変態アメリカ国内事情―アメリカ海軍の逆襲編―
「まさか日本がこれほどの戦艦を配備していたとは……」
「火力なら建造中のペンシルバニアと互角ですが、速力では勝負になりません」
1922年8月。
ワシントンD.C.の海軍省ビル内の合衆国艦隊司令部では、上層部の面々が頭を抱えていた。
彼らの悩みの種は、テーブルに放り出されている新聞であった。
一面トップで、デカデカと大日本帝国海軍の戦艦『扶桑』が紹介されていたのである。
「コンゴウタイプとフソウタイプで14インチ砲搭載艦6隻。さらにフソウタイプの発展型も計画中とのことです」
「未だに戦艦の数では優越してはいるが……」
「このままでは、ステイツの戦力では対抗出来なくなる」
この世界のアメリカ海軍は、戦艦の数だけならば一流海軍であった。
しかし、その大半はワイオミング級やフロリダ級といった弩級戦艦であった。これらの艦では、扶桑に対抗することは不可能であった。
「新型インフルエンザによる被害から経済も立ち直りつつある。これを機会に新型戦艦を建造するべきだろう」
「手堅くペンシルバニアの発展型にするべきでしょうな」
「ざっと見積もって、15インチ3連装4基12門で4万トン級、全速25ノット発揮といったところですか」
「悪くない。その線で設計を進めることにしよう」
扶桑を凌駕する戦艦――超フ級戦艦を建造する機運がアメリカ海軍で盛り上がったのはこの時であった。アメリカ版超フ級戦艦の設計は順調に進められ、1923年の夏ごろには具体化したのであるが……。
「世間は景気が良いというのに、何故海軍の予算は減少するのだ!?」
「……財務省勤務の友人に確認したのですが、税収不足を復興債で穴埋めしているせいで予算のかなりの額が償還で消えているそうです」
設計がまとまっても、建造する予算が無くては意味が無い。
不足する税収を、連邦政府は復興債の大量発行で確保していた。最初期に発行した分の償還が始まっており、予算はだいぶ目減りすることになったのである。
好景気なのに税収が不足するのは、連邦政府に対する不信感の裏返しであった。
アメリカ風邪がエピデミック状態になった際の連邦政府の醜態を、アメリカ国民は忘れていなかったのである。
それ対して、ギャングやマフィアたちの行動は民衆から多大な支持を集めた。連邦政府が有効な手段を打てないなか、何処からともなく食料や医薬品を調達して気前よく振舞った彼らに助けられた人間は多かったのである。
民衆の支持を受けた裏社会の住民は、フロント企業を作って表社会に進出した。
このフロント企業は、優待パスを提示することで通常よりも安く買い物やサービスを受けられる特典があった。
優待パスは、みかじめ料を納めることで発行される。
さして高くないので、民衆はこぞって地元のギャングやマフィアにみかじめ料を納めたのである。
フロント企業はあらゆる分野に広まっていった。
しかし、フロント企業は上納金を治めても連邦政府には納税しなかった。
みかじめ料と上納金で、裏社会の住民達は肥え太っていった。
それに反比例するように、連邦政府は税収が不足して困窮していったのである。
「これ以上、予算を減らされると艦隊の維持が不可能になるぞ!?」
「弩級艦は全て解体するしかありません。砲は陸軍に提供して恩を売るのがせいぜいですね」
「そこまでやって、どうにかペンシルバニアの建造は可能か。ステイツも落ちぶれたものだな……」
不足する税収を復興債で補う連邦政府は、予算に占める復興債の償還が増大していった。
その結果、予算自体は増額しているのに緊縮財政というあり得ない事態に陥った。そのような状態で超フ級戦艦の計画が進められるはずもなく、敢え無く破棄されることになったのである。
「長官、どういうことですか!? よりにもよって、完成目前の戦艦を売り飛ばすなんて!?」
「しかも、相手は共産主義者とか正気ですか!?」
1923年10月某日。
海軍の若手将校が司令長官公室に怒鳴り込んでいた。
その様子は、まさに激昂であった。
止めに入った従兵を殴り倒すくらいの怒りっぷりだったのである、
ペンシルバニア級戦艦は海軍期待の新戦力であった。
海軍予算の大幅削減のあおりを受け、それでも身を斬るような経費削減をしてどうにか完成にこぎ着けたのである。それをソ連に売り払うというのであるから、怒り狂うのも当然のことであろう。
「まぁ、待て。皆の気持ちも分かるが……」
ヒラリーP.ジョーンズ大将が修羅と化した若手将校を宥める。
ジョーンズは合衆国艦隊司令長官である。太平洋艦隊と大西洋艦隊を統合して設立されたのが合衆国艦隊であるが、この世界では主に予算的な事情により史実よりも早期に統合されていた。
「これが落ち着けますかっ!? 今こうしているうちにも、ハワイはジャップ共に取られかねないんですよ!?」
「奴らはハワイ王家の末裔とも結託しているんです。放っておいたらクーデターを起こすかもしれないんですよ!?」
まるで日本がハワイ乗っ取りを企てているような言いぶりである。
しかし、その実態は全く異なるものであった。少なくても、日本側はハワイをアメリカから奪うつもりなど毛頭無かったのである。
ハワイの現状は、アメリカの自業自得であった。
アメリカ風邪のエピデミックで本土が混乱の渦中であったとはいえ、ハワイからの救援要請を無視する形となったのであるから。
危機的な状況で起ち上がったのが、旧ハワイ王国の末裔たちであった。
ハワイの惨状を日本のマスコミに訴えたのである。
『ハワイの同胞たちを救え!』
ハワイの窮状は日本で大々的に報道された。
その結果が、人道主義を拗らせたマスコミ主導によるハワイを救えの大合唱であった。
史実のスペイン風邪の猛威を知る平成会も支援を惜しまなかった。
日本で水際防御をするよりもハワイで食い止めたほうがリスクが低いと判断したからである。
日本からの支援物資によって、アメリカ風邪はハワイで食い止められた。
しかし、ハワイの多数派だった白人コミュニティはアメリカ風邪のために壊滅してしまった。結果として、ハワイの先住民と日系人が多数派を占めることになったのである。
「……私としては、むしろこの状況はチャンスと捉えている」
ジョーンズの言葉に目を剥く将校たち。
しかし、彼には秘策があった。
「考えても見ろ、ハワイが失陥したら如何なる? あのエンペラーの海軍がハワイに進出してくることになるだろう。太平洋は奴らのものになるだろうな」
「だったら……!」
「まぁ、聞け。逆に考えるんだ。もし、そうなれば西海岸は壊滅する。困るのはマフィア共だ」
「まさか……」
銭ゲバで目先の金にこだわる裏社会の住民たちであるが、その収入源を脅かすものには誰であろうと容赦しない。そこに付け込む隙があるとジョーンズは考えていたのである。
「マフィアがいくら強かろうと海軍に、ましてや戦艦には勝てまい。そこを突破口にする」
史実南米の麻薬カルテルは軍隊並みに重装備化であったが、この世界のアメリカの裏社会はそれ以上である。軍の優秀な人材を札束ビンタでヘッドハンティングし、装備も最新のものが揃えられていた。陸においては、正規軍以上の戦闘力を保持していたのである。
残りかすといっては失礼であるが、正規軍も賄賂漬けにするなどして取り込んでいた。当然ながら軍の規律は低下し、武器の横流しや密輸は日常茶飯事であった。
しかし、裏社会の住民は海軍を取り込もうとはしなかった。
麻薬や酒の密輸は自前の船があるし、取り締まる側のFBIとはお友達であるので邪魔は入らない。西海岸で地元ギャングが、海軍の部隊を買収して要人護送や密輸を請け負わせるのがせいぜいであった。
ハワイが日本の勢力下に置かれて大日本帝国海軍が太平洋を我が物顔で遊弋するような事態になれば、密輸ビジネスは大打撃を受ける――と、ジョーンズは言葉巧みに犯罪シンジケートを説得したのである。
「それに、ペンシルバニア級では日本のフソウ相手では互角がせいぜいだろう。どうせなら確実に勝利出来る新型戦艦を整備するべきだ」
太平洋艦隊の再編成に必要な予算が議会に認められたのは3か月後のことであった。ハワイ、最悪は西海岸に来航してくるであろう日本艦隊を撃破出来るだけの艦隊を、可及的速やかに整備することになったのである。
「4万トン級戦艦6隻の建造予算の一括要求とか正気か!?」
アメリカ合衆国予算局では、スタッフが悲鳴をあげていた。
1924年度の予算編成作業がひと段落したかと思ったら、いきなり戦艦建造を捻じ込まれたのである。
「どこにそんな予算があると思ってるんだ!?」
「こんなもの認められるわけないだろう。突き返せっ!」
アメリカ海軍史上最大の戦艦を6隻同時建造に必要となる予算は想像を絶する金額である。担当部署に突き返して再考を要求するのは当然のことであろう。
「……済まないが、これに関しては最優先だ。さもないと我々はハドソン川に浮かぶことになるだろう」
「「「……」」」
苦々しい表情の主任を見たスタッフは全てを悟った。
つまりは、そういうことだったのである。
「それにしても、壮観な光景だな」
バージニア州ポーツマスのノーフォーク海軍造船所。
ヒラリーP.ジョーンズ合衆国艦隊司令長官は、自分の思惑通りに事が進んでご満悦であった。
彼の目の前では、サウスダコタ級戦艦1番艦の起工式が進められていた。
同様の光景は、全米の6ヵ所の造船所で同時進行していたのである。
サウスダコタ級は、アメリカにおける超フ級戦艦である。
以前計画された超フ級戦艦とは完全に別物であり、速力を妥協した代わりに火力と装甲が重視された。アメリカ海軍の戦艦では初めての16インチ砲搭載艦であり、機関に蒸気ターボ電気推進を採用するなど新機軸も多く取り入れられていたのである。
6隻もの戦艦の同時建造によって、不況に陥っていたアメリカの造船業界は息を吹き返した。しかし、その建造費を捻出するために復興債が使われていた。この時点で、復興債の償還に予算の4割近い金額が割り当てられていたのである。
戦艦建造は極論すれば公共投資である。
ケインズ経済学では穴を掘ることすら有効とされるわけで、建造に大量の工員が必要となる大型艦建造が景気に与える影響は言うまでもないことである。
しかし、給料を手にした造船関係者が金を落とすのはフロント企業であった。
フロント企業は納税しないので税収は増えない。つまりは、景気対策にはならないということである。
「このままでは、遠からずステイツの財政は破綻する。その前に手を打たねばならない」
「復興債の償還で予算の4割近くが消えています。せめて利率を下げることが出来れば良いのですが……」
「迂闊に口走って、ハドソン川に浮かんだヤツがいただろう? 財務省庁舎でも安易な発言は慎むべきだ」
1924年1月。
ワシントンD.C.の財務省庁舎の会議室では、財務省の中堅クラスが密談を交わしていた。
「復興債は内債なのだから、最悪ドルを刷ればなんとかなるはずだろう?」
復興債の買い手の大多数は国内のギャングやマフィアであり、そういう意味では内債である。高利回りで外国からの借金で返済に猶予の効かない外債よりも、自国の通貨で返済出来る内債は有利である。復興債も、ドルを刷れば問題無く返済可能なのである。
「……そのドルを刷る権限が裏社会の皆さんのモノだからだよ」
「「「はぁ……」」」
ため息しか出ないが、すぐに立ち直る。
今回の極秘会合は、この問題を解決するために開かれたのであるから。
通貨発行権は、その国の中央銀行の固有の権利である。
しかし、アメリカでドルを刷る権利を持つ連邦準備制度理事会は、実質的には民間の組織であった。利に聡い裏社会の住民は、自分たちの代弁者たる理事を送り込んで、有利な金融政策を実施させていたのである。
「社会のクズどもに頭を下げる屈辱から抜け出すためには、極秘裏に資金を調達する手段を確立する必要がある」
「どうやって?」
「それを考えるために集まったんだろうが……」
ドルを刷りたくても、連邦準備制度理事会は適当な理由を付けて認めないであろう。仮に刷れたとしても、大量のドルが一気に出回ることになればハイパーインフレ待った無しである。
ジレンマに陥った彼らが最終的に考え出した手段は、偽装国債であった。
外部から実体が分からないようになっており、裏社会の住民を欺くのに好都合だったのである。
政府会計から切り離されているので国庫に負担をかけることなく膨大な資金調達が可能であり、ドルを大量に刷ることで起こるインフレを回避出来るメリットも大きかった。
彼らは自信満々に上司に提出したのであるが、あっさりと却下された。
デメリットを考慮していないことが却下の理由であったが、後に大規模に実行されることになるのである。
「……長官のことは残念でしたね」
「まさか進水式の前日に撃たれるとは」
「「……アーメン」」
「いや、死んでないから。病室から参加させろって喚くくらいには元気だから」
海軍関係者が話しているなか、船体にシャンパンがぶつけられる。
テープと紙吹雪が舞い、軍楽隊によって勇壮なマーチが演奏をBGMにして船体がみずしぶきを上げて滑り降りていく。
1926年2月。
ノーフォーク海軍造船所において、サウスダコタ級1番艦の進水式が盛大に執り行われた。
しかし、主賓であるはずの合衆国艦隊司令長官の姿は無かった。
進水式の前日に銃弾に倒れてしまったからである。
幸いにして命は取り留めたのであるが、進水式への参加はキャンセルせざるを得なかった。司令長官の暗殺未遂という前代未聞の事態に、海軍省が激怒したのは言うまでも無いことである。
軍隊の犯罪捜査は軍警察の領域なのであるが、アメリカの場合は陸軍がミリタリーポリス、海軍は海軍捜査局が担当である。
海軍の面子をかけたNISの捜査であったが、事件は意外な結末を迎えることになった。容疑者が既に死亡していたのである。
「……馬鹿どもの始末は終わったかい?」
「抜かりはありません。海軍の捜査も無駄足に終わるでしょう」
ニューヨーク某所。
ルイス・バカルターは、アルバート・アナスタシアに進捗状況を尋ねていた。
二人は暗殺専門の執行機関の頭領と副頭領である。
史実では『マーダー・インク』の呼び名が有名であるが、これは当時のマスコミが付けた名称で正式な名称では無かったりする。
「シンジケートの総意で認められた戦艦建造を、気に喰わんという理由だけでひっくり返そうとするとはな」
「まったくです。あれを消したところで、建造が取りやめになるわけないでしょうに」
ヒラリーP.ジョーンズ合衆国艦隊司令長官を襲ったのは、地元のギャングであった。ジョーンズが、犯罪シンジケートに渡りをつけるための窓口だったのであるが、彼の不遜な態度がお気に召さなかったらしい。
最終的にNISの捜査は迷宮入りとなった。
マーダー・インクは事前に実行犯のアリバイを用意し、死体遺棄用に車も用意していた。その車も直前に盗んで調達し、さらに盗んだナンバープレートを付けるという徹底ぶりであった。初動捜査に失敗した時点で迷宮入りは確定だったのである。
裏でゴタゴタがあったものの、サウスダコタ級の建造そのものは順調に進んだ。
全ての艦が進水から1年少々で続々と竣工することになるのである。
「40サンチ砲12門搭載の4万トン級戦艦だと!?」
「しかも6隻同時に進水させるとは、米国恐るべしだな……」
別に隠していたわけでは無かったので、サウスダコタ級進水の情報は直ちに日本側の知るところとなった。当然ながら、日本の海軍関係者は顔面蒼白である。
「ロンドン海軍軍縮会議違反だ。ただちに訴えるべきだっ!」
「無理だ。アメリカは軍縮会議に署名していない」
「じゃあ、このまま黙って見てろというのか!?」
1924年4月に発効したロンドン海軍軍縮会議では、1934年まで新たな戦艦の建造は禁じられていた。しかし、アメリカは条約に署名していなかったので、戦艦の建造が可能だったのである。
「こちらも代替艦の建造で対抗すべきだ!」
「無理です。一番古い金剛ですら年数に達していませんよ!?」
老朽化した戦艦を代替することは認められていたのであるが、艦齢20年以上の戦艦に限定されていた。帝国海軍の主力艦は比較的新しかったために、それも不可能であった。
「……主砲を40サンチに換装するのはどうだ?」
「「「その手があったか!」」」
戦艦の建造は禁止されていたが、既存艦の改装は禁じられていない。
条約の盲点を突いた妙手ではあるが、大改装になるので金がかかるのは言うまでもないことである。
「金剛級は無理だが、扶桑や伊勢は4連装装砲だからバーベット径は充分だ。イケるぞっ!」
「どうせだったら、長門型の新型3連装砲塔を積みましょう!」
「いいねぇ!」
長門型戦艦は、3連装4基12門の40サンチ砲搭載艦として完成するはずであった。しかし、3連装砲塔の開発が間に合わなかったことと、周辺国を刺激することを考慮して連装5基10門で完成していた。
開発が遅れていた長門用の40サンチ3連装砲塔は既に完成していた。
差し迫った脅威ということで最優先にされた結果、金剛型を除く主力艦は順次ドッグ入りして大改装されることになったのである。
改装と言っても、砲塔の載せ替えだけでない。
船体装甲の張替え、機関の換装、船体の延長など史実イタリア戦艦とためを張れる魔改造である。
当然ながら予算を馬鹿食いしてしまい、空母整備に多大な支障が出てしまった。
帝国海軍の空母マフィアは怒り狂ったのであるが、ない袖は振れないのである。
『俺がカジノで大勝ちして予算を確保してやる!』
――と、某駐英日本大使館付武官がドーセットのカジノで大暴れすることになるのであるが、それはまた別の話である。
(なんだこれは? 此処は本当にハワイなのか?)
男は茫然としていた。
標識には英語の下に日本語らしき漢字とカタカナが記されていたし、道行く人も日系移民とハワイの先住民ばかりであった。
『イラッシャイマセー!』
『アリガトウゴザイマシター!』
周囲から聞こえる声も理解出来ない。
周辺の店の看板は、アルファベットと漢字が半々と言ったところであるが、アルファベットを読んでも意味が理解出来なかった。
下院議員で海軍委員会の委員であるカール・ヴィンソンは、個人的にハワイの現状に興味を抱いて単身乗り込んだ。その結果が目の前の光景だったのである。
「お忙しい時間にアポ無しで申し訳ない」
「いえいえ、わざわざ本土から政治家の先生が来られるとは。ありがたいことです」
我に返ったヴィンソンは、パールハーバー海軍基地に突撃した。
アポ無しにも関わらず、基地司令は快く――どころか、些か過剰なくらいに好意的であった。
「それで司令官。これはいったいどういうことなのだ? ハワイは何時から他国の領土になってしまったのかね?」
「……白人コミュニティで新型インフルエンザが大流行して壊滅してしまったせいです」
「残ったのが先住民と日系移民だったというわけか」
アメリカ風邪から逃れるためにハワイへ避難してきた白人は、当然ながら白人コミュニティでの生活を望んだ。しかし、避難してきた白人の中に保菌者が紛れ込んでおり、コミュニティ内でアウトブレイクが発生してしまったのである。
白人コミュニティは日ごろから有色人種を蔑視する傾向があり、地元民が近づかない場所であった。アウトブレイクが発生してからは、なおさら近づかなくなった。結果的に白人以外の先住民や日系移民が生き残ることになったのである。
「それだけではありません。本土からの連絡が途絶していた時期に、ハワイ王家の末裔が日本を頼ったのです」
「それで、日本が支援物資と共に乗り込んで来たと?」
「そのとおりです」
ハワイ王国の末裔による訴えを、人道主義を拗らせた日本の新聞社が大々的に報じた。平成会派は、ハワイでアメリカ風邪を食い止めるつもりでいたので、この流れは好都合であった。
史実スペイン風邪や新型コロナの悪夢を知る平成会は、アメリカ風邪を日本に上陸させたら負けと考えていた。ハワイのアウトブレイクがエピデミック、さらにパンデミックに拡大しないように支援物資や防疫スタッフを送りつつ、日本へ密航する人間が出ないように厳重に監視していたのである。
「あのころのステイツは事実上の無政府状態だった。だからといって、ハワイからの救援要請に応えることが出来なかったことを許されるわけでは無いが……」
沈痛な表情となるヴィンソン。
彼は混乱していたアメリカ本土において、方々を駆け回ってハワイへの支援を実施した数少ない人間であった。
しかし、当時のアメリカでハワイまでの運搬手段を確保することは容易なことではなかった。送れた救援物資は少量にとどまり、日本からの大量の救援物資に埋没してしまったのである。
「ここ数年のハワイ州議会では、日系の議員が増えています。これは姿を変えた侵略行為です」
基地司令は、深刻な表情でヴィンソンに訴える。
彼は現状を憂慮していたが、打つ手が無くて歯噛みしていた。そんな中で本土から政治家が来てくれたわけで、もろ手を挙げて歓迎するわけである。
(日本の浸食度は想像以上だった。このままだと遠からず日本の勢力下に組み込まれてしまう)
(しかし、西海岸防衛の要であるハワイを失うわけにはいかん。そのためには……)
基地司令との会談を終えてホテルに戻ったヴィンソンは、とある計画を練り上げた。後にヴィンソン計画と呼ばれることになる海軍大拡張計画である。
ヴィンソン計画は海軍に好意的に迎えられた。
意外なことであるが、時の大統領ジョン・デイビスも支持していた。陸軍を手なずけている裏社会に対抗するべく、海軍を影響下に置こうと考えていたからである。
ジョン・デイビスは、史実では20世紀前半のアメリカで最も成功したとまで言われる敏腕弁護士である。この世界においても、大統領になるまでは弁護士として活躍していた。
裏社会の後押しを受けてまで大統領になったのは、アメリカに法の秩序を取り戻すためであった。彼からすれば、法を無視する連中は唾棄すべき存在だったのである。飼い犬に手を嚙まれるとは、まさにこのことであろう。
彼自身は忸怩たる思いであったが、アメリカの裏社会は強大化して超法規的存在になってしまっていた。打倒するのに手段は選んでいられなかったのである。
しかし、議会はギャングやマフィアの息がかかった議員が大半である。
海軍大拡張の予算が通るとも思えないし、真意を知られたら暗殺されかねない。予算を確保出来ずにヴィンソン計画は頓挫してしまうと思われたのであるが……。
1926年4月。
ワシントンD.C.に『有限会社 冶金研究協会』(Metallurgy Research Association Co.Ltd.)という団体が密かに設立された。
通称『メラ』と呼ばれたこの組織は、USスチールやゼネラルエレクトリックなどのアメリカの巨大企業の合同出資によって誕生した。海軍省と連邦準備銀行から送り込まれた理事によって統治されていることは極秘事項であった。
連邦準備銀行から人間が送り込まれているが、裏社会の住民の代弁者と化している連邦準備制度理事会とは別物である。準備銀行は、理事会の下部組織に過ぎない。しかし、実際に銀行業務を行って金を持っているのはこちら側なのである。
『メラ』は史実のメフォ手形そのものであった。
財務省の中堅クラスが考え出した資金調達システムを、大統領であるデイビスは非常に高く評価した。
彼は国内の産業界に密かに働きかけた。
裏社会の住民に搾取されまくって、本格的に国外脱出すら検討していた企業はもろ手を挙げて賛成したのである。
アメリカ海軍の再建は、ここから始まったといっても過言では無い。
しかし、現時点でこの企みを知る者は皆無だったのである。
『石油関連銘柄の株価急上昇 尖閣油田からの本格輸出に期待感』
『鈴木商店 フィリピンの資源採掘へ本格参入』
『豊田自動車とハドソン・モーター・カー・カンパニー技術提携 フィリピン初の国民車開発へ』
経済面のみならず、一面トップで報じられるフィリピン関連の記事。
大陸から撤退したことにより、先行き不透明感が強まっていた日本の経済界にとって、久しぶりに明るいニュースであった。
1927年12月某日。
日本とフィリピンで日比貿易協定が締結された。
フィリピンは、同年10月に独立を宣言していた。
当然ながら、宗主国であるアメリカはフィリピンに猛抗議したのであるが……。
『独立が早まっただけである。元宗主国であるアメリカとは今後とも良い付き合いをしていきたい』
――と、自治領大統領から大統領に昇格したマニュエル・ケソンに言われる始末であった。
戦争は外交の一手段であるが、背景に軍事力の無い外交は戯言でしか無い。
フィリピンからすれば独立の絶好の機会であった。
「ハワイにサウスダコタ級6隻を配備するだと!? アメ公の奴ら正気か!?」
「信じたくありませんが、パールハーバーに停泊している写真が送られてきました……」
しかし、独立宣言に加えて独自に貿易協定まで結ばれて、遂にアメリカはブチ切れた。竣工したばかりのサウスダコタ級戦艦6隻全てをハワイに配備したのである。
「入渠中の戦艦は何時出られる?」
「長門と陸奥は、元々改装を前提とした設計で部品もあらかじめ準備してましたからすぐに出渠出来ますが……」
「公試と練度向上の必要があるから戦力にならんか」
「扶桑や伊勢は、どう急いでも出渠出来るのは来年の半ば以降になるでしょう」
常識的に考えれば、虎の子であるサウスダコタ級は大西洋と太平洋で半分ずつ本土に配備するはずである。それを6隻全部をハワイに配備するとか正気の沙汰では無い。あり得ない事態に、海軍省の海軍上層部が真っ青になったのは言うまでも無い。
サウスダコタ級配備の報を知った前線部隊の反応は、上層部とは対照的であった。満州国がらみのゴタゴタで迷走していた陸軍とは違い、海軍は着実に戦力拡充に努めていたからである。
新型駆逐艦(史実の特型駆逐艦もどき)が大量に就役し、英国からの技術提供と平成会の技術陣の尽力によって改良型酸素魚雷の配備も目途がついた水雷屋は、サウスダコタ級相手でも勝てると鼻息は荒かった。
戦艦の大改装で予算を削られて鉄砲屋に恨み骨髄な空母マフィアも、多聞丸ばりの猛訓練によって唯一の正規空母である鳳翔の練度の高さに自信を持っていた。
潜水艦乗りは、これまた平成会の技術陣によって史実潜高型の要素を取り込んだ新型伊号潜の水中速力に万全の信頼を置いていた。
しかし、この時代の最強兵器は戦艦であることが常識であった。
新聞もこぞって書き立てたために民衆に不安が広がってしまい、政府は対応を求められたのである。
「大英帝国としては、太平洋における騒乱は歓迎していません。必要があればあらゆる手を打つ所存です」
駐日英国全権大使の流暢な日本語が記者会見の会場に響き渡る。
毅然とした表情で断固たる決意を表明するテッド・ハーグリーヴスに、記者たちから次々と質問が飛ぶ。
「それは日米戦争が現実のものとなったら、英国が介入するということですか?」
「……仮定の話には答えられません。しかし、そのように受け取られるのは自由です」
「今回の米国の意図について、どのように思われますか?」
「……正直、戸惑っています。貴重な虎の子である戦艦をハワイに集中配備するなど正気の沙汰では無い」
結局のところ、日本政府が縋ったのは大英帝国であった。
英国側としても、同盟国である日本に配慮しないわけにはいかないわけで、テッドが骨を折ることになったのである。
(ようやく慰安旅行が終わったところだというのに、余計な仕事を増やしやがって! メリケンども絶対に許さんからな!)
ウォッチガードセキュリティの愉快な仲間たちとの慰安旅行が終わったばかりだというのに、息をつく暇も無くやらかしたアメリカに、テッドは内心で激怒していた。それでも、表面上は紳士然とした対応に終始してはいたが。
「ひょっとして、アメリカにはサウスダコタ級戦艦以外にも隠し玉があるのでは?」
「それはあり得ないだろう。現在のアメリカの予算規模では不可能だ」
「だが、普通に考えて虎の子の戦艦を集中配備はあり得ない。他に戦力を隠し持っていると考えるのが妥当だろう」
大日本帝国中央情報局とMI6の関係者は、アメリカの行動に疑問を抱いて調査を開始した。しかし、いくら予算の流れを追っても不審なものは出てこなかったのである。
「閣下、今年のアメリカの予算編成です」
「去年よりも減っているような気がするのだけど?」
「はい。ドルベースで10%近く減少しています。これでは海軍の拡張など不可能でしょう」
1928年1月。
テッドはMI6のエージェントから報告を受けていた。
テッドから見たアメリカの予算編成は酷いものであった。
総額が前年よりも純減しているのに加え、半分以上が債権(復興債)の償還に充てられていた。
優秀過ぎるMI6は、アメリカ連邦政府が復興債の発行で不足する税収を補う自転車操業を続けて償還が滞り始めたこと、裏社会の住民達が借金のカタとして水道やガス事業の経営権を政府から奪ったことまで調べ上げていた。このような状況で軍拡が出来るはずもないと判断するのは、当然のことであろう。
ちなみに、ライフラインの運営は長期的に安定した収入を確保出来ると裏社会では人気の投資であった。その結果、ますます連保政府の税収が減少していったのであるが。
「……でも、造船関連の株は軒並み上がっているんでしょ?」
「予算が無いのに軍艦を建造出来るはずがありません。民間需要の可能性が高いと思われます」
「……念のため、アメリカ支部とも協働して調査の継続をお願いするよ」
「了解しました」
退室するエージェントを見送りながらも、嫌な予感が止まらない。
自然と手が電話に伸びる。
『……何かねテッド君。こちらは深夜なのだが?』
「ことは急を要しますので、そちらの状況に構ってられません。アメリカの件なのですが」
『そのことなら報告を受けた。例の戦艦……サウスダコタ級だったか。あれ以上の戦艦建造は難しいとのことだったが?』
深夜にたたき起こされたのか、不機嫌そうな声が受話器から聞こえてくる。
電話先の相手は、英国宰相ロイド・ジョージであった。
「……国家予算に含まれない莫大な資金があるとしたらどうです?」
『どういうことかね?』
ロイド・ジョージの声が真剣になる。
事の深刻さを理解したのであろう。
「たった今、確信しました。史実のメフォ手形と同じやり口なんですよ」
『そのメフォ手形とやらは、どのようなものなのかね?』
「民間に偽装された国債です。史実でナチスが秘密裏に再軍備を達成した資金源ですよ」
史実知識があったからこそ、テッドは一足先に真相にたどり着くことが出来た。
その結果は、到底喜べるものでは無かったが。
『……現在のアメリカは猛烈な勢いで軍拡をしているということか』
「確実です。それも史実ナチスよりも数倍の規模でやらかしていると思います」
史実で1933年から5年間で発行されたメフォ手形は、現在の金額にして約30兆円である。これは同期間の軍事費のほぼ倍の金額であり、ナチスが急速な軍拡を実現する原動力となった。
ドイツよりも国力に勝るアメリカが、同じことをやらかしたらどうなるか。
H〇I2で赤化して、平和補正が外れたアメリカ並みに危険なことになるであろう。
『早急に再調査が必要だな。シドニー・ライリーに動いてもらおう』
「まだ現役なんですか? いい加減、MI6の長官にでも収まるかと思っていたのですが?」
『本人が生涯現役と言って聴かんのだよ……』
ため息交じりのロイド・ジョージの声に、様子が想像出来てしまうテッド。
2年前のコミケ事件でもそうだったが、本気で生涯現役を貫き通すつもりらしい。海軍中将になったのだから、いい加減に腰を落ち着けてもらいたいものである。
後に、シドニー・ライリーの諜報活動で明らかにされたヴィンソン計画の全容は、戦艦10隻、空母10隻、重巡、軽巡、駆逐艦、その他もろもろ全て合わせて合計排水量200万トンオーバーの艦を一気に建造するというものであった。
第1次大戦前から進歩していなかった旧態然とした艦艇を一気に刷新することに加え、国力に応じた海軍戦力を整備することがヴィンソン計画の骨子である。
『海軍が不甲斐ないばかりにハワイは日本の影響下に下り、フィリピンからも見放された』
――と、アメリカ海軍の関係者たちは本気で考えており、今まで新型艦を建造出来なかった鬱憤も手伝ってか、猛烈な勢いで建造していったのである。
1930年代に入ると、ヴィンソン計画で建造された艦が続々と竣工した。
新鋭艦で構成される大艦隊が、太平洋と大西洋の両洋に展開することで日英両国に多大な圧力をかけることになるのである。
史実のメフォ手形と同様に、この世界のメラ手形も打ち出の小槌では無い。
経済の破滅を先延ばしにするだけである。
史実ナチスはメフォ手形が破綻する前に戦争を開始した。
しかし、この世界のアメリカは破綻前に別の道が開ける――いや、別の道に転がり込んでしまうのである。
以下、今回登場させた兵器のスペックです。
サウスダコタ
排水量:43200t(常備)
全長:208m
全幅:32m
吃水:10.1m
機関:蒸気ターボ電気推進4軸推進
最大出力:60000馬力
最大速力:23ノット
航続距離:12ノット/7000浬
乗員:1120名
兵装:50口径41cm3連装砲4基
53口径15.2cm単装砲16基
50口径7.62cm対空砲8基
53cm水中魚雷発射管単装2基
装甲:水線345mm
甲板64~89mm
主砲塔457mm(前盾) 127mm(天蓋)
司令塔406mm
アメリカ海軍が建造したサウスダコタ級戦艦の1番艦。
同型艦は『インディアナ』『モンタナ』『ノースカロライナ』『アイオワ』『マサチューセッツ』
アメリカ海軍は第1次大戦への不参加と、経済不況による軍縮、さらにアメリカ風邪まで加わったことで、史実の海軍休日を通り越した惨状を呈していた。
太平洋と大西洋の両洋艦隊を維持することすら難しくなり、史実よりも早く合衆国艦隊を設立したうえで老朽艦をスクラップにするなどしていたが、新型艦は補充されずに規模が縮小していく様は海軍の葬式とまで言われていたのである。
風向きが変わったのは、返礼使節団が世界的に報道されたことであった。
戦艦『扶桑』や『金剛』など極めて有力な戦艦群を日本が有していることがアメリカにも知れ渡ったのである。
事ここに居たって、金儲けだけしか興味の無いマフィアも危機感を抱き、子飼いの議員を動かして太平洋艦隊の再編を認めた。ただし、その資金源は復興債から出ており、回りまわって連邦政府の財政をさらに悪化させることになる。
※作者の個人的意見
史実のダニエルズ・プランで計画されていた戦艦です。
16インチ3連装4基12門とか、扶桑は完全にオーバーキルじゃないですかやだー!?
この時代だと戦艦は核兵器に匹敵する最強兵器という認識なので、史実ネームドと大衆の世論に押し負けた平成会は対策を取らざるを得ませんでした。史実知識で戦艦が役立たずになるのを知っているのに、戦艦に金を使うハメになるのは皮肉としか言いようがありません。
実際、こんなのがハワイに6隻もいたら日本海軍は気が気で無いでしょうしねぇ。
史実のネームド(特に何処かの五十六)が暴走しまくって、平成会だけでなくテッド君もしりぬぐいに追われることになりそうですw
追い込まれたアメリカの逆襲が始まりました。
でもまぁ、もう1段階変身の余地を残していたりするのですがw
最初の段階で計画された超フ級戦艦は、史実ペンシルバニア級の拡大発展型でバランスの取れた艦になる予定でした。予算不足でポシャリましたけど(ノ∀`)
南米の麻薬カルテルが軍隊並みとか言われていますが、この世界のアメリカの裏社会はそんなレベルじゃありません。人材と装備は正規軍と同等かそれ以上のレベルです。軽戦車レベルですが、戦車も多量に保有しています。
陸軍は予算不足でお給料が安い&遅配が常態化しているので、賄賂やサイドビジネスに手を出すのも止む無しです。武器の横流しや密輸は日常茶飯事なので、いざ有事となったら保管庫から不審火が出て燃えちゃうかもしれませんねぇ?
サウスダコタ級戦艦は、事実のダニエルプランの計画艦をそのまま持って来ています。火力と装甲を重視しているので、防衛戦に向いていますしね。
連邦準備制度理事会と連邦準備銀行、どちらもイニシャルがFRBなので紛らわしいですが、全国の主要都市に散在する連邦準備銀行を統括するのが連邦準備制度理事会です。実権を握っているのは理事会ですが、実際に金を持っているのは銀行側です。
NISはアメリカの海軍版MPです。
日本だと旧陸軍、海軍ともに憲兵が担当するのですが、アメリカだと別組織になっています。
マーダー・インクは、犯罪シンジケートの暗殺執行機関です。
この世界では、史実以上に大規模かつ容赦のない組織になっています。
バーベット径を変えずに大口径化するには、砲を減らすのが一番手っ取り早いです。史実だと大和型の46サンチ3連装を、51サンチの連装にした紀伊型もありましたし。扶桑級はフランス式4連装砲塔でバーベット径が大きく取られているので2インチアップしても問題無いわけです。
この世界の長門が連装砲塔で竣工したのは、予算と政治的問題が絡んでいます。
設計は完了していたのですが、政治的配慮とやらで連装になってしまったのです。ただし、最初から3連装砲搭載前提で設計されていたので、載せ替えは短期間で終わるようになっていました。
『俺がカジノで大勝ちして予算を確保してやる!』――は、いったい何処の五十六さんでしょうか?彼の頑張りようによっては、テッド君がショタになる時期が早まることでしょう。
リアルの日本でも、バス停や駅の表記におでん文字がのたくっていやがりますが、この世界のハワイはそれ以上に酷いことになっています。事実上、日本語が準公用語になっているので、そりゃあ本土から来た政治家の先生もびっくりするでしょうよ。
ヴィンソン計画の元ネタはガンダムです。
というより、ヴィンソン計画の元ネタが史実のヴィンソン案なので逆輸入とでも言うべきでしょう。この世界のヴィンソン計画は、史実の第1次~第3次ヴィンソン案に加えて、スタークスプラン、両洋艦隊計画まで混じっているので、それはそれは盛大なものになっています。
メフォ手形は、史実ナチスが用いた経済再生の切り札……もとい、再軍備の手段です。経済のカンフル剤として極めて有効に作用しましたが、破綻寸前に戦争に突入して多額の負債を踏み倒しています。
メラ手形は、アメリカ版メフォ手形です。
名前のせいで良く燃えそうです。それはそれは真っ赤に、赫々と燃え上がることでしょう。
フィリピン独立は、あっさりめな描写にしました。
この世界のフィリピン海軍は、アメリカ海軍以上の戦力となってしまったので、アメリカがいくら外交で吠えようとも無視出来たわけです。ブチ切れたアメリカがサウスダコタ級を6隻の配備したせいで、日本もフィリピンも慌てふためくことになりましたがw
アメリカのサウスダコタ級の配備に脅威を感じたフィリピンは、日本との相互防衛条約である日比安保条約を結ぶことになります。史実の日米安保ばりに反対運動が盛り上がりそうです。そこらへんは本編で詳しく書こうと思っています。
改良型酸素魚雷は、ジャイロの回転数を最初から2万回転に引き上げて安定性を向上させると共に、信管を改良して触発と艦底起爆を可能しただけでなく、英国から提供されたトーペックスを炸薬に採用したチート魚雷です。口径はそのままで威力と利便性の向上を図るか、史実酸素魚雷のサイズにまで拡大して、文字通りの一撃必殺の戦艦キラーを狙うのか、悩みどころではあります。
この世界の帝国海軍は、お艦のみが正規空母だったりしますが、何処かの五十六さんの頑張り次第で増えることは確定しています。艦載機の開発も進んでいるので、これから急激に戦闘力は引き上げられることになります。
平和補正が外れたアメリカ並みという表現は、H0I2経験者なら理解出来るはずです。ゲーム内で反則的というかチートな国力を持つアメリカですが、戦争をしていないと常時マイナス75%(!?)という重たすぎるデバフがかかっています。普通の難易度だと、これでもなんとかなってしまうのがアメリカのチートたる所以だったりします。
シドニー・ライリーは、この世界だと未だに元気に一線で活躍しています。
仮にも中将クラスがそれで良いのかと思ったりしましたが、リスペクト元でも村中が暗躍していましたね。あっちは少将だけど。
別の道に転がり込んでしまうことで、アメリカの最終変身が完了となります。
最強最悪な存在となって、本編で暴れまわる日は近いですよっ!




