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異世界でスローライフを(願望)  作者: シゲ
11章 帝国満喫
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11-4 シュバルドベルツ帝国 帝都リュベク

無事に関所を抜けて帝都へと胸を躍らせつつやってきた!

だけど! あんまり王国領と変わってない!!


そりゃあ隣国だし劇的な変化! って訳はなく微妙に違うのだと思うのだけれど、俺から見たらどちらも同じ海外のような感覚で大きな変化は見られなかった。


しいて言うのであれば、帝都へと向かう道中の街に麦畑が多数あった事だろうか?

シシリア様の話だと帝国は麦の生産が盛んであり、小麦を使った料理や勿論ラガーにも力を入れているそうだ。


更に、農業や食料生産に就く人々は減税対象となっており、生活が少し楽になっているので、競争社会である帝国でもなりてはそう少なくないらしく、これからも食料不足は訪れにくいようである。

これはなんとシシリア様の弟様が決めたとか。


まあ、帝国に住まう誰もが出世を夢見ている訳でもなく、俺のようにまったりと競争社会でいろいろとすり減らしながら生きたくない人も当然いるのだろう。

そんな人達が農業を営み、日々楽しむお金もありつつ毎日平和な幸せを謳歌しているのだろうな。

ついでだが、カカオはかなり南部で生産しているとのこと。


「しかし、麦がこれだけあるとラガーがより楽しみだな」

「ふふふ。麦畑も地域によって特色が様々だからな。その数以上にラガーも種類があり、必ずや満足するものがあるはずだ」

「おお……飲み比べとかしてみたいですね」


独り言のつもりだったのだが、聞かれてしまいシシリア様と話すので言葉を丁寧な物へと変更する。

なお、執事モードではないのであそこまで遜る事はしないし、シシリアお嬢様とも呼びはしない。

普通に様だ。


「我お気に入りの店でも何種類かはあったはずだ。好みのラガーがあれば、それに合わせたつまみもある。店にはもちろん案内するから、楽しみにしておれ」


シシリア様のお気に入りのお店かぁ……。

おつまみもきっと相当美味いのだろうな。


だが、俺だってラガーに合うおつまみには自信がある。

揚げ物からはメンチカツやエビフライ等のミックスフライ、牛串屋の牛串や、孤児院の皆が店を出すお好み焼きも合うんだよな……。

餃子も作ろうと思えば作れるな。

皆で作れば楽しいだろうし、変わり種餃子なんかも作ったりしてもいいな!


ああー! 冷たく冷やしたビールに溢れる肉汁と焼き目がパリパリでもちもちの生地を熱々の内にカリッ、ジュワッ! ゴグッ……ゴクッ……プハァ! とやってしまいたいなー!


勿論牛タンも忘れちゃあいけないな。

ヤーシスとも約束したし、タン塩に合うラガーを探してお土産に樽で買って帰って飲み会としゃれこみたいですな。


「ふふふ。目が子供の様に輝いているぞ」

「元の世界ではしょっちゅう飲んでいましたからね。こう……流れ人ってのは、懐かしい食べ物に目が無いんですよ」


キンキンに冷えた缶ビールをそのまま飲む日もあれば、冷やしたグラスで飲む日もあった。

毎日飲む……って訳でもないが、冷蔵庫には常備しており、居酒屋で最初の一杯は必ずビールなほどには俺の生活に溶け込んでいた飲み物である。


「ねえ旦那様。ラガーってそんなに美味しいの?」

「んん? うーん……」

「え? 悩むの? 美味しくないの?」

「いや、美味いぞ? 美味いは美味いんだけど……」

「そうだな……人を選ぶというか、好きな者は好きだし、嫌いなものは嫌いといったところだろう」


まあ、王国の酒は果実酒などが多く甘いお酒が多かったからな。

ミゼラも飲んだことがあるのは果実酒を果実水で割ってさらに水で濃さを調整した物ばかりだろうし、ビールにはフルーティなものもあるのだが、どちらかと言えばそれはエールに多い印象だ。


勿論エールも含めてラガーと呼んでいる可能性もあるが、基本的に味が好きというか、のど越しが好きというか……甘いというよりも苦い上に、なんて言い表せばいいか悩む味だからな……。


「そうなんですか……? うーん……」

「どうしたんだ? 別に、無理にラガーを飲まなきゃいけないわけじゃないんだぞ? 他にも飲み物はあるだろうし、ミゼラの好きなジンジャールもいっぱい作って持ってきてあるからな」


ジンジャールとは生姜と蜂蜜、それにシナモンのようなスパイスを入れて水で薄めた飲み物であり、最近のミゼラのお気に入りだ。

これはスパイスに何を入れるかや量をどうするかが、家庭によって違うらしく、うちのはミゼラが好きな味のジンジャールが家庭の味となっている。


ホットでもアイスでも美味しく、体が温まるうえにリラックス効果も期待できる風邪の時などに飲みたいドリンクである。

流石にお店で自前の物は出せないかもしれないが、似たようなものはあるだろう。

……それに、自覚はなさそうだけど、体力の低いミゼラは長旅で少し疲れていそうだしな。


「それはとても嬉しいのだけれど……旦那様はラガーが好きなのよね?」

「それはまあ……。こっちのラガーが俺の普段飲んでたものと一緒かどうかはわからないけど、好きだと思うぞ」

「うん……じゃあせっかくだし、私もラガーを好きになりたいわ。旦那様が好きな物を私も好きになれば、アインズヘイルに戻っても一緒に飲むことが出来るでしょう?」

「ミゼラ……」


ああもう、健気……!

なんと可愛い事を言ってくれるのだろう。

別にラガーが好きではなくとも一緒に飲めるだけで良いのに……。

だが、俺が好きな物を好きになりたいという気持ちにはとても嬉しいものがある。


「種類もあるみたいだし、飲み比べてみて好きなのがあるといいな。そうしたら、戻ってから一緒に飲もうな!」


ミゼラも好きになるような味があるといいんだが……。

でも、かなりの種類があるようだし、生姜と合わせてシャンディガフ風にしてみれば飲みやすいかもしれないな。


「はいはいはーい! 主様! 私ラガーは飲んだことあるわよ!」

「自分もあるっすよー! アレっす! 大人の味って感じっすよね!」

「そう! そうなのよ。あの苦みが大人って感じで……」


ほぉ、二人は飲んだことがあるんだな。

しかもこの感じは結構気に入っていたように見える。


「……ソルテもレンゲも、初めて飲んだ時は渋い顔をしていたではないか……。健気なミゼラに感化されて主君の好みと合わせたい気持ちはわからなくはないが、嘘は良くないぞ」

「っ、う、嘘ではないわよ? あの時はまだ大人じゃなかったけど、今はもっと大人だもの。きっと好きになってるはずよ!」

「そ、そうっすよ! それにアイナだって……あー……アイナはごくごく飲んでたっすね……」

「ああ。私は好きだぞ? ただ、冷やしたもの限定だがな……。冷たく冷やしたラガーは味というよりも飲んだ後の爽快感が素晴らしいものだからな」

「へえ……冷やしたものもあるんだな。俺も普段飲んでたのが冷やしたものだし、そっちがいいかな」


ドイツなんかだと常温が普通……みたいな話も聞いたことがあるので、ぬるいのも覚悟していたのだが……。


「くぅ……作戦失敗よレンゲ」

「そっすね。ミゼラの天然に乗る形にはしたっすけど、はっきり言って自分は甘いお酒の方が好きっす!」

「私もよ。苦いお酒は苦手……。だけど、ミゼラの主様と同じものを好きになりたいという気持ちはとても分かるわ!」

「いや……あの……その……」


……いや、だから別に無理して飲まなくてもいいんだって……。

それと、ミゼラは天然と言われて何故か恥ずかしがって顔を紅く染めていた。


「ん。ウェンディはいかないの?」

「そうですね……。お酒は美味しくいただけると思います。ですが、量はあまり飲めないので悩んでいます……。あまり酔った姿をご主人様にお見せするのは……」

「ん……普段は抑えてる?」

「ええ。自分の許容量はわかっていますからね。お祝い事などでは、少し多めに飲んでしまいますが、酔いつぶれてしまったご主人様を介抱出来るようにはしていますよ」


……いつも本当に助かってます。

いつか、俺が介抱するので思い切り飲んで酔ったウェンディも見てみたいな。

俺の予想だと滅茶苦茶甘えてくるような気がする。


「ん……。シロは多分飲ませてもらえない……」


そりゃあ……まあね。

意地悪とかではなく、シロの事を考えてだとは伝わっているだろうが、今回も許可は出来ません。


「まあ……シロはまだ駄目ですね。大きくなったら、一緒に飲みましょうね」

「ん。シロも何でも美味しくいただけると思う」

「でも、苦いらしいですよ?」

「んんー……大きくなったら苦いのも大丈夫……だと思う」

「うふふ。これから練習で、苦いお野菜も食べてみますか?」

「…………まだいいや」


焦げた肉以外では、なかなか苦い肉はないので練習するならば野菜になるのだろうが、シロは野菜はあんまり好きじゃないからな……。

最近は成長する為に野菜もしっかりとるようになってきてはいたのだが、最初から苦いと分かっている野菜はまだ苦手なのだろう。


だが、大人になってからピーマンを食べられるようになった人もたくさんいるので、シロが大人になったらもしかしたらラガーが好きになるかもな。



「さて、気を使う必要はないが、一応身支度は整えておけ。面倒ではあるが、帰還の報告とこれから面倒を見るお前達の顔は見せておきたいのだ」


馬車が止まり、セレンさんが扉を開けて俺達が出てくるのを待つ間にシシリア様に釘を刺されてボタンや袖、インナーがはみ出していないかをそれぞれチェック。

なんせこれから会うのはシュバルドベルツ帝国現皇帝様だ。


シシリア様もそうなのだが、ちゃんとした権力者というか治世者というか、偉い人に会うのはとても緊張してしまうのは元サラリーマンの常だろう。


「準備は出来たか? ああ、緊張はする必要はないぞ。粗相も気にするな。……むしろ、弟が粗相をしたら遠慮なくガツンとやってしまえ」

「へ?」「む?」


シシリア様がウェンディとアイナを見て、これから悪い予感が当たりそうだなといった表情を見せるのだが、すぐに自嘲気味に笑う。


「まあなんだ……先に言っておこう。すまない。悪気はないのだが……少し、お主に似ているかもしれん」

「似ているって、俺にですか?」


皇帝である弟様が?

一般ピーポーな俺と?


「うむ。ああ、だが出来れば殺さないでやってくれ。一応アレでも私の弟なのでな……。だが、ガツンとやる分には我が許可する。ボコボコにしても、政務が出来るのであれば構わん」

「ん。主に害を及ぼすならガツンとやる。ボッコボコにする」

「うむ。シロであれば問題ないだろう。回復ポーション(大)で治るくらいにしておいてくれ」

「ん」


え? え? 

ガツン? ボコボコ? 皇帝様を?


その理由はすぐにわかるのだが……俺、これに似ているんですかね……?

最近全くビールを飲んでいなかったから細かく書くために久しぶりに飲んでみた。


……どう表現すればいいのかわからない味だった。

どうしよう……。

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― 新着の感想 ―
子供の味覚は大人の約3倍敏感らしいので苦味も3倍に感じるらしいね そして苦味や酸味は自然界だと身体に悪い物が多いので本能が働いて甘味や塩味より先に察知し防御行動(吐いたり嫌ったり)するらしい 私的な…
[一言] ラガー(日本で言うところのビール)の主原料は大麦 小麦を使うビールもあるが(ホワイトビール)日本消費されるビールのほとんどは大麦麦芽が主原料
[一言] 王国で勝手にラガーを作ったら「密造酒」になるんですかね? アルカポネとか出てくるんですかね? メイラ辺りがオリゴールとこっそり領の決まりをかえて、ラガーを一手に手がけられるようにして、イツキ…
2021/03/10 16:40 退会済み
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