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異世界でスローライフを(願望)  作者: シゲ
10章 日常の一時
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10-4 アインズヘイルで休息を 特殊ヘアカット1

お昼ご飯も食べ終わり、腹休めもを兼ねたティータイム。

特段エレガントな一時……という訳ではないのだが、元の世界では昼下がりにお茶を飲む余裕すらなかったのだから、優雅で贅沢な一時だろうか。

そんな一時を大切な皆と……というのが、ここ最近のプチ幸せタイムなのだ。


「主君。そういえばなのだが……」

「ん? どうした?」


今日はアイナ達もクエストにはまだ行かずに、一緒にお茶をしてまったりとした時間を送っていた。

レンゲ辺りはなんだかそわそわして落ち着かないようだが、皆がお茶をしているのに自分だけしないのは寂しいのだろう。

まあレンゲは体を動かすほうが、じっとしているよりは好きなんだろうな。


「主君の髪の毛なんだが、少し長くなってきていないか?」

「んんー? そういえばそうだな……」


ちらりと前髪を見上げ、毛先を摘んで引っ張ると明らかに目に被っているようだ。

顔を振るうと目元をちらちらと毛先がかすりむず痒い。


「そうね。なんだか陰気くさい感じよ」

「っすね。根暗錬金術師っぽいっす」

「根暗錬金術師って……」


まるでまだ出会ったことすらない先輩達の事のようだ。

決め付けるのも酷いかもしれないが、先輩達は本当に錬金術師ギルドにいるのだろうかってくらい引きこもってるみたいだしな……。


「ん? シロは今のままでも好き」

「うーん……でも、目元まであると鬱陶しいと思うわよ? 錬金をする時も邪魔そうだったし」

「ご主人様。よろしければ軽く切りそろえましょうか?」

「あーそうだな。特にこだわりはないから――」

「はいはいはいっす! 自分が切りたいっす!」


元気よく手を上げて満面の笑みを浮かべるレンゲ。

先ほどまでの手持ち無沙汰でそわそわした感じは綺麗さっぱりなくなり、今は生き生きとしているが……。


「レンゲはちょっと……」

「なんでっすかぁ!?」

「うむ……。レンゲはな……」

「そうね。レンゲだったら、私の方がマシよね」


そうだな……レンゲに頼むなら、ソルテに頼むかな。

まあ、ソルテに頼むならウェンディに頼むのだが。


「くぅーそうやって自分をないがしろにして! ウェンディだって素人っすよ!?」

「そうですけど……。少なくともレンゲさんよりは失敗しないと思います」

「でも、もし失敗したらどうするんすかー!」

「それは……」


俺としては別に少しくらい失敗しても気にしないのだが、ウェンディと視線が合うと心配そうな顔に変わってしまった。


「……そうですね。私も少し怖くなってきました……。ご主人様の髪を切るという絶対に失敗できない任務。……こなせるでしょうか……」


いや、任務とかそんな大層なものでもないんだが?

ちょこーっと髪を軽くしてくれればそれでいいんだけど……。


「なら自分っすよ! 自分なら失敗を恐れないっす! だから――」

「んんーじゃあ、出来そうな人に頼んでみるか……」

「出来そうな人? 心当たりでもあるの?」

「自分――」

「一応……かな? 美容とか洗髪は得意としているから、美的感覚もあって器用な人だとは思うんだけど……」


どうだろう? 流石に範囲外だろうか……。

でも、とりあえず行って見ようかな。

……レンゲ、いくら手を上げてもお前さんには切らせないよ。



で、やってきたのは錬金術師ギルド!

もちろん、用があるのはレインリヒではない。


「髪ですか? 出来ますよ」


即答だった。

リートさんが暇そうに受付をしていたので話しかけると、嬉しそうに愚痴を溢すので切り出しづらかったのだが、切り出してみるとケロっと言ってのけた。


「普段は自分の髪ばかりなんですけどね、でも失敗の心配はありませんよ」

「おおー。じゃあ、お願いしてもいいですか?」

「はーい。格好良くしちゃいますよー。レインリヒ様受付お願いしますねー!」

「はいはい。研究も順調だし、肝を持ってきてくれた御礼にそれくらいはやってやるよ」


おお、珍しくレインリヒもご機嫌だ。

やはりあのお土産は効果が高かったのだろうか。

ついでに、今日のおやつとしてチョコレートパフェを進呈しておいたのも功を奏したのかもしれないな。


そして、錬金室に入りてきぱきと準備を始めたリートさん。

布を広げられ、その上に椅子を置いて座らされると首元に布をかけられる。


「それじゃあ、始めますね」

「俺こっちの世界での髪切りは初めてなんですよね」

「あー確かに、伸びっぱなしですね」


こっちに来てからもう結構たってるもんな。

そういえば、こっちも普通に鋏で切るだけなのだろうか?

梳きバサミは以前クドゥロさんの髪を切る時に作ったのだが、こっちでも使うのだろうか……。


「ん? リートさん。それなんですか?」

「これですか? これは魔法のお薬ですよ」


……錬金術師ギルドで出される薬って、どうしてこうも怪しいのだろう……。

赤い布を巻かれた瓶から取り出されたのは赤い薬。

そして、リートさんが瓶を握ると肌色へと色を変えた恐ろしい薬。


「……本当に、なんなんですか?」

「もう心配性ですねえ。だから魔法の薬ですって。これを振りかけてから髪を切ると、失敗しても元通りになるんです」

「まじですか? そりゃすげえ……」


だから失敗しないって言っていたのか。

切った髪が元通りになるとか、新人美容師さん達は喉から手が出るほど欲しい代物だろう。


「まあ、本当はただの超微小なスライム達ですけどね。周囲の色に変化するから、髪色になじむんです」

「スライム!? スライムを頭にかけるんですか!?」


だから赤から肌色に色が変わったのか!

っていうか、薬じゃなくてスライムじゃん!

スライムって魔物じゃないの!?


「はい。このスライムは害はありませんし、薬用にも使われています。この子達は髪の毛一本一本に吸着して切り離されてもそれぞれが同一生物として再生する機能があるので、切った髪を近づければ元通りにくっついて再生するんです」

「お、おおー……それ、副作用とかは……」

「ありませんよ。髪も普通に洗えますし、食事は空気中の塵やゴミなんかを食べてくれます。気になるようなら専用の薬剤で排除することも可能です」


ん、んんー……頭にスライムを乗せる行為に思うところが無いわけではないが、副作用がない上に排除することも可能ならいいか……。

虫じゃないしな……。


「じゃあ、よろしくお願いします……」

「はい。それじゃあどのくらい切りますか? 以前と同じ感じで?」

「んんー……せっかくなんで、リートさんにお任せで」

「おお、いいんですか?」

「はい。奇抜なものでなければですが、リートさんならセンスもいいと思いますし、任せちゃいます」


せっかく失敗しないわけだし、最悪元にも戻せるのだからここはチャレンジ精神旺盛でいってみるべきだろう。

……別に、いつもおまかせでと言っていたからというわけではないぞ。


「わかりました。それでは、お任せください」


リートさんは手馴れた手つきで瓶からスライムを落とし、髪になじませていく。

なんというか、ベタベタするわけでもなく特に何も感じないのが逆に怖い。


そして、準備が完了したのか櫛で髪を梳いてから鋏をいれていった。

よく磨がれた鋏なのか、切られた感触すらも感じず、鋏の音とリートさんの鼻歌が心地よい。


「気持ちいいですね……。リートさん上手なんですね」

「そうですか? こういう道もあったかもしれませんね」

「ええ。凄く気持ちよくて……」

「寝ててもいいですよー。終わったら起こしますから」

「いやでも……寝るなんて……」


失礼だろう……と、言葉に出すことはできずに、俺はまどろみの中へと落ちていった。



「……君。後輩君。起きてください。終わりましたよー」

「っ……あ、すみません」


ついあまりの心地よさに寝てしまった……。

頼んだ側だというのに、申し訳ないな。


「いえいえ。よく寝てましたね。では、最後の仕上げがありますので、顔を上げてくださいねー」

「はい……」


まだ寝ぼけ眼でされるがままに顔を上げると、立派な『ぱい』越しにリートさんが剃刀と、薬剤を持っているのが見える。

下から見上げるのも乙なものだ……と思っていると、ぱいが近づいてきた。


「とと、ごめんなさい、ジェルを落としてしまいまして……んんー……」


俺の脚の間に落ちたジェルの瓶へと手を伸ばすリートさん。

その際に、俺の顔へと柔らかい感触がのしかかるのだが、寝起きというのもあってもう一眠りしてしまいそうなほどに心地が良い。

リートさんのぱいは、新鮮で水中のように癒されるようなゆるやかで柔らかいぱいだなあ……。


「とと、んんー……取れました! ふう……って、きゃあ! もう、エッチなんですから」

「いや、今のはリートさんが自分でしたじゃないですか……」

「えへへばれましたか。この前のお土産のおかげで最近懐が潤っているのでせっかくだからとサービスしちゃいました」

「ああ……どうです? 使えてますか?」

「はいもちろん! 化粧品もグレードアップしたり、新作もどんどん作れてますよ! もう後輩君様様ですよー!」


うりうりと今度は天井を見上げる俺の頭頂部へと胸を当ててくるリートさん。

おそらくは俺が一番喜ぶであろう行為をして労ってくれているのだろうが……良くわかっていらっしゃる。

またリートさんにはお土産を買ってこよう。

レインリヒと並ぶ最優先事項として買ってこよう。


「それじゃあ、顔をしょりしょりしますから、動かないでくださいね」

「あ、顔剃りまでしてくれるんですか?」

「もちろん。仕上げですからね。それと……髪もセットしてっと……。ふふふ」


楽しそうに笑うリートさんが、様々な薬の瓶を取り出して俺の顔やら頭やらをいじっていく。

ここには鏡がないのでどうなっているかはわからないが、恐らくは変な事にはなっていないだろう。


「んんー……よし。出来ましたよ」

「ありがとうございます」

「えへへへ。凄く格好良くなってますよ!」

「マジですか。そいつはモテちゃいますね」

「そりゃあもう間違いなく! このまま強引に押されたらついどんなお願いも頷いてしまいそうなほどですよ!」


またまた……それは流石に言いすぎでしょう。

とはいえ、リートさんみたいな美人にそんなことを言われては悪い気は全くしないんだよな。


「あれ、鏡は見せてくれないんですか?」

「せっかくですし、皆の反応から見てはどうですか? もしお嫌でしたら、戻ってくればお直ししますし」

「んんー……そうですね。せっかくですし、リートさんの言うとおりにしてみますか」

「はい! それじゃあ行ってらっしゃーい!」


とんっと背中を押されて錬金室の外に出される。

まあ、触った感じも特段変だとは思わないしリートさんならふざけたりもしないだろう。


レインリヒと目が合ったのだが、ニヤリと笑うだけであった。

……レインリヒは、参考にならないよな。

よし、確か冒険者ギルドにアイナ達がいたはずだ。

そっちに行ってみよう。



※※※



さてさて、片づけをしませんといけませんね。

切った髪は大切に保存しておかないと、後で直せませんからね。

とはいえ、あの出来ですと直す必要も無いと思いますが……我ながら、やりすぎなくらい完璧でしたね。


ついつい楽しくなっちゃって、一時的に魅力を上げるお薬も沢山使ってしまいました……。

流石に妖精の鱗粉とチャームダンディ草のエッセンシャルオイルはやりすぎましたかね……。

お金もかかっているのですが、後輩君には地龍の素材もいただきましたし、まあサービスって事で。


嗚呼、出来ることならお礼に顎をくいっと持ち上げてほしいくらい格好良かったです。

そうすれば、私の夢が一つ叶ったのに……。

……戻ってきたら、密かにお願いしてみようかな。

レビューをマサ様からいただきましたー!!

レビューをいただくのは一年ぶりなのですね……。


エロ・微エロ7。

あってますね!


楽しいし笑える作品と言って貰えたことがとても嬉しいです!

多くの人にどうか楽しんでいただけますように!

まあ、自分も楽しみながらやりますけどね!

本当にありがとうございますー!

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