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異世界でスローライフを(願望)  作者: シゲ
14章 エルフの森の大きな樹
385/444

14-10 イグドラ大森林 馬車にて

昨日の昼食時の事。

珍しく全員が揃ってウェンディとミゼラとクリスの作った絶品の昼食に舌鼓を打っていた時、どうせ皆揃っているしと思ったので、


「そろそろ行くかー」


と、俺が呟くと皆が夜までに出発の準備を済ませたことに驚いた。

そういえばミゼラも備えていたのか錬金室に篭もってポーションを沢山作っていたな。

馬車の手配、冒険者ギルドへのポーションの納品も終え、そして無事今日の朝から出発する事になったのだった。


ゴトゴトと相変わらず揺れはするが、オリゴールが作った街道のおかげで比較的少ない振動で済んでいると思うと感謝だな。

快適な旅は快適な道中から始まるというものだ。


「ふんふんふふーん」

「あ、鼻唄。上機嫌ですねイツキさん」

「まあな。エルフの森がやっぱり楽しみでな」


元の世界の都心部に比べれば自然溢れる異世界ではあるが、大自然というのは体験した事が無いからな。

あーでも、ロウカクの辺り一面砂漠地帯というのも大自然ではあるのか。

……あれもなかなか壮大な光景ではあるが、俺は緑に癒されたい。


「ふふふ。僕は一度行った事がありますが、空気が綺麗で思わず深呼吸したくなりますよ。それと、水と果実が特に美味しいです」

「おお。余計に楽しみだなー! ん、出来た出来た。ほい隼人。これでお前達の分は全部だな」

「はい。確かに人数分頂きました。良かったんですか? 僕達から先で」

「まあ、お前達の方が使う可能性は高いだろうしな。それに、月光草を取ってきて貰えたからこそ作れた代物だしな」


馬車の道中はすることもないので隼人とまったり話しながら霊薬を作ることにしたのだ。

既知の魔法陣エクスペリエンスサークルを使えば、揺れる馬車の中で話しながらでも出来ない事はないからな。

とはいえ、月光草はそれなりの数を取ってきてもらったものの、イグドラシルシリーズが足りないのでまずは隼人達の分を作る事に。


月光草も貴重ではあるんだが、イグドラシルの葉や花は滅多に取れない貴重な物。

なんせ決まった場所に生えないからな……。

冒険者達にはたまたま取れたら優先的に売ってくれとは言っているが、やはり稀なのか数は多くはないんだよな。


「あのー……お話ししながら片手間で行っていたお館様の錬金なんですけどぉ……。私の見間違いでなければそれは霊薬というものなのでは……?」

「ん? ああそうだよ」

「いや、え? ん? うえ? はい? あの、そうだよって軽く言われても……」


そういえばシオンは知らなかったか。


「霊薬って……あの、なんでも治す回復薬よね? え? 旦那様そんな物が作れたの!? 聞いてないんだけど……っ!?」

「あー……ミゼラも知らなかったっけ」

「知らないわよ!」


そっかそっか。

まあ、月光草も無かったから作る機会もなかったし、話題として出てくる要素もないもんなあ。


「というかそもそも霊薬が錬金で作れるとか初耳なんですけど!? ヤオヨロズでも知らない情報ですよそれ!」

「んー俺も良く分からないけど何故か作れるんだよね」

「意味が分かりません……っ! 既知の魔法陣って、一度作った事があるアイテムを瞬時に作れるスキルなんですけど……」


それは俺も知っている。

だから何かしら知られていない条件があるのか、それともやはり女神様からのサービスか……多分どっちかだと思うんだよなあ。

個人的には後者がいいかなと思ってる!


「まあよく分かってはいないんだけど、作れるなら作るだろう? あと、当然だけど内緒だぞ」

「言いませんし言えませんよう……。お館様がまた何かに巻き込まれる未来しか見えませんし。まあ、確かに作れるなら作りますね。よく分からなくても作っちゃいますね」


まあ確かにもし俺が霊薬を作れると広まったら、確実に何かに巻き込まれるよなあ。

特に帝国皇帝ガルシア辺りから大量によこせと言われかねん。

……一本くらいなら知り合いのお偉いさん方に譲ってもいいかもしれないが、数を確保出来たらだな。


「ミゼラちゃん大変ですね……師匠の壁は分厚いようですよ」

「流石に何年費やそうとも無理だと思うわよ……」

「いや、これは別に錬金の技術がどうのじゃないからな? 別に習得しないといけない訳じゃないっていうか、俺も作り方はわからないからな?」


おいシオン。ミゼラにいらんプレッシャーを与えるんじゃない。

ミゼラには自分のペースでゆっくりと成長して行って貰えればそれでいいんだよ。


「そういえばミゼラさんはイツキさんのお弟子さんなんですよね」

「え、ええ……。師匠には丁寧に教えて貰っています」


まだ少し隼人に対して緊張を見せるミゼラ。

クリスとは仲良しになり、料理も楽しそうに作ってはいるが、出会ったばかりな上に男である隼人には少し人見知りな感じになっているな。

まあでも、隼人も含めて知りたいという気持ちがあるので頑張ってはいるようだ。


「凄いなあ。イツキさんの師匠姿も見てみたいですねえ」

「別に特別な事はしていないぞ? ミゼラは優秀だから、今はもう自分で好きに錬金をしてるよ」

「……別に、優秀ではないわよ。私にできる事をコツコツと少しずつやっているだけだもの」

「いえいえミゼラちゃん。それが大事なんですよ。何においても一足跳びに先に進みたがり、そして基本がおろそかゆえに挫折する人が多いんです。コツコツとマメに進むことはとても大切なんですよ」


そうそう。たまにはいい事言うじゃないかシオン。

基本がやはり大事だからな。

基本さえ押さえていれば今後は知識とパターン化だよ。

製法、手順、材料などの知識をゆっくりと貯めこんで、試していけばいいさ。


「そういえば、ミゼラも今回は少し楽しそうにしているな」


今回は普段長旅は遠慮するミゼラも一緒の旅。

ミゼラと出かけたのは帝国くらいだったな。

以前よりもずっと体力は回復したとはいえ、もともと乗り物は得意ではないのか、旅となると体調を崩してしまいがちなのだ。

でも、今回は一緒に出掛ける事が出来て俺はとても嬉しいぞ。


「……旦那様が言ったんじゃない。エルフの森は自然豊かだから、色々な薬草を取ったり見たり出来るかもしれないって」

「ああ。エミリーの話だとかなり沢山生えているらしいぞ」


そして恐らく採らせてもらえることだろう。

くっくっく。優遇してもらえるのならば、遠慮なく優遇を利用させてもらおうじゃないか。

勿論採り尽くしはしないが、まだ見ぬ薬草や貴重な薬草はありがたくいただきたい!


「私、自然に生えている薬草ってほとんど見た事ないんだもの。見てみたいって、色々体験してみたいってわくわくしたら悪いかしら」

「悪くないよ。むしろ嬉しいさ。ただ、体調には気を付けてな?」

「大丈夫。街道があるうちは問題ないわ。街道が無い道は……頑張るわ。あと本はもう読まないわ……」


勉強熱心なのは良いけど、乗り物に乗っての読書は酔いやすいからな。

さっき一度体調が悪くなってしまったようだが、エミリーの精霊魔法でかなり楽にはなれたらしい。

とはいえ、もう一度あんな思いはしたくないんだろうな。

でも、難しそうな薬草学の本を読むミゼラの熱心さは応援するぞ。


「まあ、もしまだ怖いなら酔いにくくする飴があるから言ってくれよ。ちなみに、リンプルとモモモ味で、少しメントルを混ぜているからスーッとするぞ」

「……いつの間にそんなもの作ったの?」

「さっきミゼラが体調を崩してた時にな」


霊薬を作る前にちょちょいっと。

ミゼラが気分悪そうにしていたから、この後街道が無くなる事を考えると一応な。


「はあ……シオンさん。やっぱり師匠の壁は厚いわね」

「まあそれくらいじゃないと私のお館様には相応しくありませんしね! あ、私少し酔って来たので飴ちゃんください」

「甘いものが欲しいだけだろう……。まあ、沢山作ったからいいぞ」

「わーい!」

「……私も、少し酔ったかもしれないわ」

「僕も酔いました!」

「はいはい。置いとくから、好きな味を好きな時に食べろよ」


皆甘いものが好きだねえ。

まあ、俺も好きなんだけど……んーシンプルにリンプルにしますかね。


「んんー果実の香りと甘み、そしてメントルのスーッとした感じがいいですねえ……」

「蜂蜜を混ぜればのど飴にもなりそうだよなあ」

「あ、良いですね。絶対に売れると思いますよ!」

「売る程作る気は無いけどなあ……。まあ、冒険者ギルドに試しに置いてみるのも良いかもな」


甘いものは高級品だから、値段も考えると利益はあまり見込めなさそうだけど。


「あ、そういえばなんですけどイツキさん」

「ん? なんだ?」

「えっと、シオンさんにイツキさんが今まで使っていた武器をお渡ししてしまったじゃないですか。それで、これからのイツキさんの武器はどうするんですか?」

「あー……それなあ……」


シオンお勧めのアマツクニのあの店には良さそうな武器が多々あったんだけど、残念ながらあの店とは相性が悪くてな。

俺が武器に求めるものは性能もあるが一番重要なのは重さ。

あの店は手に持つことが出来ないから、試せなかったんだよなあ……。


ちらっとシオンの方を見ると、はっとなって慌てて陰陽刀の二本を抱きしめたが別にとりゃしねえって……。


「もし決まっていないようでしたら、また僕の家の宝物庫から何か選びますか? イツキさんも鍛えていたようですし、前回よりも持ちやすくなった武器が増えているかもしれませんよ」

「そうだなあ……もしかしたら、またお願いするかもしれん。その時は頼めるか?」

「勿論です! 好きな物を持っていってください!」

「わあ……やっぱりお館様への優遇が凄い」

「仲良い二人よね」


仲は良いぞ。深い意味は全く無いけどな。

……お前らまでミィ達と同じような事を言うようにならないでくれよ?


しかし、隼人の所の武器は殺傷能力が高そうな武器が多いからなあ。

俺の戦闘方針である自衛最優先を考えると、触れさえすれば相手の動きを止められる陰陽刀-陰-は便利だったんだがな。

……ああ、うん。だから取らないってば。


まあ、マナイーターも相当優秀なんだけど。

防御に不可視の牢獄(インビジブルジェイル)を使っているとMPが錬金の比ではない程に減って行くから、魔力を吸い取るマナイーターは外せないんだよな……。


つまり、また軽くて扱いやすい武器が必要なんだが……武器って基本的に重いんだもん。

そりゃあ金属なんだから重いよな。

軽くて頑丈で、生存能力が上がりそうな武器があると嬉しいんだけど、そんな都合よく見つかればいいなあ……。

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― 新着の感想 ―
[一言] いやいやいや! イツキさん! もうどんな武器が自分に合ってるのかわかってるんだから自分で作っちゃいなよ! 出来るはず。出来なければおかしい笑
[一言] 武器って、本当に重いんですよね……。 数年前、居合をやっている知り合いに抜き身の打刀を持たせてもらったんですが、思った以上にずっしりしていました。 両手で振り下ろすのはなんとかなりそうでした…
[一言] >つまり、また軽くて扱いやすい武器が必要なんだが……武器って基本的に重いんだもん。 錬金で、ゔぉんゔぉんするスターでウォーズなアレ作ればイケるんじゃない?
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