14-1 イグドラ大森林 隼人達の用事
14章開始!
書き貯めはないので、いつも通り書け次第投稿していく形になります!
んんー! アマツクニは本当に楽しかったなあ。
やはり和の雰囲気に懐かしみと居心地の良さを感じてしまうよな。
それに文化の違う地を見るというのはやはり楽しいな!
そして家に帰るまでが旅ってなもんで、転移で帰れば一瞬なのだけれど関所を通った以上は関所を通って帰らねばならず、早く帰りたい気持ちはあれどその不便さもまた旅の醍醐味だよなと思う訳ですよ。
時間をかけて、ゆっくりと家へと向かう。
そして、ミゼラがおかえりって言ってくれるとほっとするんですよ。
嗚呼、アインズヘイルに、我が家に帰ってきたなって、そして久々のベッドにダイブして秒で寝るのが最高に気持ちいい訳なんですよ!
さあ! それじゃあミゼラからのおかえりも貰ったことだし、ベッドに飛び込んで……と、思ったら隼人が駆け込んできたわけですよ。
そして遅れて到着する隼人'sの面々。
何やら慌てている様子なので休む間もなく隼人達をリビングへと通し、ミゼラにアマツクニで手に入れた美味しい緑茶を入れてもらい向かい合う。
「それで? そんなに慌ててどうしたんだよ?」
「実は――」
「隼人。私から話すわ。それが筋だから」
隼人が口を開いたとほぼ同時にエミリーが遮った。
そして俺達の方に向き直ったと思ったら……。
「まずはその……本当にごめんなさい」
頭を旋毛が見える程に下げた。
いきなりすぎて何について謝っているのか分からないのだが……。
あ、ええー……? まずはってもしかしてまたこの前の事を謝っているのだろうか?
あの件はアレで解決しているのだから、これからは未来に目を向けるべきだと思うのだが……。
「あの、エミリーさん? その謝罪がこの前の事を言っているのなら、私達はもう何も気にしていませんよ?」
うんうん。ウェンディの言う通りだぞと頷いてみせる。
あれか? あの後独立やら事後処理やらでお互いごちゃごちゃしてしまって忙しかったし、『あれ? あの謝罪で足りたかな……? いや、足りなかったかも……』と不安にでもなったのかな?
「そうね。隼人を一発引っ叩いたし」
「アレは気持ちよかったっすね! イケメンの顔を殴る機会なんてなかなかないっすし!」
「レンゲ。そう言う事ではないと思うのだが……」
「え? ええ? 皆さん隼人さんのお顔を引っ叩いたんですか? いいないいなー! 私もやってみたいです!」
……うん。まあ、シオンはあの場にいなかったし、お前もあの時は一応途中まであっち側だったんだから黙ってようね?
ややこしくなることが目に見えてるからね。
「ありがとうございます……。お許しいただいた事、とても嬉しく思っております。ですが、その……私一人のどうこうじゃ済まない事態になりまして……」
「エミリー一人じゃ済まない……って?」
「実はその……今回の事がエルフの森……すなわちイグドラ大森林にまで伝わっていまして……。私、一応そこのエルフ族の長代理という立場なので、私がウェンディ様を危険にさらした以上、イグドラ大森林の全エルフで謝罪に訪れたいと……」
あー……そう言えばアトロス様がエミリーが今の長だって言ってたけど、代理なんだな。
エルフの森のエルフの中で一番偉いのがエミリーで、そのエミリーが迷惑をかけたからエルフ族としての誠意を示すためにも全エルフで謝罪に来たい……って事か?
大袈裟じゃないか……? あ、いやそういえばエルフは精霊や大妖精と深い関わりがあるんだっけ?
エミリーもウェンディには最初から様を付けて敬っていたようだし、エルフとして大妖精に迷惑をかけたというのはとてつもなく重大な事なのかもしれない。
「なるほどな。……ん? 訪れるって……どこに?」
「ここに……」
「ここにって……ここ? この家に?」
「ええ……」
「……何人くらいいるの? 森の全エルフ」
「3000人くらいかしら……」
3000人かぁ……そっかぁ……ぎゅうぎゅう詰めだね。
庭を使っても足りなそうだね。
というか、3000人ものエルフが俺の家に向かって頭を下げるんだろうけど、そんな迷惑な事もなかなか無いだろうね。
外から見られたら『まーたアインズヘイルのトラブルメイカーが何かやらかした』とか絶対言われるじゃん!
ご近所さんにも『ああいうの困るのよねえ……』と、小言を言われる事間違いなしだよ!
「ええ……凄い困るぅ……」
「そうですよね……すみませんイツキさん。ですがその、そうなると……責任をエミリーが取らなければいけなくて……」
あー……エルフ側としては、謝った。はい許しました。と、聞いただけじゃあ不安であり、きちんとした形式に則って謝罪をし、受け入れてもらえれば問題なし。
だが、それが出来ない場合は当事者であり長代理でもあるエミリーがその責を負う事で心の平穏を保つという訳か……?
「また迷惑をかけてごめんなさい……」
「なるほどな……ちなみに、責任って? 長辞めさせられるとか?」
「それなら喜んで引き受けるのだけれど……多分、死罪。良くて耳落としかしら」
「はぁぁぁ……物騒な世界だよ本当に……」
すぐ死罪はやめようよ……。
耳落としって、エルフの尖った美しい耳を落とすって事?
それは世界への冒涜だよ。
スカートの下にジャージを穿くほどに意味が分からないよ。
「ご主人様。私としてはもう許した事ですし、エミリーさんに死なれても困るのですけど……」
「すみませんイツキさん……。こんなことを頼めるような立場じゃないとは思うのですが、相談せずにはいられなくて……」
隼人は本当に申し訳なさそうに頭を下げている。
俺としてももう済んだ話をいちいち蒸し返されても鬱陶しいんだが……まあ、これで完全に解決するというのなら仕方ない。
「そんな顔すんなよ隼人。自分達だけで背負わずに、俺を頼ってくれたのは嬉しいんだぜ? 安心しろって。このくらい大した事でもねえよ」
「イツキさん……」
「とはいえ、だ。実際問題ここに来られても困るんだよな。今はアインズヘイルはどこもかしこも大忙しだからな。3000人ものエルフに一気に来られても迷惑だ。だから――」
アマツクニから帰って来たばっかりなんだが、まあこればかりは仕方ないよな。
「俺達でイグドラ大森林って所に伺おうか。出来るか、エミリー?」
「え? それは勿論……でも、いいの? 余計な手間を取らせて……」
「構わないよ。隼人の大事な人と友人の為だしな。ああ、そういえばイグドラ大森林ってエルフの住まう森だろう? ヒト種は入れないとかはないのか?」
「それはないわ。イグドラ大森林に入るにはエルフの同行者が必要というだけよ」
「じゃあ問題ないな。その旨を伝えてもらっていいか? あと悪いけど、アマツクニから帰って来たばかりでな。アインズヘイルで少し休んでからになると伝えてくれるか?」
「それは勿論! ……その、改めてごめんなさい」
「謝罪よりもお礼の方が嬉しいぞ」
「……ありがとう。感謝してるわ」
良いって事よ。
エミリーには王都の武術大会の時にもお世話になっているしな。
まあ、これでなんとかなるだろう。
あとはイグドラ大森林でエルフたちの謝罪をウェンディが受け入れて終わりだろうさ。
アマツクニへと出かけたばかりでまた遠出な訳だが……仕方ないよな。
うん。仕方ないんだ。
しかし、イグドラ大森林……エルフの森か……んふ。
「ねえねえ主様?」
「ん? なんだソルテ」
「……エルフって美人が多いわよねえ」
「そう……だな。エミリーくらいしかエルフの知り合いはいないが、そうだな」
エミリーは見ての通りの美人さんだが、他のエルフもまあやはりというべきか美男美女が多いとは思うが……。
えっと、なんで今そんな質問を……?
「意外とおっぱいな子も多いわよね」
「いや……そんな事はないと思うけど……も……?」
ん? いや本当に何だその質問は? 何の意図があるんだ?
それにあれだよ? 普通にあれだよ?
ちっぱいのエルフとかも見た事あるよ?
うん。エルフは特段おっぱいの子が多いって事は無かったと思うが……。
「お花をあげると喜ぶのよねー」
「……そう……なのかな?」
……街で薬体草と一緒に売っていた花をなんとなく買ったらとあるエルフの女の子に欲しがられたからプレゼントしたって事はあるけれど、エルフが自然好きなのは当然じゃない……か?
「ボトルキープをしてくれたりするのよねー?」
「……」
これは……えっと……まさか?
……キヅカレテール?
「主様が最近冒険者と飲みに行くお店なんだけど、『エルフエ・ロフ』が多いのよね?」
「……ソウデモナイヨ?」
Oh……キヅカレテル……。
……何故それを知っているんだソルテ。
それは俺達男の約束で誰にも話してはいないはずだ。
だが待て。エルフエ・ロフは健全なお店!
エルフのお姉さんたちが隣に座り、お酒を注いでくれたりトークを楽しんだり、ちょっとした有料のゲームを楽しむお店だからセーフのはず!
「あの店か……確かやけに露出の多い服装のエルフが多い店ではなかったか?」
た、確かに露出が多い子が多いけれど、普通にパンツルックの子とかもいるし超健全店だぞ!
たまーにそれ股下何センチ? っていう激ミニのスカートを穿いて座ったら正面から色々見えちゃうよ? って子もいるけど超健全店だ!
それに最初は普通に着こんでるんだ。肌面積を多くするには有料のゲームで勝って服を脱がせる必要があるんだが、ゲームは相手の得意なものだから中々高難易度で俺でもまだ一枚二枚くらいしか――。
「……主様、エルフの森に行ってみたいだけじゃないわよね?」
「……ハイ。イッテミタイダケデス」
もうダメだ、逃げきれない。
なんかもう全部知られていると考えた方が良い結果を招ける気がする。
何故だ……男の誓いで内緒って言って遊んでいるのに……。
だってエルフだよ? エルフのお姉さんがお酌をしてくれるの! 耳を触りたいんだけど耳は獣人の尻尾のように大事だから まだ 駄目ってずるいんだよ! まだってずるいんだよ! 通わなきゃじゃない! 通い続ければ、いずれ触らせてくれそうなんだよ!
くそう! 裏切者だ! 裏切者がいるっ!
あいつら今度覚えてろよ!
現在開発中の『どろっと濃厚濃縮還元タタナクナールThe・End』を濃縮のまま食らわせてやるからな!
「……仕方ないじゃん! エルフの住まう森なんてファンタジーじゃ定番なんだよ! 森に住み森と生き自然を愛するエルフの森を見てみたいのは流れ人の性なんだよ! しかもこのままいけば恐らく好待遇! エルフの森に行けても余所者は嫌われるのかな? とか、行動制限があるかもしれないと思っていたのに、この大チャンスを見逃すわけにはいかないんだよ!」
俺の力説に皆が引いている気がする。
はっ! 良いさ良いさ構わないさ!
これは多分全流れ人の魂の代弁なのだから胸を張れ俺! 顔をあげて前を向くんだ俺!
「流れ人の性って……隼人もエルフの森に憧れがあるの?」
「え、いやボクはそこま……っ。う、うん! イツキさんの言う通り! エルフの森は流れ人にとっては憧れの地なんだよ! イグドラ大森林に初めて行った時も感動していただろう?」
「そういえば……そうだったような……?」
っ、隼人が気を使って話を合わせてくれた!?
隼人はそんな事はないだろうに……くっ。
流石は隼人。俺の英雄……っ。
あとでほっぺにちゅーしてやるからな!
「隼人が言うならそうっぽいわね……」
流石は隼人! さすはやさんだよ!
普段の行いが違うから信じられやすい!
……まああれだ。俺は普段の行いが……って事なんだろうな。うん。これからは改められたら改めるよ。
改められたらね!
「だからエミリー! 本当に気にしなくていいからな! エミリーはイグドラ大森林のエルフに納得してもらえる! 俺はエルフの森に行けるというどっちにとっても得がある訳だから今回の事も気にするなよ!」
「え、ええ……勿論、こちらがお願いしているのだし、好待遇は約束させてもらうわ。事前にきちんと通達して、しっかりと歓待するようにさせるし、そんなに楽しみなら色々案内させてもらうわ」
ありがとうエミリー……。
ああ、きっと自然豊かな場所なんだろうな!
木が家だったりするのかな? 薬草類も沢山ありそうだよな!
うん! 楽しみだー!
「……さてご主人様? エルフの森に行くことは当然構いません。勿論私達も行きますが……。それよりもまず、その……エルフエロフ? というお店についてはしっかりとお話を聞かせていただきましょうか?」
「…………はい」
「ではこちらへ……」
あ、待って? まだ隼人達がいるの。情けない姿を見せるのは恥ずかしいというか、あの、全部、全部言うから……もう少し後で、せめて隼人達が帰った後にして……。
後日、俺のエルフエ・ロフにおいてあったボトルキープが無くなりました。
エルフぅ……耳ぃ……先っちょをつんつんしたかった……。
というか、お店に行くだけならいいと思うのだけれど皆で声を揃えてぼそっと『……新たな危険の可能性』って何? 『……尻尾と同じ気配が』ってどういう事なの……?
確かにエルフの耳には獣人の尻尾と同様の想いがあるけれど……うう。
流石に好待遇とはいえ耳は触らせてもらえないだろうしなあ……はぁぁ……。
帝国で買った耳かきを試してみたかったなあ……。
憐れんだミゼラが、『エルフほど長くはないのだけど……』と言って耳を触らせてくれた優しさだけ、嬉しかったです。
『ユグドラシルの森』表記と『イグドラ大森林』表記があったため、『イグドラ大森林』表記に統一しました。
そして!
7月25日! 異世界でスローライフを(願望)のノベルス9巻とコミックス5巻が発売します!
活動報告にて詳しい情報も公開しておりますので、是非一度お読みいただければ幸いです!




