変態紳士の領内事情―ロマノフ公来襲編―
(や、やっと休める……)
1930年1月下旬。
白亜の館の廊下を疲れ切った表情で歩く男。
言うまでも無く、テッド・ハーグリーヴスである。
テッドは年始から忙しい日々を送っていた。
各方面への根回しと謝罪行脚に疲れ果て、休息を取るべくドーセット領に戻って来たのであるが……。
「ただいまセバスチャン。何か変わったことは無かった?」
「お帰りなさいませ旦那さま。その……厄介な客人が来られています」
執務室で主人を出迎えたセバスチャンの歯切れの悪い返事。
普段の執事然とした態度からかけ離れた様子に、テッドは嫌な予感を禁じ得ない。
「厄介な客人?」
「はい。ロマノフ公と、そのご家族です」
「ふぁっ!?」
超VIPの来訪に驚愕するテッド。
ロマノフ公の正体は元ロシア皇帝のニコライ2世なのである。
「いやいやいやいや。あり得ないでしょ。ドーセット領には元皇帝一家のお眼鏡に適うものなどないはずだし……って、そんなことよりロマノフ公に挨拶しないと。此処にいるの?」
史実とは異なり、この世界では処刑寸前のところで円卓の特殊部隊に救出されていた。英国に亡命したニコライ2世は、ロマノフ公爵として連合王国貴族となっていたのである。
「いえ、屋敷ではありません……」
言葉を濁すセバスチャン。
テッドは、またしても嫌な予感に囚われる。
「……お忍びでラスプーチン殿の娼館に逗留されております」
「はぁぁぁぁぁっ!?」
周囲を憚らず絶叫するテッド。
最近のドーセット領は観光に力を入れており、特に新市街では高級ホテルが多数営業している。お忍びと言えど、娼館に逗留するなどあり得ないことである。
(まさか、ラスプーチンが成功したことを知って会いに来た?)
テッドが真っ先に考えたのは、ラスプーチンの存在であった。
生前の知識で、皇帝一家とラスプーチンの関係を知っていたのである。
(今のラスプーチンはニュードーチェスターの顔役だし。噂を聞きつけて来たのかなぁ?)
史実のラスプーチンを皇帝一家が強く信頼し、その死に動揺したのは事実である。ドーセット領で成功したラスプーチンに、元皇帝一家が会いに来るのは不思議なことでは無いのかもしれない。
(いや、それは無いか。関係が続いていたなら、うちに来ることは無かっただろうし……)
しかし、この世界のラスプーチンは身一つでドーセット領にやってきた。
その際に、皇帝一家からお暇を出されたとテッドに話していたのである。
当時のラスプーチンが嘘を言っていた可能性も否定は出来ない。
しかし、テッドにはラスプーチンが嘘を言う理由に思い当たりが無かった。
「……本当にあの髭親父の所にロマノフ公がいるの?」
「わたしも認めたくは無いのですが事実です」
セバスチャンは懐から数枚の写真を取り出す。
隠し撮りしたと思われる写真には、私服姿のロマノフ公がラスプーチンの娼館に出入りする姿がはっきりと映っていた。
「はぁ、じゃあこちらから挨拶に行かないといけないなぁ」
「いけません! ロマノフ公がこちらに出向くまで待つべきです。そもそも、領主である旦那さまが娼館に出向くなど!?」
お忍びで来ているVIPに領主が挨拶に行くなど前代未聞である。
当然ながら、セバスチャンは猛反対であった。
「でも、ロマノフ公は王位継承権を持つ大貴族だよ? 知らなかったのならともかく、知ってしまった以上スルーすることは出来ないよ」
「ぐぐぐ……このセバスチャン一生の不覚……!」
ロマノフ公は、王家に近しい貴族として遇されていた。
英国王ジョージ5世の従弟であるため、末席ながらも王位継承権も保持する大貴族である。同じ公爵でも田舎貴族に過ぎないテッドとは格が違う。
「と、いうわけで今から行って来る。すぐに戻るよ」
「なぁっ!? お待ちください旦那さま!?」
娼館に出向くとなれば、マルヴィナやおチヨにあらぬ誤解を受けかねない。
馬鹿正直に理由を話しても納得してもらえるとも思えない。VIPが娼館に滞在するなどあり得ないことなのだから。
二人が別行動している今この瞬間こそ、唯一のチャンスと言っても過言ではない。自ら車を運転して、テッドは娼館に向かうのであった。
「……ねぇ、セバスチャン。正直に答えて。テッドは何処に行ったの?」
「そ、それは……旦那さまならばすぐに戻るので問題は無いかと……」
「目が泳いでますよセバスさん! テッドさんは何処にいるのですか!?」
30分後。
セバスチャンは、買い物を楽しんで来た正妻と愛人コンビに詰問されるハメになった。
二人の買い物が思っていたよりも早く済んでしまったことが、テッドの誤算であった。女の買い物は長いという先入観が、その後の修羅場を決定づけてしまったのである。
「行くわよおチヨ!」
「はい、お姉さま!」
二人の女傑を相手に30分も耐えたセバスチャンは流石と言うべきであろう。
結局は時間稼ぎに過ぎなかったのであるが……。
「まさかと思うけど、ロマノフ公がホテルと勘違いしたとかは無いよなぁ?」
娼館『ラスプーチン』のエントランスで、思わずぼやくテッド。
VIP御用達というだけのことはあり、娼館の内部は5つ星ホテルと言われても納得出来るだけの内装と調度品が揃えられていた。
「旦那さま!? なぜこのような場所に!?」
タキシード姿のフロント係が、テッドを見つけて駆け寄ってくる。
この娼館に再就職する前はドーチェスターハウスで庭師を務めていた男である。主君の顔を見間違うはずも無かった。
「ロマノフ公は宿泊してる?」
「それは……」
テッドの質問に、フロント係は複雑な表情となる。
その様子は苦悶しているように見えた。
娼館ラスプーチンは、提供されるサービスも超一流ホテルとそん色がない。
顧客情報を漏らすわけにはいかないが、かといって主君の命令に逆らうわけにもいかない。職務と忠義で板挟みになっていたのである。
「此処には誰もいません。故に、これはわたしの独り言です。ロマノフ公は最上階のロイヤルスイートにご家族と宿泊なされています」
「じゃ、鍵もらっておくね。おっと、これは独り言だからね?」
フロントから勝手に鍵を持ち出すテッド。
これ以上フロント係に迷惑をかけぬよう足早に階段を駆け上がるのであった。
(この部屋か)
4階の最奥。
テッドの目の前には精緻な彫刻と装飾が施された扉があった。
(んー、中で何をやってるか分からないな)
扉に耳を押し付けて聞き耳をするも、何も聞こえない。
壁も扉も分厚いので多少の音など聞こえないのである。
(ここまで来て留守だと困ったけど、そんなことは無さそうだ)
扉には鍵はかかっていなかった。
後ろ手で閉めつつ、テッドは忍び足で進んでいく。
「陛下、皇后さま、もうお止めくだされ!」
室内に突如として響く大声にテッドは硬直する。
しかし、それも一瞬のこと。素早く物陰に隠れて様子を窺う。
「この部屋は、そういうことをする場所ではありませぬ。そういうことは普通のホテルでやってくだされ!」
「煩いぞラスプーチン。邪魔をするでない」
声の主はラスプーチンであった。
テッドからは死角になって見えなかったが、なにやら懇願しているようである。
「うわぁ……なんだこりゃぁ……」
「おぉ、ドーセット公! お主からも陛下に言ってくれ。娼館でエロ同人を読むなど言語道断だと言ってくれ!」
「ごめん。もうなんかお腹いっぱいというか、帰りたいのだけど……」
救いの神が来たとばかりに、テッドに縋りつくラスプーチン。
目の前ではロマノフ公夫妻がエロ同人誌を熱心に読み更けっていたのである。
「ロマノフ公、ご無沙汰しております」
「おぉ、誰かと思えばドーセット公じゃないか。何時帰ってきたんだね?」
ラスプーチンの訴えを完全スルーしていたロマノフ公であるが、さすがにテッドは無視出来なかった。
「つい先ほどです。事前に言っていただければ、ホテルを用意させましたのに」
「そうは言っても、君は日本に居たじゃないか」
「それはそうですが……よろしければ、今からでも手配致しますよ?」
テッドは、ロマノフ公にホテルへの移動を要請する。
王位継承権を持つ大貴族がドーセット領にお忍びで来ていることも問題であるが、娼館に入り浸っているのが暴露されようものなら大スキャンダルである。
「いや、此処が良い。下手な高級ホテルと違って、此処は客がお互いに素性を探るようなことが無いから気楽でな」
「……」
しかし、ロマノフ公はあっさりと却下する。
国王陛下と瓜二つの顔で言われると、テッドは全く反論出来なかった。
「ドーセット公には悪いと思っていますが、この場所は即売会の会場に近くて便利なのです」
元皇后アレクサンドラ――ロマノフ公夫人も、まったく譲る気は無いらしい。
済まなそうな顔をしてはいたが、すぐに同人誌を読むことを再開してしまう。
「……あきらめたら? もう試合終了だよ」
「お主はそれでいいのか!?」
ロマノフ公夫妻相手に強硬策は論外である。
残された手段はラスプーチンを説得することであった。
「逆に考えるんだ。ここの従業員は全てうちの人間だから機密保持という点ではこれ以上のものは望めない。下手なホテルに泊まられるよりはマシと考えるんだ」
ここで働く従業員は、その全てがドーセット公爵家の関係者であった。
この娼館自体が史実のサロン・キティを参考にしており、情報収集と同じくらいに情報漏洩にも神経を尖らせていたのである。
「……しかし、秘匿対象は二人だけでは無いのだぞ? 好き勝手に動かれたら、さすがのお主でも手に余るのではないか?」
「えっ? それは」
『どういうことだ』と言葉を続けようとしたところで、ドアがノックされる。
返事を待たずに開け放たれたドアから入って来た人物たちに、テッドは絶句したのであった。
「ただいま戻りましたわ」
「あら、オリガ。早かったのね」
パンツスーツとピーコートをラフに着こなしながらも、どことなく気品が漂う女性。元皇帝一家の長女オリガは、キャンバス地のトートバッグに戦利品を満載していた。
史実のオリガは読書を好み、絵も巧みで歴史の勉強にも熱心であったが、この世界のオリガは同人作家としての道を着実に歩んでいた。その美貌と相まって、ドーセットの即売会では注目の的になっていたのである。
「父さま母さま。外の屋台でいろいろ買ってきました。そろそろ休憩しませんか」
「あら、タチヤナ気が利くわねぇ。あなた、そろそろ一息入れましょう」
「うむ、そうだな。ほほぅ、これは美味しそうだ」
オリガの後ろから出てくるのは、ロングワンピースとロングコート、首にマフラーを巻いた次女のタチヤナである。長身痩躯で太らない体質故か、この世界のタチヤナは食道楽に目覚めており、24時間営業している娼館街の屋台を食べ歩くのが最近の日課であった。
ちなみに、ドーセット領における屋台には平成会の元過激派が営業しているものが多い。たこ焼き、焼きそば、タイ焼き、から揚げ、真名を呼ぶと戦争が起きる〇〇焼きなどなどエトセトラ。史実知識を活かして一儲けしてやろうと、日々激烈なバトルが繰り広げられているのである。
「お母さま。見て見て! 似合ってるでしょう!?」
「マリア、とても似合っているわ!」
タチアナの背後から飛び出してくるのは、三女のマリアである。
黒いタートルネックセーターとハーフパンツの上から白いコートを羽織り、黒のレッグウォーマーにロングブーツを履き、金髪のウィッグも忘れない。彼女は月〇歌〇の冬服コス衣装を着てご満悦であった。
「母さま。それ、わたしが作ったの!」
「アナスタシアは相変わらずねぇ。いつの間に作ったのかしら?」
メイドキャップにヴィクトリアンメイド服という、お針子スタイルを貫く四女のアナスタシア。史実では第1次大戦の慰問で肌着を縫っていたが、この世界のアナスタシアはコスプレ衣装を縫っていた。その完成度は高く、姉妹にコスプレ衣装を着せるのを趣味にしていたのである。
「姉さんたち急ぎすぎだよ……」
最後に入室してきたのは、長男のアレクセイである。
マッチョでは無いが、長身でスマートな体形にウール製のシングルブレストトレンチコートが似合っていた。
「アレクセイ大丈夫? 無理はしていないわよね?」
ロマノフ公夫人が心配しているのは、息子アレクセイの病気であった。
史実と同様に、アレクセイは母親から遺伝性の血友病を受け継いでいたのである。
血友病は血液の凝結に異常が見られる病気である。
史実のアレクセイは経過が悪く、鼻血で命を落としかけるほど酷いものであった。
しかし、この世界の英国ではトラネキサム酸錠が実用化されていた。
トラネキサム酸は止血剤・抗炎症剤として出血の予防・治療に用いられる成分であり、この薬のおかげでアレクサンドラとアレクセイは日常生活を送れるようになったのである。
「大丈夫。筋肉は全てを解決するって同人誌に書いてあったけど本当だった」
医師の指導を受けながらアレクセイは筋トレに励んだ。
血友病は関節の痛みと変形を引き起こす。その関節を守るために筋肉が必要であり、実際筋トレは血友病に有効だったのである。
この世界のアレクセイは、病弱だったのが嘘みたいな健康的な肉体を手に入れていた。自分の足で歩くのがこの上なく楽しく、姉たちに付いて回るのが日課になっていたのである。
「……」
勢ぞろいした姉弟に、二の句が継げないテッド。
ロマノフ公一家とは過去に面識があったのであるが、ここまで変貌するとは思ってもいなかったのである。
(あかん、こいつらを放置したらロクなことにならない……!)
引き籠っているロマノフ公夫妻はともかく、姉弟は良くも悪くも目立ち過ぎる。
娼館街を歩けば、よからぬ客引きに引っかかってしまうかもしれない。
「ロマノフ公、やっぱり物騒なのでうちに来ませんか? 遅ればせながら歓待させていただきますよ」
「おい、さっきと言ってることが違うぞ!?」
ラスプーチンが噛みついてくるが、テッドは無視した。
こんな歩くスキャンダルを放置していたら、最悪身の破滅につながりかねない。
「ドーセット公、気遣いは不要だぞ。我らは此処を気に入っているからな」
「いや、気遣い以前に安全面で問題が……」
「此処はロシアに居たころよりもはるかに安全だぞ?」
『ロシア革命と比較するな!』と叫びたくなるのを、テッドは辛うじて自制する。とはいえ、娼館がひしめき合っている場所だというのに治安が保たれているのは事実である。
テッドの基準は平成の日本なので、ドーセット領の治安の良さは世界一であった。領内に大量の交番を設置して警官を巡回させており、領内であれば女子供の夜歩きも可能なレベルになっていたのである。
「いやほら、ここは娼館街なので教育に悪いかと……」
「心配するな。息子はもう立派な大人だ!」
「そうですよ。娘たちも大人ですし、俗な誘惑などには引っかかりませんわよ」
子供たちの教育に自信があるのか、ロマノフ公も夫人もドヤ顔で断言する。
埒が明かないと考えたテッドは、先に姉弟を説得することを決意したのである。
「いくらドーセット公の頼みと言えど、わたしはここを動くつもりはありません」
「ええええ……」
最初に長女オリガの説得を試みたテッドであるが、あっさりと断られた。
妥協の余地もクソも無い、完全拒否であった。
「即売会の規模は小さいですが24時間営業しているのが素晴らしいです。何時でも買えて、何時でも売れる。これ以上の環境は望めませんわ!」
娼館街の即売会には他のコミケや即売会には無い特徴があった。
年中無休の24時間営業であり、ブースが空いていれば予約無しで同人誌の頒布が出来るのである。
娼館街で働く平成会の元過激派たちによって即売会は始まった。
彼らは休みが不規則でコミケに行く暇が無かったので、規模は小さくても自前で同人誌を頒布する場所を欲したのである。
「ロンドンのコミケではお目にかかれないディープな内容の同人誌が手に入るのもグッドです。おかげで家族への布教が捗りましたわ!」
「儂の洗脳が解けたのは、オリガさまが原因だったのか!?」
冬のロシアは雪と氷に閉ざされる。
娯楽と言えばヤることしか無いわけで、そこに上手くつけこんだのがこの世界のラスプーチンであった。ご自慢のビッグマグナムでセッ〇ス洗脳を施したのである
『なっ、こんなデカいのを少女に入れるのか!?』
『エルフを触手で凌辱……あぁ、最高ですわぁ』
『ふたなりというのもあるのですか……うふふ』
『はぁはぁ、腹筋ずり最高……』
しかし、英国に亡命後に洗脳は解けてしまった。
偶然オリガが手に入れた18禁同人誌(平成会元過激派謹製)に、元皇帝一家は瞬く間にハマってしまったのである。
オリガが手に入れた本は、触手、寄生、ニプルファック、腹筋ずりなど時代の先を行きすぎた過激描写がてんこもりであった。この時代の人間が目にしたらSAN値が直葬されることが確実な特級呪物だったのである。
生臭坊主相手にリアルな〇ックスはやり尽くしていた。
それ故に、家族そろって史実21世紀の日本のエロ描写にどっぷり浸かってしまったのである。
「オリガ姉さまが残るというなら、わたしも残りますわ。まだ伝説のベイクドモチョチョを食べていませんし」
「その手に持ってるやつがそうだよ!」
「違いますわ。これは今川焼ですわよ?」
次女タチヤナも居座る気満々であった。
テッドが提示した『フルコース食べ放題』も彼女の心を動かすには至らなかったのである。
「わたしもここに残る! ここだとコスプレ衣装作りが捗るし」
「アナスタシアが作った服が着たいので、わたしも残ります」
4女アナスタシアと3女マリヤも居残る気満々である。
史実では『下のコンビ』と呼ばれていただけのことはあり、二人とも息がぴったりであった。
「僕も残ります。姉さんたちといっしょが良いです」
長男アレクセイも残留を希望した。
結局、姉弟全員が娼館街へ残ることを望んだのである。
「……あきらめたらどうじゃ? もう試合終了じゃぞ」
「こんな爆弾放置しておけるかっ!? というか、ブーメランでムカつくぅ!」
肩ポンしてくるラスプーチンに、切れ散らかすテッド。
親子姉弟全員が娼館街に残ることを選択した以上、追い出すことは不可能になってしまったのである。
「……と、いうわけなんだけど」
特大の爆弾が居座ることが決定してしまった以上、至急対策を取る必要があった。備え付けられた電話で、テッドはセバスチャンに電話をかける。
『そういうことであれば、一族の者を貼り付けましょう』
「お願いするよ。あぁ、それと……」
『分かっております。目立たぬよう地元の者を厳選します』
「頼むよ」
ドーセット領には、旧公爵家に連なる一族が未だに健在であった。
現ドーセット公爵家家令セバスチャン・ウッズフォードを筆頭とする一族はテッドに絶対の忠誠を誓っており、彼の手足となっていたのである。
セバスチャンに指示を終えると、テッドはすぐさま別の場所へ電話をかける。
一部の者しか知らない直通番号である。
「もしもし署長? 娼館街にVIPが滞在しているから警官を派遣して欲しい」
『それは要人警護ということですか? 事前にそのような話は聞いておりませんが……』
テッドがかけた先は、ドーセット警察の署長であった。
受話器からは困惑する署長の声が聞こえてくる。
「僕もついさっき知ったよ。お忍びで娼館街に居座ってるんだ」
『そういうことならば、警官隊を派遣しますが?』
「いや、制服警官の巡回を増やすだけで良いよ。あまり露骨なことをやると機嫌を損ねそうだし……」
『了解しました。巡回する警官を3倍に増やします』
「頼むよ」
署長との通話を終えると、ため息をつく。
息抜きをしようと戻ってきて早々に厄介ごとである。テッドの気分は最悪であった。
(こっちが必死だってのに、気楽なもんだよなぁ……)
ちらりと横目で見て、さらにゲンナリしてしまう。
家族仲良くエロ同人誌を読書する光景など、テッドは見たくなかったので早々に退室したのであった。
「ふふっ、こんなところでテッドさんに出会うとは。これはまさに運命に他ならないね!」
「げっ……」
部屋を出たテッドは露骨に嫌な表情となる。
エンカウントしてしまったのは、恋の両生類ことルイス・マウントバッテン卿であった。
「さぁ、テッドさん! 僕とめくるめく一夜を過ごそう!」
じりじりと迫るマウントバッテン。
彼が一歩進む度に、テッドは一歩下がる。
「僕は所用があって来たんだよ。もう終わったけど」
飛び掛かって来たところを、テッドはあっさりと躱す。
勢いあまって、マウントバッテンは高級絨毯にダイブする。
第1次大戦に従軍経験のあるマウントバッテンは、決して素人では無い。
しかし、バーティツ師範のテッドの身を捉えることは出来なかった。
「娼館に用があるって、やっぱりヤルことじゃないか!?」
「いや、だから……」
それでも、なお迫りくる恋の両生類。
どうしたものかと思案するテッドであるが、救いは意外なところから現れた。
「貴方、何をしているの?」
「げぇっ、マリア!?」
ロイヤルスイートから出て来たマリアを見て、露骨に狼狽するマウントバッテン。この世界のマウントバッテンは、マリアと結婚していたのである。
ちなみに、ロマノフ公爵家は長男アレクセイが健在なので婿入りとはならなかった。新たな公爵位を創設して、マウントバッテンは公爵に叙勲されることが内定していたのである。
「こんなところで何をしているの? もうみんな集まっているわよ!」
マリアが腕を掴んで急かす。
こんな場所で出会ってしまったのをテッドは訝しんでいたが、マウントバッテンは義家族に会いに来ただけであった。
「あ、あぁ……」
マリアに引きずられながら、マウントバッテンはテッドに必死にアイコンタクトする。
「んん~? どうしようかなぁ?」
人の悪い笑みを浮かべるテッド。
このまま黙っているのも良いが、所業をチクってやれば恋の両生類も多少なりとも大人しくなるかもしれない。
(まぁ、いいか。僕はお人好しだからね)
テッドがそんなことを考えているうちに、ロイヤルスイートの扉が閉まっていく。その様子を、ハンカチを振って見送ったのであった。
(やれやれ、やっと帰れる)
完全に閉ざされた扉を見つつ、テッドは本日何度目かのため息をつく。
このまま帰ろうとしたのであるが、そうは問屋が卸さなかった。
「こんなところで何をしているの?」
「こんなところで何をしているですか!?」
聞いてはならない声を聞いてしまい、テッドは硬直する。
恐る恐る振り返れば、鬼と化した正妻と愛人コンビが立っていたのである。
「セバスチャンを吐かせたけど、まさか本当に娼館に来ていたとはね。搾り方が足りなかったのかしら?」
ズンっと、一歩踏み出すマルヴィナ。
口元は笑っていたが、目は全く笑っていない。
「ちょ、マルヴィナ落ち着いて!? ここに来たのは別件だよ!?」
「娼館に来ておいて、ヤること以外に何があるというの?」
身の丈2メートルに迫る大女が放つプレッシャーは尋常なものでは無い。
タ〇ラントかネ〇シスに迫られるが如しである。
「いや、ロマノフ公が来ているんだって!」
「……テッド、嘘をつくならもっとまともな嘘をつきなさいよ」
本当のことを言っているのに、マルヴィナは信じてくれなかった。
常識で考えれば当然のことではあるが。
(誰でもいい、出てきてくれ……!)
必死に背後の扉をチラ見するテッド。
誰か出て来れば釈明も出来るのであるが、分厚い壁と扉は室外の騒音を完全にシャットアウトしていた。
(こうなったら、直接マルヴィナに見せつけるしかない!)
ロイヤルスイートの扉を開けようとするテッド。
しかし、これは悪手であった。
「う、うわぁっ!?」
扉を開けようとマルヴィナに背を向けた瞬間。
テッドは首根っこを掴まれて、彼女の剛力で吊り上げられる。必死にもがくも、足が宙に浮いた状態では何もできなかった。
「お姉さま! 部屋を取って来ました!」
「気が利くわねおチヨ。それじゃ、いくわよ?」
「……」
マルヴィナに首根っこを掴まれたテッドは借りてきた猫の如しである。
抵抗しても無駄と悟った彼は、そのまま部屋に連行されたのであった。
「ちょ、やめ!? 痛い痛い痛い!?」
「動くと危ないわよ?」
部屋に連れ込まれたテッドは、両手を縛られて天井から吊り下げられた。
足は縛られていないが、この状態からの脱出は不可能であろう。
「お姉さま。持ってきました!」
「ちょ、冗談でしょ!?」
おチヨが持ってきたものを見たテッドは青ざめる。
生前にAVで良く見かけたアレが置かれていたのである。
「おチヨ、足に重りを付けて」
「はい!」
テッドの足元に駆け寄るおチヨ。
簡単に外れないように、念入りに固定していく。
「やめぇぇぇぇぇっ!?」
マルヴィナがチェーンブロックを操作すると、テッドの身体が少しずつ降りていく。同時に三角木馬が股間に迫るが、残り数センチのところで止まる。
「テッドさん、わたしというものがありながら酷いです……誰と逢引しようとしていたのですか?」
おチヨの口元は微笑んでいるのに、目元が影になってひたすらに怖い。
「いや、だからロマノフ公が此処に泊まってたから挨拶に……」
「お姉さま、降ろしてください」
「ノォォォォォォォっ!?」
チェーンブロックが稼働し、股間と三角木馬が接触する。
接触しても止まらない。そのまま食い込んでいく。
「ねぇ、テッド。わたしたちもこんなことはしたくないの。ただ、正直に言ってくれればすぐに解放するわ」
「いや、だから本当なんだってば!?」
「……おチヨ、重りを追加して」
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁっ!? 誰でも良いからヘルプミぃぃぃぃっ!?」
本当のことを言っても信じてもらえないし、この状況では下手な嘘は一瞬でバレる。まさに絶体絶命であった。
「テッドさんを解放しろ! この不埒者どもめっ!」
祈りが天に通じたのか、マウントバッテンが部屋に突入してくる。
普段はアレな人物ではあるが、テッドにとってこの瞬間だけは救世主であった。余計なおまけがいなければ、であるが。
「ほほぅ、こんな部屋もあるのか」
「殿方が三角木馬に乗るというのは新鮮ですわね」
「これは良い素材だわ! ばっちり撮影しないと!」
「声が枯れてますね。お水飲みます?」
「すごい、二人とも女王さまな格好してる……」
「任せて! マリアにピッタシな女王さまな衣装を縫ってあげるわよ」
「ぼ、僕も座ってみたい……」
金魚の糞にしては、あまりにも高貴な家族がぞろぞろと入室してくる。
テッド達は知る由も無かったが、マウントバッテンの案内でロマノフ公一家は外出するために室外に出ていた。しかし、テッドの悲鳴を聞きつけたマウントバッテンが暴走した結果、それを追ってきたのである。
「えっ……」
ロマノフ公一家に面識があるマルヴィナは絶句した。
おチヨは面識は無かったが、やんごとなき人物であることを直感して委縮してしまう。
「うぅ、酷い目にあった……」
誤解の解けたテッドはすぐさま解放された。
しかし、ここからが悪夢の始まりであった。
「ドーセット公、君もなかなか良い趣味をしているではないか」
「若いころを思い出すわね貴方」
ロマノフ公夫妻は、テッドに親近感を持ち。
「凄い、ちょっと触って良いですか? 筋肉描写の参考にしたいです!」
「いや、ちょっとやめて……」
オリガは女王様スタイルで露出度高めなマルヴィナをペタペタと触わりまくり。
「グリーンティをどうぞ。美味しいですよ」
「ありがとう……ぶはっ、甘いっ!?」
タチヤナはテッドに砂糖マシマシな緑茶を飲まし。
「凄いかわいい。お人形みたい!」
「ちょっと触らせて。これってどんな素材なの?」
「すみません、引っ張らないで。そこ触らないで!?」
マリアとアナスタシアは、女王様ルックなおチヨに密着しまくり。
「僕も座ってみたい……」
アレクセイは熱心に三角木馬を見つめる。
「……これはまた地獄絵図じゃのう」
騒ぎを聞きつけてやってきたラスプーチンは室内で繰り広げられる光景に絶句したが、ここはホテルではなく娼館である。この程度は許容範囲内であった。
この騒動の後、ロマノフ公爵家はドーセット公爵家と家族ぐるみの付き合いとなった。お忍びでドーセット領に入り浸って、テッドの頭痛の種となるのである。事情を知らないセバスチャンは、大貴族とコネを持てたと大満足であったが。
テッドはマウントバッテンの願いを一つだけ聞くハメになった。
命の恩人(笑)であるために断ることは出来なかったのである。
「!? ただのフィッシュアンドチップスがなんでこんなに美味しいなんて……!」
「この店は、僕が昔ロンドンで世話になった店に無理を言って出店してもらったんだ。味は保証付きだよ」
店でフィッシュアンドチップスをテイクアウトする二人の男。
歩きながら食べ歩きする様子は、親友同士が仲良くしているように見えなくも無い。
片や、くしゃくしゃにした金髪にサングラス、ベージュのタイロッケンコートを着込んだ男。片や、インバネスコートにポーラーハットにパイプを咥えたホームズスタイルを貫く男。
前者はテッドの変装であり、後者はマウントバッテンの変装である。
二人はドーセット中央駅のグルメストリートを食べ歩いてる最中であった。
(何が悲しくて、男とデートせにゃならんのだ……)
ご機嫌でテッドの隣を歩くマウントバッテンとは対照的にテッドは憂鬱であった。
(でも、こんなんでも一応命の恩人だからなぁ……)
つい先日のことであるが、テッドはエログロ画像の仲間入りをするところであった。その窮地を救ったのがマウントバッテンであり、お礼として一つだけ願いを聞くことにしたのである。
マウントバッテンの願いは、テッドとの1日デートであった。
普通のデートで終わるわけがないことは分かり切っていたが、それでもテッドは受けざるを得なかったのである。
「「かんぱーい!」」
テッドの不安を他所に、1日デートは無事に終了した。
打ち上げ会場となったパブで、テッドとマウントバッテンはジョッキでエールを一気飲みする。
「ぷはーっ」
「いやぁ、テッドさんいい飲みっぷりだね。ささ、もう一杯」
そう言って、マウントバッテンはジョッキをすすめてくる。
少し酔いが回っていたこともあって、テッドは疑う事無く受け取ったのであるが……。
「ぐが~」
飲んだ瞬間に、テッドはぶっ倒れた。
渡したエールには大量の睡眠薬が混入されていたのである。
「おや、テッドさん。こんなところで寝たら危ないよ? ……よし、確実に寝てるな」
テッドを心配する振りをして、薬が効いたか確認するマウントバッテン。
これまでの紳士の皮をかなぐり捨てて邪悪な笑みを浮かべる。
「すみません。部屋空いてますか?」
「2階がひと部屋空いてるよ」
「じゃあ、それで」
「毎度あり」
英国の伝統であるパブは、1階が酒場で2階が宿屋になっていることが多い。
酔いつぶれても安心安全なのである。
「さぁて、脱ぎ脱ぎしましょうねぇ」
ベッドに横たわらせたテッドの衣服を、マウントバッテンは一枚ずつ剥いでいく。引っぺがした衣類をきちんと畳むあたり、意外と几帳面な性格である。
「ふっふっふ。御開帳~」
あっという間に、テッドはパンツ一丁となった。
マウントバッテンが、お宝を拝むべくパンツに手をかけたその瞬間。
「そこまでよ!」
ドアが蹴破られてマルヴィナが突入する。
1日デートは最初から監視されていたのである。
「テッドさんの好意に付け込むとは卑怯千万! 恥を知りなさい!」
マルヴィナに続いて入室してきたおチヨが、マウントバッテンを痛烈に非難する。
「ふっ、愛人風情が何を言うか。僕とテッドくんの真実の愛を邪魔するなっ!」
しかし、マウントバッテンは動じない。
不敵な笑みを浮かべたまま、昏睡したままのテッドをうつ伏せにする。狙うは一点のみである。
「……いい加減にしないと本当にマリア様にチクるわよ?」
呟くような、それでいて周囲にはっきり聞こえるマルヴィナの言葉。
それを聞いたマウントバッテンの表情が一変する。
「お、覚えてろっ!」
愛する妻にチクられるのはさすがに嫌だったのか、脱兎の勢いで逃走した。
残されたのは、パンツ一丁で昏睡するテッドのみであった。
「……これ、どうしようかしら?」
「お姉さま、日本には据え膳食わぬは男の恥という言葉があります」
「その意味は?」
「女性の誘惑に応じないのは、男として恥という意味です」
「なるほど。わたしらは女だけど関係無いわね。二人でいっしょにいただきましょうか」
かくして、テッドは二人に凌辱されることになった。
前や後、そしてお口と、意識が無いのを良い事にさんざんに弄ばれたのである。
「うぅ……口も痛いし、お尻も痛い。先っぽも痛いし、昨日なにがあったの? 記憶が無いんだけど……」
翌朝。
目が覚めたテッドは何も覚えていなかった。
「テッドは酔っぱらってパブの部屋で寝込んでいたのよ」
目を逸らしながら、マルヴィナが事情を説明する。
少なくても嘘は言っていない。
「テッドさんは、あの男に甘すぎです! 今回は何も無かったから良かったですけど……」
マウントバッテンからは何もされなかったのだから、嘘ではない。
二人からそれ以上に酷いことをされていたのであるが、記憶に残っていないからセーフである。
「おや、お客さん。ゆうべはお楽しみでしたね」
「え?」
チェックアウトする際に、パブのマスターからかけられた言葉にテッドは首をかしげる。マルヴィナとおチヨが、全力でマスターの口を塞いだのは言うまでも無い。
テッドは、今回の一連の騒動で多くのものを失った。
しかし、得たものが無かったわけではない。それが明らかになるのは、もう少し先の話であった。
直接の描写はしていませんから今回のはKENZENです。
多分R15くらい。
それにしても、ドーセット領がどんどんヤバくなっていくような気が。
登場する人間も変態ばかりだし、どうしてこうなった?_| ̄|○
>テッドは年始から忙しい日々を送っていた。
本編第86話『決起と後始末』参照。
>処刑寸前のところで円卓の特殊部隊に救出されていた。
本編第28話『ブラックウィドゥ』参照。
>この世界のラスプーチンは身一つでドーセット領にやってきた。
自援SS『変態紳士の領内事情―怪僧ラスプーチン編―』参照。
>国王陛下と瓜二つの顔で言われると、テッドは全く反論出来なかった。
冗談抜きで双子かと思えるほどにクリソツです。
従者でさえ、両者の区別が一瞬つかないほどだったとか。この世界だとジョージ5世はザンギエフ化していますから体形で識別は容易ですけどねw
>史実のサロン・キティを参考
サロン・キティは親衛隊が運営していた情報取集用の高級娼館です。
娼館ラスプーチンは盗聴だけでなく盗撮までやってるので、こっちの方が質が悪いですけど。
>真名を呼ぶと戦争が起きる〇〇焼き
真名は蓬莱饅頭です。
異論は認めないっ!(鹿児島県民
>月〇歌〇の冬服コス衣装
こんな感じです↓
h ttps://www.amazon.co.jp/LONGSHUMU-longmucos-%E3%81%97%E3%82%85%E3%81%94%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%A9-%E6%9C%88%E8%A9%A0%E6%AD%8C%E5%94%84cos%E6%97%A5%E5%B8%B8%E5%86%AC%E6%9C%8D%EF%BC%88%E3%81%8B%E3%81%A4%E3%82%89%E3%80%81%E9%9D%B4%E8%BF%BD%E5%8A%A0%E5%8F%AF%EF%BC%89-%E5%A5%B3%E6%80%A7L/dp/B09L5NFTLD
>トラネキサム酸錠
じつは日本で開発された止血剤だったりします。
実際のところは、この薬だけで血友病の治療は出来ません。ただし、いざというときの止血に使えるので日常生活を送りやすくなるでしょう。
>ドーセット警察
田舎警察だったはずが、テッド君が大規模に予算をぶちこんで大幅に刷新されています。スターズをモデルにした特殊部隊まで存在しますが、装備は英国面だったりしますw
>ルイス・マウントバッテン卿
この世界ではロマノフ公爵家の3女と結婚したので、それに釣り合う爵位を叙勲される予定。本家よりも位階が上になるから、逆玉と言えなくもない?
>チェーンブロック
チェーンを利用して重量物を巻き上げる装置です。
個人的には『よろしくメカドック』で天井に設置したチェーンブロックでエンジンを降ろすシーンが印象的でしたねぇ。
>三角木馬
娼館なので特殊プレイ用に設置されていました。
>「この店は、僕が昔ロンドンで世話になった店に無理を言って出店してもらったんだ。味は保証付きだよ」
自援SS『変態英国グルメ事情―ファーストフード編―』参照。
>エログロ画像の仲間入りをするところであった。
使用した三角木馬は特殊プレイ用ではなくガチの拷問用でした。
あと少し遅かったら股が裂けていたかも…(ヒィ
>ゆうべはお楽しみでしたね
RPGの宿屋といえばこのセリフ。
テッド君に気付かれなくて良かったですねw
>得たものが無かったわけではない
得たのは正妻と愛人コンビですけどね。




