13-1 和国アマツクニ 案内人さん
13章! 開始です!
今回は書き貯めしていないので、不定期に更新していきます。
アインズヘイルが独立してから十数日。
王国との度重なる話し合いを経て、王国側とも協力体制のもと無事に建国となったらしい。
「ご主人様! おはようございます」
「おはようございます。旦那様」
「おはよう。良い匂いだな」
「ベーコンが焼きたてですよ。お席に座ってお待ちください。すぐ準備いたしますね」
「わーい! 朝からガッツリ温かい朝ご飯! 素敵ですね!」
ロウカク、帝国、更には共和国とやらも協力してもらっての万全な建国だそうだ。
その結果何が起こったかというと……俺の様な一般ピーポーには良く分からない。
「ん。うまうま。白パンふわふわ味が濃ゆい」
「本当ですねえ! ああ、こんなに美味しいパンが食べ放題だなんて幸せ~」
「ん。お肉も厚切りジューシィー。幸せ~」
分かる事と言えば色々な国の商人が増えて、品ぞろえが良くなった事だろうか。
帝国産の小麦が今までよりも安く手に入るようになったので、普段買うパン屋の白パンが美味くなったかと思えば、もともと帝国でパン屋をやっていたライバル店が出来ていたりしたな。
「そういえば、今日はアイナさん達はいないんですか?」
「アイナさん達はクエストに行っているそうよ」
「そうなんですねミゼラちゃん。大変そうですねえ冒険者は。こんなに美味しい朝ご飯が食べられないだなんて、可哀想に、あーん。んんー!」
「ん。朝ごはん食べてから行けばいいのに。もぐもぐ」
「三人とも召し上がってから行きましたよ。昨日頼まれて夜に作っておいたビーフシチューをたっぷりと」
元々賑やかなこの街が、更に賑やかになったような感じだ。
オリゴールを最近見かけていないのだが、まあ当然が如く忙しいのだろうな。
ついでに、アイリスも領主邸にて色々やっているらしい。
ダーウィンとメイラも何やら忙しそうで、あっちにすたこらこっちにすたこらと駆け回ってばかりいる。
「ビーフシチュー!? ウェンディ! シロも食べたい」
「私も食べたいでーす!」
「少ししか残っていませんよ? 二人で半分こしてくださいね」
「むう……邪魔」
「酷いなあ。そんな事言わずに分け合いましょうよ~」
しかしこれで平和で平穏で落ち着いた日常が訪れるだろう。
隼人は王都へと戻りゆっくり今回は休むらしい。
そして真達は旅を続けるそうだ。
光ちゃんもどこかに行ったようだが、満足したらまた来ると言って行先は不明。
レアガイアは俺の魔法球を食べ過ぎたためカサンドラに肉を摘ままれて帰り、コレンやガルシアは王ゆえに当然多忙だからとすぐに帰ったし、シシリア様も今回は仕事があるため帝国へと帰っている。
まあ、皆とあまり会う時間はなかったのだが、ちょくちょく顔を出しに行っているので寂しくはないかな。
「旦那様。今日は私あっちに顔を出してくるわね」
「おう。了解。気を付けてな」
「大丈夫。シロが付いてく」
「ふむふむ。ではこちらはお任せを」
「もうこの街なら大丈夫だとは思うけどね……。でも、ありがとう」
ミゼラが言うあっちとは、王都から助け出されたハーフの子達の所。
同じハーフであるミゼラが、この街について話をして働き先や学習先を斡旋する手伝いをしているのだ。
……王国で散々な目にあった子もいるので、いきなりもう大丈夫だと言われても信じられない子達へのケアの手伝いをオリゴールから頼まれたのである。
「ご主人様は今日もお仕事ですか?」
「ああ。ヤーシスが販売先を帝国や共和国、ロウカクにも広げるらしくてな……大量生産しておこうかなって」
「私は今日はお庭の手入れをしていますので、何かあればいつでもお呼びくださいね」
「ああわかった。よし、ご馳走様。いつにも増して美味しかったよ。それじゃあ、錬金室で仕事をしてくるよ」
「あ、それならついていきます! あ! シロさんそのお肉は私のですよ! シロさん3つで私は1つじゃないですかー! なんで野菜だけこっちに入れるんですか!? 野菜とお肉じゃあ等価交換にはなりませんよ!」
ギャーギャーと騒がしいのを背に錬金室へと足を運び、いつも通りの椅子へと腰かける。
バイブレータの材料を机に広げ、いつも通り『既知の魔法陣』を使って大量生産をしようと思ったのだが……。
「ちょっと! 置いていくなんて酷いじゃないですか!」
「……カギ閉めたはずなんだが?」
「いやあん! 閉じ込められてしまいました! はっ! いやらしい事するつもりですね! いいですよ! 覚悟は出来ています! さあ!」
「……あのさ」
「ん? なんです?」
「今更なんだけど……なんで家にいるの案内人さん」
「本当に今更過ぎる!? え!? 私ここで生活し始めてもう結構経ってますよ!? 凄くナチュラルに生活していましたよ!?」
「いや、うん。誰かがお客さんとして招き入れたのかなと思って……?」
ただ、リビングのソファーを使って寝ていたのは気になっていたんだけど……。
どうせなら客間を使えばいいのにとずっと思ってはいたんだがな。
「違いますよ!? え、お館様そんな風に思ってたんですか? 別に歓迎会を開いて欲しかったわけではないですが、これが新参者への洗礼か! 耐えればきっと! って思っていたんですけども!」
「新参……? それと、お館様って……?」
「やだなあ……お館様はお館様ですよう」
「……?」
「ピンときていらっしゃらない!?」
あれだろ? あの、真田幸村が武田信玄に対して呼ぶとか……あれはゲームだっけ?
まあとにかく、主とか自分が仕える相手を呼ぶ際に使うものだったと思う。
「なんで俺がお館様なんだ?」
「え……いや、だって、私の事買いましたよね? 五億ノールで……もう頂いちゃってますよ? 今更返しませんよ?」
「ああ。それは別にいいんだけど」
「わあ……この人金銭感覚おかしい」
おかしいもなにも、ウェンディを救うためだったのだから惜しくなどあるはずもない。
金はとても大事な物ではあるし、あるに越した事は無いが、比べるまでもない事だ。
だが……気になる事を言っていたな。
「俺、案内人さんの事買ったの?」
「え? 買い……ましたよね? 私言いましたよね? 身も心も全てささげちゃいましゅぅぅぅ! って!」
「あー…………?」
「またピンときていらっしゃらない!? ええ……じゃあ、このままいなくなってもいいんですか……?」
「まあ、うん」
お金を渡したらウェンディを解放してくれたし、約束はもう守られているしな。
あのお金で案内人さんを買うだなんて、思ってなかったわけだし。
「いやいやいや。いやいやいやいや。流石に無理です。流石にそんな事は私とて出来ませんよ……。五億貰いましたー! わーい! さようならー! 無理です無理です。流石に心苦しくて今後ずうううっと引っかかったまま暮らすとか絶対に御免ですよ!」
「じゃあ、どうする? 金額を減らすか?」
「それはちょっと……欲しい物があるので。いやあの、普通に私も他の皆さんのように奴隷契約を結べば良いのでは?」
「え、嫌だけど」
ノーサンキューですけども。
奴隷なんて望んで欲しいと思った訳じゃあないんだよ俺。
色々と複雑な経緯があっただけなんだよ。
「嫌なんだ……え、私結構容姿や身体には自信があったのに……。割と万能ですよ? 房中術とか、かなり色々知ってますよ? すっごくお館様を気持ちよく出来ますよ……?」
「あー……房中術ってそっちか。シロが案内人さんが虫を防ぐ方法を知ってるって言ってたから期待してたんだけどな……」
今度是非教えてもらおうと思っていたんだけど残念だな……。
いやまあそっちも気にはなるんだけども。
「虫の方!? そっちもなんとか出来ますけど!?」
「あ、それは助かる」
「じゃあ! 私と奴隷契約をー!」
「それは却下」
「なんでですかー!? 良い事しかありませんよ? 可愛い私とこの豊満ボディを好きに出来るんですよ? 私拒みませんよ!? どんな変態プレイにだってお付き合いしてみせますよ!?」
豊満って……ウェンディやアイナを見て同じことがいえるのだろうか?
ああ、ぱいを持ち上げるんじゃない。
ズボンをずらすんじゃないよ。
舌を伸ばして意味深な……わ、結構舌長いんだな。
「……そもそも、どうしてそんなに俺の奴隷になりたがるんだよ」
……凄いパワーワードだなこれ。
自分で言っておいてなんだが、とんでもない事言ってるぞ俺。
そして案内人さんは妙に真剣な顔つきへと変わってしまったのだが、素で突っ込みをする気なら止めてくれ。
「私は……シノビでもありますからね。とある目的の為に商売として何でも屋をやってはいましたが、最終的には主に仕えるつもりでした。良き主に出会う事こそが至上と思っていますし、ある意味ではお金を稼ぎつつ良き主を探す旅でもあったんです」
「その良き主が俺だと?」
「ええ。貴方のそばならばきっとこれからも楽しいでしょうしね。あとはお金持ちですし、良く知っていますし、この人になら初めてを捧げても後悔しないなーと思ってましたし。嫌いではなく、無でもなく、むしろ好きと言っても良い感情を貴方には持っていましたので」
あっけらかんと、好きと言われてしまい少し戸惑ってしまう。
えっと……なんだろう。多分きっと深い感じではないのだろうけど、好意を持っていると言われると少し照れる。
「……なら、奴隷契約をしなくてもいいんじゃないのか? 普通に一緒にいればいいだけだろう?」
「それでもいいんですけどね……。ですが、周囲の信頼を勝ち取るのに一番手っ取り早いじゃないですか。裏切る気は勿論ありませんが、他者にも見える証としては最も有用ですからね」
「うーん……」
「奴隷にするという事を流れ人ですから気になるのでしょうが、こちらでは主従の誓いを結ぶ際にはよくある事でもありますし、あまり深く考えずとも良いのですよ。私は貴方に仕えたい。貴方を守り、貴方を助け、貴方を救い、貴方と過ごして、貴方が幸せになる様にしたいんです」
「……それなら駄目だな。自分も幸せになってくれないと」
「それは大丈夫です。私が幸せになれる事は大前提で貴方を選びましたので」
ニコっと微笑みを向けられると、言われた通りマイナスな感情ばかりではない事が分かってしまう。
「……はあ。わかった。それじゃあ契約しに行くか?」
「ああ、大丈夫です。私契約スキルを使えますので」
「万能ですね……」
……こうして、案内人さんと奴隷契約を交わしたので、また一人増えてしまった……。
ついでに皆には解除するか? と聞いたのだが、案内人さんだけ奴隷というのも嫌だと言われて却下されてしまった……。
お父さんお母さん。俺、異世界で奴隷を7人も持ってしまいました……。
でも誓って酷い扱いはしていません。
貴方達の息子は、何も間違った道には進んでいませんので信じてください。
八巻作業も若干落ち着いたので、これにてある程度集中できるかなと。
今回八巻は今までの中でも最も多い書き下ろしです。
いずれ詳細情報の公開は活動報告でも行いますが、半分以上ですね。
そのため、色々と削ってしまった部分もありますが、書き下ろしに力を入れていますのでよろしくお願いします!
いずれは全部書き下ろしもやってみたいなあ……時間たりなさそうだけど。




