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ただ幸せになりたかっただけと、あなたたちは言うけれど  作者: gacchi(がっち)


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18.カフェテリア

今まで公爵家の控室で昼食を取っていたし、

帰りはジェラルド兄様と一緒に帰っていた。

そのため、カフェテリアに入るのも初めてだった。


「まぁ、テラス席もあるのね」


「テラス席にしますか?」


「ええ、そうしましょう」


カフェテリアの外がテラス席になっていて、

日差しをさえぎるように屋根に大きな布が張られている。


誰もいない席に座って注文するとすぐにお茶が運ばれてくる。


初めて五人でお茶をするとあって話題は尽きない。

四人が特に気になっているのは夜会のことだった。


「ジュリアンヌ様はどなたをパートナーに?」


「ジェラルド兄様がパートナーになってくれるみたい」


「まぁ、素敵ですね」


「お二人でいるのを見ただけでもため息がでるほどなのに、

 夜会で正装しているお二人を見たら倒れてしまいそうだわ」


「まぁ、アリスは面白いことを言うのね」


「お二人がそれだけ美しいということです!」


マリエット以外は推進派の令嬢ばかりだ。

三人とも伯爵家でアリスとエリーナ、そしてコリンヌ。


おしゃべりなアリスとエリーナ、おとなしいコリンヌ。

しっかり者のマリエットはアリスとエリーナに注意することが多い。

四人のやり取りは面白くて、聞いているのが楽しい。


「あぁ、でも、ジェラルド様がパートナーになると知られたら、

 騒ぐ人が出てくると思います。

 特にアゼリマ侯爵家のシャルロット様にはお気をつけください」


「あら、シャルロット様が何かしてくるとでも?」


兄様に見合いを申し込んで断られたことは聞いているけれど、

そのことはここでは言えない。

シャルロット様は見合いを断られるような令嬢だと噂になりかねない。


「シャルロット様はジェラルド様と婚約するんだと昔から言っていまして……」


「え?」


「お茶会で会うと私たちにも態度が悪かったんですよ。

 自分が公爵夫人になるのだから従いなさいって」


「……は?」


アゼリマ侯爵家は中立派なのに、推進派のアリスを従わせようとした?

しかも、婚約もしていない兄様の妻になることを前提で?


……兄様が嫌っていたのはそういうことをされたからかも。


「確認したいのですが、そういう話はないですよね?」


「シャルロット様が兄様の婚約者になることはないわ」


このくらいは言っても大丈夫だろう。

はっきり答えたら、四人ともほっとした顔をする。

そんなに周りから嫌われているの?


「シャルロット様ってどんな方?優秀だとは聞いたけど」


「見た目は美しい方です。成績も優秀ですし。

 でも、性格はお世辞にもいいとは言えませんわね」


「侍女を扇子で叩いているのを見たことがありますわ」


「中立派の子爵令嬢が泣かされているのを見ました!」


「ジェラルド様は運命の相手だと言ってましたわ」


「まぁ……」


聞けば聞くほどひどい令嬢だ。

それではいくら美しくて優秀でも見合いを断られて当然。


「伯父様は兄様に政略結婚させるつもりはないみたい。

 だから、中立派の侯爵家だからという理由で婚約させることはないわ」


「それは安心しました。

 公爵家がそういう考えなら、推進派の家は同じようにするでしょうね。

 ああ、うちも政略結婚はさせるつもりはないようです。

 婿取りですからね。好きにしていいと言われています」


「相手はこれから見つけるの?」


「実は……婚約はしていないのですが、結婚の約束をしている方が」


「まぁ!どんな方?」


「うちの商会で働いていて、子爵家の三男です。

 父に仕事を任されるほどしっかりしている人なんです」


「素敵ね。じゃあ、夜会のパートナーはその方が?」


「はい」


いつもはきりりとしているマリエットが頬を染めている。

本当に好きなんだとわかってこちらもうれしくなる。


「お二人とも素敵なパートナーがいてうらやましいです」


「ええ、私なんてパートナーはお父様ですよ」


「うちは兄です~早く婚約者を探したいのですが、なかなか。

 公爵家嫡男のお二人が決まればいろいろと動くと思うのですが」


「そうね。どちらも婚約していないものね。

 もしかして、公爵夫人になりたい令嬢たちが多いの?」


「それはもう。自分に自信がある方は狙うでしょうね」


「そうなのね……」


ジェラルド兄様とイフリア公爵家のレイモン兄様。

どちらも婚約していないから社交界が落ち着かないのかもしれない。


「そういえば、シュゼット様のパートナーは第二王子かしら」


「噂では婚約寸前だと聞きましたけど、どうでしょう」


「第二王子を王族に残すつもりでしょうか。

 イフリア公爵家はレイモン様が継ぎますもの」


「シュゼット様は伯爵位をお持ちなはずよ」


「そういえばそうですね。では、結婚したら第二王子が伯爵に?」


「それもありえるわね」


シュゼット様は亡くなったアジェ伯爵の一人娘だ。

母親が再婚して公爵家の養女にはなっているが、

伯爵位はそのまま持っていると思う。


第一王子が王太子になったからには第二王子は婿入りすることになる。

伯爵家なら陛下も認めると思う。


「でも、その前に試験ですわね」


「マリエット様、嫌なこと言わないでほしいわ」


「そうよ~せっかく忘れていたのに」


どうやらアリスとエリーナは勉強が苦手らしい。

嫌なことを聞きたくないという風に耳をふさぐ。


楽しいお茶会はあっという間に時間が過ぎて、

昼休憩になるのに気がついて慌てて教室に戻る。


その教室では、私を迎えにきたはずの兄様が、

なぜかうるんだ目をしたシュゼット様に腕に抱き着かれていた。





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