変態日本スカウト事情―転生者ハント編―
「……なぁ。俺らって、日本を裏から牛耳る秘密結社だよな?」
「なんだよ、やぶからスティックに?」
「いや、なんか違うなぁって、思ってさぁ……」
「おい、お前ら手を動かせ! 今、後藤さんから電話があって、待ちきれないから直接取りに来るっていったぞ!?」
「「「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」」」」
必死になってデスクワークをこなす平成会のモブたち。
平成会は日本を裏から動かす秘密結社であるが、その実態はただの社畜であった。
1925年6月。
後藤内閣が成立したことにより、内閣調査部は連日のデスマーチ状態となった。
内閣調査部は、原内閣末期に設立された内閣直轄の政府系シンクタンクである。
平成会の能力に惚れ込んだ後藤新平(当時は帝都復興大臣)によって設立されており、そのモデルは自身が満鉄総裁時代に設立した満鉄調査部である。現状では、内閣に直接政策を提言することが出来る唯一の組織であり、平成会の隠れ蓑の一つであった。
「やぁ、諸君! 励んでいるかね?」
ノックも無しにドアが開け放たれ、丸眼鏡で髭面な男が入室してくる。
国会帰りなのか、それとも単にTPOを弁えたのか、いつものボーイスカウト姿ではなくスーツをきっちり着こなしている。彼こそが平成会のモブたちの上司であり、この国の新たな宰相である後藤新平であった。
「それで、電話した案件は出来ているかね?」
「ど、どうぞ……」
「ふむ」
げっそりとやつれた平成会のモブから、書類を受け取りパラパラとめくる。
「相変わらず、貴様らの書類は分かりやすいのぅ! 今後とも頼むぞ!」
後藤からすれば、手放しの賞賛である。
内閣調査部が作る書類は、それだけ分かりやすかったのである。
彼らの中には、生前はパワポでプレゼンに明け暮れていたのが大勢いた。
この時代の主流であった文字が大半の文面とは違い、グラフも多用して分かりやすさを心がけていたのである。
とはいえ、この時代にはワープロもパソコンも存在しない。
文書は手書きするしかなく、グラフはあらかじめ様々な種類のテンプレートを用意して、必要に応じて項目や数値を記入して貼り付けるという涙ぐましい努力をしていたのである。
さすがにこれでは埒が明かないということで、平成会の技術陣は日本語ワープロの開発に取り掛かっていたのであるが、史実で最初の日本語ワープロであるJW-10が発売されたのが1979年である。50年以上先のことであり、現状では実用化するための技術が足りていなかった。
「あ、そうそう。対中政策の大幅な変更が必要となったから、必要な資料を揃えておいてくれ。1週間後な!」
来た時と同じく、唐突に去っていく後藤。
「「「あ、アイエエエエ! 」」」
モブ達が絶叫したのは言うまでもない。
血反吐を吐きながら走り切ったマラソンのゴールの先は、お代わりの追加であった。
生前社畜だった彼らは、この世界でも社畜になれというのか。
とかく、この世界は残酷であった。
しかし、彼らは誇り高きモブである。
モブであるが故に、雑草の如くしぶとくたくましい。手っ取り早く現状をなんとかするべく、新たな同志を大々的に募り始めたのである。
『年齢・学歴・資格一切不問』
『待遇は応相談』
『この絵に見覚えのある方は優遇いたします。至急ご連絡を!(アポなし来訪可)』
文面は同じながらも、各新聞で異なるイラスト付き広告。
毎日掲載されることもあれば、隔週であったり、不定期であったりする。
(これは……!)
一人の青年が新聞の広告を見て驚愕する。
しばらく悩んだ後、意を決して広告の連絡先へ向かうのであった。
(……本当にこの場所なのか?)
帝都丸の内。
青年がたどり着いた場所は、周辺とは不釣り合いな近代的なビルディングであった。
「あの、広告を見て来たのですが」
「!? どうぞ、こちらへ……」
入口の受付に用件を告げると、すぐさま別室に案内された。
担当者の座るテーブルと、少し離れた場所に置かれた椅子に座る青年。その様子は史実日本の就職面接の如しである。
「広告のイラストを見て応募したとのことですが、このイラストが分かりますか?」
「……〇〇ちゃんですよね?」
一瞬、ためらったものの、青年はよどみなく答える。
生前の記憶から自然と導き出されるくらいには、史実の日本ではメジャーなキャラであった。
「即答出来るということは、あなたも転生者ですね」
「『も?』……って、他にもいるんですか!?」
青年は転生者であった。
飛行機事故に遭って、気が付いたらこの世界に転生していたのである。
「この世界には日本からの転生者が大勢います。わたし達もそうです」
「……なんというか、転生ラノベの世界ですね」
「ははは、否定はしませんよ。でも現実です」
担当者の一人が、キラリと眼鏡を光らせる。
口調こそ柔らかいものの、レンズの奥の目は笑ってはおらず、見定めるような目つきであった。
「とはいえ、転生者一人の力なんぞたかが知れています。そのために作られたのが、転生者の互助会である平成会です」
「平成って、年号の平成ですか?」
「そのとおりです。平成世代が多いですので」
「なるほど」
説明を聞いて得心する青年であるが、肝心なことを聞いていなかった。
「ところで、俺はどんな仕事をするですか?」
「それは、生前あるいは現在のスキル次第ですね」
「生前は外交官だったので、英語が話せます! なので、そっち系の職業に就きたいのですが!?」
一縷の望みをかけてアピールする青年。
この世界でも、彼は外交官を目指していた。
しかし、この時代の外交官は縁故や生まれがモノを言う。
平民の家に生まれて苦学したとしても、簡単に外交官になれるものでは無かったのである。
「そういうことなら、イギリスの日本領事館の職員はどうでしょう?」
「外交官になれるのですか!?」
「大使館のほうは、身上調査やら何やらで煩いのですが、領事館は平成会の出先なのでどうとでもなります」
もちろん青年は快諾した。
ドーセットの日本領事館に配属され、順調に出世することになるのである。
(はぁ……。またクビか)
力なく歩く青年。
彼は、たった今解雇されたばかりであった。
向かう先は、公益職業紹介所である。
公共職業安定所の前身であり、史実では1921年に東京に開設された。
この世界では既に全国各地に開設されており、全国の公益職業紹介所が連携することによって、失業率の改善に一役買っていたのである。
(生前は近代史を専攻したのに、この世界じゃ全然役に立たないんだよな……)
ぶつぶつ言いながらも、求人票を物色する。
はたから見れば危ない人間であるが、短期間に何度も解雇されれば荒んでしまうのも止む無しであろう。
『平成会による歴史編纂業務』
『学歴不問』
『待遇応相談』
そんな彼の目に留まった一枚の求人票。
果てしなく胡散臭いシロモノであったが、妙に心にひっかかる。求人票に掲載されているイラストが、生前に散々読んだ某歴史漫画の偉人キャラであることも原因であったが。
「……この求人票ですか。別室へどうぞ」
「えっ? すぐにですか?」
今までと違う対応に戸惑う青年。
とはいえ、拒否することも出来ずに別室へ連行されるのであった。
「あの求人票を見たということですが、いくつか質問させていただきますが、よろしいですか?」
「は、はい……」
『絶対に逃がさん』とばかりの表情の面接担当者。
青年は緊張しつつ、質問を待ち受ける。
「……昭和の終わりは?」
「64年!」
「……平成の次は?」
「令和!」
「……新型コロナの発祥は?」
「中国!」
即答する青年に満足そうに頷く。
そして、手を差し伸べる。
「あなたも転生者ですね。おめでとう。平成会へようこそ」
「平成会?」
「転生者達の互助会です。傘下の企業への就職斡旋や、技術開発の援助などをおこなっています」
この世界の公益職業紹介所には、平成会のメンバーが常駐していた。
当然ながら、目的は転生者ハントである。転生者ホイホイな求人票を作成して、さらに直接面接することで転生者であるか否かを判定しているのである。
「そんなわけで、生前の知識やスキルを活かしたお仕事を紹介出来ますが、何かお望みはありますか?」
「生前は近代史を専攻していたので、そういったのを活かせればと……」
この世界では、歴史が変化しているので史実の歴史など役に立たないと考えていた。しかし、それでも自分が誇れるのは歴史の知識しかない。ダメ元で要望する青年。
「そういうことならば、アナリスト業務をお勧めします」
「えっ、でも、この世界だと史実の歴史なんて役に立たないのでは?」
「歴史が変化したとしても、同種の事件が起こらない保証は無いのです。史実知識があれば、回避出来るかもしれないので重要な仕事ですよ。特に近代史を専攻している人間は希少ですし」
もちろん、青年は快諾した。
生前と違って、貧乏で大学に通えずロクな仕事にありつけなかったので、拒否する理由は無かったのである。
『あなたの発明応援します!』
『特許を取って一攫千金!』
『難しい手続きや、費用などはこちらで負担致します!』
上記は、明治初期の発明奨励所による公告である。
このことが切っ掛けとなって、日本では発明ブームが巻き起こったのである。
「「「……」」」
時は下って、大正時代。
霞が関の発明奨励所の一室では、大勢の人間が全国から届いた手紙やら小包を精査していた。
新しい発明やアイデアを考え付いたとしても、手続きの煩雑さや高額の費用によって、二の足を踏む人間が大半である。発明奨励所は、そういった問題を解決することによって、発明を世に出やすくするのが目的であった。
発明が特許として莫大な利益を出せば、その中から一定のマージンをもらうことで、双方WIN-WINな関係となるわけである。しかし、この組織には隠された目的が存在していた。
「これは……!?」
「どうした?」
精査していた男が手を止める。
同僚に黙って、イラストを見せる。
「〇リー〇ングペッ〇ですね……」
「電気洗濯機がまだ普及していないのに、こんなのを送り付ける時点でクロだな」
「住所は……近いな。すぐに確保させよう」
発明奨励所は平成会傘下の機関である。
史実知識を活かして、この時代に無いものを発明してしまえば一攫千金を狙えると、転生者ならば一度は考えるものである。その心理を突いた恐るべきトラップであった。
大概の転生者は、史実のアイデア商品を送り付けてくる。
その大半はこの時代では役に立たないのであるが、応募には住所氏名が必須であった。結果として、即身バレしてドナドナ出来るので問題は無かったのである。
しかし、中にはガチで凄いモノもある。
数年前のことであるが、玉切れしない真空管のアイデアを送ってきた男がいた。
送り主は当然ながら転生者である。
生前は中小の電子部品製造メーカーに勤務しており、自社製品の中に蛍光表示管があった。
VFDは日本発祥の技術であり、LEDが登場するまでは表示装置としてよく用いられていた。一昔前のビデオデッキの表示部や、鉄道の行き先表示等に使用されているアレである。
ガラス内部にカソード、グリッド、アノードの3極真空管から放出される電子を蛍光体に照射して発光させるのがVFDの原理である。つまりは、3極真空管そのものなのである。
3極真空管はトランジスタと同様の機能を持つ。
これが意味することは一つしか無い。
彼は拉致同然に平成会の技術陣に迎え入れられ、電子計算機の計算に従事した。
苦心の末に完成した試作機は平成会に納入され、関東大震災復興に大いに役立てられたのである。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
入店した客を迎えるメイド。
霞が関で営業している『カフェ テレメーア』は官庁街の中でも異色の存在である。
メイドが接客してくれるということで評判を呼び、仕事帰りの官僚で賑わっていた。和装にエプロンで接客してくれる銀座の『カフェー・ライオン』の猿真似との陰口もあったが、勝てば官軍なのである。
「ご注文をどうぞ。ご主人さま」
注文を取りに来たメイドに鼻の下を伸ばす若者。
酒や料理などのメニューが充実しており、英国大使館監修による本格的なヴィクトリアメイドが接客してくれるのも人気の理由であった。
「すみません。オムライスに文字を書いてもらえますか?」
「かしこまりました」
メイドに『○○LOVE』とケチャップで書いてもらって悦に浸る。
なお、この男は会計の際に別室へ連行された。
カフェ テレメーアは、平成会傘下の企業である。
この時代の人間の趣向に合わせて多少アレンジはされているものの、まごうことなきメイドカフェであった。
転生者が史実のメイドカフェを目の前にしたらどうなるか。
メニューに載っていなくてもケチャップでお絵描きしてもらったり、スプーンで食べさせてもらおうとしたり、メイドとの撮影を頼んでしまうのである。これもまた、転生者の心理を突いた恐るべきトラップであった。
客の大半が省庁の官僚であり、転生者を取り込むことで省庁への影響力を強められるので一石二鳥である。転生者でなくても酒に酔って機密情報を漏らしてしまう高官もいたりして、情報収集にはうってつけの場所であった。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
メイドカフェでは転生者(♂)しか釣れないので、執事カフェも開店した。
こちらは帝都中心部からやや離れた閑静な場所に立地しており、建物も貴族の館といった佇まいで雰囲気満点であった。
「御呼びでしょうか? お嬢様」
チリンと鈴を鳴らせば、やってくるのは執事である。
上から下まで非の打ち所がない執事ルックスで、しかも美形であった。
この執事カフェは、おいしい紅茶と種類豊富なスイーツが売りである。
執事は英国仕込みの本格的な教育を受けており、付け焼刃とは思えないほどの執事っぷりは、熱心なリピーターを大量生産するくらいに好評であった。
しかし、執事カフェのほうは想定ほど転生者(♀)をホイホイ出来なかった。
代わりと言ってはなんであるが、都市部で勢力を伸ばしていたモダンガールや、華族のお嬢様に大人気となり、それはそれで有効活用されてゆくのである。
「きゃー! かわいい」
「癒されるわぁ……」
「すりすりしたい」
意外と転生者ホイホイ出来たのが、猫カフェを筆頭とする動物カフェである。
この時代、動物愛護なんてものは存在していない。結果として、利用者は転生者が占めることになったのである。
カフェによる転生者ホイホイにひっかかるのは、オタク系転生者が多かった。
彼らは、生前の知識やスキルを活かして各方面(主に同人界隈)で活躍することになるのである。
「……なぁ、あいつらの相手するのもう嫌なんだけど」
「俺だって嫌だよ。喧しいし、話聞かないし。でも、仕事だからしょうがないだろ」
二人の男が向かう先は病院であった。
頑丈そうな門は厳重に封鎖され、遠目に見える建物の窓には脱出防止用と思われる鉄格子が嵌められていた。
「ご苦労様です!」
門前には屈強な男が立っていた。
何人たりとも通さないという強い意志が感じられるが、訪問者の身分証を見るや敬礼して門扉を開く。
「「はぁ~、行きたくないなぁ……」」
ため息をつきながら、二人の姿は病院内へ消えていったのである。
『9条を守れー!』
『戦争反対ー!』
『日米安保破棄しろー!』
隔離病棟の廊下を歩くだけで響き渡る絶叫。
聞いているだけで気が滅入る光景である。
言うまでも無く、ここに収容されている患者は転生者である。
ここは転生者専用の隔離病棟であった。
生前も空気を読まなかった彼らが、この時代に上述のたわごとをほざいたらどうなるか。当然ながら、癲狂院(当時の精神病院)行きである。
風聞を気にした親戚連中が、人権なにそれおいしいの?ってなレベルで全力で捕縛して癲狂院へ放り込む。それを聞きつけた平成会は、専用の隔離病棟を建設して、彼らを引き取っているのである。
「……敵国が攻めてくるというのなら、とことん話して酒飲んで遊んで食い止めます!」
「そこまで言うなら、実地でやってもらおうか」
「そうだよなぁ。有言実行だよなぁ」
「え?」
面会室で、ご高説を垂れ流していた患者が青ざめる。
目の前にいる平成会のモブの目が笑っていないことに気付いたのであろう。
「今、満州の辺りがキナ臭くてねぇ。君の言う通りならば、関東軍も大いに感謝してくれるだろう」
「えっ、いや、その、それは言葉の綾というかなんというか……ジョ、ジョークっすよジョーク。ははは……」
先ほどまでの威勢のよさはどこへやら。
だらだらと冷や汗を流しつつ、先ほどまでの発言を全否定する。
改心した彼は、釈放されて平成会傘下の企業で働くことになる。
周囲からは危険人物と認知されており、仕事はきつくて出世の目は皆無であったが、これはまだ幸せなケースである。実際に戦地に派遣されて行方不明になった9条教信者も大勢いるのであるから。
生前にこの手の思想にかぶれた人間は、基本的に脳内お花畑であることが多い。
それは、彼らが社会的な苦労をしていない裕福な生まれであることが原因である。
裕福な家に生まれたならば、生前の知識&教養はそれなり以上に期待出来る。
そんなわけで、平成会は手間暇をかけて転向させているのである。その苦労に見合った成果が出ているとは、お世辞にも言えないものではあったが。
「えー、それでは、平成会について説明させていただきます」
平成会館の大会議室に集まった転生者たちに、声をかける眼鏡をかけた男。
彼は、4年前の世界巡幸でドーセット公を接待した人物である。
平成会では専門スキルを持つ者は優遇される。
それぞれの能力に応じて、適材適所を心がけているわけである。もちろん、本人の希望も斟酌される。
しかし、平成会の転生者の大半は専門知識やスキルを持たないモブである。
生前に受けた史実日本の義務教育によって、知識や教養は高水準であるが、それだけではこの世界では役に立たないのである。
「……あなた方には、これより資格を取得してもらいます。これは平成会に所属するうえで最低限の義務となります」
眼鏡君の言葉にざわつくモブ達。
彼らの目の前に置いてあるのは資格取得のパンフレットであった。
この資格は平成会独自のものである。
電動計算機の扱いや、簿記の習得が基本となっていた。
「資格取得に必要な費用は全て平成会持ちです。資格手当もしっかり付きますので、頑張ってください」
組織を動かすには、個の力よりも数がモノを言う。
名も無きモブだからといって軽視するのではなく、逆に重要視していたのである。
資格取得のバックアップと就職の世話もしてくれるとあらば、願っても無いことである。しかし、転生者とて一枚岩というわけでは無い。ひねくれ者もいるのである。
「なぁ、資格取得なんてめんどくせーし、このまま帰っちゃダメか?」
眼鏡君相手にそんなことをのたまうのは、チャラい雰囲気の軽薄そうな男。
深く考えていたわけではなく、生意気(彼視点)な眼鏡君をちょっと困らせてやろうくらいに思っていたのであるが、その返答は彼の予想を超えていた。
「構いませんよ? ただ、しばらくは監視が付くと思ってください。場合によっては隔離の対象となりますので悪しからず」
「ちょ!? なんでだよ!?」
喚くチャラ男。
それに対して、淡々と話を続ける眼鏡君。
「……良くも悪くも平成会は注目され始めています」
「それがどう関係するんだよ!?」
「平成会に所属していなくても、平成会と関係があると思われるだけで、他の組織から狙われる可能性があるということです」
「「「!?」」」
事の重大さに、チャラ男だけでなく他のモブも青ざめる。
知らずとして人生のボーダーラインを越えてしまっていたことを、今更ながらに自覚させられたのである。
「さて、他に質問はありますでしょうか?」
もちろん、質問などあるはず無かった。
集まった転生者たちは、以後誰一人文句を言うことも無く説明を受け続けたのである。
実際のところは、そこまでヤバい話というわけではない。
単に眼鏡君のブラフである。
昔から平成会をマークしていたMI6はともかく、平成会に注目し始めている軍部の一部の人間からしてみれば、平成会の成果物が目的であって、末端の人間などに興味は無い。そんなことはつゆ知らずなモブ達は、資格取得に必死になったのである。
チャラ男も含めて、今回試験を受けた30人の転生者は全員資格取得試験に合格した。これから社畜……もとい、平成会の一員としての人生が始まるのである。
初っ端からブラック臭が漂っていますが、業務拡張に伴う人員の増員はどこの企業でもやっています。後藤新平の無茶ぶりに応えるべく、平成会も転生者ホイホイを強化せざるを得なくなったわけです。
新聞で転生者ホイホイするのは、平成会設立直後から行われている古い方法です。〇ヴァやら、ハル〇なんかのイラスト付きの広告を出せば簡単に釣れるわけです。
なお、この方法で釣れた外交官志望の転生者ですが、普通のルートだと外交官は無理です。史実21世紀ですら、外務省のノンキャリはほぼ全員がコネ入省、あるいは親が元外務省らしいですし。ドーセットの日本領事館は、平成会の出先なので、どうとでもなったわけです。
ハロワで釣れた近代史専攻の転生者ですが、仕事内容的にはこれが一番楽かもしれません。安楽椅子の専門家は、頭を使うのがお仕事ですのでブラックだめ絶対。
拙作で描写された発明奨励所は、発明学会が元ネタです。特許報酬の一部を分捕っていくので、オリジナルよりはアコギですね。でもまぁ、その資金が平成会全体に還元されるので、これはこれで問題は無いかと。
蛍光表示管が3極真空管と同じく、増幅作用があることは確認されています。ネットでも実験結果があるので、興味のある方は検索してみると良いでしょう。
というより、VFDの生みの親であるノリタケ伊勢電子が実際に『Nutube』として商品化してます。用途はギター用のプリアンプですが、3万時間という驚異の長寿命を誇っています。昔の長寿命管がせいぜい2000~3000時間なので、普通にコンピューターを作れますね。
あれ? 出しておいてなんだけど、これってヤバくね?調子に乗った平成会がENIACもどきを作り出して様々な用途に使用し出したら、技術加速が起きるだけでなく、英国の暗号も解読されちゃうんじゃ……(滝汗
メイドカフェによる転生者ホイホイですが、オタク気質な転生者が集まっています。彼らの多くが同人活動に従事しており、必要とあらば世論誘導などの工作に加担することもあります。平成会の後援者であるドーセット公と仲が良いのも特徴ですが、過激派のようにやり過ぎておしおきされることも多い一派ではありますw
パヨクの隔離病棟ですが、じつはこれ一部描写を削除しています。戦地に行かされて行方不明になったのはじつは……というパターンです。なぜこの世界に転生者がいるのか、そのメカニズムを解明するには人体j……ゲフンゲフン!R18G展開まっしぐらなので削ったわけです。
適材適所が平成会のモットーですが、転生者の大半は専門知識を持たないモブです。生前の知識で、オフィスソフトや電卓などは普通に使えるでしょうけど、この時代には役立ちません。なので、資格取得から始めないといけないわけです。
仕事量的には一番最後がブラックではありますが、福利厚生はしっかりしているので、史実のブラック企業ほどでは無かったりします。むしろ、日ごろは楽だけど、いざというときに無茶ぶりされる専門知識&スキル持ちのほうがヤバかったりしますw
ちなみに、最後に出て来た眼鏡君は、ドーセット公接待のホスト役だった眼鏡君と同一人物です。目立ったカリスマは無いものの、組織作りに長けているので、こういった現場で重宝されています。そのうち本編で再び出番があることでしょう。




