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異世界でスローライフを(願望)  作者: シゲ
12章 愛しき人よ
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閑話 裸の付き合い

アインズヘイルが独立し、お祭り騒ぎも落ち着いた頃の昼下がり。

平々凡々な日常を満足しながら送っていたとある日の事。


「ふおおお……おおおお……」


目の前の光景に打ち震える光ちゃん。

つるつるでぷりんとしている、触れずとも柔らかさの伝わるお尻を出している光ちゃんの後ろで、満足げに頷く俺。

別にそのお尻を見ているからという訳ではないが、間違いなく今の俺はドヤ顔をしている事だろう。


「まじかよ……。個人が作った温泉って言うから、もっとしょぼいもんかと思ったのに、玉砂利に竹垣の露天風呂とか雰囲気までガチじゃん」

「当然。手は抜くわけがないわな」


定期的にちゃんと手入れもしているからな。

面倒くささは勿論あるが、マメにしないとこの景観は保てないから頑張りました。


「すげえ広いし、雰囲気もいいし、貸し切りとかたまんねえなあ!」


見るからにテンションが上がっている光ちゃん。

温泉好きに悪い奴はいない。

ただし、マナーを守る奴だけだが。


「だろう? どうよ? ご期待には沿えたかな?」

「ああ。最高のご褒美だわ」


そう。これは光ちゃんがアインズヘイル防衛に手を貸したご褒美なのだ。

まあ、俺があげなくても良いはずのご褒美なのだが、ねだられた。


『なあなあ、ご褒美~。他の奴らにはあげたんだろう~? だったら、俺にもあってもいいと思わないか~』

『思わないな~』

『なんでだよ。なんでもいいからさ~。ほらほら。俺が喜ぶ事をしてくれよ~』

『なんでもねえ……。あ、そうだ。元々連れて行こうと思ってたところがあったな』

『お? なんだなんだ?』

『温泉』

『温泉?』

『そう。お風呂好きなんだろう? だったら、俺が作った温泉に招待してやるよ』

『手作りの温泉ねえ……。まあ、それでいいか』


と、最初は微妙に納得いっていないようであったが、今の反応を見る限りご褒美としては成り立ったようだ。

まあ? 当然と言えば当然だろうな!

自慢の温泉だからな!

さて、早速体を洗って温泉でまったりしようじゃないか。


「あ、この前の約束通り光が背中を流してあげようか? イツキお兄ちゃん?」


本当、一瞬で切り替わるんだよなあ。

声の高さから雰囲気までがらりと変わるもんだから、姿が見えなければ二人いると勘違いしそうな程に凄い。


「いいよ。今日は一度風呂に入ってるし、軽く流す程度だからな」

「ふーん。それなら、俺の背中を流してもらおうかな? ご褒美だし」

「……背中だけな」

「別にいいんだぜ? お尻やそれ以外も洗ってくれても」


そういう事は一物を消してから……いや、消されても面倒だな。

俺が背中を洗い、その間に腕など自分で洗い始める光ちゃん。


……いや、肌が若いとかそういうレベルではなく、女の子みたいだ。

日々のケアの賜物なのか?

今も色々取り出しているし、恐らく湯上りにも色々美の為に時間を使うのだろう。


「ふんふんふふ~ん」

「ご機嫌だな」

「まあねえ。それよりも、イツキお兄ちゃんって背中洗うの上手いねえ」

「背中洗うのに上手いも下手もあるのか?」

「力加減が絶妙。恐る恐るでもないし、三助がいたらこんな感じなんじゃねえかな? って思うような心地よさだぜ」


三助とかよく知ってるな……。


「まあ、褒められて悪い気はしないな」

「そうそう。素直が一番だぜ。そういえば、獣人の尻尾ケアしてるんだろ? 人の髪はやってねえの?」

「うーん。アイナとかウェンディの髪を梳くくらいだな」

「じゃあ、湯上りにやってもらおっと」

「はいよ。ほれ、流すぞ」

「はーい」


泡を流すために湯を浴びせるともっちりしっとり玉の肌が水を弾く。

そのまま光ちゃんはタオルを絞り、きちんと湯にはつけずに本命の温泉へと入っていくので、後ろについて俺も入る。


「はぁぁぁぁぁぁん…………」

「変な声出すなよ」


妙に色っぽい声を出すなよ。

お湯から出ている肩から上を見る限りは女の子にしか見えないんだよ。

化粧は落としているはずだし、ナチュラルでこれとかある意味ではイケメンよりも反則だろう。


「いや、だって、これは自然と声が出るだろう? 貸し切りだし、温度も適温で頬が勝手ににやけちまうよ」

「気持ちはわかるけどな。ああー……気持ちいいな」

「おっさんくさいぞ?」

「いいんだよ。これが作法だ」

「絶対ちげえよ……。ん、んんー……はあ……まあでも、自然と声は漏れるわなあ……」


二人して目を瞑り、同時に息と声を漏らしてまったりと湯の温かみを味わう。

竹垣の奥の森から小鳥の声がかすかに聞こえ、あとは湯の流れる音に耳を傾けて日ごろの疲れを癒していく。


「……おい」

「んんー?」

「なんで真横にくっついてくるんだよ。こんなに広いんだから広々使えよ」

「ええー? 良いだろう別にどこで温泉を満喫しても」


それはそうだが、男と男がくっついて入るとか謎だろう。

……いや、片方は性癖的に男が好きなのかもしれないが。

そうなると、自然と言えば自然……?

いや、自然じゃない。俺はノーマルだ。


「せめて女になってからにしろよ……」

「んんー? もうなってるんだよなあ……」

「肩上からだと違いがわからないな」

「おいおい。これでも胸は少し膨らんでるんだぜ?」

「見てないからわからないっつの」

「見たいって事か?」

「ちげーだー」


すぐ膝立ち出来るようにして、いつでも見せられる状態にするんじゃないよ。

あと、こういうやり取りを楽しむなって。

くすくす笑う顔とか……無駄に可愛いから困るわ。


「あ、あのー……」

「「ん?」」


どうした隼人。

そんなタオル一枚の状態でぼーっと突っ立って。

お前の腹筋が割れているのはよくわかったから早く入ればいいのに。


「えっと……」

「あ、まずは体を洗ってからな」

「あ、はい。それは勿論……。そうじゃなくてですねえ……えっと、その……光……君でいいんですよね?」

「ん? 光は女の子だよ?」

「やめい」

「ちぇ。そうだよ。光君であってるよ。ほれ」


男に戻り、立ち上がって証拠を見せる。

それを証拠として見せるってのも、なんかシュールだが一番の証拠だもんな。


「あ、本当なんですね」

「まあ信じられないくらい俺様は可愛いから疑うのもわかるけどな」

「そうですね……驚きました。イツキさんの冗談かと……」

「冗談だったら三人で風呂行こうなんて言ったら怒るだろう?」

「別に、怒りはしませんけど……」

「お前じゃなくて、レティとかエミリーとか」

「ああ……そうですね」


絶対怒られるよ。

隼人に別の女の子との混浴を斡旋したとか、多分火で焼かれて精霊を使っていじめられる。

ついでにソルテやウェンディに伝わってミゼラにジト目で見られ、アイナに呆れられながらの正座だよ。

正座で足が痺れた所にシロとレンゲがつんつんしてくるんだよ……おお、怖い。


「まあ、どうせだし俺の能力も伝えておくよ。そうした方がイツキお兄ちゃんも安心だろう?」

「いいのか?」

「まあ、あんまり能力を知っている人を増やさない方がいいんだけどな。利用する気もない相手だし、イツキお兄ちゃんの友達なら構わねえよ」


そう言うと隼人が体を洗っている最中に半分だけ身を乗り出して隼人の方を向き、縁に腕を乗せて体を浮かせて隼人に能力について話しだす。

……丸くて艶々で妙に色っぽいのが浮かんでいる。

まだ戻っていないから男の骨格のはずなのに、なんでこうも女性的なのだろうか? 天性と言わざるを得ない。


「なるほど……女性にもなれるのは驚きですね」

「見るか?」

「み、見ませんよ……」


やはり見せたがりか。

見せてどぎまぎする様子に興奮するのだろうな。

特に隼人など顔を赤らめて、直視できないだろうからな……。


「はぁぁぁ……ここは相変わらず良いお湯ですねぇ……。そういえば、今日は真はいないのですね。確かまだアインズヘイルにいたはずですよね?」

「ああ。真はまだ光ちゃんの正体を知らないからな」

「え? 教えていないのですか?」

「うん」


教えていないのです。

まあ、美沙ちゃんも自分で気づくまではって言っていたし、俺から教えてやることはないだろうな。


「まさか、真に貢がせているのですか?」

「まあ、ちょっとしたおねだりぐらいしかしてねえよ。同じ流れ人だし、破産しない程度は弁えてる。まあ、勝手にアクセサリーとか買ってきたりはするけどな」

「そうなんですねえ。でも気付くのかな……?」


俺の予想は、ずっと気づかないと思う。

でもそんな事よりも今近々の問題が一つある。


「なあ……お前ら、どっちも近くないか?」

「「え?」」


光ちゃんはまあ……元々このくらいだったから、分からなくもない事もない。

でも隼人。お前まで近くに来るこたあないんじゃないか?

こんなに広いんだよ? 混浴用だから男女のしきりも取っ払ってあるんだよ? しかも貸し切りだから誰もいないのに、わざわざ混雑している銭湯に友人と行った時のように一か所に集まるこたあないんじゃないかい?


「ええ~。光は超絶可愛いから良くないですかぁ~?」

「良くないですなぁ」


生えてますし。

超絶可愛くても生えてますし。


「二人だけ近くにいて、僕だけ遠いのは寂しいです……」


隼人もイケメンを利用して捨てられたわんこ顔をするんじゃないよ。

そんなので同情を引けると思うなよ。

しゅんとするなよしゅんと。

…………ああもう、わかったよ。


「もう好きにしろよ……」

「わーい! イツキお兄ちゃん大好き!」

「好きにしろと言ったからって抱き着いてくるな! 当たるんだよ!」

「当ててんのよ?」

「当てんなよ!」


……おい、隼人。何をじわじわと近づいて来てやがる。

楽しそうだな、寂しいな。じゃないんだよ。

お前のは光ちゃんのとは違うんだぞ。

筋肉だってついててお前……。

こら、馬鹿落ち着きなさい!

温泉は静かに入るのがマナーだぞ!

ばしゃばしゃしたらマナー違反なんだぞ!

引っ越しと8巻で新章突入が遅くなってますー!

もう少し安心できる圏内になりましたら、投稿できるかなと……。


今回8巻は書き下ろしがかなり多いので、ちょっと頑張りどころなのです。

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― 新着の感想 ―
[一言] アーッ(入浴) 温泉……日本人……何も声を出さないはずがなく……。 薩摩隼人の仔犬の眼光!
[良い点] この回は、私的に大歓喜ですわッ‼︎ 光ちゃんはストレートに可愛いですし、隼人君のいじらしさにもニヤニヤが止められません。 あ〜、光ちゃんヒロイン(?)入りしてくれないかしら。 期待して待…
[一言] 感想欄を見てて、案内人さん、しっかりと夜伽するわけですよね。そうすると、姉妹がであることもあるわけですよね? 「あ、姉さん久しぶりです。相変わらずおぼこでおかたいんですかぁ? 私はお館様にあ…
2021/06/29 11:08 退会済み
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