝石なので悪趣味といえるようなギラッギラな出来になってしまったな。


描いた模様は龍。

龍と言ってもレアガイアやカサンドラのような龍ではなく、細長い体で翼がなくとも空を飛ぶ、いわゆる元の世界の東洋龍だ。


ギゴショク共和国が中華系に似ているので思い描いた絵柄がこれだったのだが、生憎とエメラルドやサファイアの数が足らなかったのでルビーを使って赤い龍になったのだがこれはこれで格好いいと思う。


「わあ……この状況下で作れるものじゃあないですし、一体いくらかかってるんだろうって考えるだけ怖いんですけど凄いですねえ……」

「まあいくらかかっても経費で落としてくれるだろ」

「払って……くれますかね?」

「払って貰えないと困ってしまいますね……まだ一つ目ですもんね」


絶対払わせるとも。

同盟が再開されるのならばきっと安いものだと判断してくれるさ。


「さてと。それじゃあ次のを作るかな」

「ご主人様。あまり無理はなさらないでくださいね。まだ時間はありますし、一日一つでも十分なのではないですか?」

「んんー寝転がりながらだし、暇つぶしみたいなものだから疲れないから大丈夫だよ」


今回作った物は殆ど贋作スキルで済んだものばかりだしな。

細かい装飾が必要な物は流石に移動中にはやらないし、種類はあればあるだけ可能性が高まるので作れるときに作ろうかなと思ってるわけで――。


「主君! すまんが止まるぞ!」

「へ? むぎゅ!」


御者台にいるアイナから声が掛かったと思ったら体がふらついてしまったのだが……顔が柔らかい何かに包まれております。

何か……じゃないな。この感触は……ウェンディのおっぱいだ。


どうやら止まった勢いでウェンディの谷間へと突っ込んでしまったらしい。

早急に顔をあげようと思ったのだが、一個完成した小休止としてもう少しこの感触を堪能してもばちは当たらない気がする。


「前方に魔物だ……が……アレは……っ! マンティコアだ!」

「「っ!」」


マンティコア? って、なんだっけ……なんか聞き覚えがあるような……って、あれ?


「共和国って聞いてから出会うかもって思ってたけど、早速みたいね」

「っすね。まあ別にあの個体に恨みはないんすけど……ちょっとぶっ殺さないとっすよね」

「ああそうだな。シロ、シオン馬車の護衛は頼むぞ」


わあ……殺意高めの形相なんだが、何かあったのか?

あ、マンティコアってあれか。

隼人が俺を刺した際に用いた毒だ!

確かあれがマンティコアの血毒とか言う毒で、回復ポーションを使ったら悪化するってあのあと教えて貰ったんだよな。


えっともしかして俺を苦しめた毒だから殺意高めでいてくれてます?

おお……ちょっと嬉しい。


マンティコアは象くらいにでかいライオンのようないでたちなのだが、口元が人っぽくてちょっと別の怖さがある。

それでいて尻尾はサソリの毒針のような形状で、毒だけじゃあなく爪も牙もでかいし正直滅茶苦茶強そうなんだが……わあ一方的だあ。


ソルテの槍がマンティコアの身体を穿ち穴をあけ、レンゲがマンティコアの腹部を叩いてどす黒い血反吐を吐かせ、アイナが燃やしながら各部位を切り飛ばしていらっしゃる。


「お三方強くなってますねえ……この近辺でマンティコアが一番強い魔物なんですけど余裕そうですね」

「ん。アレくらい楽に倒してもらわないと困る」

「あははは……いや、あれ一応Sランク指定の魔物なんですけどねえ……。出たらAランク冒険者が3組くらいは必要な魔物なんですけど……」


Aランクが3組って事は、かなり強いんだろうけど完全に手玉に取ってるな。

あ、終わったみたいで塵になって消えていった。


「ん。次はシオン一人でチャレンジ」

「嫌なんですけど!? なんで私より強いお三方は三人がかりなのに私だけ一人なんですか!」

「シロも一人でやる」

「わあ一緒だー! じゃないんですよ! 嫌ですからね!? 無理ですからね!?」

「多分大丈夫。ふぁいとぉ」

「お館様ぁぁぁ! 助けて! シロさんが話を聞いてくれない!」


悪いが諦めろと言う他ないな……。


「お願いします女神様ぁ! なんでもしますからマンティコアは現れないでください! 珍しい魔物なんだから絶対に現れないでください!」


この後シオンは一人でマンティコアを倒せたのだが……。

アイナ達三人が囲ってマンティコアが逃げないようにしつつ、その中央でシオンが戦うという状態に。

囲んでいる三人の攻撃で大分削れていたように見えたが……やりきってガッツポーズを取っているシオンには言わない方がいいだろうな。


ちなみに、マンティコアの血毒はレインリヒからのお土産リストに入っていたので採血してから魔物は倒してもらったのであった。

8月25日!


異世界でスローライフを(願望)ノベルス12巻&コミックス8巻が発売予定です!

活動報告に書影を載せてありますので、出来れば見たってくださいな!


ノベルス12巻は帝国編ではございますが、Web版とはまた違った物語をお楽しみに!

コミックス8巻の方は王都編となっております! テレサや副隊長が!


それでは、よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
やはり龍なのね 掴みは魔力球のグルメコースw 装飾品の赤龍は5本の爪(指)に玉を持たせて描けば良いかも 龍は位が上がると指(爪)の本数が増え、最高位は5爪です 中華皇帝が所持する物に描かれる龍の指は5…
[一言] 東洋龍 カリスマ上昇
[一言] 不憫なシオンw シロの指導も怖いけど 毒をお土産リストに入れるレインリヒも怖いな
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