9-19 砂の国ロウカク お久しぶりでーす
改めてクドゥロさんとコレン様から謝罪され、それを受け入れてから数日。
それからはコレン様の行動も落ち着きをみせ、観光や買い物でしっかりとロウカクを楽しむ事が出来ていた。
「それじゃあまた、是非お越しくださぁーい!」
「次はお一人でもサービスしますよー!」
「はーい! また来まーす!」
とっても! 楽しむ事が出来た!!
「いやあクドゥロさんありがとうございます。素晴らしいところでした! 最高でした!」
「いえいえ、ご迷惑をおかけしてしまいましたからな。これくらい当然でございます。お気に召したようでなによりですぞ」
お気に召したも何も大満足である。
そうだよね! 砂漠の国だもんね!
やっぱりあるよね! ベリーダーンス!
へその出た衣装で、長いスカートのスリットから見えるおみ足。
胸は本当に一部だけがうまく隠されており、これ激しく動いたら見えてしまうんじゃないかと心配になるレベルだった。
ダンスは円を描くような腰の動きや、ふりふりと振られる尻の芸術的なまでの美しさ……。
セクシーさと女性特有の曲線美をこれでもかとふんだんに見せ付けられ、まさしく感無量である。
しかも若干元の世界とは違ってエロめになっているのか、おっぱいが零れ落ちそうな布地をまったく気にしていないかのように、おっぱいを弾ませるような動きまで取り入れられていた。
まあ元の世界のベリーダンスを詳しくは知らないのだけれど、ハツラツな笑顔を浮かべながら熱気とエロスの渦巻く特殊な空間をとても堪能することができたのだ。
しかもステージの一番前ど正面の特等席であり、女の子もクドゥロさんという国の重鎮が接待している相手だからか、俺に向かって特別きわどいところが見えそうな程の大サービスであった。
絶対にまた来よう! 一人で転移を使ってでもまた来ようと固く誓った!
「しかも今回は鼻の下をいくら伸ばしてもとがめられないという自由……この感覚、久々な気がする……」
「ほっほ。あれだけの美人を侍らせているとはいえ、こればかりはやはり男性のみで行かねば思い切り楽しめませんからな」
今回はクドゥロさんが護衛をかってでてくれたので、男同士二人でベリーダンスを堪能させてもらえたのだ。
もちろんどこへ行くかは皆には秘密だったのだが、護衛で誰もついていけない事についてシロやウェンディ、アイナ達からの反論はすさまじいものであった。
だが、何故かコレン様が耳打ちをするとなんとか納得してもらえたのだった。
そして女性達は揃って買い物へ。
軍資金はたんまりと渡してあるので、皆もたまには女性水入らずで楽しんできてほしいものである。
ベリーダンス鑑賞を終えた後は俺達も買い物へ行くことにした。
流石は宝石の国というところだろうか。
大小さまざまな宝石や加工された装飾品、さらには原石までも多くのお店で売られている。
特に原石は当たりはずれがあるのでちょっと楽しい。
研磨されていないものや石にまだついているもの、カラーや透明度、大きさなどもはっきりとはわかっていないのでこれは目利きが重要な買い物だな。
原石の研磨なんかも、ミゼラのいい練習になるかもしれないし、いくつか買っていこう。
……最近職業柄なのか、商売用の宝石や鉱石の買い物が増えたなあと思う。
でも、今日は皆もいないし興味ないよな? とか気にせずに回れるので堪能するとしよう。
「むむむむ……」
「お、目利きですかな?」
クドゥロさんがひょいっと横から原石を覗き込み、一緒に目利きを開始した。
このお店はクドゥロさんに紹介してもらったところなので、もともと良質なものばかりなのだが、その中から一番を探すとなるとこれは難しいな……。
だが、腕が鳴るというものだ!
「むぅ…………これだ!」
「惜しいですねえ。その隣、そちらの方が良いものですよー」
俺が選んだ瞬間に肩に手を置かれ、更には駄目だしされてしまった……って、クドゥロさんの声が突然女の子に!? いやクドゥロさんは横にいる。
「なっ!?」
そして背中に当たるこの感触は……ぱい!
一体誰の!? と、振り返ると、一瞬だけ視界に入ったのは肌色と白いシャツ。
そしてすぐに視界は真っ暗となり、目、鼻、口を含む顔一面が柔らかいぱいの感触に包まれ、後頭部を抱えられて押し付けられる。
「ふふーん。誰だかわかりますかー? うりうり」
この声……この『ぱい』のサイズ感と感触……。
これは……まさか!
回答を言おうともごもごすると、ぱっと手を離されて視界が明るくなる。
……残念だ。もう少しくらい余韻を楽しんでも良かったな。
「どうもどうも。お久しぶりでーす」
際どいラインまで攻めたショートパンツでふとももを全面的にあらわにした美しい下半身。
へそ出しのくびれた腰を経て、ベルトで短めのシャツを下乳で押さえる事により谷間と腰の細さを強調したぱい。
わきの見えるようなノースリーブでありながら、胸元を大きく開いているシンプルだが、それでいてエロスを感じざるを得ない上半身。
肩と二の腕は出しつつも前腕は布で覆われており、大きめの袖があるせいか腋から二の腕にかけてが輝いて見えた。
そして、じっくり下から眺めていった先で頭にビシっと手を当ててこちらへと挨拶を交わしたのは……。
「案内人さん!?」
俺がなんでここに案内人さんがいるのかと驚くと、案内人さんはしてやったりとにししと笑う。
案内人さんだと確信すると、もう一度下から上へ衣装を再確認した。
前回の探険家ルックも悪くは無かったが、案内人さんの性格を考慮するとこちらの方が合っている気がするな。
……主に性的な意味で!
「わぁ、そんな露骨に二度見するなんて、相変わらずですね。はいはいー。そうですそうです。覚えていてくれましたか! 奇遇ですねえお客さーん!」
「久しぶり! どうしたんだ?」
そりゃあ覚えているとも。
レンゲとはまた別の良いもっちりとした太ももに挟まれた感触を忘れるわけないだろう。
それに、随分お世話にもなったしな。
「いつもどおりお仕事ですよー。クドゥロさんもお久しぶりでーす!」
「お久しぶりですな。今回は観光案内ですか? それとも、物件ですかな?」
「今回は案内ですよー。一儲けしたので、そろそろ別の国か街に行くついでに、商売用に宝石の原石でも買おうと思っていたらベリーダンスのお店から出てくる面白い方を見つけまして、クドゥロさんにシーをして驚かした次第でーす!」
え、二人とも知り合いなの!?
ユートポーラでも不動産に携わっていたし、案内人さんって相当顔が広いんだな……。
「あれ? いつもの方々はいらっしゃられないんですか?」
「いつものって、ああ、皆は女性だけで買い物に行ってるよ」
「……へえ。それで、今回は錬金術用の宝石の直接買い付けですか? 確かにそっちの方が儲けは多いかもしれませんが、目利きが出来ないと逆に損もしてしまいますよ?」
「それなりに宝石や鉱石には触れているから自信があったんだけどなあ……」
「ふふーん。こういうのは経験ですよ。ではでは! 外れを引かない為に私を案内人に雇うのはいかがですか? 今なら目利きのコツなんかも教えちゃいますし、半日ならお安くしておきますよ?」
胸に手を当て、ぷるんとゆらして笑顔で言い放つ案内人さん。
相変わらず、商魂たくましい。
とはいえ、ミゼラへのお土産の事も考えるとその方が良さそうだ。
「じゃあ頼むかな」
「おお、値段の交渉も無しとは、相変わらず御大尽ですねえ。はいはーい! お金払いの良い方は大好きです! サービス料は追加していただけますか?」
確かVIPと指名だったか?
キャバクラみたいなシステムを導入しているんだったな。
もうすでに顔をぱいに埋めてもらえたりとVIP待遇を受けている気がしたし、目利きを教わるのだからそれくらいはいいか。
「ああ。よろしく頼む」
「やったー。気前が良くて大変素敵です! 事前にサービスしたかいもありました! ふふ。今日は皆さんいませんし、お客さんなら本当にいやらしいサービスをしてもいいですよう? もちろん、別料金はいただきますが!」
ぎゅーっと腕にぱいを押し付けて上から見下ろすときにばっちり谷間が見えるようにしてくれる案内人さん。
わかってる。これは狙ってやっているとわかっているのだが、視線はしっかりと釘付けだ!
「いやー……流石になあ……」
「えーでもベリーダンスは見てきたんですよね? もっといやらしいベリーダンスはどうですか? 私のベリーは見たくありませんか?」
……私のベリーてパワーワード過ぎません?
って、お店の中で自分のシャツを引っ張るんじゃない! 視線が釘付けになっちゃうでしょ!
見たくないわけないじゃない! でも、でもね? 後のことを考えよう。君も良くわかってるでしょう?
「ふふふふ……皆さんがいない今こそ復讐のチャーンス……。どうにかいやらしいことに持ち込んで、私の房中術で虜にしてしまえば、悔しがるでしょうねえ……。あの時は危うく交渉も何もないままただで胸を見られる所だったんですからね……このくらいは許されるでしょう」
この子は隠し事を隠そうともしないよなあ。
まあ、前回うちの人達に怖い目に遭わされたというのに懲りないねえ。
とはいえ……。
「悪いんだけど、今回もそういうのはいいや……」
断腸の思いですがっ……!
「ええーっ!? 混浴のためだけにお屋敷を作り直したお客さんが断るんですか!? 皆さんもいませんしこんなチャンス滅多にありませんよ? 料金も内容も普通よりうんとサービスしますよ!?」
「いや、料金とかの問題じゃなくてね……」
「旅先で女遊びなんて普通ですよ? いいじゃないですかぁ」
「いやーそのー……」
うん。そういう気持ちもわからなくはない。
元の世界ではそういうのも旅の楽しみの一つの場合もあるし……無くはないんだけど……ね。
「むう……操を立ててるのでしょうか? あんなにいるのに操も何もないと思うんですけどねえ……。なんか悔しいなあ。んんー…………じゃあじゃあ、特別も特別の特別に、お高いですけど私の初めてをつけてもいいですよ?」
「……え? 初めて? え?」
二重の意味で何を言い出すんだこの子は!?
案内人さんが初めて!? っていうか、それを売るとかどうなんだ!?
「あ、酷ーい。私まだ処女ですよ?」
「冗談だろう……? だってサービスで色々してるんじゃ……」
「いやだなあ。サービスと言っても夢の中でですよ? 私くらいになると、触れずとも相手を満足させるくらいはできますって」
それは凄いと詳しく聞いてみると、眠くなる香とエッチな気分になる香を焚いて夢の中に落とすらしい。
後は耳元で淫らな言葉をつぶやくと、勝手に……だそうだ。
もちろん説明はした上で同意を得られればだそうで、中々体験できることではないと同意者は多いらしい。
しかもリピーターも多いとのこと。
ただ、以前断った上に無理矢理しようとしてきた男がいたそうなのだが……末路は聞かなかったことにしよう。
案内人さん強いもんな……。
「私はこう見えて簡単に触れさせるほど安くはないのです。さあ、一つ限りのものなのでお値段は張りますけど、誰でもいいってわけではないので本当に特別ですよ? いかがです? 一夜の過ちとお考えでかまいませんよ?」
「いやいかがって……しかも初めてを一夜の過ちって駄目だろう。っていうかそもそもなんで俺?」
「一目見た時から決めていました!」
「はいはい。……本音は?」
「なんというか、身内みたいに遅れるのも嫌ですし、お客さんは嫌いじゃないですし、御大尽ですし、見た目も悪くないですし、比較的お若いですし、英雄にも懐かれていますし、将来性も考えれば良い相手かなーって考えたら、その気になりました。あと、なんか悔しかったので」
「正直でよろしい……」
「ふむ……勉強になりますな……」
打算を暴露しておいてしれっとしているあたり、流石だよね。
あとクドゥロさん? 何を参考にしようと思っているんだ?
参考にした後、誰に伝える気なのか正直に言ってもらおうじゃないか!
「まあ、気持ちはありがたいんだけどなー……」
「わぁ……ショックです……。ここまで話したのに私の価値って……しくしく」
「ああいやそうじゃなくてだな……。実は昨日もしたばかりで……」
「あー……なるほど。精根尽き果てていると」
……そうでもないけどね?
ただ多分おとなしくなったとはいえ、コレン様が来る余地が無いようにと、今日の夜もあるとは思うんだ……。
「おほん。それに今回は私が護衛をかってでておりますからな。何かあれば……私がまたボコボコに……」
「あー……クドゥロさんも怖い目にあってるんですね……」
「それにしたら間違いなくばれる……。ばれたら俺は案内人さんを売るぞ」
「わあ……なるほど。夜にばれると……。んんー……お客さんとはこれからも縁がありそうですし……では、仕方ないですね。今回は諦めて目利きに専念します……」
遠い目をしつつなにやら怯えを瞳にこめながらも、気を取り直して俺の腕を取り、しっかりとぱいを押し付ける案内人さん。
前回は腕を取るような真似はなかったのだが、今回はサービスしてくれるらしい。
「仕方ないので今回は諦めましょう。とはいえ、次回はお客様のご意思で買っていただけるようにサービスしておくとしますかね。流石にこれで抱いていただけないのは私のプライドが傷つきました。絶対にふっかけた値段で買っていただきますからね」
またそういうことを隠さずに言う……。
おそらく俺が聞いていることも計算ずくなのだろう、俺のほうを向いて視線が合うとにんまりと笑うのだった。
その日の夜……。
案内人さんとは早い時間にわかれ、夕食を城で取った後のこと。
「ん。よその女の匂いがする」
「そうね。しかもこの匂い……覚えがあるわね」
「っすね。確か……ユートポーラの……」
うん。速攻でばれた。
流石は獣人……鼻が利くこと利くこと……。
いやらしいことは決してしていないとは言いつつ、俺は相手が誰だったかは正直に白状するのだった。
はい。久々の登場ですね。
平常運転です。
さあ、4巻発売日まであと3日!
コミカライズも7月から始まりますので、よろしくお願いします!




