閑話 Xmas1
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クリスマスに書いたSSです。
章の合間に入るのが嫌だったため、一度削除した物になります。
お先に注意事項を。
・突発的な衝動から書いています。普段以上のグダガバがあるとは思います。
・時系列、暦などは完全に無視しています。
・推敲は少なめです。衝動重視です。
元の世界ではクリスマスなんて自分にとっては何も関係のない日であった。
基本的には仕事仕事仕事。
次の日に、ケーキ屋で安く売られているケーキを買い、一人でそれを食べる日であった。
だけど、今はそんな寂しいクリスマスを送る事など無いのだ!
ウェンディ、シロ、アイナ、ソルテ、レンゲ。
こんなにも愛らしく、可愛らしい女の子達と送るクリスマスが、楽しくないわけが無い!
だが問題が一つある。
そもそもクリスマスとは、キリストの降誕を祝う祭りである。
そう。
この世界にキリストはいないのだ。
つまり、異世界にはクリスマスがない!
わかるだろうか?
元の世界では呪いあれとさえ思った日が、今行えば幸せな日に変わるというのにその日自体が無いのである。
こんな、こんな事があって良いのだろうか。
否、断じて否だ!
「はい! ということでクリスマスをします!」
手をパンパンと叩き、リビングに集合した五人に向かって宣言をした。
皆一様にきょとんとした顔をしているのだが、当然であろう。
なんせクリスマスを知らないのだから。
「あの……クリスマスとはなんですか?」
「いい質問だウェンディ。クリスマスとは……」
あれ、えっと、なんだ? と聞かれたら何て答えるべきなのだろう。
「んー……ケーキを食べたり、豪華なディナーを食べたり……する日?」
「ん! シロは賛成! クリスマスする!」
「あとは……子供達にプレゼントを配ったりもするな」
「ほう……それは……孤児院の皆に配ってもよいのだろうか?」
「ああ勿論。むしろそういった子供達に配る方がいいかもしれないな」
「なら私も賛成だ!」
アイナはクエストで得た多くのお金を、運営があまりうまくいっていない孤児院などに寄付しているそうだ。
「そうね。あの子達にもそういう日だって説明すれば喜ぶでしょうね」
「そうっすね! あんまりあげすぎちゃうと、駄目って怒られるっすしそういう日ならいいっすよね!」
「なら孤児院の皆を家に招待してうちでパーティにしようか! ご飯も食べ放題だし、プレゼントも渡しやすいだろう」
「良いのか?」
「めでたい日だからな! 大勢で盛り上がろうぜ!」
どうせだし楽しく行こう!
あとはウェンディか。
「ウェンディにはちょっとお願いがあるんだが……」
「ご主人様のお願いでしたら、喜んでお受けいたしますよ」
「そっか! じゃあ衣装が必要なんだ! 後で絵を描くから、それを見て人数分作って欲しい!」
当然の如くサンタ服だ!
ミニとか! 肩を全部出しちゃうデザインとか考えちゃおう!
俺はトナカイでいい。
可愛い服は、女性陣が着るべきだからな!
「後は……モミの木と装飾だな。装飾は俺が錬金で作れるけど、モミの木はどうするか……」
「主君、モミの木とはなんだ?」
「こう、先細りしているような感じで、ギザギザっというか……緑色の針葉樹なんだが、心当たりはあるか?」
「そんな感じでいいなら、確か森の深層にあった気がするわね」
「なら自分等で取って来るっすよ」
それはありがたいが、深層はちょっと危険じゃないか?
「ん、シロもついて行く」
「そうね。シロがいるならアイナとレンゲに運んでもらいつつ、私とシロで敵を倒せば問題ないわね」
「じゃあそれで頼む。決行は明後日。急だが、それぞれ頑張ろう!」
「「「「「おー!」」」」」
これで仕事の分配は完了だな。
俺、装飾と料理、それにプレゼントの準備か。
ウェンディ、服飾。
シロ、アイナ、ソルテ、レンゲ、モミの木の準備か。
……ちょっと手が足りないな。
んー……少し手伝ってもらうとするか。
どうせだし、都合がつくやつは皆巻き込んでしまおう。
「さて、まずは買出しだな」
「あ、じゃあ僕が荷物持ちをしますよ」
「はは、英雄様に荷物持ちをさせるとか……超畏れ多いな」
「そんな……僕だけ手持ち無沙汰っていうのも嫌ですし、手伝わせてくださいよ」
まず第一に俺は隼人達に声をかけた。
隼人は二つ返事で、「やりましょう!」と乗り気であったのでクリスには料理を担当してもらって、ミィとレティはモミの木をとりにアイナ達と共に深層へと向かってもらった。
エミリーには、ウェンディと共に服飾を手伝ってもらっている。
人数が増えたので、サンタ服を用意する数が増えたのだがその意図を伝えたところ密かに俺と隼人は熱い握手を交わしていた。
女の子の、しかもかなりレベルの高い子達が集団でサンタ服を着るのだ。
これでテンションが上がらなければ、男なんて辞めてしまえと俺は思う。
「まずは何を買うのですか?」
「そうだな……。装飾か……モールみたいなのも欲しいが、やっぱライトアップは必要だよな」
となると光の魔石だな。
「あとはやっぱり大きなベルもいるよな」
「それなら金属は僕が沢山持ってますので、それを使ってください」
「お、助かるぜ」
「あとはあの……キラキラの玉とかもいるんじゃないですかね?」
「あー……あれか。カラフルな奴だよな。色ガラスで作れるかな?」
「あ! 星も必要ですよね! モミの木の天辺に飾る星!」
「ああ! 普段クリスマスツリーなんて飾らないから忘れてた! 重要だな!」
うわ、こう考えるとかなり造るものが多いな……。
プレゼントの用意もあるし、これは手が足り無そうだ……。
「で、私を呼んだわけですか」
「お願いします! リートさん!」
隼人と買い物の前に来たのは錬金術師ギルド。
そこの受付に暇そうな顔で座っていたリートさんにお願いして手伝ってもらう事にしたのだ。
「……はぁ。まあいいですけどね。でも、錬金術師ギルドの業務が終わった後になりますので、あまり多くは作れませんよ?」
「ある程度で構いませんので! それと、パーティの日は美味しい料理も沢山ありますから!」
「……お菓子もですか?」
「勿論! そりゃあもう沢山、それこそ食べきれないほど作る予定ですから!」
「なにやら面白そうな話をしているじゃないか」
ここでレインリヒが登場!
……流石にレインリヒに、クリスマスの装飾をお願いするのはどうなんだろう。
でも言えば作ってくれるかな?
「私は手伝わないよ」
「心を読まないでくれませんかね……」
先手を打たれたぞおい。
タイミングが絶妙すぎやしませんかね?
「だけど、リートは貸し出してやる。開催は明後日だったね。ならそれまで暇をやるから、そいつの家で作り始めな」
「いいんですか?」
「いいよ。ただし、私もお菓子やご飯は食べに行くがね」
「ああ勿論! 是非来てくれ!」
まさかだ!
これで装飾類の殆どをリートさんに任す事が出来る!
簡単な説明を行うと、リートさんはすぐに理解して先に俺の家の錬金室で持っている材料で作り始めてもらう事になった。
これでツリーの飾りつけはオーケイ。
でも家自体にも飾りつけは必要だな。
となると、あいつらにも声をかけに行くとするか。
「ってことで、手伝ってくれ!」
「いいぜ。暇だしな」
「おお? いいのか?」
「なんだよ。断わられると思ったのか?」
「そりゃあまあな。ダーウィンって基本忙しそうだしな」
ダーウィン家に向かったら、隼人がいたおかげですぐにダーウィンに会うことが出来た。
隼人はダーウィンの事を良く思ってはいないようだが、実力は流石といわざるを得ないほど、有能な人間だからな。
「まあメイラかダーマ辺りに任せれば問題ないだろう」
「イメージは伝えておく。あと、パーティ後はなるべく片付けやすいように作ってくれって伝えてくれ」
「おう。俺も行くから美味い飯用意しておけよ」
「任せろ。ああ、どうせならプレゼントとか持ってきてくれよ。お金持ちだし、なんかしらあるだろ?」
「なんかしらって……ああ、そうだな。俺にはいらないものとかもあるし、在庫処分がてら持っていってやる」
「……危ないものは禁止だからな。孤児院の子達も来るし、普通なものにしてくれよ」
「わあってるよ。英雄様を敵に回すようなまねはしないっつの」
「……そうですね。もし変な物を持って来たら、僕がお相手しますよ」
隼人、そんな敵意むき出しで……。
実際二人の間にはなにかあったのだろうか?
でも隼人の顔が少し強張っているって、なかなか見れる光景じゃないので聞くのが怖いな……。
さて、これで俺のメインは料理だな。
料理……料理か。
やはりチキンは必須だし、ケーキも大人数となると見栄えする巨大なものを作りたいよな。
ブッシュ・ド・ノエルも作ってみたいが、まだチョコレートは簡単に手に入らないからな……。
ここはいっそのこと、ウェディングケーキばりに重ねたケーキでも作ってしまおう。
「……寂しいですねえ」
「うおお!? びっくりした!」
「寂しいです。どうして誘っていただけないのですか?」
「ヤーシス……。お前今気配を感じなかったぞ!」
「おや、隼人卿は私に気づいておいででしたよね?」
「ええ……まあ。ですが近くに来るまでは気づけませんでした」
「私もプレゼントを用意していきますから。参加させていただいてもよろしいですか?」
「あ、ああ。むしろ来るとは思わなかったんだが……」
「何をおっしゃいますか。こんな楽しそうな事に私が参加しないとでも? 家族を連れて行きたいくらいですよ」
家族!?
ヤーシスの家族か……。
確か子供もいるんだよな?
どうせだし、ちょっと見てみたいな。
「ならつれてきたらどうだ? 豪華な食事もあるし、子供にプレゼントもあるからさ」
「よろしいのですか?」
「ああ勿論。今更何人増えても構いやしないさ」
「では私を含めて家内と6人ほど追加でお願いいたします。ああ、食材は私のほうで手配しますので、お家でお待ちいただければすぐに持って行かせますので」
「お、それは助かるな」
「では私は手配をしてまいりますのでこれにて……」
「ああ、それじゃあまた明後日に!」
アインズヘイルの知り合いは殆ど参加だな。
でもプレゼントの数も増えるし、これで賑やかになる事間違い無しだろう。
「さて、何を買いましょうか?」
「そうだな……やっぱりチキンはこっちで用意しておくとして……後はケーキの材料は買っておかないとだよな」
ヤーシスからの材料に無かったら悲惨だしな。
それに、ケーキは早めに作っておかねば間に合わないだろうしな。
「あ……いい事を思いつきました! あの、温泉街に僕を連れて行ってもらえませんか?」
温泉街?
ああ、ユートポーラか。
「いいけど……何をするんだ?」
「クリスマスといえば……雪ですよ!」
「ああ、なるほどな。なら俺も手伝ったほうがいいか?」
「いえ、温泉街からは僕一人で現場まで行きますので、着いたらご連絡を入れますよ。そこに転移で来て貰ったほうが安全でしょうしね」
「だな。じゃあ防寒具の用意もして待ってるとするわ」
降らせる方法は……まあ何とかなるか。
排出を上手く使えば問題は無いだろう。
さて、それじゃあ準備に取り掛かりますかね!




