9-32 砂の国ロウカク ご帰還は盛大に
とうとうロウカクからアインズヘイルへと帰る日がやってきたのだが……。
「コレン……そろそろ離して欲しいんすけど……」
「嫌です!」
「わがまま言うんじゃないっすよー。もう帰るんすよー」
「いーやーでーすうううううう!」
ぎゅっとレンゲに抱きついて離さないコレン様。
女王らしさは一切なく、レンゲを離したら必ず死ぬのかってくらい必死である。
ちなみにレンゲは腰を締められすぎて必死である。
「あーコレン様。また来ますから」
「…………本当ですか? アインズヘイルに戻ったらすぐにまた来てくださいますか?」
「えーと、まあすぐってわけにはいかないですが、カサンドラやレアガイアには魔力球をご馳走しにきますし、その為に王城に一室用意していただきましたからいつでも来れますよ」
戦闘時に気づかれたかもしれないが、これからの事を考えてコレン様には秘密を守る事を誓ってもらい、空間魔法の事をしっかりと話してロウカクのお城に一室用意してもらったので、これからはいつでもここに来れるようになったのだ。
レアガイアからは直接私達の所に来ちゃえば? と言われたのだが、流石に地中は……ということで、一室を俺が死ぬまでレンタルさせてもらったのである。
「失礼します。デザートパラサウロの準備が整いましたぞ。む? まだやっておられたのですか……」
クドゥロさんが準備を整えてくれる間には終わらせたかったのだが、まだ離れる気配がない事にあきれた様子であった。
「コレン様。これから忙しくなるのですから、皆様をお引止めしても仕方ないでしょう」
「忙しくなるからこそ城内にお姉様方がいると思えば頑張れるのではないですか!!」
そう。コレン様は地龍との友好が叶ったとはいえ、やることは山積みなのだ。
まず第一に、過去ロウカクを守るために姫巫女の義務を果たした英雄達や王達への報告をしに、霊廟を訪れなければいけないらしい。
次に兵士の練度の向上。
現在は安寧となっているが、それはカサンドラが長であるうちはの話だ。
兵士達からも陳情があり、胡坐をかいていては今回の二の舞になりかねないと大規模な練兵改革をし、兵士の練度を向上させて強化していくらしい。
教えるのはレアガイアの鱗を砕き英雄老将となったクドゥロさんのため、気合も士気も十分である。
……いずれは、破砕肉球拳の門下生が相当増えていることだろう。恐ろしい。
砂漠の国に武士有。双手にぷにぷにの肉球を持ち、盾も鎧も打ち砕く破砕の兵団……とでも呼ばれるのだろうか。
それとレアガイアの主食になるため地竜の心配も薄れたことから防衛費の見直し、税金の見直し、駐屯兵の再分配案などやることが目白押しで、コレン様と昼間に会うのは実は久しぶりなのであった。
廊下をすれ違う際も多くの大臣に囲まれて打ち合わせをしながらなので、とても声をかけられるような状態ではなかったのだ。
そんな忙しい中時間を作ったのに、俺らが帰ると言い出したせいもあってか駄々っ子モードである。
とはいえ、俺らも帰らないと待っている子がいるわけだし、仕方ない……。
「コレン様……いい加減にしないと怒りますよ」
「……な、なんですかお義兄さん。お義兄さんが怒っても怖くなんかありません。お姉様は絶対に離しません!」
「はぁ……」
「何をされても離しません。ええ、何をされてもです! ……はぁ……はぁ……」
……これさ、誘い受けって奴だよな。
いや、どちらかといえば『押すなよの美学』か……?
顔が、最早見せてはいけないようなものになっており、息遣いが荒くなっているように見える。
「……コレン」
「っ……よ、呼び捨てですか? はぁはぁ……女王に対して不敬ですよ!」
「……」
「そ、そんなじっと見つめたって……だ、駄目なものは駄目です……お、お姉様は渡しません……っ!」
「……はぁ。コレン手を離せ」
「ひゃい!」
なんで!
命令口調じゃないと!
言うことを聞かないんだよ!
「はぁ……はぁ……ごめんなさい。おしおきですか? またおしおきですよね……? いっぱいいやらしい事を言わされて、また私の中に……ッッ!」
なんで体を打ち震わせながら自分を抱きしめて、桃色吐息で内股を寄せているんですかね?
そんなことをすると、俺が何か特殊な事をしたように思われるじゃないか!
「……ご主人には後で詳しくなにがあったか話してもらうっすね」
「いや待て特殊な事は何も――」
「詳しく……話してもらうっすね」
「……はい」
ほらー……。
ほら、こうなった……。
「ふむ……では行きますかな」
「……はっ! 私は何を……す、少ししたら、お見送りに行きますのでっ……!」
コレン様は腰にキテいるのか小鹿のような足で何とか立ち上がると、手を振って俺達を見送ったのだった。
デザートパラサウロの御者台にレンゲが先に乗り、俺も乗りこもうとした際にクドゥロさんから呼び止められてしまう。
「そういえば主殿。お礼の目録はこちらになりますぞ」
「ああー……かなりもらってるみたいだけど、本当にいいのか?」
「勿論構いませんとも。現金ではなく宝石で……と主殿がおっしゃってくださって助かりましたがな」
どうせ加工するのだから、現金をもらうよりは宝石でもらったほうがいいだろうとお願いしたのだが、ロウカクにとっても良かったらしい。
まあ、宝石採掘は国家運営でも行っているらしく、市場価格で払える分、元手を考えれば安く済んだのだろう。
……あまり負担はかけたくなかったし、どちらにとっても良い結果だったということか。
「ん? 目録となんだ? もう一枚小さいけど少し厚い紙が……これは…………っ!!」
なん……だと……。
「ほっほ。私がいない時もぜひ、お楽しみください」
まさかこれは……アノ店のVIPカード!
しかも順番待ち無し、常に座席キープの最優良チケットで、シリアルナンバーは02/03! この世に3枚しかない上に、系列店全てで使える……だと……!?
「ちなみに、ナンバー1は以前姫様を救ってくださったお方ですな。女性でしたが、興味はありそうなので大変喜んでいただけましたぞ。偽造も不可。別名……英雄チケットです。これさえあれば通常料金のまま踊っている女性と二人きりで話をする事やサービス外の事も……」
なんと……なんというものをくれるのだクドゥロさん。
これは、これは素晴らしい。
ロウカクに来ればウェンディ達と鉢合わせる事はまずありえないし、座標転移を使えばちょっとした時間に楽しむ事も出来る……。
しかも……後ろにはばれないように渡してくれたときた……。
流石、流石老将やることがいちいちにくい!
「喜んでいただけたようですな。これはほんの感謝と謝罪の品でございます」
そりゃあ喜ぶさ!
……ん? 感謝と謝罪?
感謝はわかる。
今回の出来事を個人的に……いや、これからもカサンドラやレアガイアのために魔力球をご馳走しに来る事に対してだろうとわかるのだが、謝罪……?
何をされた……? いや、何をする気だ……?
「開門せよ!!」
城下へと続く門の上。
そこにはもう回復したのかコレン様がいてこちらに振り向き笑顔で頭を下げると、城下の方へと向き直りそれに合わせて門が開いていく。
「それでは主殿。どうかご容赦を」
「なっ……!」
門が開かれると同時に待っていたのは、がらんと空いた直線の道と、その両脇を固める民衆。
「清聴せよ! 我等の想いを恩人に! ただし、今日の事は心に留め、今日だけの事と知れ! これは布告である! 恩人殿は英雄と吹聴される事を望まない! このお望みを忘れるな!!」
コレン様がお触れを出すと、わあっと大歓声だ。
これには荷台にいた皆も驚きを隠せず、レンゲも流石に困惑してしまっている。
「申し訳ありませぬな……。宴の際、多くの民から『英雄に一言お礼を言いたい』と陳情がありまして抑え切ることが出来ませんでした。とはいえ、恩人たる主殿のご意向も尊重し、『本日限り』と限定してお礼を言わせていただきたい所存でございます。勿論、今後ロウカクを訪れた際に騒ぎ立てるような真似はさせませぬ。無論、ロウカクの民にそのような不心得者はおらぬと思っておりますが」
まあ、それは信じられるけども……。
『ロウカクの民は家族、仲間、恩人を裏切らない!』
と、大喝采だもの。
ここまで大きな熱狂を止められなかったというのもわかるよ?
ここで駄目だでは国が故意に隠匿しているように思われてしまう可能性を考えればこの方法しかなかったのだろう。
……だから、クドゥロさんは晩餐会にもいなかったのか。
奔走していたのだろうな。『本日限り』である事を徹底するために走り回っていたのだろうよ。
「主殿……どうか」
クドゥロさんが頭を下げてのお願いだ。
それに続いて城門付近の兵士たちまで頭を下げておねがいしてきている……ときたら、仕方ないだろうさ。
「受け取る物も貰っちまったしな……。今日だけって言葉、信じるぞ」
「はっ! 必ず徹底いたします」
「よし、じゃあ行くぞレンゲ」
「はいっすー! 後ろの皆も手を振って行くっすよー!」
「恩人殿のご帰還である! 皆の者!」
「「「「「はっ!!!」」」」」
門の内側では兵士が列を作って剣を縦に両手で持ち、その間を進んでいく。
そして、城門を通り過ぎる際に上を見上げると、コレン様がぺこりぺこりと何度も頭を下げて謝意を表してくるが、気にするなと手を振っておいた。
そして、門を出ると……。
「恩人殿ー!!」
「女王様を、この国を救っていただき感謝します!!!」
「レンゲ様ー!」
「皆様ありがとうー!!!」
などなど、大賑わいである。
警備をしてくれている兵達もこの熱量に押されぬよう必死に抑えているが、こちらに視線を向けると礼をしてすぐさま仕事へと戻っていく者ばかりであった。
そんな皆に手を振って、応えていくのだが……こっ恥ずかしい!!!
おそらく笑顔は引きつっている事だろう。
出来る事ならば、アイナと席を替わりたかったなと今更思ってしまう!
この熱量はずらっと続き、やっとこさ城下町を過ぎて最後の門へと近づく事が出来た頃には、後方に通り過ぎた民達がついてきて長蛇の列が出来ており、きっと俺は顔が真っ赤になり完全に茹だった蛸のようになっていたことだろう。
よ、ようやく終わる……と、振り続けた腕が悲鳴を上げつつも、最後まで笑顔を崩さずに城門を抜ける事ができた。
「は、はぁ……死ぬかと思った……。もう御免だ……」
「主君、腕が辛かったのではないか? 途中下がっているのがわかったぞ」
「ああ……もう上がらねえ……」
「主様ったらだらしないわね。まあ、慣れない事ではあったけど」
「あははは。まあ、柄じゃないっすよね」
「ああ……全く――」
『ありがとう! ございましたぁぁああ!!』
門の奥、城下の町からこちらへと、とんでもなく大きい揃った声に全員が振り向いた。
レアガイアの咆哮にすら近い大きさの声で叫ぶお礼の言葉に背中を押されてロウカクを発つ。
「……柄じゃないけど、悪くはなかったな」
少しだけ、英雄隼人の気持ちがわかったかもしれない。
多くの民に感謝され、送り出される。
悪くはない。悪くはないが、やはり柄じゃないな。
「っすね! まあ、次がない事を願うっすよ」
「だな。よし、それじゃあ帰るぞ」
「はいっす! ……あ、そうだご主人。一つ聞きたい事があったんすけど」
「ん? なんだ?」
「コレンとしたんすか?」
「んぐっ!」
素の表情のまま鼻から息が噴出した。
鼻水が出なかった事は幸いだろう。
「……今その話する?」
今は良くない?
今はほら、とても良い感じでロウカクを去れるタイミングじゃないですか……。
そんな中で、今しちゃいます? その話……。
「そういえば、昨日は誰が一緒に眠ったのですか? 私はシロと一緒だったのですが……」
「私はレンゲといたわよ」
「私は、主君がカサンドラに会いに行くと言って帰ってきたらレンゲと寝ると聞いていたが……そういえば宛がわれた部屋は一人部屋だったな……」
「……」
「それと……コレンの中に……って、どういうことっすかね? ね?」
針のむしろとはまさしくこの事だろう。
背後の荷台からじりじりとにじり寄って来る気配を感じる。
こうなったらあれだ。あれしかない。
俺には頼もしい仲間がまだいるんだ。
「カサンドラ! 助けてくれ!!」
地面に向かって叫び、カサンドラに救援を求める。
ここはまだ砂漠。しばらくの間逃げてしまえばきっと多分なんとか有耶無耶に……って、あれ? 出てきたのはロッカスか?
「ようシロの姉御の旦那。姉ちゃんは今母様をぶっ殺してるから来れないってさ。秘蔵の魔力球をくすねたらしいぜ! 俺の分まで……許せん!」
「あ、そう……」
「んじゃな!」
行ってしまった……。
つまり、助けはなく逃げ場もないと……。
「さあ、昨日は何があったのか……たっぷりとお聞かせ願いましょうか。ご主人様?」
「そうね。時間はあるもの」
「戻るまでの旅は長い。どれだけしたのか……しっかりと聞かねばな」
「わぁ……なんかいざとなると複雑っすね。いやでもこれはやはり姉妹で……」
「はは、ははは……お手柔らかに……」
このあと荷台でたっぷりと、しっかりと、しっぽりと詳細まではっきりと喋らせられ、旅の道中でも心身ともに疲れがたまるのであった……。
そして――。
嗚呼……帰ってきた。
我がなつかしのアインズヘイル……。
家が、家が見える……。
「あ、主さんしっかりです! もうすぐお家ですよ!」
「ありがとう狸娘ちゃん……。俺は、俺はこの光景を見れただけで……でも最後に……狸娘ちゃんの尻尾を……」
「い、いいですよ! 尻尾くらい好きにしても、だからがんばるんです!」
「ありが……とう……」
「主さああああああん!!」
「……何をやっているのよ」
ふと顔を上げると、呆れた様子のミゼラさん。
「ちょ、ちょっと……顔色悪すぎない? どうしたのよ……」
「「「「っ……!」」」」
後ろから顔を一斉に背けた気配がした。
そしてそれを見てミゼラが察したのか、狸娘ちゃんから俺を預かって抱えると、不満そうな顔を浮かべる。
「……普通におかえりって、言わせてもらえないのかしら……」
「普通にただいまって言いたかったよ……」
「はあ……でも、おかえりなさい。無事? ……かどうかはわからないけれど、帰ってきてくれて嬉しいわ」
「ああ。ただいま……とりあえず休んでから色々話をするよ」
色々あったからな……お土産も、お土産話もたくさんあるんだ。
だが、今はほぼ寝不足なんだ……。
夜が忙しかったもんで……。
だから今日くらいは寝なれたベッドで……ゆっくり寝かせておくれ……。
※
「行ってしまいましたね」
「そうですな……」
玉座の間に戻り、一息ついてもまだ離れていく皆さんの面影を思い出す。
楽しかった……。
そして、感謝してもし尽くせないほどのご恩を受けた。
「……なんだか静かに感じてしまいますね」
「恋しいですかな?」
「……あの方にはあの方のすべきことがありますし、また……いつでも転移で来てくれると言ってくださいましたから」
「む? あの方? 姫様の事ではないのですか?」
「え!? あ……勿論お姉様の事ですよ!」
「顔に出ておりますぞ。そうですかそうですか。主殿と……」
なんでしょう……家族のような爺には特に秘密などないのですが、この秘密だけはとても恥ずかしいのですが……。
「そ、それよりも! 確か大事な来客があるのではなかったですか?」
「……話をそらしましたな」
「いいから! 地龍の問題でひどく待たせてしまっているのですし、面会をいたしましょう! さあ、早く!」
爺はにやにやと笑いながら退室していきましたが……おそらく全て気づかれているのでしょうね。
はぁ……顔が熱いですね。まったく……全部あの人のせいですからね。
だって、まさかあんなに…………。
「コレン様、お客様をお通ししますぞ」
「ひぁ! んん……はい。どうぞ」
危ない危ない。
お客様の前で粗相をしてしまうところでした。
気を取り直して、女王らしくせねば。
「やあやあこんにちは! ご機嫌麗しゅうコレン様!」
「はい。こんにちは。アインズヘイルの領主オリゴール様。いつもどおり明るい子ですね」
「はっはっは子供扱いはやめておくれよ。ボクのほうが年上なんだぜ?」
見た目は子供ですが、彼女はハーフリングのため年上。
そうは思っても天真爛漫な子供のような彼女はどうしても年下として見てしまうんですよね……。
「そういえば、大変だったみたいだね」
「ええ……。ですが、全て解決いたしました」
「ボクも驚いたよ。ついたと思ったら避難しろ! だからね。まあ、久々にロウカクを回って騒いで遊んで息抜きはできたからいいんだけどさ! ……良い国だね。ここは」
「はい。自慢の国、自慢の国民ですから」
おべっか……ではなく本心ですか。
普段は子供のような顔をしておきながら、時折こうして真剣な表情を見せるのはやはりお上手ですね。
なかなか心情を読み取るのが難しくて、流石はアインズヘイルの領主だと感心してしまいます。
「うんうん。それじゃあ、早速本題に行こうか。ボクも早く戻らないとだから時間がないんだよね。でさ……あの話考えてくれたかな?」
「ええ。お受けいたします」
「それはそれは! でもあれかな? ……お兄ちゃんがいるからかな?」
お兄ちゃん……というのは、お義兄さんの事でしょうね。
やはり繋がりはありましたか……。
とはいえ、
「いいえ。これはしっかりと会議をし、国の重鎮たちとも相談した結果です。とはいえ、結果的にお姉様とお義兄様がいらっしゃるのであれば、国民の多くも賛成する事でしょう」
お見送りの事は確かに今日限りの事でしたが、皆の心の中にはしっかりと恩が根付いている事でしょうし、事が起きてもきっと反対もないでしょうね。
「そうかいそうかい。なら良かったよ。流石にお兄ちゃんがいるからって理由なら、ボクも本腰を入れてこのナイスバデーでお兄ちゃんを篭絡するしかなかったからね。難攻不落のお兄ちゃんを落とすのは苦労しそうだからね……」
「え?」
難攻不落……。
真摯にお願いをすれば、そこまで言うほどでは……。
「ん?」
「あ……いえ。何でもありませんよ」
「いやいや。その何でもありませんをスルーするほどボクは阿呆じゃないよ? え、まさかまさか?」
「……違いますよ? 何もありませんよ?」
「はははは。まじかー……。お兄ちゃんマジかー…………。流石のボクもまさか女王様にまで手を出すなんて思わなかったよ……」
「だから何もないですって!」
これはまずいことになりました。
どうやら親交はあるご様子ですし、これがお兄さんに伝わってしまったら、おしおきを……おしおき……を……。
「おーい? コレン様ー?」
「はわぁ……また、お尻を……はっ!」
「……おいおい本当に何をしたんだよ。これは後日しっかりとお兄ちゃんに問いたださなければいけないな! 勿論二人きりで!」
「やめてください……。本当に、やめてください!」
そんな事をされてはまた怒られてしまいます!
また…………はっ! 今は思い出している場合じゃありません!
「いやだ! っていうかおかしくないか!? ボクとお兄ちゃんの方が先に仲良くなったはずだぞ!? ボクだってお兄ちゃんに可愛がってもらうんだ! 妹枠はボクなんだぞー!」
「妹枠ってなんですかっ!? そこは一席しかないんですか? ちょ、ちょっと、帰り支度を始めないでください! 話を、話を聞いてください!」
風の魔法まで使って加速までしますか!?
ですが逃がしません!
話をしっかりと聞いていただけるまで逃がしませんよ!
これにて9章終了!!
最後2つにわけようか、アインズヘイルに帰ってきたところが10章の1にしようかと悩んだのですが、閑話が家に帰っていないと困ったので長くなってしまいました……。




